学天則(學天則)とは、1928年に西村眞琴によって製作された東洋初のロボットである。
概要
巨大な机とそこに座した人型の上半身が一体となった外観をしたロボット。
生物学者の西村眞琴(1883-1956)によって製作され、「天則に学ぶ」という意味を込めて「学天則」と名付けられた。天則は宇宙・自然界の法則、森羅万象の法則、自然科学といった全ての法則の意。
1928年に昭和天皇の即位を記念して京都で開催された大礼記念博覧会に大阪毎日新聞社から出品され、東洋初のロボットとして話題となった。
動力には圧縮空気が用いられ、ドラム式制御によって目、目蓋、頬、口、首、両腕、胸を動作させることができた。
学天則は大礼記念博覧会の後も国内各地の博覧会に出品され人気を博したが、ドイツに渡った記録を最後にオリジナルは行方不明となっている。
1992年に大阪市立科学館において学天則のレプリカが製作され展示されている。
外観と動作
人型の上半身と机を合わせた学天則本体の大きさは全高約3.5m、全幅約3.0mとなり、人型の上半身は金色の肌で頭には緑葉冠を戴いている。
学天則本体の頭上には全幅約10mの機械仕掛けの巨鳥「告暁鳥」が配置され、首を動作させ嘴から舌を出し鳴き声を上げた。告暁鳥が鳴くと紫色の光を放ち音楽が流れ始め、学天則は瞑想を始める。
学天則の左手には霊感灯と称されるワンドを持ち、告暁鳥が鳴き、瞑想の中でインスピレーションを得ると赤や緑の光を放ち首を振りながら右手に持った鏑矢のような長大なペンで文字を記す動作をする。
学天則下部の巨大な机の前面上部にはレリーフによって、中央に太陽を背景にした三本足の鴉、向かって右側に蛙と蛇、同左側に雉と百足が施され、その横に水と火を象徴する文様、両端には男女あるいは陰陽を表す♂と♀のシンボルと樹木の文様が施されている。前面の中央から下部には「學天則」(実際には右からの表記なので則天學)の文字が同様にレリーフで刻まれている。
当時の博覧会の様子と学天則、西村眞琴については、荒俣宏著の「大東亜科学綺譚」(ちくま文庫)に詳しく記されている。
学天則の登場するフィクションの作品
- 帝都物語(小説・映画・アニメ)・・・荒俣宏原作
昭和初期の史実の人物が多数登場する荒俣宏の(フィクションの)小説「帝都物語」及び同作を原作とする映画「帝都物語」では、帝都の地下において魔人加藤保憲の放った式神や鬼と戦う蒸気機関を動力とする人造人間学天則とそれを操る西村眞琴が描かれている。西村眞琴役は実の息子でありTV時代劇の水戸黄門等で有名な俳優の西村晃が演じた。 - 東方非想天則(ゲーム)・・・黄昏フロンティア、上海アリス幻樂団
作中に登場する巨大妖怪型自動操作人形「非想天則」の元ネタのひとつ。 - デビルサマナー 葛葉ライドウ対超力兵団、
デビルサマナー 葛葉ライドウ対アバドン王(ゲーム)・・・アトラス
作中に登場するからくり人形「逆天則」の元ネタ。葛葉ライドウ対アバドン王では西村眞琴をモデルにした西村博士というキャラクターも登場する。 - おきらく忍伝ハンゾー(漫画)・・・山中あきら
作中に登場する巨大カラクリ武者学天則シリーズのネーミングの元ネタ。 - 明日のナージャ(11話)(アニメ)・・・演出:細田守、脚本:ルージュ・ドゥ・ルーン(=大和屋暁)
作品に(11話のみ)大量の学天則が登場する。下部に自走機構+背中に動力を備えるため、帝都物語版が元ネタの可能性も。
その他
関連動画
関連商品
関連リンク
- 大阪市立科学館 プレスリリース
- 探検コム ロボットの歴史と人造人間「学天則」の誕生 ※当時の写真や文献などの詳しい資料があり。
関連項目
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