ウォースパイト(戦艦)単語

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ウォースパイト
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「戦いのあるところ、かならずウォースパイトありと、海軍では言われている」

1944年 6月7日 英国デイリーミラー

HMSウォースパイトとは、英国海軍がかつて保有したクイーンエリザベス戦艦の2番艦である。

第一次世界大戦から、第二次世界大戦を通して数多くの戦場を渡り歩き、傷だらけになりながらも多くの戦果を挙げ、そして時々他の衝突し、その勇猛にして鮮な戦いぶりから、敬意を込めてオールド・レディと呼ばれた。

誕生

ウォースパイトは1912年10月31日英国デヴォンポート海軍にて起工、翌191311月26日に進し、1915年3月8日工した。同艦として、クイーンエリザベスバーラムヴァリアントマレーヤがある。

ウォースパイトの名は英国にとって由緒ある名であり、その起エリザベス1世時代のガレオンで、この名前を冠するとしては8代である。その名前戦争を軽蔑するもの」す。

ウォースパイトを含めたクイーンエリザベス戦艦は、それまでの戦艦駕する攻撃を手に入れるべく、前例のい15インチ(38センチを搭載し、機関の種類や配置、の配置などを見直した先進的な設計(そのいくつかは偶然の産物であったが)により、当時としては世界最高峰の性を持って誕生した。

ウォースパイト工後、本艦隊(グランドフリート)の第2戦艦戦隊に配属となり、試運転の際には当時の海軍大臣ウィンストン・チャーチルが出席し、新の15インチの性は彼にかなりの好印を与えた。しかし、同年9月ウォースパイトは配備先のスカフローからロサイスに向けての中を航行する途中で、うっかり座礁してしまう。その後、同年の暮れには信号旗の読み違えによって姉妹艦のバーラム衝突するなど、後に勇名を馳せながらも傷を負い続ける名艦の最初の受難となってしまった。

修理を終えたウォースパイトは本艦隊に復帰し、新たに当時最新鋭であり、自らの姉妹であるクイーンエリザベス戦艦でのみ構成された第5戦艦戦隊に配属となった。

第一次世界大戦

1916年にウォースパイトを含む第5戦艦戦隊は一時的に巡洋戦艦戦隊に編入され、同年の5月31日には純水上艦艇同士の戦闘としては人類の歴史上最大級の規模となるユトランド戦に参加する事となる。

ウォースパイトはこの戦闘ドイツ艦艇から放たれた15発の弾が命中、加えて突然が故障し姉妹ヴァリアントとあわや衝突・・・しそうになる。何とか衝突には至らなかったものの、は直らずウォースパイトはその場で円を描きながら迷走を始め、格好の標的となってしまった。これはウォースパイト死の行進」と呼ばれ、この時のの不具合は終生に渡ってたびたび再発し、ウォースパイトを苦しめた。     

ウォースパイトしい戦闘で大小多数の弾を受けて甚大な損傷を被ったものの、り強く応戦して生き残った。また、が故障した際に敵の攻撃がウォースパイトに集中した事で、偶然の結果ではあったものの苦に立たされた味方艦を救う事になり、賞賛と信頼を得た。なお、この時搭乗していたウォルター・ヨーという砲兵が瞼を焼き切る重傷を負い、世界初の顔面皮膚移植手術を受けている。

余談だが、ウォースパイトはこの戦闘による修理を終えた後、結局姉妹艦のヴァリアント衝突している。その後、今度は駆逐艦とも衝突した。

戦間期~近代化改修

多くの受難に見舞われながらも第一次世界大戦を生き抜いたウォースパイトはその後、段階的に近代修を施されていき、最終的に1937年には航空機格納庫の設置の他、バルジの増設、艦の再設計、修、機関の換装などを経て工時とはど別の艦とも言えるほどの変貌を遂げた。

