2020年夏季オリンピックの開催地選考とは、2020年夏季オリンピックの開催地の立候補から決定までの経緯である。
立候補
2011年5月16日、IOCが選考スケジュールを発表。今回の選考からは事前調査の関係で事前にIOCに立候補を希望する文書を提出することが義務づけられており、7月29日までに提出するとされた。9月1日に立候補申請が締め切られ、以下の6都市が立候補した。
なお、南アフリカでも立候補する動きがあったが、候補都市が決まらず断念している。その後、11月に説明会が行われた後に、2012年2月15日までに開催計画の概要を示した文書を提出することとなった。しかし、ローマはイタリアが財政危機に陥ったことからオリンピックの開催を断念したため、5都市が最終的に立候補したことになる。
1次選考
前回までは1次選考は11項目ごとの最高点・最低点を記載し、総合平均点で選考していたが、今回の1次選考では以下の14項目ごとの最高点および最低点を決め、総合平均点を出さずにそれぞれの都市のメリット・デメリットを記載することになった。
- 競技会場・会場配置
- 選手村
- 国際放送センター・メインプレスセンター
- 過去の国際大会開催実績
- 環境・気象
- 宿泊施設
- 交通・輸送計画
- 医療・ドーピング対策
- 治安・警備計画
- 通信
- エネルギー
- 通関・入国管理
- 政府・世論の支持
- 財政・マーケティング
これにより、選考が行われた結果、ドーハは1次選考を通過するとみられていたが、10月開催による観客およびテレビ視聴者の減少が考えられること、大会予算が多すぎること、気象条件が悪いこと、また公式な理由ではないが、ムスリムでは障がい者がスポーツをすることに否定的な意見が根強いことにより、パラリンピックを開催することが困難であることにより、選出されなかった。また、バクーは財政が悪いにもかかわらず、会場の建設費が高額となること、宿泊施設が少ないなどの数多くの問題点があったことから同じく選出されなかった。
これにより、選出されたのは以下の3都市である。
なお、マドリード、東京は多くの項目で最高点が高かったが、イスタンブールもそこまで低いと言うわけでもなかった。なお、残った3都市で指摘されている問題点は以下の通りである。
評価報告書
選出された3都市は2012年に開催されたロンドンオリンピック・ロンドンパラリンピックでPR活動を行った後、2013年1月7日に詳細な開催計画を提出、1月8日から本格的に招致活動をスタートさせた。3月にはそれぞれの都市をIOCの評価委員会が現地視察している。
その結果、まとめられた評価報告書による評価点と懸念点は以下の通り。
なお、評価報告書に書かれたこと以外に、イスタンブールは反政府デモが発生し、東京は全日本柔道連盟によるセクハラ問題、原発事故による放射性物質拡散問題が一部から不安視されている。
IOC総会
7月3日・7月4日にスイスのローザンヌにてプレゼンテーションが行われ、9月7日にアルゼンチンのブエノスアイレスにて第125次IOC総会が開かれ、最後のプレゼンテーションが行われた。そして、ついにオリンピック開催都市を決める投票が始まったのである。
第1回・第2回投票
当初、IOCにヨーロッパ諸国の委員が多くいることから、マドリードが有力候補とされていた。しかし、実際に蓋を開けてみると、東京が1位通過し、マドリードとイスタンブールが同票と言う結果となった。しかし、東京の票数が過半数を超えていないため、東京で決定とはならず、マドリードとイスタンブールで落選都市を決めることになった。この結果、まさかのマドリード落選となり、東京VSイスタンブールの一騎打ちとなった。なお、マドリードはこれにより3回連続でオリンピックの開催地選考から漏れたことになる。
票数は以下の通り。
決戦投票
第2回投票終了後、決戦投票が行われた。すぐには発表されず、日本時間9月8日午前5時に開催されるセレモニーで発表することになった。午前5時20分頃、セレモニーにて、IOCのジャック・ロゲ会長によって開催都市は東京であると発表され、開催都市は東京に決定した。
票数は以下の通り。
東京は「圧勝」であり、原発問題などの様々な問題はプレゼンテーションの効果によって、不安視されなくなったようである。一方、イスタンブールは反政府デモおよびシリア内戦の問題の懸念を拭うことはできなかったようである。また、2014年に開催するソチオリンピックや2016年に開催するリオデジャネイロオリンピックは、施設建設やインフラ整備が遅れており、同じことを繰り返すのを嫌がったIOCが計画が予定通り進むことが確実な東京を選んだとも言える。
関連項目
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