『エースコンバットインフィニティ』とは、PlayStation3向けに配信されているフライトシューティングゲームである。
ダウンロード専売タイトルであり、2014年5月20日より配信中。
開発元はPROJECT ACES、販売元はバンダイナムコエンターテイメントである。
概要
シリーズ初のF2P(“Free to(=2) Play”、基本プレイ無料)タイトルで、『機動戦士ガンダムバトルオペレーション』と同様の出撃燃料制・アイテム課金を採用している。燃料は課金のほか、時間経過でも自然補給される。
また、戦闘機や特殊兵装については、プレイする中で全て無料でアンロックできるようになっており、これらのアイテムを直接課金で購入するシステムの導入予定は今のところないという。
トレイラーなどでは、タイトルバックに「∞」の文字が度々表示されている。据置ハード向け作品としては、シリーズ8作目(『AH』はナンバリングではないものの、カウントした場合ナンバリングタイトルとして7作目)に当たるため、「8」と「∞」をかけているとも考えられる。
ニコニコでは、記事名のほか、「AC∞」「エースコンバット∞」「ACEINF」などでもタグ登録されている。
ゲームプレイ・世界観
『エースコンバット アサルト・ホライゾン(以下AH)』ではDFMと呼ばれるドッグファイトシステムが、『エースコンバット3D クロスランブル』ではマニューバと呼ばれるシステムが導入されていたが、今作ではこれらの要素を排除し、再び従来通りの操作へと回帰する。
また、『エースコンバットX2 ジョイントアサルト』『AH』などに引き続き、現実世界が舞台となる。ただし、これらの作品とは時系列や世界観を共有しない。
1999年に地球に降り注いだ隕石によって、世界秩序が崩壊した世界が舞台となる。この隕石落下は、『エースコンバット04』の架空世界で起こった巨大隕石ユリシーズの落下の再解釈であり、それまでのシリーズの架空世界と、現実世界の融合が試みられている。
実在機に加えて、従来の『エースコンバット』シリーズお馴染みの架空機は勿論、巨大な架空兵器も登場する。トレイラーでは、ストーンヘンジレールガンに似た巨大レールガンも確認できる。 過去作品の主人公機のエンブレムが登場したり、「エースはいくつかのタイプに分けられる」などの台詞が登場したりと、過去作品へのオマージュにあふれた内容となっており、ファンなら、ニヤリとさせられっぱなしになること請け合いである。
従来『エースコンバット6(以下6)』や『AH』などで搭載されてきた、プレイヤー同士が直接戦うオンラインプレイは採用されず、Co-opモードのみの搭載になる。2014年7月18日、「はじめてのチームデスマッチ」によってPvPモードも追加された。
キャンペーンモード
1人プレイ専用のモード。
F2Pタイトルは基本的に物語性の大きいキャンペーンモードはつけないが、今作に限っては、従来のファンはもちろん、新たなファンを開拓するために、殆ど例外的と言っていいほどに1人用プレイを充実させているという。
サービスイン時には5つのミッションが配信される。この5つで物語は完結せず、続編となるエピソードが将来的に配信される。 現在では8つのミッションが配信されている。
TGS 2013の段階では、1週目に限り全て無料でクリアまでプレイできる、としていたが、2014年現在の公式ページでは「最初から」「続きから」「次のミッションから」を選ぶ場合は無料=燃料を消費しないと解説されている。
なお、2000円で「キャンペーン無限出撃チケット」が購入でき、現在配信中の8つのミッションを、燃料を気にせず遊び放題になる。
ストーリー
1994年、木星の先行トロヤ群の小惑星「ユリシーズ(1986 VG1)」に、未知の小惑星が飛来。衝突した小惑星は飛散し、無数の破片となって地球への衝突コースに入った。
これを受け人類は、隕石破砕用対空レールガン「ストーンヘンジ」を世界各地に建造。
1999年、地球へ降り注いだ無数の小惑星を迎撃し、その被害を、世界秩序の崩壊程度に留めることに成功した。
