旭日帝国とは、アメリカ合衆国のエレクトロニック・アーツ社がリリースしたゲーム『レッドアラート(Red Alert3)』に登場するとてつもない日本である。作中では「Empires of Rising sun」と表記される。
概要
『レッドアラート3』から参戦した新勢力。元ネタは日本である。
ヨシロー天皇を頂点とした幕府制度の国で天皇への絶対的忠誠によって軍民一体を実現している。タツ皇子と3人の将軍が国防を担う。古い価値観を持っているが女性の将軍も存在しており、意外と柔軟な体制である事が窺える。作中で確認出来る領土は日本列島及びハワイ諸島のみと連合やソ連と比べるとミニマムだが、桁外れの技術力によって生み出された兵器群は他陣営に比肩するほどの性能を誇る。四方を海に囲まれた環境によるものか特に艦艇が強く、おかしな射程距離を持つショーグン級戦艦は後に弱体化パッチを当てられるほどだったが、それでも未だ強大である。強大な帝国軍ではあるが対空能力の低さが弱点となっている。精神攻撃を好むヨシロー天皇の方針により占領地には天皇の銅像や神社が建てられ、進攻作戦では敵のモニュメントを破壊する傾向がある。
旭日帝国ではロボット工学が発達しているらしく、ロボット兵器のキングオニを量産している他、スパイ用アンドロイドを製作してアメリカ合衆国の大統領アッカーマンとすり替え、情報収集を行った。またヨシロー天皇そっくりのアンドロイドを作って影武者としている。ショーグンエクスキューショナーという三位一体の巨大ロボット兵器まで完成させており、帝国軍の切り札として進攻作戦に投入されている。また超能力を持った女子高生ユリコの研究も並行して行われ、ロボット技術と超能力を融合させた兵器がある。
ヨシロー天皇は尊大だが庶民的な一面も持っており、盆栽や書道、武士道を嗜んでいる。盆栽の形が悲惨だったり、墨汁を付けずに文字を書こうとしたり、素人丸出しの刀の振り方だったりと問題が多い。
ソ連のキャンペーンにて皇居は富士山の麓に建てられている事が判明。敵の爆撃機が平然と侵入出来るほどザル警備だが、敷地内には防衛部隊の常駐とハリネズミの如く対空砲台が備えられていて、ソ連軍爆撃機が全機撃墜されている。また捕虜には寿司が出されるようだがロシア人の口には合わなかった模様。有事の際はヨシロー天皇自ら出陣し、専用機である赤いキングオニを駆って暴れ回る。
主要人物
- ヨシロー天皇(演:ジョージ・タケイ)
帝国の頂点に君臨する現人神。武士道や日本文化に精通しており、チャプターごとに趣味を披露する。敵の心を粉砕して屈服させる戦法を好み、敵国のモニュメントを破壊したり、ラジオ局を占領して全世界に降伏を迫ったりと心理面から攻める。物語後半でタツ皇子に全権を委譲するが、最後まで登場し続けた。ソ連キャンペーンでは赤色に塗装した専用のキングオニを保有している事が判明。通常のキングオニとは比較にならない火力と速度で暴れまわる。『uprising』では連合軍の急襲で行方不明に。公には死亡とされているため壱岐の島に墓所がある。
- タツ皇子
ヨシロー天皇の子。モンゴロイドの顔立ちである。古い考え方を持つ父親に内心疑念を抱きながらも、揺るがない忠誠心を持つ。ヨシロー天皇と違って目新しい物に興味を持っており、趣味は機械いじり。なんとアッカーマン大統領を模したアンドロイドを自作し、スパイとして送り込んでいる。北海道にロケットエンジェル養成所を開設したり、ショーグンエクスキューショナーの設計に携わったのも彼である。実は神武天皇の子孫である事がヨシロー天皇から明かされた。『uprising』では行方不明になったヨシロー天皇に代わり、帝国の実権を把握。進駐してきた連合軍の言いなりになっている。
- スキ・トヤマ
帝国軍の情報士官。彼女は10代に渡って皇家に仕え続けてきた由緒ある家系の出身。情報面でコマンダーを支援する。仕事を着々とこなす才女だが、たまに物騒な発言をする。何やらコマンダーに好意を持っている模様。
