「やきそば屋」。そのド直球な店舗名を知らずとも、札幌でそれなりの時を過ごした人ならこんな噂を聞いたことがあるかもしれない。
何がどうとんでもないのかと言うと……。
概要
とりあえず、店へ向かうところから説明していこう。「やきそば屋 大通り店」(大通ではなく「大通り」)は、札幌市中央区大通西4丁目、大通公園すぐ横の新大通ビル地下1階にある。地上からビルに入って階段を降りてもいいし、地下鉄大通駅3番出口から直結なのでそちらから上ってもいい。地下から入る場合、ビル入口の横にあるサンプルは見ておいたほうがいいかもしれない。
案内に従い昭和の雰囲気の残る通路を抜けると、食欲をそそる香りが漂ってくる。「安い、多い、旨い、早い」の文字が見えたら、そこが「やきそば屋」だ。
店に入る前に、券売機で食券を買おう。この時、なんだか物騒なワードが目に入るかもしれないが、はじめての方はとりあえず無理なく食べられそうな量(麺の玉数が書いてあるので安心)を選ぶといいだろう。お好みでトッピングメニューを追加するのもいい。
食券を買ったら店に入り、空いている席を見つけて食券をカウンターに置く。そうすると、空いているときは大体1分もしないうちに焼きそばが運ばれてくるのだが……。
皿に乗っているのは、白い麺と少しのキャベツ。そう、この店の出す焼きそばには味がついていない。そこで用意されているのが、豊富な種類のソース。特製ソースにカレーソース、醤油、ラー油、酢、マヨネーズ等々、客は好きに味付けできる。ソースをブレンドして、自分好みの味を探すのもまた一興だ。一気に全体を味付けしてもいいし、食べながら少しずつ、色々な味を試すのもいい。でも、常識を超えた量を使うのは控えましょう、怒られる前に……。
こういった味付けがセルフサービスの焼きそば屋は、ここだけではなく全国各地にいくつか存在することが確認されている。では、なぜ「やきそば屋」がここまでの話題性を持っているのか? それは「量」にある。
看板のメニューを見ると、「並(1玉)」「大盛り(1.5玉)」「ジャンボ(2玉)」とまあ、よくある感じで麺の量が増えていくのだが、「ウルトラ(4玉)」の次が「これでもくらえ(7玉)」である。ここで「!?」という反応を示す方も少なくないと思われるが、なんと更に「死んでもしらねぇ(9玉)」「信じられねぇ(12玉)」と上が存在する。上述のビル地下入口付近のサンプルでもこれらが再現されており、通行人の視線を日々集めている。
なお、「死んでもしらねぇ」と「信じられねぇ」は、食券ではなくカウンターで直接注文するシステムになっているが、これは「ホントにいいの? 知らないよ?」という最終確認の意味があると思われる。複数人で協力して食べることは禁止されているため、注文するのは本当に食べきる自信のある時だけにしよう。
ちなみに、2014年10月現在のお値段は、並が290円、ジャンボが390円、「信じられねぇ」でも1030円。大変リーズナブルである。
こんなふうに書かれると、さぞストイックな店なのだろうと身構えてしまう方もいるかもしれないが、他にもあんかけ焼きそばやランチセットなども用意されているので、思っているほど敷居は高くないはずである。周りの常連客に圧倒されることはあるかもしれないが。ただ、狭い店内とオフィス街という立地から、お昼時などは非常に混雑するため、初めて行く際は時間をずらすなどの対策を取ることをおすすめする。
このように、30年以上に渡って札幌の腹ペコ達の胃袋を安価に満たしてきたやきそば屋だが、かつては長崎屋→BigOff(現・丸井今井南館・ジュンク堂の入っているビル)や、札幌国際ビル(地下鉄さっぽろ駅直結)にも店舗が存在した。どちらかというとBigOffの店舗が最も有名だったようだが、現在は大通り店のみとなっている。札幌のB級グルメを語る上では欠かせない店なので、一度訪ねてみてはいかがだろうか。
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