「ユリシーズの厄災」と呼ばれたこの一連の大災害により、各国は従来の体制の転換を余儀なくされた。世界の国家は再編が進み、やがてEUのような共同体が各地で誕生していった。
各共同体は、復興に尽力したが、そのために軍事費を削減せざるを得ず、世界各地で巻き起こる紛争の沈静化は困難であった。
その結果として、民間軍事企業や軍需産業が急成長を遂げた。特に航空機業界では、「アドバンスド・オートメイテッド・アヴィエーション・プラント」と呼ばれる新たな兵器生産機構の発達によって、戦闘機の量産が容易になった一方、パイロット不足が問題となったほどだった。こうして、ヴェルナー・ノア・エンタープライズを筆頭とする民間軍事企業の活躍によって紛争は沈静化した。
しかし、ロシアの難民受け入れ地区「イユーリ」などを中心に、巨大な国家・共同体に反旗を翻す武装組織が新たに生まれ始めた。
国連および各国は、これらの武装組織をテロ組織を認定し、民間軍事企業などの協力も得て、これらとの戦いを繰り広げることになった。
2019年、世界最大の民間軍事企業アローズ社に、一人の新米が入社する。
パイロットである彼は、「リーパー」というTACネームと、死神のエンブレムを貰い、最初の任務の舞台である日本国旧首都東京へと向かう。
だが、この戦いこそが、後に新共同体「ユージア」樹立を巡って巻き起こる巨大な世界紛争の始まりとなるのだった。
登場人物
アローズ社/ボーンアロー隊(アローブレイズ)
アローズ社は航空部隊を中心に展開する世界最大の民間軍事企業のひとつである。
ボーンアロー隊はアローズ社に所属する航空隊であり、今回の主人公チームとなる。
- リーパー
いつも通りの無口な主人公(すなわち君だ)。その過去も、素性も一切不明で、性別さえもわからない、まさにプレイヤー自身。
死神のエンブレムをアローズ社から貰う。
ルーキーであったが、次第にその実力を発揮し、次第のそのエンブレムは、味方にとっては畏敬と信頼の的に、敵にとっては恐怖の的になっていく。 - ヴァイパー
蛇のエンブレムを持つ、ボーンアロー隊のエース。隊長格に当たる。高い実力と豪胆な性格の持ち主で、『5』のジャック・バートレットにどこか似ている。ことあるごとに、リーパーに「エースの心得」を説いてくれる。「エースはいくつかのタイプに分けられる」という考えを持つ。
博打好きらしく、高い実力でがっぽり稼いでは引退し、散財して復帰するという不毛な生活を送っている。 - オメガ
陽気な性格の被弾王。『5』のダヴェンポートよろしく、お調子者の先輩格だが、腕は悪くない。
被弾率・被撃墜回数が異常に高い一方で生還率は100%というベイルアウトの達人で、劇中では、撃墜された戦闘機から無傷で脱出して、最近復帰したばかりとなっている。
名前の由来は、シリーズファンには言うまでもない。 - ブロンコ
ボーンアロー隊を構成するひとりだが、ミッション5まで一切発言せず、物語にも絡んでこない謎の人物。 - グッドフェロー
アローズ社代表にして、ボーンアロー隊の指揮担当。ストーンヘンジレールガン奪還に際して、戦闘機による直接突入を実行するなど、異様な発想力と実行力の持ち主。
ヴェルナー・ノア・エンタープライズ
世界最大の軍事企業。大量の難民を労働力として酷使するという悪質な囲い込みの温床となっていたイユーリ地区で雇用を創出し急成長、厄災直後の紛争の沈静化に大きく寄与した。
しかし一方、イユーリ周辺での武装組織発生の一因ともなっている。
- キャスパー・コーエン
軍事部門最高責任者。宇宙条約を無視した宇宙兵器開発に関与していたことが判明し、解雇された。その後、ユーラシア南部一帯を統合した新たな共同体「ユージア」樹立を目論み、ユーラシア各地の武装組織を扇動し決起する。
国連安全保障理事会/リッジバックス隊
リッジバックス隊は国連が擁する航空隊で、優れた実力を持つエリートのみで構成され、機体に入った特徴的なラインから「一本線」と呼ばれる。
アローズ社をはじめとする民間企業の協力なしには世界秩序を維持できないまでに弱体化しているはずだが、彼らの中には、民間軍事企業に属する航空隊を「空賊」と呼んで見下す者もいる。