- シンゾー・ナガマ(演:ブルース・A・ロック)
帝国軍の将軍。三人いる将軍の中では最高齢。ヨシロー天皇に仕え続け、その実力の高さから「影の天皇」とまで称される。ヨシロー天皇同様、古い考えを持っている。東京にあるナガマ道場で新兵教育を担当している。出身地は三重県伊賀地方。
- ナオミ・シラダ
ショーグン級戦艦の艦上で生まれた冷酷無比な女性将軍。シラダ家は海軍軍人を輩出しており、またシラダ造船はショーグン級やナギナタ級の建造を担っている。人生の大半を艦上で過ごしており、その苛烈なやり方についていけないという声が多い。海軍軍人だけあって海上ユニットを好んで生産する。ケバい化粧から、ニコニコ動画では専らブス扱いである…。軍人として生きる彼女は、女の生き方を知らないのだろう。
- ケンジ・テンザイ(演:ジャック・J・ヤン)
帝国軍の若き将軍。自信家であり、帝国の技術の高さに絶対の自信を抱く。血気盛んな性格で、ソ連侵攻部隊の指揮を執っている。キングオニ等を製造しているテンザイ・ロボティクス(本社は大阪)は彼の資産である。敵に対しては口汚く、平然と罵倒を繰り返すが、味方には優しく語りかける。
- ユリコ・オメガ
帝国軍のヒーローユニット。超能力が扱える女子高生で、本名は松井ゆり子。和歌山県田辺市付近の出身。幼い頃から超能力が扱えたが、それゆえに迫害を受け続けてきた。そんな彼女に救いの手を差し伸べたのがヨシロー天皇であった。このためヨシロー天皇に絶対の忠誠を誓っている。本人は帝国軍の研究施設で眠っているが、クローニングされて戦場に投入されている。
- タカラ・サトー
後日談の「Up Rising」にのみ登場する女性将軍。連合軍の支配に反発し、岩手県宮古市を拠点に北日本で暴れ回る。元々はロケットエンジェルだった模様。
ユニット
高度に発達したテクノロジーから繰り出される、帝国の兵器群を一部紹介。
- 帝国兵
旭日帝国の歩兵。二式キネティックカービン銃(ビームマシンガン)を主兵装とする。特殊能力は万歳突撃であり、使用するとビームカタナを抜刀、敵兵を斬って大ダメージを与える。高速で移動できるので移動手段にも活用できる。敵兵が立てこもっている建物に万歳突撃させると、敵ユニット1体を確実に倒せる代わりに自身が犠牲となる。
- バーストドローン
偵察用のトンボ型ロボット。コストが安く、飛行して移動するので偵察任務に打ってつけ。また偽装している敵ユニットを見破る能力もある。しかし他勢力の偵察ユニットと比べると攻撃能力に乏しく、敵兵器に寄生して移動速度を下げるか自爆するかの二択しかない。帝国キャンペーンのオープニングでは、このバーストドローンの視点(?)で出撃準備中の帝国軍を見て回る事になる。ちなみに羽がソーラーパネルになっているため太陽光発電で動く模様。
- シノビ
帝国の影の歩兵たるニンジャ。台詞の端々から忠誠心の高さが窺える。対歩兵戦最強のユニットで、連合兵やソ連の熊をバッタバッタ倒す。ただし建物の占拠や車両への攻撃は出来ない。
- ロケットエンジェル
空を舞う女性兵士。ストライクウィッチーズかな?タツ皇子の考案で結成された背景がある。対地、対空をこなせるユニットで、対空性能に乏しい帝国軍を支える。「ダレニモマケネー!」「バカヤロー!」「ドコイクンダヨ?」と日本語を珍妙なアクセントで喋る。
- ジェットテング/メカテング
テンザイ・ロボティクス開発の戦闘機。人型(ジェット)と航空機型(メカ)に変形可能で、ビーム速射砲を装備している。1機1機の性能は低いが大量生産が可能なので数の暴力で攻めるタイプである。オープニングムービーでも凄まじい数のテングが編隊を組んで飛行している。
- ツナミ戦車
