概要
3月3日、桃の節句である雛祭りに雛壇を用意し、復数のひな人形を飾り付ける。
ちなみにひな祭りの歌(サトウハチロー「うれしいひなまつり」)では「お内裏さまとお雛様」となっているので勘違いされやすいが、最上段の男雛、女雛ともに内裏雛(だいりびな)であり、雛は全ての人形の総称である。
最近は核家族で家が狭くなったことから、内裏雛だけを並べることも少なくない。とはいえ、元々一般家庭では内裏雛と高砂雛、汐汲程度しか飾らず、ごく一部の上流階級だけのものだった七段飾りが一般家庭にまで広がったのは昭和四十年代のことなので、再び元の姿に戻っていっているだけとも言える。
「ひな祭りは女子の祝いなのに男の人形が多い」とよく言われるが、元々桃の節句は男女の区別なく祝っていたものなのだ。男女比に不満がある人は市松人形、日本人形、狆引き官女を足すと結構いい感じの男女比になるのでオススメ。
人形の種類
- 内裏雛(だいりびな)・・・一段目の人形。それぞれ天皇、皇后をあらわしていると言われている。関東と関西では男女の雛の配置が逆なのだが、本来はどっちが右とか左とかは決まっていなかった。明治時代に定められた。
- 三人官女(さんにんかんじょ)。・・・二段目の人形。宮中に仕える女官をあらわしている。中央だけ既婚者で両脇は未婚者。眉毛で区別する。普通の眉毛があるのが未婚者で、通常の眉毛を剃って麻呂眉を額の上の方に描いているのが既婚者。普通の眉毛と麻呂眉が同時に存在するのは本来は間違いだが、最近はこっちのパターンをよく見かける。
- 五人囃子(ごにんばやし)・・・三段目の人形。楽器を持つ雛。能のお囃子を奏でているとされる。ちなみに「囃子」とは武家の楽器奏者であり、公家の楽器奏者である「七楽人」(しちがくにん)、「五楽人」(ごがくにん)というバージョンも存在する。雛人形は五人囃子以外は公家の人間で構成されているので、公家で統一したい際はこちらがオススメ。
- 随身(ずいしん/ずいじん)・・・四段目の人形。膳と菱台を挟んで二人いる。現代でいうボディーガード。
- 衛士(えじ)/仕丁(しちょう)・・・五段目の人形。従者。三人いて、両脇に橘と桜が配置されている。スペースを省略したいときは四段目と五段目の人形以外の構成要素を省いて四段目に随身と仕丁の五体を配置することもある。
- 三歌人(さんかじん)・・・八段飾りの際に登壇する。柿本人麻呂、小野小町、菅原道真の三体で構成される。メーカーの宣伝文句からメーカーオリジナルの人形としばしば誤解されるが、江戸中期から明治までの約100年間雛人形として飾られることが多かった由緒ある人形である。一旦は廃れたものを昭和40年代に人形の久月がリバイバルしたものである。段としてはおおむね五人囃子の下、随身の上(つまり四段目)に配置されることが多い。内裏雛ほどではないが、他の人形よりちょっといい敷物のうえに座っていることが多い。八段飾り自体今日ではほとんど見かけず、かなりマイナーな存在である。ちなみに人形の久月は平成になってからこれに代わる「三賢女」なる人形を追加した段飾りも発売している。こちらは三歌人とは違い、特に由緒はない。
その他トリビア
- 雛祭りが終わっても雛人形を片付けないでいると結婚が遅れるという迷信が広く知られている。片付けぐらいちゃんと出来ないと嫁のもらい手が無いという戒めや、人形の保存をしっかりするためというのが理由であるよう。
- 元々は穢れを祓うための風習である流し雛と、人形あそびが結びついて生まれたもの。江戸時代に広く祝われるようになった。当時は等身大の雛人形なんてものまで作られたそうである。
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関連項目
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