ポケットモンスター(無印)とは、日本のアニメ番組「ポケットモンスター」のシリーズの一つである。
概要
1997年4月1日から2002年11月14日までテレビ東京系列で放送された。言わずと知れたアニメ「ポケットモンスター」シリーズの初代シリーズである。「無印」という呼称は、公式には使われていないが、他シリーズとの区別をつけるために、便宜上この呼び方が一般に浸透している。
元々は1年間4クール放送予定のアニメとして始まったが、ポケモンというコンテンツの人気、アニメ自体の人気上昇に伴い、長期アニメとして放送される事になった。当初はゲーム本編のカントー地方を題材とした全77話の「カントー編」を放送し、その後は一時「ポケットモンスター金・銀」までの繋ぎとしてオリジナルストーリーの「オレンジ諸島編」を36話放送、更にジョウト地方を題材とした「金・銀編」を62話放送した。アニメシリーズの中で唯一、ゲーム版の世代が変わってもアニメ版のタイトルが変更されなかったシリーズでもある。
ゲームの設定を軸としながらも、主人公が初めて連れていくポケモンがボールに入らないピカチュウであったり、ニャースが喋るなど、アニメ独自の設定、印象的なキャラクターの脚色等が存在したのが人気の秘訣だと言える。ロケット団のムサシ・コジロウ・ニャース役の声優陣が、アドリブで「やな感じ~!」という名台詞を創り出したのは有名な話である(このセリフはBWで使われなかった時期を除き、最新作、XYまで受け継がれている)。
兎にも角にも、ゲームが既に先行していたものの、このアニメ版「ポケットモンスター(無印)」の放送開始によって、1997年当時に物凄い勢いで全国的に知名度・人気を一気に押し上げたポケモンは、単なるゲームソフトではなくキャラクターコンテンツとしての価値を異常なほどに拡大していったことでも知られていて、当時を知る人間からはしばしば「ポケモンバブル」 などと呼ばれる。それを如実に表す例として、当時このアニメの提供元だった企業がポケモングッズを販売したところ、いずれも業績が絶好調だったとされる。
その主な企業は、第一パン、アサヒコーポレーション(現:アサヒシューズ)、丸美屋など。いずれも子供向けテレビCMとしてはお馴染みの雑貨・食品を取り扱う会社だが、ポケモンパン、ポケモンシューズ、ポケモン茶漬けなどの各社の商品は跳ぶように売れたという。特に第一パンは、放送前の時点では他の同業者がポケモンに興味を示さず(というのも、当初内定していたヤマザキパンが後述の事件で降板したというのもあるが)、転がり込んできたような権利だったにもかかわらず、放送開始後のあまりの売り上げの好調さに会社経営が立て直ったとまで言われるほどであった。また、筆頭スポンサーだったトミー(現:タカラトミー)は、それまでは社長の考えからキャラクター商品にあまり力を入れてこなかったが、第一パンと同様に同業者が興味を示さなかったことで商品化権を獲得、おもちゃやぬいぐるみなどを複数販売して当時業界2位だったタカラ(現:タカラトミー)を売り上げで抜き、2000年代中盤に入って同社を事実上吸収合併するほどに成長した。他にも小学館を初めとした書籍など、ポケモンの関連商品は子供向け市場に溢れ帰り、ありとあらゆる物がポケモンを模す様はまさにバブルの様相を呈していた。その勢いはエポック社やタカラなど女児層のキャラクター商戦にまで影響を与える程であったという。
これらの1997年当時起こった現象は紛れもなく本作の影響であり、特に本作の演出によって、今や第二のマリオと言っても差し障り無いピカチュウ人気を児童層に確立させたことも大きなポイントであると言えるだろう。
そして放送から半年ほど経ち人気絶頂な上クリスマスを控えていた1997年12月16日、ポケモン史上最大の事件とされる「ポケモンショック」が起き、放送が一時休止となった(詳しいことは当該記事を参照)。この事件によって本作は一時期レンタルビデオ店でも取り扱いを一斉自粛するなどという異例の事態にまで発展したが、翌年の1998年4月16日に約3ヶ月間という期間を経て放送が再開された。
だが、人気絶頂にある中での本作の放送休止は、放送再開を求めるメインターゲットの視聴者からの関心をむしろ増大させる結果となったとも言われ、1998年4月の再開直後から高視聴率を記録した。
その上他方では、この年からポケモンセンターが4月に東京日本橋(現在は池袋へ移転)、11月に大阪で相次いでオープンし大盛況となり、映画『ミュウツーの逆襲』が公開され記録的な興行収入を獲得、それに合わせて全日空(ANN)がポケモンジェットの運航を開始する等、益々各方面でのポケモン人気は増大していった。この為、放送休止後はむしろ人気をより各個たるものにしたと言われている。
作風
シリーズ構成の首藤剛志氏はコラム等において「人間が闘犬を使役するようにポケモンを扱い、ただ勝負に一喜一憂する内容にはしたくなかった」という趣旨の発言を残しており、その影響か初期の本作においてはポケモンと人が出来る限り平等な立場や目線で描かれ尊重し合うというシーンが強調され、これが現在でも作品構成上の土台となっているとされている。
ナツメ戦やエリカ戦などのようにバトルではない特殊な方法でジムバッジをゲットする内容があるほか、第31話「ディグダがいっぱい!」等のように、人にゲットされているポケモンが、善良なトレーナーよりも野生のポケモンの意思を尊重して、ボールから出る事を拒否するといったシーンがある。また企画当初は「デジモンアドベンチャー」のように、ポケモンが全員喋る案もあったようだが没になったとされている。また映画『ミュウツーの逆襲』には「ポケモンの反乱」というテーマが内在しており、これも首藤氏によれば当初の構想案の一部だともしている。
