固有結界とは、TYPE-MOON作品に登場する用語である。
「リアリティ・マーブル」とも呼ばれるが、作中では基本的に「こゆうけっかい」と読む。
概要
術者の心象風景をカタチにし、現実に侵食させて形成する結界。
世界と繋がり自然を変貌させる「空想具現化(マーブル・ファンタズム)」の亜種であり、
展開すると、結界内の世界法則を、結界独自のモノに書き替えたり、捻じ曲げたり、塗り潰すことができる。
元々は悪魔と呼ばれる存在が持つ異界常識のことだったが、現在では多くのモノが持つに至った独自の結界を指している。
術者の意のままに自然を変貌させることが出来る空想具現化と異なり、固有結界は術者の一つの内面を具現化させるため、結界の心象風景・能力を術者の意志で固定化させることはできない。代わりに空想具現化のように自然だけでなく、結界内部のあらゆるものを結界内のルールの影響下におく。
どちらも似て非なるが、自由自在のようで制限のある異界創造法である。
その性質上、固有結界は術者個人個人で特性が全く違うことが基本だが、例外もある。
ちなみにとらブル花札でのイリヤによると固有結界は継承可能らしい。
本来は悪魔や精霊のみが操れる異能であったが、長い年月の中で「個人の心象世界を形作る」魔術が完成し、現在では一部の上位存在が固有結界形成を可能としている。
“魔法”に最も近い魔術であり、魔術師の到達点の一つとされるが、魔術協会では禁呪に定められている。
一部の強力な吸血鬼(死徒)は魔術ではなく能力として固有結界を使う事が可能であり、死徒二十七祖の大半は固有結界を持つらしい。
自然の延長である精霊以外が固有結界を形成した場合、世界そのものが法則をねじ曲げられた異界を潰しにかかるため、維持には莫大なエネルギーが必要になる。展開・維持できる時間は個人では数分程度、強力な吸血種であっても数時間程度が限度とされている。
固有結界の一覧
獣王の巣
術者:ネロ・カオス
死徒二十七祖の第十位、ネロ・カオスの固有結界。彼の肉体そのものでもある。
固有結界を肉体内部に展開することで、世界の修正を逃れて固有結界の永続的な使用を可能にしている。この固有結界内には666の生命の因子が渦巻いており、既に個ではなく群体であり「混沌」そのもの。
犬やカラスは当たり前。熊や虎、象、果ては地面を泳ぐ鮫まで出てくるから驚きだ。あと鹿。
さらには蟹のような何かとかトカゲの様な何かといった幻想種まで内包する様はまさに「歩く動物園」。
ガクガク動物ランド。
中身を放出し分身として操ることができるが、本人にも何が出てくるか分からない。
出した獣は普通に殺しても混沌に戻るだけで、ネロの肉体(固有結界)に戻せば蘇生し再び命となる。
加えてネロそのものも既に混沌であるため身体を真っ二つにされようと死なないしこの固有結界は解けないため、666の命を全て同時に滅ぼさないといけないという、けったいな耐久力を誇る。
オーバーロード(過負荷)
死徒二十七祖の番外位、ロアの固有結界。
魔力の過供給を行い、使用する魔術全てを能力が倍化した「スクウェア」状態にする、らしい。
月姫本編中で使用されることは無く、第2回人気投票で名称が公開された。
第4回にて「さつきルートにおける魔術を使う真ロア」が使うことが明かされた。
後述の枯渇庭園の能力的にかませ犬になるのが目に見える気がするが忘れてやろう。
MELTY BLOOD Actress Againで魔術を使うロアとして参戦した際に、ラストアーク「空洞航路・十七転生」にてこの固有結界を自身の使う魔術「数秘文(ゲマトリア)」と併用して使っている模様。
枯渇庭園
術者:弓塚さつき
ロアに吸血され死徒化したことで才能を開花させた弓塚さつきの固有結界。
展開した空間の魔力を急速に減少させ、枯渇させる。減少させた魔力は消滅し、さつきに還元されるわけではない。
