コイツが概要でィ!
御鏡、勾玉、宝剣の三種の神器を以って魑魅魍魎をバッタバッタと薙ぎ倒し、さすらいの旅絵師イッスンさまと浮世をあまねく行脚する、紅い隈取(くまどり)を施した白狼こと白野威(しらぬい)さまたァ、こいつのことさァ!
そんな然許(さばかり)な犬ッコロには見えねぇ、只の白い狼だろッてェ?
馬鹿言っちゃァ好けねェや、心(まごころ)から観てみやがれってんだァ!
見た目はポァ~ッとしちゃいるが、その身実(むざね)たるや、奥義「筆しらべ」を揮(はら)って、巫呪怨詛(ふじゅえんそ)を祓うお天道サマの現身(うつしみ)だ!
常闇(とこやみ)を照らし、草木を萌やすなンてなァ序の口も口、干天に慈雨を、寒天に暖を齎(もたら)すなんざァ朝飯前の茶濁してなァモンで、鳴神や光陰を操ることだって御茶の子さいさい! おッと、失くし物があったら言ってくんなァ、この大神サマが、直ぐに蘇らせてやるからよォ!
まァ、エラく食い意地が張ってたり、ボインのネェちゃんに見蕩れたり、妖怪退治の一大事に粗相をしちまったり、なんてこともあるけどなァ――そりゃァお前、九牛一毛(きゅうぎゅういちもう)の些事ってモンよ! 何せこちとら、八本頸の蟒蛇(うわばみ)を取っちめてるんだぜェ?
補記
ボインといやァ、このアマ公、おッと、アマテラスさまは慈母神、畢竟(とどのつまり)、メスだぜェ! とは言っても、中世の神仏混淆で本地垂迹説が広まると、天照大神は大日如来と習合し、多く男神として解釈されたらしいからなァ・・・。まァ、この際だ、オスだのメスだの小っちぇことは言いっこナシ、どっちでも良いって所で今回は矛を収めちゃァくんねェか?
それから、干支に猫神がいるのはおかしいなんてェのは、無粋だぜェ! 現に遥か越南の国では、十二支に猫がいるって言うじゃねェか。十二支に十二獣を充てるのは、古代中国、紀元前200年の秦代以前から歴史があるみてェだが、猫が中国に輸入されたのは5世紀頃。ネズミに騙され遅刻して、十二支になれなかったァてな伝説と同じように、猫が中国に来た時分には、既に十二支の席は埋まってたって寸法よォ。十二支 にはなれなかったものの、宮城県には漁業の神様として、ちゃァんと猫神様が祀られてるぜェ。
そうそう、アマ公を語るにゃ外せねェのは日本の神犬(狼)信仰だァ! 早くは『日本書紀』に、「汝是貴神、而楽麁技(なんじは かしこきかみにして これをこのむ)」と狼を描いている一説があるンだが、これが本当に“狼”なのかってェのには、異説もあるみてェだなァ。
狼信仰で有名な秩父三峰神社では、ヤマトタケルノミコトがイザナギ、イザナミ神を祀った時、白い狼が道案内をした――なんていう伝承もあるンだぜェ。 他にも、鳥取県三朝(みささ)温泉に白狼伝説があったりする辺り、オオカミってェのは、単なる眷属信仰とは“一閃を画した”存在なのかもなァ。
で、アマ公の本当のモデルは駒ヶ根市光前寺『霊犬早太郎説話』の山狗・早太郎。まァ、アッチが倒したのは狒々(ヒヒ)、コッチが倒すのは百鬼てなァことで、神格が別格ってェのは、これ以上書き記すまでもねェや!
兎にも角にも糅(か)てて加へて、これがアマテラス大神の概要でィ!
大神サマの御尊容!観てってくんなァ!
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