「〜」とは、日本語の記号である。読み方は「波ダッシュ(なみだっしゅ)」という。
意味・用法
以下のような様々な意味合い・用法で使われる。
期間や範囲などを示す
「○○」と「××」の間に「○○〜××」と入ることで、「○○から××まで」と言う意味を表す。「朝8時〜夜9時」と記して「朝8時から夜9時まで」という意味になるなど。
声に出して読みあげる場合にも「あさはちじからよるくじ」といったように、「〜」部分を「から」と読むことが多い。また、「あさはちじ、よるくじ」とわずかに間をおくことで表現することも多い。
副題を示す
例えば、「街 〜運命の交差点〜」などと記すと、「街」がメインタイトルであり「運命の交差点」が副題であることを示せる。
こういった場合では、「〜」の部分を声に出して読むことはない。「まち、うんめいのこうさてん」と言ったように、わずかに間を置くことが多いと思われる。
「不特定の何か」を示す
例えば、「〜なら仕方ない」と記すと、「なら仕方ない」の前に様々な言葉が入ることができる、という事を示す。
「〜」の部分を声に出す場合には「ホニャララ」とか「ナントカ」とか読むこともある。
「省略」を示す
長い言葉のうち、省略したい部分を「〜」で代用してしまう事がある。
「伸ばす音」を示す
いわゆる長音符号である「ー」の代わりに使われることがある。
「ー」より打ち解けた気軽な印象を、あるいはおどけたような印象を与える表現である。
出し方
Macintoshなどでは日本語入力モード時にキーボード上で「Shift」と「^」を同時押しすることで、簡単に「〜」(波ダッシュ)が表示できたりするようだ。
だが、Windowsでは上記のMacintoshと同様の操作をしてもまず最初に「~」(全角チルダ。同じ見た目だが別の文字)が表示されてしまうのである。よってWindowsでこの「〜」(波ダッシュ)を出すには下記のような一手間が必要である。
Windowsで「から」とか「~」(全角チルダ)を入力してから変換すると、変換候補の最初の方には「~」(全角チルダ)が出てくる。そして変換候補の後半には「〜」(波ダッシュ)が一応出てくれる。変換候補の中から「〜」(波ダッシュ)をがんばって探そう。
また、「なみだっしゅ」と入力して変換すると比較的簡単に出せる場合もあるようだ。
どうしてもうまく出せない場合は、この記事の冒頭の「〜」からコピーするとよい。
「~」(全角チルダ)との関わり
「〜」(波ダッシュ)は、「~」(全角チルダ)と非常によく似た形の文字である。環境にもよるが、全く違いの無い完全に同じ形で表示されることも珍しくはない。
そのため、上記のような用法で「〜」(波ダッシュ)を使いたいとき、代わりに「~」(全角チルダ)を使うことは非常に多い。というより、「〜」(波ダッシュ)が使われるよりも「~」(全角チルダ)が使われているケースの方が多い。
「~」(チルダ)は元々は発音用記号であり、日本語の記号ではない。よって、日本語の文章で上記のような用法で使う場合は「〜」(波ダッシュ)を使うのが本来は正当なはずである。それなのになぜ逆転してしまっているのか?