魔術を使うために魔力が必要な魔術師や、生存に魔力が必要な精霊などには天敵とも言えるほど劇的な地形効果をもたらす。
反面、世界から切り離されつつある生物、例えば大気の魔力(マナ)をあまり使わない人間などには効果は薄い。
月姫本編中で使用されることは無く、幻のさつきルートにて解禁される予定だったが、一足先にMELTYBLOOD Re.actにて弓塚さつきのラストアークとして登場。
公式作品で固有結界が登場する前に、公式BBSにてどのような固有結界なのか正解を出したファンがいたため、奈須きのこが「秘密にしておいて欲しい」と発言したことがあった。
タタリ
死徒二十七祖の第十三位だったズェピア・エルトナム・オベローンが、自身の消滅後に発生するように成立させた現象の一端である固有結界。
かつて世界に霧散した吸血鬼ズェピアの霊子が、特定の条件が揃った特定の地域に収束することで発生し、 「カタチを周囲の人間の心のカタチにする」という能力を有する。
この固有結界がカタチにする「タタリ」は、固有結界を生む現象の一端として、特定のコミュニティ内に流れる噂や不安を煽り一つの明確な共通認識へと育てあげた噂、あるいは実在した(している)モノへの不安や恐れのいずれか。
そうして”不吉な像”として決定されたモノに宿り、それが実在しないモノならば具現化して、実在するなら取り憑き不安や恐れの通りの姿や状態にさせてタタリを起こす。
そのため固有結界でありながらカタチが一定でなく、毎回異なるという特徴を持つ。
ただしタタリはズェピアの嗜好により内容に問わず「発生させた特定地域の人間を殺し尽くす」という行動原理を持つ。
上記とは別に、稀にタタリが決定する前に相性の良い人間に取り憑こともある。この場合取り憑かれた人間はタタリの恩恵を受け、その人間の出来うる可能性の延長なら大抵思い通りに事が運ぶようになる。
元々の術者は固有結界であるタタリそのもの、あるいはその俗称であるワラキアの夜だが、ワラキアの夜/タタリに吸血されたシオン・エルトナム・アトラシアが死徒化した吸血鬼シオンがタタリの後継になりその力の一端を使用したり、タタリから生み出された新たなタタリ、オシリスの砂がタタリを用いて、とある目的のために使用したりと、「継承」らしき行為も確認されている。
千年城ブリュンスタッド
アルクェイドが空想具現化で創り上げた、固有結界であるお城。
アルクェイドは人生の大半をこのお城で過ごしている。
アルクェイドのオリジナルではなく、過去において最も力があった真祖が空想具現化によって創り上げたもの。アルクェイドが現れる以前は六百年廃墟となっていたとされる。
初代城主は既に消滅しているが、以後は千年城を形成できる真祖が王族として「ブリュンスタッド」の姓(実質は称号)が付けられる。
能力は不明だが、アルクェイドに成ったタタリ曰く、「ここは私の世界。自らを縛るアルクェイド・ブリュンスタッドが何の気兼ねもなく力を行使できる所」とのこと。
ブリュンスタッド姓を持つアルクェイドの姉、アルトルージュ・ブリュンスタッドも千年城を形成できると思われるが詳細不明。
初代城主に該当しそうな真祖は「朱い月のブリュンスタッド」しかいそうにないが詳細不明。
この城は真祖たちにとっての「故郷」とされるが、朱い月のブリュンスタッドがこの世に残した「自らを内在させた真祖という種を生み出す」という固有結界との関連性も不明。
ネバーモア
死徒二十七祖の第十六位、ブラックモアの魔術にして固有結界。
詳細は不明だが死徒に対してのみ強力な力を持ち、『宙を覆う死羽の天幕、月も星も飲み込む絶対無明の“死の世界”』とされる。本人曰く「気をつけたまえ。我が夜に舞う鳥たちは、死者にのみ厳しいぞ」。
先代十六位は100を超える吸血鬼で構成された派閥だったのだが、ブラックモアにこの固有結界で襲撃された結果、城には傷一つ付くこと無く皆殺しにされた。
パレード
