自分ではない何者かになる。そんな夢を見た事はあるだろうか。 その夢の中で私は考える。 これは自分なのか、自分ではないのか。 バルドゥークの冒険を通して私が辿り着いた答えは酷く単純だ。 「どちらでもいいではないか。」 いずれをも肯定して受け入れ、そして未来を生きて行こう。 そう、監獄という名の揺り籠で私は真実という名の夢を見たのだ。
アドル・クリスティン著 |
『YsⅨ -Monstrum NOX-』とは、日本ファルコムより発売されたアクションRPGである。
概要
ファルコムの二大ファンタジーRPGの一角「イース(Ys)」シリーズの最新作であり、PS4にて2019年9月26日に発売された。
前作「Ⅷ」はVITA/PS4での発売になり、携帯機であるVITA版をベースに開発が進められていたが、今回は据置機であるPS4のみでの開発になる(据置CS単体での開発は「Ⅴ」以来となる)。
「Ⅷ」と同じくこれまで設定されていた冒険書ではなく、新たに紡がれた話『バルドゥークの檻』を追うという設定になっており、アドルの年齢はこれまで最高齢だった「Ⅶ」の23歳の先である、24歳の時の物語となる。
世界観
《監獄都市》バルドゥーク
「Ⅰ・Ⅱ」の舞台であったエステリアの北東に位置するロムン帝国の属州「グリア・エルトリンゲン」の主要都市の一つ。
街中に巨大な監獄が存在しており、《監獄都市》の異名を持つ。元々は城塞都市であったためか監獄を中心に城壁や塀が張り巡らされている。
この地方では交通の要衝としての役割を持ち旅人との交流が多く、その見た目とは裏腹に劇場や公衆浴場といった大衆向けの施設も充実している。
バルドゥーク監獄
街の最奥にあるロムン帝国最大の監獄施設。元々は国境を守る城塞だったが、大きく改築され脱獄不可能の巨大監獄として利用されている。
ロムン帝国を批判する現地民を政治犯として閉じ込めていた過去があり、市民の印象は良くない。
星刻教会
これまでのシリーズにも関連人物が幾度か登場した、エレシア大陸全土に普及された巨大宗教組織。ロムン帝国の国教とされている。
他の地域と同様に住民の信仰は篤く、休日の大聖堂には大勢の人が集いミサが行われている。
星刻騎士団
星刻教会では数少ない騎士修道会の一派。
教会には半ば押しかけのように設立を認めさせた経緯を持つが、現在ではロムン帝国上層部との折り合いを付けバルドゥーク監獄を本拠地にし治安維持に務めている。
怪人《モンストルム》
超常的な力を持つ、神出鬼没な者たち。
貧しい住民たちのために活躍する者や辻斬りを働く無法者等複数存在するようだが、統率が取れていない危険人物。不思議な力を所持しておりバルドゥークの住民に恐れられている。
登場人物
操作可能キャラ(PTキャラ)
アドル・クリスティン(cv.梶裕貴)
懸賞金:8,534,000G
犯罪歴:バルドゥーク監獄からの脱獄
言わず知れたYsシリーズの主人公である赤毛の冒険家。24歳となったアドルの名声は、「Ⅵ」のカナン諸島に於ける事件を切っ掛けに広がり続けているようで、ちょっとした有名人になった様子。
しかしロムン帝国には危険人物として兼ねてより目を付けられており、カナン諸島に於ける「ロムン艦隊消失事件」の重要参考人として指名手配されており、本編開始時にバルドゥーク監獄に投獄されてしまう。相変わらず難儀な序章ばかり書いてるなこの男。
脱獄を試みるが、その最中で出会った銃を持つ謎の女性『アプリリス』に出会い《監獄都市》と《怪人》に纏わる奇妙な事件に巻き込まれる。
本作ではバトルアクションしてるシーンもありPVを見る限りでは操作も可能ではあるようだが、本格的な戦闘は《赤の王》に譲っている様子。トレードマークの赤い髪は、隠れる為に黒に染めている。
《赤の王》(cv.梶裕貴)
懸賞金:3,600,000G
犯罪歴:不明。但し、今後重大な犯罪を犯す危険性が極めて高いと思われる。
名前とその手に持つ片手剣以外、全ての情報が謎に包まれている赤毛の怪人。どう見てもアドル。
攻撃属性は「斬」。これまでアドルが使って来た技と同様の物も少々覚えているようだが、その大半は黒赤色のエフェクトに包まれた禍々しい物となっており、見栄えはかなり変わっているようだ。
武器は監獄で拝借したショートソード。余談だがアドルは前年にあたる「Ⅶ」の最強武器『カリオシリオン』を失っており、その様子は特典小説「イースⅨ前日譚~亡失の竜剣」で描かれている。
《白猫》(cv.小松未可子)
懸賞金:7,480,000G
