この世界の片隅に単語

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この世界の片隅に』とは、こうの史代による漫画作品である。

概要

この世界の片隅に
基本情報
作者 こうの史代
出版社 双葉社
掲載 漫画アクション
掲載期間 2007年1月23日号 - 2009年2月3日
巻数 全3巻
漫画・アニメテンプレート

太平洋戦争しさを増す昭和19年18歳で故郷の広島から20km離れた軍港都市の北ぐことになった少女すず。物資不足に悩まされながらも、工夫をこらしながら新しい場所で日々暮らしていくすずと、すずの夫・周作をはじめとする北を中心に、すずを取り巻く人達の日常を描いた作品。

こうの史代の代表作であり、2009年には第13回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門優秀賞を受賞している。執筆にあたっては、戦争で失われた広島風景や、今や多くの人が体験したことのない戦時中の生活について綿密なリサーチが行われ、その再現が試みられている。

双葉社漫画アクション』にて、2007年1月23日号から2009年2月3日号まで連載された。これに先立ち、同誌で2006年2月から翌2007年1月にかけてすずの幼少期を描いた3編の読切短編「記憶」「大潮の頃」「波のうさぎ」が発表されている。

単行本は2008年1月から2009年4月にかけて、双葉社アクションコミックスより上中下巻の3巻構成で刊行。読切3編はプロローグとして上巻に同時収録されている。また後述のドラマ化を記念して、2011年に新装版が刊行された。こちらはB6判の前後編2巻構成となっている。

2011年8月日本テレビ系列2018年7月TBS系列ドラマ化された。2016年には片渕須直監督により劇場アニメーションが開されている。

メディア展開

TVドラマ(日テレ版)

2011年8月5日に「終戦記念ドラマスシャル」と銘打って日本テレビ系列で放映。

演に北川景子、また脚本を『ラブジェネレーション』『神様、もう少しだけ』『大奥』『ラストフレンズ』などで知られる浅野妙子が手がけた。

キャスト

劇場アニメーション

2016年片渕須直監督・脚本によりアニメ映画化される。2016年11月12日開。アニメーション制作MAPPA配給東京テアトル。

寡作で知られる片渕監督にとって、4作品監督作品にあたり、新作映画は『マイマイ新子と千年の魔法』以来実に7年ぶりとなる。原作者のこうの史代はもともと片渕監督の大ファンであり、監督から直々に映画化の申し出を受けたときには感したという。

2012年8月関係者のTwitterで制作発表exitがあり、広島県山口県を中心に告知ポスターが展開された。その後、告知前からを含めて4年の準備期間を経て、シナリオ絵コンテ完成。これを受けてクラウドファンディングが展開され(詳細後述)、映画作品としては記録的な3900万円以上を調達。6月3日製作委員会が発足、東京テアトル配給での映画制作が正式に決定した。

2015年7月クラウドファンディング支援者ミーティング東京会場にて第1段の特報映像が初開。YouTubeでも配信されたexitほか、ユーロスペースなどいくつかの劇場で上映された。また、支援者ミーティングの広島大阪会場では作品冒頭にあたる「記憶」の映像も上映された。2015年11月広島映画祭では続く「大潮の頃」も特別上映が行われている。

2016年8月5日劇場開日が11月12日に決定したことが発表される。8月23日には、演を女優の「のん」(元・奈)が務めること、楽曲をシンガーソングライターコトリンゴが手がけることが発表されるとともに、予告編映像が公開されたexit

2016年11月12日、全63館にて劇場開(順次拡大予定、累計100館以上での開が決定している)。開直後から反が相次ぎ、「ぴあ映画初日満足ランキング」「Filmarks初日満足ランキング」でともに1位を獲得、小規模な開ながら週末の行収入ランキングにおいても2週連続で10位にランクインした。劇場開と時を同じくして開催された広島映画2016ではヒロシ平和映画賞を受賞。第71回毎日映画コンクールでは、日本映画優秀賞、大信郎賞、音楽賞(コトリンゴ)の3部門を受賞。また、第41回報知映画賞の作品賞と監督賞にノミネート、第40回日本アカデミー賞では優秀アニメーション作品賞、優秀音楽賞(コトリンゴ)にノミネート、第26回東京スポーツ映画大賞では作品賞、女優賞にノミネートされている。