死徒二十七祖の第八位、白騎士ヴラドの固有結界。
「幽霊船団」という単語と、ヴラドがそのキャプテンであることのみ公開されているが詳細は不明。
かつて二十七祖のヴァン=フェムが所有する七大ゴーレムのひとつ、第五城「マトリ」を攻め落としている。
無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)
術者:エミヤ、無銘、衛宮士郎、平行世界の衛宮士郎(美遊の兄)
『無限の剣製』の記事も参照。
視認したあらゆる“剣”を解析・複製・貯蔵する、錬鉄の固有結界。結界の起動・展開に詠唱を必要とする魔術であり、アーチャーにとっては宝具でもある。
基本的に白兵戦に用いられるものになるが、剣以外の武具も複製・貯蔵は可能。ただし神造兵器は複製できない。
心象世界は、無数の剣がさながら墓標の様に突き立っている「剣の丘」。 結界を起動させずとも投影魔術として結界内の武具を作り出せる。
アーチャーと衛宮士郎の結界では、展開の呪文や心象風景、貯蔵してある武具の内容に違いはあるが基本的に同じ能力。 もっとも士郎はゲーム開始時点では固有結界に命名するどころか自分の特性にも気づいておらず、 まともな修行では固有結界の展開のための基本にすら10年はかかる「まだ可能性があるだけ」という状態。
無限の道場(タイガー魔方陣)
ネタなのかマジなのかよくわからん固有結界。たぶんネタ。
この結界内で行われる戦闘行為はすべて花札で行われるようになる、のだが…花札での決着に不満を持った英雄王にかき消されそうになっていたりするあたり、さすがのイロモノ結界も無敵ではない模様。
なお、結界の発動と維持に必要なコストは「みかん1個」である。
夢のマジカル星
カレイドステッキに宿る人工天然精霊マジカルルビーが放つマジカルビームを浴びると連れてかれるカレイドステッキの内面。
草木一本無い荒野に巨大なカレイドステッキが降臨しているという、異常で殺風景なマジカルルビーの心象世界。
どう考えても悪夢です。本当にありがとうございました。士郎曰く「ひどいもんである。固有結界のたたき売りなのである」。
Serial Phantasm(シリアル ファンタズム)
Fate/EXTRAの舞台を形作る結界。通称『SE.RA.PH(セラフ)』。
あらゆるものが霊子、端的に言えば『霊魂』で構築された、第三の宇宙。
結界の風景は地球上のような風景、海中のような風景。
作中では固有結界、電脳空間などと呼ばれている。
太古から地球を記録している月が人間の精神を記録するために作り、招待しているのではと作中で語られている。
この結界の中で聖杯戦争が行われるのだが、人間数百人の魂の収容、サーヴァント百人以上の具現化、学校、教会、決闘場への鍵があるアリーナ、マスターが戦うための決闘場などの施設がありとてつもない規模である。
聖杯戦争参加者の改ざん行為が頻繁にあり、進行役でさえルール追加を行うなど結界内は多彩に変化する。
これらは人間を観察するための変化だと思われる。
以下サーヴァントの宝具・スキルとしての固有結界。
- 王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)
術者:イスカンダル - 誰かの為の物語(ナーサリー・ライム)
名無しの森
術者:ナーサリー・ライム - 紅蓮の聖女(ラ・ピュセル)
術者:ジャンヌ・ダルク - 王冠:叡智の光(ゴーレム・ケテルマルクト)
術者:アヴィケブロン - 光輝の大複合神殿(ラムセウム・テンティリス)
術者:オジマンディアス - 第六天魔王波旬
術者:織田信長 - 絢爛なりし灰燼世界(ディメンジョン・オブ・スチーム)
術者:チャールズ・バベッジ - 愛しき私の鉄戦車(チャリオット・マイ・ラブ)
術者:メイヴ - 戴冠の時来たれり、其は全てを始めるもの(アルス・パウリナ)
