こと座単語

コトザ

1.7千文字の記事

掲示板へ

記事編集

こと座 Lyra
略符	Lyr
象徴	the Lyre
起源	古代　プトレマイオス
概略位置	赤経：19 赤緯：+40
正中日時	8月14日 21時
広さ	286平方度(52位)
3.0等以上の恒星数	1
最輝星	ベガ(0.03等)
メシエ天体数	2
隣接する星座	りゅう座ヘルクレス座こぎつね座はくちょう座

こと座とは、トレミーの48星座の一つ。

竪琴をモチーフにした、北天に位置する小さな星座である。

概要

α 星は1等星のベガ。七夕の織姫星としてよく知られている。
自壊寸前の速度で高速自転しているほか、惑星系を形成しつつあることが判明している。

このベガとはくちょう座のデネブ、わし座のアルタイルの3つの1等星は夏の大三角形を形成している。

ベガの脇に、竪琴の本体を形作る平行四辺形の星の並びがあるが、3～4等とやや暗めである。

主な天体

恒星

α：ベガ(Vega)
- こと座の1等星。1万3千年後には北極星となる。
  「飛ぶ鷲」という意味のアルタイルに対し、「墜ちる鷲」と呼ばれていたのが語源である。
β：シェリアク(Sheliak)
- 3等の青色輝巨星で、名前はアラビア語の琴から。
  食変光星で、「こと座β 型変光星」のプロトタイプ。
γ：スラファト(Sulafat)
- 3等星の巨星。β、γが四辺形の底辺となる。
  語源はアラビア語の亀。これは亀の甲羅に弦を張って琴を作ったことに由来する。
ε：ダブル・ダブル・スター(Double Double Star)
- ε¹とε²からなる2重星で、さらにそれぞれが2重星なので「ダブル・ダブル・スター」と呼ばれる。

データ

名称		視等級	絶対等級	距離(光年)	スペクトル型	変光星型	変光幅	備考
α	ベガ	0.03	0.604	25.03	A0V	脈動変光星たて座 δ 型	ごく僅か	高速自転惑星系?
γ	スラファト	3.25	-3.20	634	B9III			青色巨星
β	シェリアク	3.52	-3.64	881	B7Ve/A8Vp	食変光星こと座β 型	3.4～4.6	青色輝巨星連星系
δ²	こと座δ²星	4.22	-2.98	898	M4 IIvar
ζ¹	こと座ζ¹星	4.34	0.97	154	Am
ε²	こと座ε²星	4.59	1.13	160	A8Vn			2重星
ε¹	こと座ε¹星	4.67	1.19	162	F1V			2重星

星団・星雲・銀河

天の川にある星座なので、多くの星団と星雲が存在する。

M56 球状星団
M57 惑星状星雲
- リング状の特徴的な姿から、「環状星雲」「リング星雲」「ドーナツ星雲」などと呼ばれる。

その他

WISE PA J182831.08+265037.8
- 太陽系から約36.5光年の距離にあると考えられている褐色矮星。スペクトルは表面温度が600K以下のY型。
  現在見つかっている中で最も低温の褐色矮星で、その表面温度は約300K(25℃程度)。

神話

非常に古い星図にはハゲタカとする記載がある。はくちょう座、アルタイルとともに、ヘラクレス(ヘルクレス座)の12の冒険の6番目の冒険で殺された鳥とされる。

「こと座」とされるようになってから『カタステリスモイ』が語る神話は次の通り。

発明の神ヘルメースがライアー(竪琴)を発明し、アポローンが譲り受けて弾いていた。この琴は後にアポローンの息子オルペウスの物となり、オルペウスは有名な音楽家になった。
やがてオルペウスは妻エウリュディケーを娶ったが、ヘビに噛まれすぐに死んでしまった。悲しんだオルペウスは冥神ハーデースのところへ行き、琴を弾きながら妻を戻してくれるよう頼んだ。ハーデースは琴の音色が美しかったためこれを許可したが、「冥界から抜け出すまで決して後ろを振り返ってはならない」という条件をつけた。
帰る途中、もう少しで冥界から抜け出すというところで不安に駆られ、後ろについてくる妻の方へ振り返ってしまった。これによって妻は冥界に戻されてしまい、二度と会うことが出来なくなった。
この世で生きる理由を失ったオルペウスは、ついに川に身を投げて死んでしまった。その後、川を流れていた琴を拾ったゼウスは、これを天にあげて星座にした。