イワトビペンギンとは、ペンギン目ペンギン科マカロニペンギン属に属するペンギンのうちの2種である。
概要
インド洋と大西洋の南部の南極大陸と面する島々などに生息する小型のペンギン。眉毛のような黄色の飾り羽とツンツン立った頭頂部の毛とメッシュの如き黄色の毛が特徴。特徴的な容姿などから日本でも飼育している動物園・水族館も多い、お馴染みのペンギン。
かつてはイワトビペンギンで1種とされていたが、繁殖域や細かい見た目の違い、遺伝子の解析結果によって現在は2種に分類されている。フォークランド諸島・南米最南端ホーン岬周辺で繁殖するミナミイワトビペンギン、トリスタン・ダ・クーニャ島とコフ島およびセント・ポール島とアムステルダム島で繁殖するキタイワトビペンギンに分類される。以前はこの2種にインド洋南端とニュージーランドの南東周辺で繁殖するヒガシイワトビペンギンを含めて「同じイワトビペンギンという種の中の3つの亜種」だと考えられていた。それぞれ生息域はかなり離れ孤立しているため、別種間でのコミュニケーションは取れない。ヒガシイワトビペンギンも別種だという主張もあるが、今のところヒガシイワトビペンギンはミナミイワトビペンギンの亜種とする意見が主流である。
ペンギンは地上で短い脚でよちよち歩くが、イワトビペンギンは両脚を揃えてぴょんぴょんと跳ねるように移動する。岩場を跳ね飛びながら移動する様子から名前が付けられた。
ペンギンの中でも小柄な体格の持ち主だが、性格は攻撃的で荒々しい。巣に近付いてくるものには同種・天敵に関わらず攻撃してくる。威嚇時は毛を逆立ててにらみつけるほか、嘴で突いて来たり翼でビンタして攻撃してくる。群集性が強く常に複数匹で群れを作り行動する。
夫婦の絆は強く年毎の繁殖は同じ番同士で行われる。平時は別々の場所で外洋生活を送っているが、繁殖期になると繁殖地で合流し、求愛活動で互いの愛を確認・高めたのち交尾・産卵となる。繁殖時期は7月~12月と場所によって差があり、繁殖地は毎年同じ場所に必ず戻ってくる。繁殖場所はコロニーと呼ばれ、オスはコロニー内の決めた場所に小石・土を積み上げて風雨から身を守る壁とし、巣を作る。巣は斜面の岩場などに用意される。
一度の産卵で2~3個ほど卵を産む。ただし、最初に産んだ卵はなんらかの理由により大抵の場合廃棄される。両親は交代しながら卵を温め、抱卵中は絶食する。雛が産まれた後も成長するまでは付きっ切りで子育てをし抱雛する。オスが雛を抱雛している間メスは海に出て雛に与えるエサを探しに行き、メスが抱雛している間オスは海に出ず絶食し、巣に寄り添い番と子を守る。
誕生から20~26日すると雛は他の雛同士でクレイシュという群れを作り互いに身を守り合う。その間も両親から餌を貰い成長する。誕生してから66日から73日で巣立ちとなる。
イワトビペンギンは雛が巣立ちした直後くらいの時期に体毛や羽根が生え変わる換羽が行われる。この時期には海に入れないため完全な絶食期間に突入する事になり、ゲッソリ痩せ果ててしまう。換羽期間に備え事前にエサをたらふく摂取し体力を付けるという。
天敵はシャチ・サメ・アザラシなどのペンギン共通の外敵たるメンツの他、卵・雛はカモメなどの鳥類にも狙われる。野生では様々な危険と隣り合わせなため10年ほどで死んでしまう。飼育下では30年以上生きた記録もある。
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