術者:ソロモン、ゲーティア - 無限の剣製(アンリミテッド・ロストワークス)
術者:エミヤ〔オルタ〕 - BBチャンネル出張版
術者:BB - 千夜一夜物語(アルフ・ライラ・ワ・ライラ)
術者:シェヘラザード - 第六天魔王波旬〜夏盛〜(ノブナガ・THE・ロックンロール)
術者:織田信長(水着Ver) - 島原地獄絵巻
術者:妖術師・天草四郎 - 禁断なる狂宴(メタボ・ピグレッツ)
術者:キルケー - 無貌の月
術者:BB(水着Ver) - 巨影、生命の海より出ずる(アイラーヴァタ・キングサイズ)
術者:キングプロテア - 無元の剣製(ツムカリムラマサ)
術者:千子村正 - 枕草子・春曙抄(エモーショナルエンジン・フルドライブ)
術者:清少納言 - 鼠浄土
術者:大黒天 - 非霊長生存圏 ツングースカ・サンクチュアリ
術者:ビーストⅣ:L - 一期一会
術者:千利休
その他
固有結界とは異なるが似て非なるもの、固有結界とは明言されてないが似ている物などを挙げる。
水晶渓谷
術者:ORT
死徒二十七祖第五位であるORT、タイプ・マアキュリーの持つ特殊能力。侵食固有異界、侵食固有結界と称される。
世界法則を書き換える点では固有結界に似ているが、水晶渓谷は心象世界の具現化ではなく、異星からの来訪者であるORTがかつて住んでいた環境にORTが存在するだけで地球を変貌させるという、異界秩序ただ漏れな、異星風景の侵略にして侵食。
水晶渓谷の名の通り、ORT周辺は木々が結晶化したクリスタルの蜘蛛の巣のようになっている。
設定だけで詳細はあまり明らかになっていない能力だが、タイガーころしあむアッパーでアルテミット・ワンに会いに行ったネコアルクが、危うく美しいクリスタルの彫像にされかけたと語っている。
奉納殿六十四層
術者:荒耶宗蓮
荒耶が作り上げた異界「小川マンション」の結界名。固有結界を持たない彼が人工的に作った心情風景の具現といえるとされる。
表向きには「小川マンション」として通っており、マンションは彼の体であり、内部の体内に等しい。
荒耶はこの中でなら空間転移や空間圧縮といった魔法域の事象を可能とする。
固有時制御
特定空間を外界より切り離し、空間内の時間を意のままに操るという『時間操作』は固有結界の一種であり、大魔術に区分されるが、これを自身の肉体という極小規模な範囲に限定して結界を展開して行う切嗣の我流魔術。
肉体の時間流の停滞と加速を行えるが、術を解いた後には変動させた時間を世界が修正しようとする働きにより、加速や停滞に応じた負荷がかかる。
真夏の雪原
術者:白レン
タタリとも悪夢とも違う、雪原の世界。レンの心象世界とも言えるとされる。
この世界に含まれたものは主人であろうとレンに翻弄される。
詳細な能力は不明だが、この世界で白レンは人々を招き寄せたり、人の記憶から抽出した海の幸を鍋物の具として具現化させていた。
偽固有結界・ぐるぐる翡翠ワールド
MELTY BLOODにおける翡翠のラストアーク。
あまりの多さに伝説となった半月版の翡翠のセリフの誤字やその他の電波セリフが飛び交う謎技。相手のキー操作入力を反転させる。
以下サーヴァントの宝具・スキルとしての固有結界の類似品。
- 招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)
術者:ネロ・クラウディウス - 万古不易の迷宮(ケイオス・ラビュリントス)
術者:アステリオス - 穢れを漱げ、青く美しきナイル(スネフェル・イオテル・ナイル)
術者:ニトクリス - 宙駆ける星の穂先(ディアトレコーン・アステール・ロンケーイ)
術者:アキレウス - 白鷺城の百鬼八天堂様(はくろじょうのひゃっきはちてんどうさま)
術者:刑部姫
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