その原因・理由としては、下記のような経緯がある。
- 発端は、文字コード「Unicode」の検討グループのミス。日本語の記号に不慣れだったらしく、日本語の記号「〜」(波ダッシュ)を策定してサンプル字形を定める際に、「左側が下がって右側が上がっている」という、誤った鏡映しの形で採用してしまった。
そして、誰も「修正しよう」と言い出すことなく、「〜」(波ダッシュ)のサンプル字形は誤った形のまま長年放置されていた(2014年にGoogle日本語入力の中の人が修正提案を出したらあっさり提案が通過し、2015年にやっと訂正された)。 - この誤りは多くの会社で気づいて日本語フォント適用の際に自主的に訂正していたが、Microsoft社は同社のOS「Windows」において、その基本フォント(MS明朝やMSゴシック)での「〜」(波ダッシュ)に、このUnicodeの誤ったサンプル字形に忠実な「左側が下がって右側が上がった」形を適用していた。
つまり、「〜」(波ダッシュ)を使うとWindowsでは誤った字形が表示されてしまう……という時期が長く続いた(これは「Windows XP」まで続いた。「Windows Vista」でやっと修正された)。 - この誤表示問題に気付いたMicrosoft社は、誤って表示される「〜」(波ダッシュ)を極力入力させず、代わりに「~」(全角チルダ)を使わせようとする方針で動いた。IMEでの変換の仕様や、文字コードShift_JISとUnicodeの対応などで独自路線を走ったのである。
ややこしい話なので詳しくは割愛するが、特に文字コード対応問題については、「〜(波ダッシュ)を使うと、異なる環境どうしでファイルをやり取りした時に文字化けを引き起こす」という厄介な問題となって後に尾を引いた。
こうして、「〜」(波ダッシュ)は、「Windowsでは入力しにくい上に、環境によっては誤った形に表示されたり、文字化けの原因になったりする厄介な文字」になってしまったのである。
そのため、本来「〜」(波ダッシュ)を使うべきところでも「~」(全角チルダ)が使われる事が多いという逆転現象が起きている。
niconicoで起きる、「〜」(波ダッシュ)と「~」(全角チルダ)による問題
動画検索
2019年1月13日時点で、ニコニコ動画の検索機能では、「〜」(波ダッシュ)と「~」(全角チルダ)を別の文字として認識している。
例を挙げると、「さまぁ〜ず」(この「〜」は波ダッシュ)でタグ検索した結果(2019年1月13日現在、46件ヒット)と、「さまぁ~ず」(この「~」は全角チルダ)でタグ検索した結果(同じく、385件ヒット)は全く食い違ってしまっている。
つまり片方のタグしかついていない動画は、もう片方のタグ検索では見つける事が出来ないのだ。
キーワード検索でも同様であり、「さまぁ~ず」(全角チルダ)という文字列しか使われていない動画は、「さまぁ〜ず」(波ダッシュ)でのキーワード検索では見つける事が出来ない。
ニコニコ大百科
2019年1月13日時点で、ニコニコ大百科では仕様上、「~」(全角チルダ)を記事名に使うことはできない。「~」(全角チルダ)が記事名に入った記事を作ろうとすると、自動的に「〜」(波ダッシュ)に変更してしまうのである。
「さまぁ~ず」の記事は記事名に「~」(全角チルダ)が使われているように見える。しかしこれは単なる「表示用記事名」である。本当の記事名の「〜」(波ダッシュ)をもっと一般的に使われる「~」(全角チルダ)に見せかけだけ変更しているだけであって、この記事のURLアドレスに表示されている「実際の記事名」では「〜」(波ダッシュ)である。
そして、動画に付けられているタグとニコニコ大百科の記事を紐づける機能において、この2つの記号の相互変換の対応は下記のように不完全、かつ、非常にややこしいものとなっている(2019年1月13日現在のところ)。
表示用記事名を、実際の記事名そのままとした場合
2019年1月13日現在の例で言えば「自演動画の歴史(0〜1000万時代)」の記事は、実際の記事名も表示用記事名にも「〜」(波ダッシュ)が使われている。
「自演動画の歴史(0〜1000万時代)」(波ダッシュ)でタグ検索すると、検索結果ページ上部にちゃんと大百科記事の冒頭部分が表示される。
しかし「自演動画の歴史(0~1000万時代)」(全角チルダ)でタグ検索すると、本来大百科記事冒頭部分が表示されるはずだった場所には
と、「記事がまだ存在しない」という誤った内容のアナウンスが表示されてしまう。
また動画閲覧ページでも、「自演動画の歴史(0〜1000万時代)」(波ダッシュ)のタグの横には記事が存在していることを示す「赤い大百科アイコン」が表示されるのだが、「自演動画の歴史(0~1000万時代)」(全角チルダ)のタグの横には、「赤い大百科アイコン」ではなく、記事が存在していないことを示すグレーのアイコンが表示されてしまう。
ちなみにやや奇妙なことに、このグレーのアイコンをクリックしてからの動作は「表示用記事名」と「実際の記事名」の双方で判定を行っているようであり、ちゃんと「自演動画の歴史(0〜1000万時代)」(波ダッシュ)の記事に飛ぶことはできる。
表示用記事名で、「〜」(波ダッシュ)を「~」(全角チルダ)に置換した場合
では、「さまぁ~ず」の記事のように、実際の記事名は「さまぁ〜ず」(波ダッシュ)だが表示用記事名は「さまぁ~ず」(全角チルダ)にするという工夫をした場合はどうだろうか?