これら修が行われる最中、1924年に国王が出席する英国艦隊観艦式に参加、1929年にはの中遭難したギリシア籍の帆船を救助するなど戦闘以外でも存在感を示した。

第二次世界大戦~退役

第二次世界大戦勃発後の1940年4月ノルウェーに侵攻したドイツ軍を追ってウォースパイトもまたノルウェーに展開した。ウォースパイトノルウェーの要衝、ナルヴィクを占領したドイツ軍を攻撃するべく、駆逐艦9隻を引き連れてフィヨルドに突入、すでに旧式化した身でありながら、駆逐艦隊と協して10隻のドイツ軍駆逐艦部隊全滅させた(第2次ナルヴィク戦)。

フィヨルドでの戦いを制したウォースパイトは当時の本来の所属である地中海艦隊に帰還し、エジプトアレクサンドリアを拠点に数々の作戦に従事、7月初頭には地中海にて団護衛任務に就いていたところ、同じく団護衛任務中だったイタリア艦隊に遭遇、この戦闘(カラブリ戦)でイタリア戦艦ジュリオ・チェザーレに命中弾を浴びせている。翌1941年1月には、バルディアに展開するイタリア軍に対して撃を敢行(バルディア撃・MC5作戦)、3月には夜戦イタリア軍ザラ重巡洋艦4隻中3隻と、駆逐艦2隻を撃沈(マタパン戦)するなどして、戦略的な勝利に大きく貢献した。

しかし、これらの戦いの中で、ウォースパイト姉妹バーラムドイツ潜水艦撃を受けて爆発沈、更にクイーンエリザベスヴァリアントアレクサンドリア港に停泊中のところを、イタリア軍人間魚雷部隊の襲撃を受けて共に大破着底し、修理には長い年を要する事になる。これにより、まともに戦えるクイーンエリザベス戦艦は、ウォースパイトと5番艦のマレーヤだけになってしまった。ウォースパイトも幾度とく損傷には見舞われたが、他の姉妹艦ほど深刻なダメージにはならなかった。

1942年になると、ウォースパイトは東洋艦隊の所属となって同艦隊の旗艦としてインド洋に派遣された。当時破の快進撃を続ける日本軍との対決となるはずであったが、結局ウォースパイト自体は直接日本軍と矛を交えるには至らず、1943年6月には地中海に戻った。ちなみに、地中海に戻る途上での古傷が開いて修理を行っている。

地中海に戻ったウォースパイトはその後も作戦などに従事し、連合軍の進撃に貢献する。1943年7月にはシシリーへの上陸を的としたハスキー作戦に参加、ドイツ軍機の攻撃を受けながらもこれを掻い潜り、事に作戦了して帰港した。この時、イギリス軍の官であったアンドリューカニンガム中将の送った作戦了した。オールド・レディスカートを上げれば走る事が出来る」という内容の信号にちなんで、以後ウォースパイトオールド・レディとして知られる様になった。なお、この作戦の際にまたしてもが故障して味方の駆逐艦衝突・・・しそうになるという、お約束トラブルを起こしている。

しかし1943年9月ウォースパイトサレルノにて地上への支援の為の地転換中に、ドイツ軍の放った3発の誘導爆弾フリッツX」の攻撃を受けてしまう。そのうちの2発が体を直撃し、うち1発は煙突付近に着弾して機関区まで到達して大爆発を起こし、もう1発は右舷側のバルジを貫いてこれも大爆発を起こした。この攻撃によってウォースパイトが受けた損傷は極めて甚大で、最全な修復が不可能になってしまうほどであったが、幸運な事にウォースパイト沈没することもなく、また死傷者もど出なかった。ウォースパイトはロサイスに送られ、修理が行われた。しかし、前述の通り全な修理は出来ず、一部の機関と後部第3は使用出来ないままとされた。

1944年6月ウォースパイトノルマンディー上陸作戦に参加し、地上への支援を行う。この時再びフリッツXが命中するが、大事には至らなかった。しかし、その後身の交換の為にロサイスに向かう途中、機に接触してまたしても大破してしまった。この時は必要最低限の修理のみ行われ、その後は傷だらけの身体を押して1944年11月まで作戦に従事した。

そして1945年2月、ついにウォースパイトは予備役となり、誕生から実に30年近く戦い続けた第一線を離れたのであった。

オールド・レディの最期

戦後ウォースパイトを保存しようという運動が起こったものの、それらの無視され、ウォースパイトは解体される事となった。しかし、ウォースパイトは解体所に向かう途中でに遭い、航索が千切れて漂流したのち入り江で座礁するまで、最後の抵抗とばかりに解体業者から逃げ回ったのである。結局その後は本来の解体所で予定通り解体が行われ、長きに渡って英国海軍を支えた稀代の名艦も、ついにその波乱の生涯に幕を引いたのであった。