これらアニメ版におけるポケモンの演出は、ややもすると原作に対するアンチテーゼとも取れる要素であるが、シリーズが長期化する中で次第にゲーフリ側と設定の共有が行われ(映画『ルギア爆誕』など)、現在の形になったと言われている。
主な登場人物
キャラクター | 担当声優 | 概要 |
サトシ | 松本梨香 | 全シリーズを通しての主人公。無印で初めてポケモンマスターになるための旅に出る。初期は小生意気で単純な性格だった。常人とは思えないほどの身体能力の持ち主である。タイプ:ワイルド。ポケモンリーグ・セキエイ大会ではベスト16、ジョウトリーグ・シロガネ大会ではベスト8。 |
ピカチュウ | 大谷育江 | サトシの相棒。サトシの手持ちの中では、唯一全シリーズを通して登場している。サトシと同じく、初期は小生意気な性格だったが、徐々にサトシとの距離を縮めていった。毎回のごとくロケット団に狙われたり捕まったりしている。 |
タケシ | 上田祐司 | ニビジムリーダーとして登場。ジムリーダーとしてサトシとバトルした後、サトシとの旅に同行することになる。綺麗なお姉さんに目がなく、ちょくちょくナンパをしている。そのたびカスミに突っ込まれている。 |
カスミ | 飯塚雅弓 | 無印のヒロインにしてハナダジムリーダー。サトシに自転車を奪われ、さらに自転車を壊されたことで、サトシに弁償を求めるうちに旅に同行するようになる。 |
ムサシ | 林原めぐみ | 悪の組織ロケット団のしたっぱ女性団員。物語が始まった当初は幹部昇進待ったなしと言われていたが、サトシに出会って以降、ピカチュウゲットに躍起になり、もはやしたっぱの地位は揺るがないものになっている。 |
コジロウ | 三木眞一郎 | 同じくロケット団のしたっぱ団員。実家は金持ちだが、家出をしている。 |
ニャース | 犬山犬子 | 人間の言葉を話せるが、言葉を覚えるために力を使い果たしてしまったため進化したり新たな技を覚えることができない。使える技はみだれひっかきのみ。 |
主題歌
話数 | 曲名 | 歌手 | 備考 | |
1 | 1-81 | めざせポケモンマスター | サトシ(松本梨香) | 「ポケモンの曲」といえばこの曲を思い浮かべる人が多いだろう。アニポケの曲で唯一ミリオンセラーを達成している。 |
2 | 82-117 | ライバル! | サトシ(松本梨香) | 「バトルしようぜ!」のセリフから始まる。子供と大人では、曲を聴いた時の印象が若干異なるだろう。どこか懐かしい曲である。 |
3 | 118-192 | OK! | サトシ(松本梨香) | 夢中になること、諦めないこと、仲間の大切さを教えてくれる曲である。ところで、サトシの自慢の技「むこうみず」はいつになったら実装されるのだろう・・・。 |
4 | 193-239 | めざせポケモンマスター | Whiteberry | |
5 | 240-275 | Ready Go! | 田村直美 | 無印最後のOP。無印のOPの中で、サトシが歌ったことのない曲はこれだけである。前向きな曲だが、なんとなく寂しさを感じる曲である。 |
話数 | 曲名 | 歌手 | 備考 | |
1 | 1-27 | ひゃくごじゅういち | オーキド博士(石塚運昇) | |
2 | 28-37、64-69 | ニャースのうた | ニャース(犬山犬子) | |
3 | 38-52 | ポケットにファンタジー | さち&じゅり | |
4 | 53-63、105 | ポケモン音頭 | ガルーラ小林 | 歌っているのは誰あろう、ラスボス小林幸子である。 |
5 | 70-104 | タイプ:ワイルド | サトシ(松本梨香) | 全シリーズのEDの中で、唯一サトシが歌った曲である。後のシリーズでも挿入歌として使用されており、物語を盛り上げている。ポケモン神曲としての呼び声も高い。 |
6 | 106-117 | ラプラスに乗って | カスミ(飯塚雅弓)・ラプラス(愛河里花子) | |
7 | 118-142 | ニャースのパーティ | ニャース(犬山犬子) | |
8 | 143-152、164-173 | ポケモンはらはらリレー | 愛河里花子 | |
9 | 153-157 | ポケモンはらはら2リレー(むずかし版) | 愛河里花子 | |
10 | 158-163 | タケシのパラダイス | タケシ(上田祐司) | PTA団体からクレームが来て、6話で放送中止になった伝説の曲。タケシというキャラクターの特徴を余すところなく伝える曲となっている。 |
11 | 174-192 | ぼくのベストフレンドへ | 岩崎宏美 | |
12 | 193-239 | 前向きロケット団! | ロケット団(ムサシ、コジロウ、ニャース) | |
13 | 240-275 | ポケッターリ モンスターリ | 可名 |
ロケット団の口上
なんだかんだと聞かれたら
答えてあげるが夜の情け
世界の破壊を防ぐため
ラブリーチャーミーな敵役
ムサシ!
コジロウ!
ニャーんてニャ!
関連動画
関連項目
親記事
子記事
兄弟記事
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