帝国軍の戦車。水陸両用のため陸地と水上を走破する。他勢力の戦車と比べると低耐久だが、特殊能力でナノマシンバリア(自動回復)を持っているので撃ち負ける事は少ない。オープニングムービーでは「大和軍團」の文字や般若の面が塗装されているのが見える。
- ストライカーVX
攻撃ヘリ。テング同様、人型と航空機型があり、それぞれ対空と対地が得意。テングと対をなす存在で同時運用するとかなりの利便性を誇る。陸地移動用の足がついており、人型時はこの足で歩く。
- シーウィング/スカイウィング
シラダ造船製の海中に潜れる戦闘機。潜水中は対空攻撃、滞空中は対潜と対地攻撃が可能。高速で移動でき、歩兵や車両も攻撃できる便利な機体。
- ショーグン級戦艦
帝国を代表する戦艦であり、シラダ造船のチート兵器。40cm砲を6門装備しており、驚異的な射程距離を誇る。画面外から撃っても敵に届くほどで敵施設の殲滅力は舌を巻くレベル。しかし動く目標には殆ど当てられないのが難点。また後のパッチで弱体化まで喰らったがそれでも強い。オープニングでは実弾を発射しているが、ゲーム中ではビーム砲である。
- ナギナタ級巡洋艦
帝国の海洋戦力で、中型の巡洋艦。ナギナタ級は対艦船能力に特化しており、海戦能力はいまいち低いショーグン級の弱点を穴埋めする。兵装はX式魚雷のみ。オープニングでは前部と後部に砲塔が確認できるが…。
劇中の活躍
生誕まで
連合との戦争に敗北しかけていたソ連は禁忌の手段に手を出す。それは、極秘開発されていたタイムマシンを使って過去へ飛び、連合軍に力を与える科学者アインシュタインを暗殺する事だった。1927年のブリュッセルに忍び込んだチェルデンコはテスラコイルを使い、アインシュタインを暗殺。現代に戻ると目論見どおり連合軍は弱体化。ソ連の優勢は揺るぎないものとなっていた。
しかし、過去を作り変えた代償はあまりにも大きかった……。
アインシュタインを暗殺した事により歴史が改変され、核兵器が存在しなくなった。その結果、原子爆弾の投下が無くなり、どこでどうなったのか日本が旭日帝国に変貌。全世界に宣戦布告してきたのである。ソ連の罪の象徴とも言うべき旭日帝国軍に背中を突かれた形となったソ連軍は、領土奥深くにまで入られてしまう。連合とソ連、そして旭日帝国の参戦。三つ巴の戦争が幕を開けたところから物語が始まる。
全世界に宣戦布告しただけに戦力もかなりの物で、オープニングムービーでは物量に任せた進撃を見せ付けている。変形ロボ、忍者、侍、女子高生と外国人が想像する典型的な要素が全て盛り込まれており、時折見せる変な日本語も手伝って、かなりシュールな勢力となっている。
作中では
ブシドーを信ずる帝国こそ世界を統べるべきだと考え、それこそが自分たちの天命と固く信じる。連合とソビエトに宣戦布告したあと敵国民を厭戦に導くため、モニュメントや記念碑の破壊を繰り返す。自分たちのテクノロジーに絶対の自信を持ち、敵対するソ連からも技術力の高さを認められている。しかし技術力だけでは勝てないとも考えており、勝利には「勇気、名誉、自己犠牲の精神」が必要としている。
帝国のキャンペーンでは、まずソ連軍と対決。敵国に攻め込み、施設やモニュメントを破壊する。時には超兵器ショーグンエクスキューショナーを投入し、敵将モスクヴィンやクルコフ将軍の部隊を散々に打ちのめした事も。帝国の快進撃を前に劣勢を強いられたソ連は、連合と一時休戦。共通の敵である旭日帝国を撃破するため、共同戦線を張った。さっそく連合軍は太平洋方面に艦隊を派遣し、何故か帝国領になっているハワイを攻め始めた。
太平洋側から連合軍の奇襲を受けた帝国は、重要拠点のハワイを死守するため海軍とプレイヤー司令官を派遣。敵部隊を退ける事に成功するが、ハワイへの攻撃は陽動だった。連合軍の真の狙いは本土強襲。海上要塞「玄武」を最終防衛ラインに定め、連合軍を迎え撃つ。しかし連合軍の攻勢を受け、玄武は機能を喪失。絶体絶命の危機に陥るが、プレイヤー司令官の介入によって復旧。敵部隊も撃退し、事なきを得る。