- スラッシュ
リッジバックス隊隊長。ヴァイパーと同様、経験豊富なエースだが、放任的な彼とは対照的に、部下の行動をきちんと管理する。
『2』のスラッシュと同様、ジョン・ハーバートという名前なのかは不明。→ミッション5にて死亡フラグをたっぷり建てたあと、悲惨な最期を迎える。 - エッジ
リッジバックス隊の若手隊員。実力は確かだが、スラッシュの指揮の下ではこれを発揮し切れていない面がある。
生真面目そうな話し方をする女性隊員で、やはりナガセ・ケイそっくりだが、名前も同じなのかは不明。
その他
- 蝶使い
レーザー兵器を搭載した謎のUAV部隊に関わっていると思われる女性。トレイラーでマッピーを歌っていたのも彼女である。→ユリシーズの厄災をはじめとする作中世界の歴史を説明するムービーも、プレイヤーに向けたものではなく、彼女が受けていた「授業」であったことが後に判明する。
その素性や目的は一切不明だが、少なくとも敵であり、正体不明のUAV部隊を駆ってボーンアロー隊に戦いを挑んでくる。無邪気な言動ばかりだが、脱出したパイロットをレーザーで焼き殺すなど、その行動は残酷極まりない。
オンライン共同戦役モード
オンラインCo-opモード。ユーザーからは主に「共同」と呼ばれる。
プレイヤー2~4人ずつでチームを組み、2チームでミッションに挑む。チームごとに撃墜成績などを競ったり、あるいは難度の高いミッションをクリアするために協力したりする。
このモードで戦闘機のカスタマイズやレベルアップ、アンロックを進めて、スコアアップを狙うのが、本作の主軸となる。
こちらも、サービスイン時には5つのミッションを収録・配信する予定。
一部はキャンペーンモードと同様のマップだが、基本的にはキャンペーンモードのミッションとは大きく違う内容になる。また、遊んでいる最中に突発的にイベントが発生する。
2016年6月現在、Hardと非常招集を除き12種類、Hardと非常招集を加えれば全41種類のミッションが存在している。
これらのマップは『フリーフライトチケット』を1000円で購入することで敵のいないマップを自由に(一人のみではあるが)楽しむことができる。
プレイヤー同士の対戦を搭載しない理由について、河野一聡プロデューサーは「従来作品のプレイヤーと、今回初めてシリーズに触れるプレイヤーでは実力差が大きいため、対戦で勝敗差が大きくなりすぎて、新規プレイヤーの定着を妨げる」ことが主な理由であると語っている。プレイに課金が必要であることも影響しているだろう。 上でも触れたとおり、PvPについては実装済み。詳しくは次項を参照のこと。
チームデスマッチ
プレイヤーvsプレイヤーとなるモード。2014年7月18日実装。主に「TDM」と略される。
オンラインCo-op同様、主にプレイヤー4人ずつでチームを組むことになる。しかしこちらは4vs4しかできない(2016年6月現在)。
最初期には空戦によるスコアを競う『スコア制チームデスマッチ』のみであったが、アップデートにつれゲームモードが増え、現在では三種類のゲームモードがある。以下、それぞれの概要を記載する。
- スコア制
航空機同士の空戦のみを行うシンプルなモード。機体コストによって撃墜ポイントが変動し、タイムアップもしくは10万点取得でゲームが終了する。タイムアップの場合は終了時点で得点が多いチームが勝利する。
その特性から『空戦TDM』とも呼ばれる。 - 艦隊攻略戦
それぞれのチームに艦隊が配置され、この艦隊を破壊することを目的としたモード。
プレイヤー機体が撃破されるごとに艦隊の耐久力のそばにあるゲージが溜まっていき、一定数まで溜まると『STRATEGIC ATTACK』という強力な攻撃を自動的に行う。
その特性から『艦隊TDM』とも呼ばれる。 - リング争奪戦
一定数のリングを互いのチームが奪い合い、終了時に多くのリングを取得したチームが勝利するモード。
