半熟英雄(ハンジュクヒーロー)とは、スクウェア(現スクウェア・エニックス)が製作したリアルタイムシミュレーションRPG、またはその作品系列の名前である。
概要
『永遠の半熟野郎』トキータこと時田貴司が繰り出す、いい意味で『かたゆでたまご』じゃあないSLGである。他にこんなゲームは無いであろう。
第1作は1988年のFC版『半熟英雄』。家庭用ゲーム機としては初となるリアルタイムシミュレーションRPGであった。こちらは現在Wiiのバーチャルコンソールで配信中(500円)。
ゲーム中の表現が非常に独特で、物語は全編を通して舞台劇の形で進行する。その内容はギャグやパロディが随所に散りばめられたコメディ物で、ゲームやマンガなどの有名どころから取ってきていたり、ただのダジャレだったりする。自社パロディも多く、特にファイナルファンタジーシリーズとはアイデアを与えたり貰ったりの関係にある。第3作以降では、スクエニ合併に絡めたエニックスネタも多く出されるようになった。
第1作の頃からコメディタッチが見られたものの、本格的にストーリーやモンスターにギャグが入ったのは第2作『ああ、世界よ半熟なれ…!!』であり、SFCの名作のひとつとして評価を確立した。その後はしばらくなりを潜めていたが、10年以上のブランクの後第3作『半熟英雄 対 3D』がPS2で登場。全体的なシステムやギャグ描写には批判も大きかったが、そのまま路線を継続しシステム上の欠点を克服した第4作『半熟英雄4 〜7人の半熟英雄〜』を発売している。
ちなみに第3作と第4作のOPアニメの原画は故・金田伊功氏の手によるものであり、ギャグ志向の強い本作と非常にマッチした金田パース&金田ビームが炸裂しまくって作画厨たちを狂喜乱舞させたとかなんとか。
なお、シナリオでのシリアスな部分などにおいて「人間の欲望」といった要素が散見される。
これはディレクターの時田貴司が開発に携わった『ファイナルファンタジーIV』や『LIVE A LIVE』 にも見受けられる。
ゲームシステム
作品によってシステムに違いはあるものの、基本的には以下のようになっている。
- システム
- 一つの章の中に、物語を進行させる舞台劇のパートと敵と戦う戦闘のパートがある。最終的に戦闘パートでそのステージのボスを倒すとステージクリアとなり、次の章に進むことができる。すべての章をクリアするとエンディングである。
- 舞台劇…というか学芸会
- 上述のように舞台劇をモチーフにしており、画面上部が舞台、画面下部を客席として、さまざまな登場人物たちが舞台上で物語を繰り広げていく。当然?盛り上がるにつれてガヤも入る。また、観客席にいる人はすべて兵士の格好をしている。
- 戦闘概略
- 戦闘パート開始直後のマップ上には一つの自軍の城といくつかの敵城が存在している。敵城に自将軍を送り込んでその城にいる敵将軍を全て倒すと城を制圧することができる。全ての城を制圧するとそのステージを支配するボスが登場し、そのボスを倒すとクリアとなる。
- 月イチコマンド
- ゲームはリアルタイムで進んでおり、何もしていなくても勝手に作中の時間が進んでいく。そこで1ヶ月が経つと「月イチコマンド」が発生する。月イチコマンドでは、将軍の募集や兵士の補充、たまごの回復、築城(所有している城の機能拡張)などが出来る。
- たまご
- 将軍はそれぞれ“たまご”と呼ばれるアイテムを持っている(持っていない者もいる)。戦闘中にたまごを使用するとエッグモンスター(以下エグモン)と呼ばれる強力な助っ人を召喚することができる。しかし、たまごには回数制限があり、使用するたびに登場するモンスターは弱くなる。エグモンが敗れるか、使用回数を超えるとたまごは壊れてしまう。1作目は回復条件がやや特殊であり、特定の城を落とす必要があった(携帯アプリ版では月イチメニューで行えるようになった)。
たまごにはいくつか種類があり、種類によって登場するエグモンは異なる(エラベルエッグ、スロットエッグ、スーパーエッグなど)。1作目のみたまごに種類は設けられていない。2作目からは、『キン肉マン』の超人や『ロックマン』シリーズのボス敵のごとく、ユーザーからのエグモンのアイデア公募が行われることが恒例となっている。
ちなみに、このたまご召喚システムがファイナルファンタジーシリーズに逆輸入されて召喚士が生まれたのは有名な話…かもしれない。 - 切り札
- それぞれの将軍にはたまごのほかに切り札と呼ばれるアイテムを持たせることができる。その効果は切り札によって異なるが、相手にダメージを与えるものが多い。2作目は威力が高すぎてバランスブレイカーとなっていた。3作目では直接ダメージよりも味方支援の効果が強くなり入手条件も厳しくなったが、4作目である程度緩和された。