インターネットでの動画配信は2017年5月17日より開始し、Blu-rayDVD2017年9月15日に発売され初週合計5.7万枚の売上を記録している。

Animatsu Entertainmentにより、英など世界14カでの配給も決定している。英題は "In This Corner of the World"。なお先だって開された海外向けのトレーラーexitには、劇場開された本編ではカットされたシーンが含まれている。海外でも多数の映画祭のアニメーション部門、長編作品部門にノミネートされ、第41回アヌシーアニメーション映画祭では、長編部門審員賞を受賞している。

高い評価と大きな反を集めたことを受けて、2018年には約30分の新規映像を加えた別バージョンこの世界の(さらにいくつもの)片隅に』が制作中であることが発表された。追加された新規映像によって作品の一部の題も変わってくることから、別の題名が付けられたという。当初は2018年12月開予定とされていたが制作に時間を要したため、後に延期が決定。2019年12月20日開された。

キャスト

スタッフ

楽曲

以下、すべて歌唱はコトリンゴ

クラウドファンディング

2015年3月、4年の準備期間を経てシナリオ絵コンテ完成したことを受け、「この映画はみんなと一緒に作りたい」という片渕監督の思いの元、作品のプロデュース名乗りを上げたジェンコ太郎プロデューサーが提案した、近年様々なジャンル活用されているクラウドファンディングによって製作を調達するという、映画作品ではしい手法が取られた。

3月9日クラウドファンディングサイト「Makuake」上で開始された資調達(当該ページexit)は僅か9日後の3月18日標額2000万円を達成、5月末の締切時には3374人の支援者から3900万円をえる資が集まり、当時におけるクラウドファンディング過去最高人数、また当時の映画クラウドファンディングにおける最高額を更新した。なお、集まった資スタッフの確保、パイロットフィルム制作等にあてられた。

当初本格的な映画製作の為の資調達を的として作られる予定だったパイロットフィルムであったが、このクラウドファンディングの反を受け、配給を務める東京テアトル他複数社が出資に名乗りをあげ、締切直後の6月3日々に映画製作が決定されることとなる。

映画開後の2016年11月には上映が決まっている海外(同現在15か)の現地上映に片渕監督を送り、監督本人に世界の人々がどういった感想を抱いたか、日本へどういう感情を残すかを感じてもらうために2度クラウドファンディングが行われた。11月22日に始まった資調達(当該ページexit)はわずか8時間で標額の1080万円を達成。この事態に対し急遽支援額の上限を設ける、実行内容の強化を行うなどの対策が取られた。

映画作品としての特色

映画は非常に綿密な取材と時代考、および現地調査を下に製作されており、片渕監督の尋常ではない拘りが随所に著されている。

マンガ版は「正方形コマ」で描写される場面については、キチンと風景染むように左右を加筆するのは当たり前として、戦中当時の地図や現存する建物から当時の並みを限り再現(これには、当時の記憶を持つ人々への聞き込みも大きい)、写真も残っていない建物地図上の記述から当時の記録を頼りに新規に作成、さらに港に戦艦大和が登場する場面は、原作漫画の年に史実で大和が寄港した実績があるのか、そもそもその場面が時代として正しいのかどうかを底的に調し、原作になかった「日付」と「正確な」までも再現してみせたほか、劇中に訪れる重要事項ではから見えたであろうの大きさ形そのものまで計算して表現したという。