極論、敵を落とさなくてもリングを潜るだけで勝利できるため、最も操縦技術が勝利に直結するモードでもある。しかしながら兵装の禁止も選べるため、TDMとしては初心者は勿論戦闘が苦手な人にも優しい。
時間経過によって多くのリングが増えたり、フィーバーモードによる一発逆転が可能であったりなどギミックも多彩。報酬クレジットも比較的多く人気であるが、その分ランキングが加熱したりするため狙う場合はPSNカード備蓄燃料を他のルール以上に十分に用意しておく必要がある。
その特性から『リングTDM』とも呼ばれる。
歴代作品のガジェットについて
本作では歴代作品の架空機、機体カラー、エンブレム、超兵器がそれぞれ通常機体、スキン、特別機体、エンブレム、敵として登場しているが、必ずしも原作にあたるゲームどおりの設定やデザインのまま登場しているわけではなく、中には『インフィニティ』での実装にあたってデザインや機能が改変・アレンジされているものがある。その為、原作における描写を重んじる一部プレイヤーから指摘の声も上がっている。
トレイラー・サイトの内容
2013年7月17日にオープンしたティザーサイトでは、当初、以下のようなメッセージが日にちや時間帯によってかわるがわる表示されていた。
- <<All engines on Kottos 2 destroyed!>> - コットス2のすべてのエンジンを破壊!
- <<Here comes the third strike!>> - 続いて第3射、来るぞ!
- <<Ridgeback One. Edge, report.>> - リッジバックス1、エッジ、報告を。
そして、7月19日時点で「∞」の文字だけが表示され、ティザートレイラーと共にタイトル発表に至った。
ちなみに5月頃には、欧州で既に商標登録がなされていることが海外ファンの間で明らかになっていた。
ティザートレイラーでは、
- 隕石らしき物体が落下するCGモデル(ユリシーズのように思われるが、落下している先は北米大陸)
- 巨大なクレーターが生じた東京都大田区と、その上空を飛んでいくT-50(PAK FA)
- 『04』のストーンヘンジレールガンに酷似した建造物のCGモデル
- 「A.D.2019」「SORTIE ORDER」の文字
- タイトルの背景に、メビウス1のリボンのような形で表示されている「∞」のマーク
などの要素が確認できた。
BGMは、どういうわけか、女性が軽やかに口ずさむ『マッピー』のテーマで、マッピーのキャラクターが描かれたヘッドホンも一瞬登場する。
「コットス」は『6』に登場した電子支援機の名前であり、いくつかのゲームニュースサイトなどでは『6』のリメイクではないかと推測していた(実際には、上記のような無線会話は『6』においては行われていない)。また、明らかにユリシーズの落下を示していると思われるメッセージや、ナガセケイ(長瀬ケイ)のコールサインであった「エッジ」なども登場している一方、現実世界のマップ・CGが表示されていたことで、内容の予想は困難であった。
現在になって考えてみると、これらの、従来作品に登場した要素が、現実世界を舞台に再登場するということを示していたと考えられる。
8月2日に公開された第二弾ティザームービーでは、エースコンバット04のBGM「Rex Tremendae」が流れ、
- プライベーティア(私掠船)、空賊などの単語
- 夕日を背景に煙の上がる東京都心と東京タワー
- 黒い震電IIによる4機編隊
- アイガイオン・コットス・ギュゲスによる空中艦隊
- 品川駅上空での空戦や、都心が表示されたブリーフィング画面
- 「スカイアイ」や「ストーンヘンジ破壊作戦」という無線内容
などが確認できる。
関連動画
関連コミュニティ/チャンネル
関連項目
- エースコンバットの一覧 / ACECOMBATMADシリーズ / アイドルコンバット
- ゲームの一覧 / ゲームのタイトル一覧 / STGのタイトル一覧
- ナムコ / バンダイナムコゲームス
- エアーコンバット
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