アーチャー対戦車自走砲とは、第二次世界大戦中にイギリスのヴィッカース・アームストロング社が開発・生産した対戦車自走砲である。
正式名称は「Valentine 17-Pounder, Self-Propelled」で、アーチャーは運用していた兵士達が付けた愛称。
自走17ポンド砲アーチャー、17ポンド自走砲アーチャーなどとも呼ばれる。
概要
強力な17ポンド(76.2 mm)砲に機動性を持たせるため、バレンタイン歩兵戦車の車体上部にオープントップの戦闘室を設け、砲を搭載した対戦車自走砲。対戦車戦闘だけでなく榴弾による火力支援も実施可能。
最大の特徴は砲を車体の後ろ向きに搭載したことで、全高と全長を短縮でき、射撃後に向きを変えることなく迅速な陣地転換が可能となっている。このレイアウトにはバレンタインの車体設計をなるべく変更せずに流用することで設計を迅速に済ませるという意図があったとみられるが、少々斬新すぎたのと一部の仕様が要求通りになっていなかったことから軍が難色を示し、結局戦力化には時間がかかった。試作1号車の完成は1943年3月で、量産車は1944年5月から1945年9月(5月?)までに総計665輌が完成した。
1944年10月ごろから前線に配備され、第二次世界大戦中はヨーロッパの西部戦線やイタリア戦線に投入された。特異なレイアウトにも関わらず前線での評判は悪くなかったようで、戦後も運用が続けられている。戦後は一部車両がBAOR(イギリス陸軍ライン軍団)に配備され、また、エジプト軍に引き継がれた車両は、第二次中東戦争などでも使用されている。
「発砲時に砲の駐退機が操縦席まで後退するため操縦手は事前に席を離れておく(あるいは左右に身をかわしておく)必要がある」と言われることがあるがこれは誤りであり、実際には操縦席まで砲が後座してくることはない。とはいえかなりぎりぎりの設計であったことは確かで、砲架の後方(車体基準で言うと前方)に事故防止のための保護板が取り付けられているが、この保護板と操縦席の背もたれとの間にはほとんど間隔がない。
性能
最高速度 | 32km/h |
行動距離 | 230km |
主砲 | QF 17ポンド砲 (39発搭載 ※後期生産車は52発) |
副武装 | ブレン軽機関銃(720発搭載) |
装甲 | 14mm~60mm |
エンジン | GMC 6-71ディーゼルエンジン 192馬力 |
乗員 | 4名(車長、砲手、装填手、操縦士) |
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関連項目
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