公開前後の反応と騒動

予告編が披露された2016年8月以降も、本作の宣伝はほとんど行われず、演の配役によって旧所属事務所による圧があったのではという説もある。(まともな特集で宣伝を行ったのは、自社で出資を行ったTBSラジオ及び芸能事務所の意向に左右され辛いNHK、出資者のひとつである朝日新聞をはじめとするメディアインターネットメディアなど限られた媒体で、キー局ではあまり大きな宣伝は成されなかった。)
これは大手スポンサーがあまり付いていなかったという事情で、事務所轢が関係な『君の名は。』の開前においても同じように大々的な宣伝はうたれていなかった。
その一方で、監督Twitterでの情報発信や、クラウドファンディングでつながった支援者や『マイマイ子と千年の魔法』から続くファンなどによるの根での宣伝が広く行われていたことも明記しておく。

本作の高い完成度に多くクリエーターが称賛し、開前の試写段階からSNSを起点に様々なネット媒体、メディアを通してファンからの絶賛のが広まっていった。
上映とはいえ初日スクリーン数は63館と小規模(特に都市部はミニシアターが多い)、大手映画会社や代理店が関わっておらず前宣伝も少なかったものの開後はネット上を中心に口コミが広まり、劇場によっては、全回満員で立ち見も出るほどの盛り上がりとなっている。
開二週間にはNHKクローズアップ現代プラスをはじめ、様々な民放ニュース番組で特集として本作が取り上げられている。

なお、余談ながらこの映画クラウドファンディングをさらに盛り上げたイベントのひとつである『マチ★アソビ』で、片淵監督による詳細なメイキングを交えたトークショー企画した徳島県では、元々上映できる映画館そのものが少ない事情(県内の映画館は2つのみ)もあるものの、上記の63館に入っておらず、県内初回上映が県下で最小規模の映画館において12月末に入ってからと大幅に遅れる形となっていた。

映画評論家町山智浩は前述の本作の扱いについて、各種メディアに対して旧所属事務所からの圧が(噂や単なる憶測といった陰謀論ではなく)に存在したことをにしており、彼によれば「『タブーなき』といわれる東京MXですが、大川プロデューサーが『この世界の片隅に』の"のん"こと能年玲奈を番組に出そうとしたんですが旧事務所から抗議があって断念しましたテレビの片隅のMXくんだりまでマメに圧ご苦労様です。」といているほか、安易なテレビ局の"自主規制"に対して「のんこ能年玲奈への旧事務所および音事協の放送メディアへの圧は「彼女を出演させるな」につきるので『この世界の片隅に』という作品そのものはいくら取り上げてもかまわないのに、テレビが全然扱わないのは単なるビビリの自主規制ですね。」と批判している。

このほか、投資山本一郎は「MXからは、東京テアトルから営業があり、映画の宣伝を依頼されるにあたり、能年玲奈の出演の件になったので、レプロ担当者と話し合いを持ち、契約問題についての事実関係を確認して、それであれば出演は問題が落ち着くまで見送るという結論になったと言っています。」と前述の町山のツイートに対しての事情を明かし、ジャーナリスト津田大介は「町山さんが言うようにまさにこれこそが「圧」では。「この進言は御社リスク回避のためです」って言えば、テレビ局側も「あくまでリスク回避のための自主規制であって圧に屈したわけじゃない」という形で面が立つ。でも、動いた当事者からすればそれは忖度の名を借りた「圧」と映るわけで。」とやはり各社の本作に対する取り扱いについて批判的に述べている。

TVドラマ(TBS版)

2018年7月15日 - 9月16日TBS系列日曜劇場で放映。ドラマオリジナル展開で2018年の現代を舞台にしたパートが描かれた。

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469 ななしのよっしん
2023/05/07(日) 08:54:37 ID: iOAXJfhDf2
映画見た後にドラマ版みたんだけど悪がひどい
まず現代パートいらんし、キャラクターの生死変してたりとかやりたい放題すぎる
映画で補されてなかった間とか背後関係とかをが整理されてるのはいいと思ったが、全体的ん駄な点が立つ
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470 ななしのよっしん
2023/08/11(金) 07:15:53 ID: Gbw8CLiBCR
戦時下であろうと、のほほんと平和に暮らしたい。そういう当たり前の感情が井にはあった
…そんな「当たり前」だろうが戦争は容赦なく消し飛ばす。この残酷な落差に然とした >アニメ感想