- あたし
- 2作目より登場。たまごの修理を担当し、一部のイベントやモンスターとしても登場していた。3作目からはメインヒロイン(?)カトリイネに昇格。月1コマンドの内政コマンドで壊れたたまごの蘇生を行ったり、将軍としても使えるようになったり、物語に色々な意味で絡んでくるなど大きく取り上げられた。
半熟シリーズ
- 半熟英雄(FC 1988年12月2日発売 5800円)
- 半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!(SFC 1992年12月19日発売 9500円)
- 半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!(ワンダースワンカラー 2002年2月14日発売 5200円)
- 半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!(Android/iOS 2017年10月19日配信)
- 半熟英雄 対 3D(PS2 2003年6月26日発売 6800円)
- 第3作。10年ぶりとなる半熟英雄の続編、それもナンバリングタイトルをいきなりPS2に移した上に時田氏が全国を回って宣伝したということで大きな話題となり、期待と不安の混じる中発売された。結果良くも悪くも『半熟じゃねえか!』と言われている。
- ただしグラフィックは色々な意味できれいになり、一部キャラやボスはCVが流れるようになった。一説によるとこの頃発売したFFXでスクエニの脂が乗りきっていたからとか何とか。こずえ鈴のナレーションがたまらない。
- 上述のように金田伊功によるバリバリの金田流アニメが炸裂しささきいさおが濃く熱唱するOP、当然のようににょほほんBGMを提供するノビヨ、祝いの席の海老一染之助・染太郎兄弟や鉄拳など、豪華な顔ぶれが揃った。
- SFCと違い雑魚はたまごを使わなくなったが、ボスが非常に強くなり、エグモンを使わなければほぼ逆無双される。将軍が3タイプに分けられ、特徴が追加された。このためたまご持ち将軍の価値がより高くなった。
- 内政が絵によるコマンド選択になっている。たまごの修理が内政で可能になった。またゲームオーバーが数種用意され、特にあたしが死ぬと時期によってゲームオーバーイベントが変化する。
- 同じエグモンを呼び出し続けるとレベルアップし一部のエグモンは更に新しい技を覚えたりする要素が追加された。ただし、作品恒例としてエッグマンはしょぼく、また育つとかえって弱くなるエグモンもいる。
- チョコボを始め、シばぁ、ラムぅといったFFネタ、でんぶ、スザックなどのサガ四聖獣ネタ、ライブアライブのオディオなどの自社ネタが多数登場し、SFCやWS版から続投したエグモンやファン投稿エグモンが多数現れた。
特に将軍名はFFやらLoMやらフロントミッションやらクロノトリガーやらベイグラントストーリーやらFF:Uやら幅広くネタが採られており、中にはスタッフ名をもじったものも存在する。 - お笑い芸人の鉄拳が中ボス「鉄拳大公」として登場する。本人はこれをFFXの世界だと思い込んでいたらしい。
ちなみに、エグモンの声優には鉄拳関係か桜塚やっくんなどオフィス☆怪人社出身の芸人が多数担当している。
- エッグモンスターHERO(NDS 2005年3月24日発売 5040円)
- 半熟英雄4 〜7人の半熟英雄〜(PS2 2005年5月26日発売 7140円)
第2作とそのリメイク版ではすぎやまこういちが音楽を手がけ、その他は植松伸夫が中心となって音楽を担当している。
(第4作では、その他に伊藤賢治、関戸剛などの当時のスクウェア作曲陣が製作した音楽が収録されている)
なぜ第2作だけすぎやま氏が担当したかというと、すぎやま氏が第1作のファンで、2作目を作ってほしいとスクウェアに直談判したからだと言われている。そのことから『すぎやま無くして半熟英雄無し』と言われるとか言われないとか。一応植松も効果音を手伝ったが、それは屋台のゲンさんのチャルメラだった。
ちなみに、すぎやま・植松両氏ともゲーム中に実際に登場している。登場するとサウンドテストモードに入って、いろいろな曲を聴くことができる。
半熟英雄の関連動画
第1作(FC版)
第2作(SFC・WSC版)
半熟英雄 対 3D
半熟英雄4
CM
関連項目
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