ウォースパイトは決して最強であり続けたわけでも、無敵の性を誇ったわけでもない。衝突に抱えた爆弾に見られる様に、決して幸運だったわけでもない。

しかし、第一次世界大戦から第二次世界大戦の数多の戦場を駆け抜け、どんなに傷だらけになろうとも不屈の精で立ち上がり、そして戦果を挙げ続けたこの艦はイギリス民に広くされ、その戦いぶりは伝説となっていった。そして本来戦争を軽蔑するもの」として与えられたその名も、いつしか勇気「尊厳」徴する言葉に変わっていたのであった。

余談

9代ウォースパイトにはヴァリアント級攻撃原子力潜水艦の2番艦が選ばれた。
そして1968年バレンでの作戦中にソ連海軍エコー潜水艦衝突し、を損傷するという因果レベル不運を発揮。
修理後、フォークランド紛争に参加するが、今度は一次冷却液管の裂が見つかるというトラブルにより戦線離脱。
再び修理が行われるも途中でを投げられ、そのまま退役してしまう。
すぐにでも解体されるはず……であったが、体の一部が放射能で汚染されたため、化のための長期保管が決定。
2014年現在、奇しくも先代誕生の地であるデヴォンポート海軍にて静かに余生を送っている。

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ウォースパイト(戦艦)

90 ななしのよっしん
2017/10/25(水) 12:05:30 ID: JniQ/28HEm
記事読みました。艦生?というのか、所謂「生き様」がとても伝わってきて、感動しました。私はゲームウォースパイトを知ったにわか者ですが、この記事に巡り会えて良かったです。
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91 ななしのよっしん
2017/11/11(土) 19:46:05 ID: 0uG7oKxic+
>直接日本軍と矛を交えるには至らず
交戦してたらおそらく沈められていたな。
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92 ななしのよっしん
2018/01/23(火) 19:19:38 ID: i5mqmcNIWv
単なる派遣部隊ボコっただけでデカい面するのは恥ずかしい
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93 ななしのよっしん
2018/04/29(日) 00:24:41 ID: i5mqmcNIWv
関連項目の一番下と下から二番を削る事を検討中なのですが、
何か意見のある方は書き込んでください
特に見受けなければ5日後位に実行します
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94 ななしのよっしん
2018/04/29(日) 11:18:18 ID: +hbxza4agH
「なぜ削るのか」の理由も明記されていない以上は反対。
議論を経ない上での削除だとローバックも有り得ますよ
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95 ななしのよっしん
2018/04/29(日) 11:51:06 ID: mjllHoSkCt
キャラ記事への誘導はウォースパイトの記事の曖昧さ回避で出来てるから、ここは削っても構わないと思うよ。
その曖昧さ回避まで削ると言うなら問題だけど。さすがにそこまでは考えてないよね?
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96 ななしのよっしん
2018/04/29(日) 12:18:38 ID: mjllHoSkCt
>>95
連投だけど補足として。
は少ないと思うから構わないとは言ったけど、やっぱり>>93の言うとおり削る理由の説明は欲しいね。
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97 ななしのよっしん
2018/04/30(月) 23:04:23 ID: i5mqmcNIWv
返事が遅れてすいません
理由としては概ね>>95にある通り、曖昧さ回避キャラ記事への誘導はできているので
こちらの記事内にもキャラ記事への誘導を置いておく必要はいと思った次第です
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98 ななしのよっしん
2018/05/06(日) 22:25:31 ID: i5mqmcNIWv
特に>>97への意見もかったので、編集を実行します
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99 ななしのよっしん
2021/04/08(木) 14:27:39 ID: JemkY71ptF
ウォースパイト30年代SF小説『航時軍団』にもチョイ出で出てくる(マジ)だが、
トランド戦の場面で「故障中の彼女主人公たちのタイムマシン突しそうになる」という役割だったw
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