犯罪歴:貴族邸宅、商屋への不法侵入および金品強奪。
バルドゥークの富豪層から金品を盗み、貧民街に分け与える義賊として活動している怪人。猫のような耳を頭に生やし大きな尻尾を持つ。
明るい性格で住民たちともコミュニケーションをよく取っているらしく、身軽で派手なパフォーマンスを披露する事もある。
攻撃属性は「打」。
武器を持たず徒手空拳で戦う。猫のようにしなやかなモーションから繰り出される素早い打撃を得意としており、攻撃の中には尻尾で行っている物も。
全キャラの中でも隋一の機動力を持ち、またスキルもオーソドックスなタイプから強力な物までが揃っているオールラウンダー。
《鷹》(cv.石川界人)
懸賞金:9,010,000G
犯罪歴:住民への暴行、辻斬り、星刻騎士への挑発行為など。
"天誅"と称して街中で辻斬りを働く怪人。見た目はただの金髪青年だが酒癖が悪く粗暴な戦闘狂であり、街中で騒動を起こしている凶悪犯である。
バルドゥークにいる怪人の中で最も協調性に欠けており、他の怪人も彼の扱いには苦労が絶えない。
攻撃属性は「射」。
手に持つ二振りの刺突剣で素早く敵を切り裂き、空を舞いながら攻撃を行う事も。
空中戦に強く、宙に浮いている敵に有効なスキルを多数所持している。
《人形》(cv.鈴木愛奈)
懸賞金:1,060,000G
犯罪歴:不明
美しい人形のような風貌を持つ怪人。体の各種関節が球体になっている奇怪な女性だが、"不可視"の存在を視る事が出来る力を持つ。
出自は不明で怪人の中でも謎が多い。とある目的で冒険家アドルに接触を図る。
攻撃属性は「斬」。
鎌と蛇腹剣の二刀流を振るい、人間では不可能な動きで敵を切り裂く。
素早い地上戦から繰り出す範囲攻撃・直線攻撃に優れ、技の組み合わせで如何なる相手でも戦いやすい性能をしている。
《猛牛》(cv.佐倉綾音)
懸賞金:2,250,000G
犯罪歴:各所での器物破損。一部の建造物破壊も当犯罪者によるものと推定。
力に秀でた、牛の角と耳を生やす怪人。怪人の中でも犯罪に手を染めず争い事も好まない良識派であり、怪人たちが言い争いになったら止めに入る。
監獄都市に血縁者が居るという噂があるが詳細は不明。
攻撃属性は「打」。
巨大な戦槌を振り回し、豪快な戦い方を得意としている。
スピードこそ遅いものの広範囲への強力な攻撃を可能とする技に優れており、パワーでは怪人の中でも隋一。
《背教者》(cv.下野紘)
懸賞金:975,000G
犯罪歴:不明
ボロボロの法衣を着崩している奇妙な怪人。あまり人前に姿を現さない為目撃情報が少ないが、少年のような見た目をしている。
グリア地方や監獄都市の歴史について何か知っているようだが詳細は不明。
攻撃属性は「射」。
杖を持ち、イースでは珍しい魔法弾のような攻撃を行っているシーンが確認出来る。
通常攻撃含め遠距離から繰り出す多種多様のスキルに加え、相手をスロウ状態にする特殊なスキル等、魔導タイプのキャラとしての側面が強い。
非操作キャラ
ドギ(cv.三宅健太)
お馴染みアドルの相棒。
アドルとの付き合いで奇怪な現象や人智を超えた事件にはもう慣れており、冷静な反応を見せている。アドルと共にロムン兵にマークされており、冒険先になるグリア・エルトリンゲン地方でロムン兵に見つかってしまう。
前年にあたる「Ⅶ」ではPTキャラの一員だったが、今回は再び裏方に回るようだ。
アプリリス(cv.道井悠)
アドルが監獄都市で出会った、強い意思を宿した瞳と義手義足が特徴な女性。
見た目の年齢は若く見えるが、他者を圧倒するような威厳と冷徹さを持ち合わせている。怪人たちの前に姿を現し、助言を残す等しているが彼女の行動は全て謎に包まれている。
システム
「セルセタ」「Ⅷ」のシステムを更にブラッシュアップさせており、更に爽快感を重視している。また開発ベースを据置に移した事で、以前では行えなかった事が可能となっている。
異能《ギフト》
今作ではキャラ固有の「異能」を駆使した「異能アクション」が使える。
キャラ事にそれぞれ別の「異能アクション」を所持しており、内容は「セルセタ」の「パーソナルアクション」に近いが、パーティにいればキャラを変更せずに全ての異能が使用可能となっており、スタメンにせずとも使えるのでキャラ変更する事によるテンポロスを改善している。能力使用時は異能ゲージと呼ばれる物を消費する。能力は以下のようになる。
- クリムゾンライン~王者の道~《赤の王》
