DPCM(Differential Pulse Code Modulation、差分パルス符号変調)とは、
1952年、アメリカの科学者カシウス・C・カトラー(1914-2002)によって考案された音声圧縮方式の一つである。
概要
無圧縮PCM(リニアPCM)では1サンプルの表現に量子化ビット数と同等の情報量が要求されるが、
音声波形は振幅の変化に乏しく、隣り合ったサンプル同士の差分を表すのに必要な量子化ビット数は、
ほとんどの場合元のデータの量子化ビット数と比べて小さくなる。
その特徴を音声圧縮に利用したのがDPCMである。
DPCMでは、まず1サンプル目の振幅を記録しておき、1,2サンプル目、2,3サンプル目……の差分を
元のデータよりも低い量子化ビット数で順次記録、といった手順によって波形を表現する。
利用例
DPCMが採用されている音源や規格は以下の通り。
DPCMの「D」
「D」が表す単語については、現状2通りの解釈が存在している。
ネット上では「Delta PCM」という表記が散見されるものの、カシウスが発表した論文の名称は
『Differential Quantization of Communication Signals』(通信信号の差分量子化)であり、
それに伴って本来の表記は「Differential PCM」となるはずなのだが、
実質「Delta」が広く用いられているのはDM(Delta Modulation、デルタ変調)という語が混在したものと思われる。
また、数学における「Differential」「Delta」は、共に微分と関係する英単語で、
「Delta PCM」という記法も意味的には筋の通った表現と言える。
専門用語としてどちらが正しいのかは不明。
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関連項目
参考文献・ページ
- カシウス・C・カトラー『通信信号の差分量子化』(ベル研究所、1952年)
原文: Differential Quantization of Sommunication Signals(英文、要アカウント)
http://www.freepatentsonline.com/2605361.html - 『シャープ技報』 No.10 特集:ディジタル放送 - ディジタル放送の実現と今後の展開
http://www.sharp.co.jp/corporate/rd/journal-78/13-1.htm
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