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インバネス
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インバネスインヴァネス英語Inverness)とは、英国スコットランド北部ハイランズ地方(counsil area一の都市(city)、およびそれを含む州(lieutenancy area)。英語都市名は「ネスの河口」を意味するスコットランド・ゲールイニィリ・ニシInbhir Nis)の古い発音に由来し、アクセントは ness にある。なおネスはかのネッシーで有名なネスLoch Ness)を含む。

以下は以上インネスであり、地名はスコットランド移民たちによって広められた。

インバネスコート/ケープの概要

インバネスコート(Inverness coat)はヴィクトリア女王時代の英国で流行した紳士用のフォーマルなトップコートtopcoat 。軽量に作られた防寒・防用のオーバーコートovercoat 。膝~膝下丈のコート))の一種で、その名が示す通りハイランド地方の多種多様なコートの一つが元になっている。元々は手なキルト穿いたバグパイプ奏者が着用していた関係で装飾性を重視した作りになっており、前裾が左右に折り返されて前側が大きく開くようになっている(だから下に着ている礼装がよく映える)。また袖を覆う位の長さの着脱式ケープが肩から上半身を覆うようになっており、これがあの独特なシルエットを生み出している。

更にそこから生したのがインバネスケープ(Inverness capeexit)である。これはインバネスコートのケープを左右に分割してコートと一体化し、代わりに本来の袖をスッパリしたものである(つまり袖しの肩から礼装を着た腕を通して羽織る)。これならば楽器演奏していても腕の動きが邪魔されないしケープがズレることもない。したがってインバネスケープはバグパイプ奏者や紳士だけでなく、腕を自由に動かす必要のある御者にも用された(その時にはしっかりと前裾を閉じる「フォーマルでない」やり方で防寒性を高めた)。現在でもハイランド人を中心に好者は多い。

探偵の嗜みとして

「インバネスのコートを着た有名人は?」と問えばんどの人がシャーロック・ホームズを挙げる。また逆に「探偵の衣の定番は?」と問えば大抵インバネスという回答が返ってくる。厳密にえば、一般に彼が身につけたとされているのはインバネスケープであって、インバネスコートではない。とはいえ日本人にはケープ(外套)はまだ染みが薄いため、便宜的に「インバネスのコート」等と紹介されるケースが多い。また、鹿撃ち帽とおいのチェック柄のツイード製のコートを想像する人も多いが、実際のインバネスケープはっぽい地の織りやナイロン製のものが多い(その方が下の衣が映えるし、扱いも簡単かつ軽量である)。

しかしながら、実はこれも正確ではない可性がある。とうのも、原文中にはアルスタ(Ulster)という記述が数回見られるからだ。アルスタ(コート)(Ulster (coat)exit)は名前の通りアルスタ(北アイルランド)由来の日常労働向けの防寒用オーバーコートで、この時代でのデザインはインバネスコートにかなり似ているものの、前裾は普通は開かずに留めて、ケープも肘丈までしかない(なお現在アルスタコートは、ケープがされてベルト留めを付けたダブルオーバーコートになっていて、シルエットがかなり違う)。

にもかかわらずインバネスケープということになっているのは、ひとえに挿画のである。挿画担当者はホームズを行動溢れる狩人のような人物として捉えており、生活感のある地味アルスターコートより活動的でなインバネスケープの方が相応しいと想ったのかもしれないし、単に鹿撃ち帽ともどもスコットランド的なイメージで統一したかっただけかもしれない。

和服向けの外套として

上記のように、インバネスケープは「袖しの肩から、ケープ部分の下に本来の袖を通して着る」という構造になっている。そのため、ゆったりとした袖を持つ和服の上からも着用しやすい。

かつて明治時代日本に流入した後、男性用の外套・防寒着として普及した。「とんび(トンビ)」「二重し(二重回し)」などの別名でも呼ばれた。

和服+インバネスの組み合わせは、和服自体がれた現代ではあまり見られない装いとなった。しかし現在でも和服を着用する男性皆無ではないためにある程度の需要は存在しており、男性和服を購入できる店舗では扱っている場合がある。

明治大正昭和初期(戦前)等の時代を舞台としている創作作品などで、時代を反映した衣装として登場することもある。

関連動画

↑この動画では、冒頭からいきなりケープを腕で跳ね上げて肩口を見せるので構造が分かりやすい。

関連静画

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1 ななしのよっしん
2016/01/21(木) 01:20:27 ID: VVGJlU+Iod
記事では英国の記載しかないが、着物インバネス(二重回し)は和洋折衷の成功例だと思う。
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