フィールド上に決められた転移ポイントに一瞬で移動する異能。移動中は影のような姿になるため間に障害物があっても突破可能である。移動間に敵が存在した場合はダメージを与え吹っ飛ばす事が可能。ロックオンしたボスに一瞬で近付くといった使い方も。 - ヘヴンズラン~天空散歩~《白猫》
平たい壁を駆けあがる事が出来る異能。縦方向の探索範囲を格段に増やす事が出来る。 - ハンターグライド~猛禽の翼~《鷹》
背中から翼を生やし滑空する異能。高所から飛ぶ事で幅広い範囲を空から探索する事が可能。戦闘中に使用して空を駆けながら戦う事も。 - ザ・サードアイ~第三の瞳~《人形》
隠し機能や宝箱・アイテム入りオブジェクト等を可視化する事が出来る異能。不可視になった敵との戦闘や、壁の向こうにあるアイテムを見ると言った芸当が出来る。街の探索にも使用出来る。 - ヴァルキリーハンマー~戦乙女の救済~《猛牛》
亀裂の入った壁等を破壊し道を切り開く事が出来る異能。ガードが固い相手に使用してガード崩しに使う事も可能。 - シャドウダイヴ~影の門~《背教者》
影に潜り地面に潜伏したまま地中を移動する事が出来る異能。天井が低い隙間を通る時や、敵に気が付かれないように接近して後ろから攻撃といった事が可能になる。一部攻撃の回避手段にもなる。
グリムワルドの夜
「Ⅷ」の迎撃戦/制圧戦を昇華させたシステム。街中に出現する魔物とPTメンバー全員で戦う。
「NOXゲージ」と呼ばれる物が存在しており、街中に点在する瘴気に触れると、異空間で悪霊ラルヴァとの戦闘になり、これを繰り返し殲滅するのが目標になる。
ゲージを貯めると瘴気の核が生まれ、その中に飛び込むと特別な異空間で戦いが始まる。内容は以下の通り。
これらの戦闘に勝利すると結界の一部が解け、新たな探索を行う事が可能になる。
また、「満月のグリムワルド」という、通常より高難易度の夜も存在する。
ブースト
「イース・オリジン」より復活した戦闘システム。発動するとステータスが向上し一部の攻撃動作も変更される。従来のEXTRAスキルはゲージを貯めたあと発動し大ダメージを与える流れであったが、まず初めにブーストを発動し、その後ブースト中に任意のタイミングでEXTRAスキルを発動するという流れに変更された。ブースト中の効果は以下の通り。
与ダメージUP
被ダメージDOWN
移動力UP
攻撃速度UP
連撃回数UP
HP自動回復
SP自動回復
これにより発動中に畳み掛けるだけでなく大ダメージを与えるチャンスが生まれる。ギリギリまでブーストでダメージを与え、最後にEXTRAスキルを当てる事で与ダメージを増やすのが基本戦術となるだろう。
また、「Ⅷ」までとの違いでブーストのゲージは攻撃をせずに通常に移行すると減少していき0になるため、溜まったらなるべく発動した方がお得である。
収集要素
前作と比べ「釣り」は無くなったものの、街中での収集要素が存在する。
- 青い花びら集め:街中の至る所に存在する青い花びらを集め、とある女の子に渡す事でアイテムが貰える。またそれ以外にもサービスが…
- 落書き:街の壁や床に描かれた落書きを見つけ、それをとある学者に報告するとアイテムが貰える。落書きの中には邪霊を呼ぶものや怪人の能力を上げるものもある。
その他強化点
- 開発ベースがPS4になった恩恵で、各MAPがエリア式では無く地続きになっている。特に監獄都市バルドゥークは広いようで、全体MAPの6割を占める程の広大さだと言及されている。
- 「Ⅷ」のクリスマスパッケージの特典で導入したモーションキャプチャーをゲームに初採用。イベントシーンはキャプチャーにより作られておりカメラワークも合わせクオリティが飛躍的に向上している。
- これまでのイースとは雰囲気を変え都市部を中心にした舞台となっているが、イースらしい遺跡や自然を冒険する展開はちゃんと存在し、また高低差を意識したMAPは異能アクションで好きに駆けられるようにデザインされている。
- SPゲージが攻撃のみではなく時間経過でも回復するようになり、スキルを使う→離れて回復→スキルを使うと言ったヒット&アウェイ戦法や、継続してスキルが使いやすい環境になった
- 難易度はEasyからInfernoまで最初から選択可能。またアクションが苦手な人用に、難しい場所では足場が出来たりと言った「アシストモード」が搭載されている。
関連動画
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関連項目
- 7
- 0pt