しかし、これだけでもやはりうまくいかない。
例えば、表示用記事名である「さまぁ~ず」(全角チルダ)でタグ検索をすると、検索結果ページ上部に大百科記事の冒頭部分が表示される。
一方、実際の記事名の「さまぁ〜ず」(波ダッシュ)でタグ検索をすると、本来大百科記事冒頭部分が表示されるはずだった場所には
と、「記事がまだ存在しない」という誤った内容のアナウンスが表示されてしまう。
また動画閲覧ページでも、表示用記事名である「さまぁ~ず」(全角チルダ)のタグの横には記事が存在していることを示す「赤い大百科アイコン」が表示されるのだが、「さまぁ〜ず」(波ダッシュ)のタグの横には、「赤い大百科アイコン」ではなく、記事が存在していないことを示すグレーのアイコンが表示されてしまう。このグレーのアイコンからでも記事に飛べるという点も「自演動画の歴史(0〜1000万時代)」の場合と同じ。
要するに、実際の記事名の「〜」(波ダッシュ)を表示用記事名にて「~」(全角チルダ)に置換したとしても、挙動がそのまま「〜」(波ダッシュ)と「~」(全角チルダ)で入れ替わるだけとなってしまうわけだ。
まとめ
以上のことから、2019年1月13日現在時点においては、タグ検索した際の検索結果ページでの記事冒頭表示、および動画タグの横のアイコン表示の際、表示用記事名のみを参照しているらしいことがわかる。
つまり、「〜」(波ダッシュ)を使ったタグの場合は「〜」(波ダッシュ)を表示用記事名に使った記事しか参照しておらず、逆に「~」(全角チルダ)を使ったタグの場合も「~」(全角チルダ)を表示用記事名に使った記事しか参照していないのだ。
対応策としては、「本来の記事は表示用記事名を「~」(全角チルダ)に変更したりせずに「〜」(波ダッシュ)のままにしておき、その上で「〜」(波ダッシュ)の代わりに「~」(この「~」は半角チルダ)を使った記事をもう一つ作ってそちらは本来の記事へのリダイレクトに設定しておく」という方法が考えられる。
「~」(半角チルダ)は「~」(全角チルダ)と違ってニコニコ大百科の実際の記事名としても使用可能である。
ニコニコ動画では、タグからの大百科記事リンク生成判定において「~」(半角チルダ)は「~」(全角チルダ)と同一視されている。
よって上記の対応策を採れば、「〜」(波ダッシュ)を使ったタグはそのまま本来の「〜」(波ダッシュ)を使った記事を参照し、「~」(全角チルダ)を使ったタグは「~」(半角チルダ)の記事を一旦参照するものの結局リダイレクト先である本来の記事を参照するため、どちらのタグにも対応可能となるのである。
だが、この対応策においては、本来の記事の表示用記事名を「~」(全角チルダ)にすることができない。それをしてしまうと、「〜」(波ダッシュ)を使ったタグの参照する先が無くなってしまうためだ。ということは、仮に公式表記が「~」(全角チルダ)である言葉の単語記事を作る場合であっても、表示用記事名にその正式表記が使用できないことになってしまうのだ。エレガントな解決策とは言い難い。
仕様変更前の内容(歴史的記述のため、閲覧不要)
ちなみにこのニコニコ大百科記事の初版作成時、2015年時点では、ニコニコ動画は「表示用記事名がどうなっていようと、実際の記事名である「〜」(波ダッシュ)で大百科記事を参照する」という動作をしていた。
そのため、上記の対応策のうち「本来の記事の表示用記事名を「~」(全角チルダ)にしてはいけない」という縛りもなかった。表示用記事名がどうなっていようが実際の記事名は「〜」(波ダッシュ)なのだから、そちらが参照されるためである。
しかし不明な時点で、2019年1月13日現在の「表示用記事名のみを参照」する形式への仕様変更があったようだ。
関連項目
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