太平洋から連合軍を一掃した帝国は、反撃に出る。玄武を前面に押し出し、アメリカの西海岸に上陸。守備隊を蹴散らしてサンタモニカの放送施設を占拠。ヨシロー天皇が全世界に降伏を呼びかけた。
順調に戦局が推移する中、ここで思わぬ真実が明かされる。タツ皇子が製作したアッカーマン大統領型アンドロイドを通じて、旭日帝国がソ連の気まぐれで誕生した事実が突きつけられたのである。ショックを受けたヨシロー天皇は取り乱し、回線を引っこ抜いてアンドロイドをお釈迦にしてしまった。だが感傷に浸る時間は与えられず、傍受した通信からソ連と連合が特別編制の部隊を準備している事が判明。ヨシロー天皇はタツ皇子に懐刀を譲渡して全権を委ね、以降はタツ皇子が軍の指揮を執るように。
連合軍は切り札のワープ兵器を使用し、横浜港へ殴りこみをかけてきた。中継局を作って広域通信を妨害し、帝国軍の連携を封じつつ上陸作戦を開始。帝国兵を排除して港と前哨基地を占拠した。帝都の喉元にナイフを向けられるという厳しい戦況に立たされるも、帝国側も切り札ユリコオメガ2体を投入。さらにキングオニとシノビの増援が間に合った事で少しずつ形勢を逆転させ、連合軍に奪われた前哨基地を奪還。東京湾に侵入していた敵艦隊を撃滅して連合軍を追い詰めるが、クルコフ将軍率いるソ連軍が襲来。一方、帝国軍にも増援のナノコアが到着。激戦へと発展する。苦戦のすえ連合とソ連の拠点は破壊され、かろうじて上陸部隊の殲滅に成功した。
攻勢に出られなくなった敵軍にトドメを刺すべく、手始めにモスクワへ侵攻。ショーグンエクスキューショナーまで投入し、全ての元凶となったタイムマシンもろともソ連軍部隊を粉砕。旭日帝国の存在を確たるものにした。同時に敵司令官も倒し、ソ連は崩壊した。生き残った連合軍部隊はアムステルダムに集結。抵抗を続けていたが、侵攻してきた帝国軍と交戦し壊滅。この戦闘を以って連合軍も崩壊し、世界は帝国の旗の下に統一される事になった。
後日談の「Up Rising」では、連合軍に敗北し国土を占領された事になっている。横浜港強襲の際に帝国の主要メンバーが死亡し、ヨシロー天皇が行方不明になったため敗北したという。しかし連合の占領に反対する旧勢力が各地で暴れているため、連合の軍門に下ったタツ皇子とともに抵抗勢力の指揮官を逮捕する事になる。指揮官を全て逮捕すると、タツ皇子が本性を表す。逮捕した指揮官を集め、帝国を復権させるため連合軍に牙を剥く。
余談だが、ソ連や連合では身内同士の醜い争いがあるが、旭日帝国のみ仲間割れするシナリオが無い。結束力の高さが窺える。
玄武
旭日帝国が保有する海上機動要塞。非常に巨大な要塞で、多数の航空機やツナミ戦車を格納可能。まさに移動する前線基地であり、海域そのものを制圧できる帝国の守護神。また異常に射程距離が長い三連装ビーム砲台を装備している。二基のエネルギーコアから電力をまかなっているが、何故か甲板上に露出しており、作中では連合軍の破壊工作で沈黙してしまう脆さを露呈した。
帝国キャンペーンではステージ5、6に登場。ハワイの防衛線を突破されたため、最後の砦として連合軍の前に立ちふさがる。しかし連合軍の破壊工作を受け、沈黙。プレイヤー司令官の任務は玄武の復旧から始まる。エネルギーコアを始動させると玄武も復旧。ビーム砲で支援してくれるようになる。ステージ6ではアメリカ西海岸まで出張。座礁の心配など何処吹く風、ビームが届くほど沿岸に接近している。
連合キャンペーンではステージ5に登場。いつのまにか北海に出現し、海上封鎖。連合とソビエトの海軍を拘束していた。何で封鎖されるまで気づかなかったのかは永遠に謎。
関連項目
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- 0pt