クロックタウンとは、『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』に登場する架空の街である。
概要
主人公リンクが愛馬エポナとエポナを奪ったスタルキッドを追ってたどり着いた異世界「タルミナ」の中心部に位置する街。前作『時のオカリナ』とは一線を画す東南アジア風のエキゾチックな雰囲気と、街中心部に立つ巨大な時計塔が特徴。
街全体をタルミナ平原のモンスターから守るように高い塀が覆い、東西南北4つの門をバイセン率いる自警団ががっちりガードしている。街内部も東西南北の4つの区画に大別されている。主な住人は普通の人間(ハイラルで「ハイリア人」と呼ばれている人種に相当する)だが、デクナッツ族やゴロン族の行商人など、ほかの種族も少数ながら見かけられる。街ではひそかに牛の置物がはやっており、各店舗で見かけることができる。
太陽と月が重なる年に豊穣を祈り開催される「刻のカーニバル」が街最大の名物となっており、リンクがやってきたのはまさにカーニバル開催三日前だった。が、カーニバル開催前とは思えない静けさ、頭上にたたずむ巨大な人面月、さまざまなトラブルを抱えていた街の住人たち、そして呪いでデクナッツの姿に変えられていたリンク。リンクは時を何度も巻き戻しながら、世界滅亡の危機に立ち向かいつつ町内のトラブル解決をも請け負うこととなる。
本作の拠点となる街で、ゲームスタートは毎回この場所(中断セーブができる海外版やゼルダコレクション版はそうでもない)。72時間という時の流れのなかで住人たちが生活している様は当時のゲームとしては非常に画期的。膨大な量のイベントとそれを支える手帳システムはダンジョン攻略に匹敵する本作のもうひとつのやりこみ要素となっている。また、ゲーム終了時は時を巻き戻すことになるためイベント進行はほとんどリセットされ、何度も体験することや、あえて失敗してみる、ということもできる(失敗しても専用のリアクションが用意されていたりする)のでやりこみの度合いは半端ない。
街の解説
前述したように、クロックタウンは四つの区画から構成されている。ちなみにクロックタウンは町長制の街である。
南部
4区画の中でも最大の面積を持つ。中心部には街のシンボルとなる巨大な時計塔がそびえ立つが、それ以外の見所に乏しい。アキンドナッツが店を出していることくらいか。ほかの区への連絡通路が完備されており、木製の道が時計塔の根元に絡みつくように入り組んでいる。区のはずれには大きな洗濯場が存在する。南端にはタルミナ平原南部へ続く門が存在し、自警団によって強固に守られている。デクナッツリンクでは絶対に通してもらえないので、普通のリンクに戻るか、ほかのリンクに変身する必要がある。これはどの門も共通。
主な店・建物
- 時計塔・・・クロックタウンの象徴で、町名の由来にもなっている巨大な時計塔。時計塔内部の最深部は異世界とつながっており、時の流れも止まっている不思議な建物。
- アキンドナッツの店・・・デク花を縄張りとしているアキンドナッツの店。商売を終え、帰郷の準備をしているがなにかお土産がほしいらしい。
西部
西部は細長い構造になっており、一本道の周りにいろんな店が並んでいる。雑貨屋や郵便局などが存在し、町民の日常生活を支えるエリアと思われる。ここの門からはタルミナ平原西部へと出ることができる。
主な店・建物
- 雑貨屋・・・関西弁の主人が経営する雑貨店。24時間営業で、主人とバイト君が交代で店番についている。矢やデクの実、ビンにつめる薬など冒険に必要なものは一通り入手できる。
- マニ屋・・・雑貨屋の主人が深夜限定で開けるいかがわしい店。タルミナの盗品は大体ここへ流れ着いてきており、モンスターが盗んだ品もなぜかここに流れ着いてくる。アイテムの買取もしてくれる。覆面禁止。
- クロックタウン銀行・・・両手で両膝をバンバンたたいてPRに余念のない主人が経営する銀行。通帳代わりに預金者の体に特殊なインクで預金情報や顧客情報を刻印している。なので、時を越えて面識が無い状態でも、預けた分のお金を引き出すことができる(主人が刻印された預金情報を元にしているため)
東部
東部は比較的開放的な構造になっており、娯楽施設や観光客向けの施設が密集している。町長公邸もここにあり、クロックタウンにとっては重要なエリアといえる。ここの門からは荒涼としたタルミナ平原東部へと出ることができるが、本物のボムチュウが闊歩する危険地帯なので注意が必要。
主な店・建物
- ミルクバー・・・ロマニー牧場直送のミルクを堪能できる夜間営業の大人の社交場。会員証必須。豪華なステージを完備しており、ゾーラ族のバンド「ダル・ブルー」と旅の楽団ゴーマン一座がカーニバルで公演する予定だった
- ナベかま亭・・・観光客向けの旅館。老朽化が進んでおり、あちこちがボロボロ。看板娘のアンジュは美人だが、物忘れが激しかったりメシマズだったりと旅館の従業員としては致命的なところが。アンジュに「カーフェイのお面」を見せることから始めるイベントはゲーム中屈指の大イベント。