たぶん、綺麗なタッチ・牧歌的な雰囲気ゆえに恐ろしい展開はないと意識に思ってた節も自分にはあるが
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471 ななしのよっしん
2023/08/11(金) 17:38:30 ID: 2B2YInyaNy
正直今の基準だと充分リア充一家過ぎて全然反戦に見ないんだよね
独身のあぶれ者より、結婚相手をあてがわれる戦前社会の方が恵まれて見えるんだ
むしろ全滅して欲しかった
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472 ななしのよっしん
2023/08/11(金) 18:22:17 ID: 3c0ss1O558
>>471みたいな個体はどんな時代のどんな環境に放り込もうが幸せになれないんだよなあ
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473 ななしのよっしん
2023/08/13(日) 00:56:10 ID: Gbw8CLiBCR
>>471
冗談でもこういうこと言う人は軽蔑しますわ
まあこんなこと言えちゃう人がいるのも今日本が平和って拠でもあるんでしょうが、別の現在進行形クソヤバい戦争起きとるのだってご存知だろうにこんなこと言うんだ。引くよ
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474 ななしのよっしん
2023/09/23(土) 23:35:19 ID: i+U4TH3sXo
初見ではドキュメンタリーなのか反戦映画なのか中途半端な映画だなと思ったが、どこかで「これはのほほんと生きて自覚に軍国主義を肯定した人々を非難した反戦映画だ」という批評を見て全てが腑に落ちた。
義的過ぎるけど筋は通ってると思う。ぼーっと生きてると「この世界」の大きなうねりに巻き込まれるだけですよっていう。
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475 ななしのよっしん
2023/09/24(日) 00:09:21 ID: ugMBeWEIIu
人によって見方が変わってくる映画だと思う
恋愛映画にも見えるし家族映画にも見える時代絵巻にも見えるしドキュメンタリーにも見える
食べ物も美味そう庶民グルメ映画かw
ただその背景に常に戦争がある 軍国主義日常 相反する興味深いテーマ
しかし先時代から見た反戦を促す過剰な悲壮感や嫌悪を促す描き方をしなかった
ある意味あの時代の世界を描いた作品なんだと思う
世界悲壮感だけではできていない
ここからあの時代を調べ知る手がかりになるようなそんな切っ掛けをあたえてくれるような映画だと自分は思ってる

ゴールデンカムイが何漫画だよでネタにされてたけどそういうゴッチャ煮がトレンドで平成中期最後では新しかったとは覚えておきたい
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476 ななしのよっしん
2024/02/16(金) 00:26:25 ID: H3oDyave00
監督は「政治的な意図はない」としているんだけどね

朝鮮独立運動徴する太極旗が終戦後にはためいたのも闇台湾が売られていたのもその当時の庶民の人々の生活リアルでしかなく、
どちらかと言えばリアル追求した結果として必然的にこうなったような気がする。
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477 ななしのよっしん
2024/02/26(月) 13:53:17 ID: 2B2YInyaNy
新婚のイチラブ仲良し家族を見せつけられて冷静に観れなかった辛い思い出がある
むしろああいう他人の幸せを壊せるなら戦争賛成論になりそうだ
でも、戦時中こそ世渡りが不器用人間は損しそうな雰囲気があるから狂い切れない

原作のこうの絵は可くて好き
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478 ななしのよっしん
2024/04/09(火) 19:32:01 ID: 3c0ss1O558
お前幸せになれないのはお前の性根が腐ってるからであって、不器用だからではない。以上
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