- 町長公邸・・・クロックタウン町長ドトールと町長夫人アロマが住む公邸。町長室では日々激論が交わされており、アロマの部屋では興行の調整などが行われている。一人息子が行方不明となっており、アロマは捜索にも精を出している。
- 天文台・・・学者シカシが天体観測をしている町外れの天文台。町の平和を守る6兄弟「ボンバーズ」のアジトとなっている。西部から進入できる地下道を通ることで天文台にいけるが、ボンバーズのしたっぱが門番をしており、そう簡単には通してもらえない。地下道では化け蜘蛛モンスター、スタルチュラに注意。
北部
閑散としたエリア。滑り台があることから憩いの場と推測できる。自称妖精の地図書きチンクルが地図を販売しているので、序盤のうちに入手しておきたい。人通りが少ないことから夜間には窃盗事件などが起きることがある。
主な店・建物
- デクナッツのプレイスポット・・・デクナッツ族限定だが北部唯一の店にして唯一の娯楽施設。二匹のアキンドナッツが経営しており、デク花を使ったミニゲームが楽しめる。店内の構造は日替わり。
- 大妖精の泉・・・魔法の大妖精の棲家。困ったことが起こった町人の相談にも乗っている。現在大妖精はスタルキッドの仕業によりバラバラにされてしまい、大妖精が分裂した「はぐれ妖精」のうち1体が街に行ったきり戻ってこないので本来の姿に戻れないでいる。
街の様子
1日目
刻のカーニバル開催3日前。すでに逃げ出した住人も多いが、街はカーニバルの準備で賑わっており、四六時中やぐらを建設する音が響き渡っている。クロックタウンのBGMも朗らかなものとなっているが、少数ながら月に不安を持つ住人もいる。
町長公邸ではカーニバル開催強行を訴えるムトー率いる大工集団と、町民の全員避難を訴えるバイセン率いる自警団が激論を交わしている。深夜にはバクダン袋を仕入れようとしていたバクダン屋のおばあさんが窃盗被害にあってしまう。
2日目
刻のカーニバル開催2日前。天気は雷を伴った雨だが、夕方には止む。1日目と変わりない賑わいを見せているが、頭上の月に不安を覚える住人や逃亡を考えるようになる人が多くなる。BGMは1日目のものをテンポアップさせたもの。
深夜には規則正しい仕事ぶりを見せているポストマンがなにやら不審な行動をとっている・・・
最期の日(日中)
刻のカーニバル開催前日。緑色の空、地震が頻発、さらに接近してきた月と異様な風景が広がる。さすがに危機感を覚えたのか、大多数の町人やカーニバルで見世物を出す予定だった人たちは逃げ出してしまった。店を経営する人たちはさすがにまだ逃げておらず、営業しているのでアイテムの補充やミニゲームを楽しむことは可能。
BGMは2日目のものと基本的には変わらないが不気味な音色が混じっており、背景とあいまって恐怖をかもし出している。
最期の日(夜)
夕方を過ぎても街が不気味に赤く染まるクロックタウン。カーニバル強行派だった大工集団までも建設中のやぐらを放置して逃げ出し異様に静まる中、カラスの鳴き声だけが静かに響く。ギリギリまで街に残っていた娯楽施設経営者や商人の大半も営業時間が終了するや逃げてしまい、街が好きな者、カーニバル続行を信じる者、逃げたくても逃げられない者、月落下を迷信と切り捨てる者、なにも知らない者、約束を信じ待ち続ける者しか残っていなかった。
もはや人がいなくなってしまったクロックタウン南部ではムトーが弟子の軟弱さを嘆きつつも一人でもカーニバルを成功させる、と意地を張っていた。ミルクバーでは滅亡を間近にしてなおも最期のミルクをたしなむ客の姿も。
最期の日(深夜)
月の鼻先が時計塔まで迫り、夜なのに不気味に赤く光る世界では深夜0時になるやバクダン屋プロデュースの花火が打ちあがり、それと同時にこの世の終わりを予感させる不気味で悲しげなBGMが流れ始める。このBGMは通常のフィールドBGMとは異なり、ダンジョン以外のありとあらゆる場所で流れ続ける。この残り6時間の恐怖と狂気は『ムジュラの仮面』を象徴するシーンで、いまだトラウマとして焼きついているユーザーも多いはず。もはや街を離れることができないことを悟った自警団隊員たちが必死に避難を呼びかける様はひたすらに悲しい。でもデクナッツリンクは逃がしてくれない。
なお、銀行とバクダン屋、ミルクバーは最期まで営業し続けるので、一部のダンジョンで必要になるボムチュウや大バクダンの購入、預金の出し入れ、反則アイテムシャトー・ロマーニの購入などは可能。雑貨屋のバイト君は逃亡してしまったので、矢やデクの実は自力で調達するしかない。マニ屋の主人もヤケクソになり、プレイ状況しだいでは秘蔵の品を持ち出してくる。もうここまで来てしまったら所持金を全部銀行に預け、時の歌を使うか、スタルキッドに戦いを挑むしか手段は無い。でないと・・・
なお、とあるイベントを進めていると、夜明け前に最後のイベントが発生する。
関連動画
関連項目
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