また、実在したカストラート カルロ・ブロスキ(通称ファリネリ)を主題とした1994年の映画「カストラート」についても本稿で記述する。
概要
変声期前に去勢された男性は男性ホルモンの分泌が抑制され変声期を迎えずに成人する。そのような男性がボーカルとしての訓練を受けるとおよそテナーからソプラノまでカバーする広い声域と男性特有の張りのある歌声を会得する。
中世ヨーロッパにおいては教会で女性が歌うことは忌避されていた。しかしながら音楽の発展とともに高音部のボーカルが必要となる。当初はボーイソプラノがあてられていたが、しだいにカストラートが用いられることとなる。カストラートは教会音楽からはじまり、しだいにオペラなどに活躍の場を広げていった。
カストラートの発見(去勢による変声期の回避の発見)は事故など偶発的なものであると考えるのが自然である。しかしながらカストラートの音楽上の優位が発見されると人為的にカストラートを生む、つまり変声期前の少年を去勢することが盛んになった。
現在は倫理的に問題があるため、人為的にカストラートを生む行為は行なわれていない。最後のカストラートも亡くなっており、生存者は一人もいない。しかし、カストラートが歌う事を目的として作曲された楽曲は現存する。この様な楽曲の場合、カウンターテノールやソプラニスタに歌唱させることもあるが、通常は女性のメゾソプラノが充てられる。例えば、オペラにおいてカストラートの楽曲が登場する場合、多くは女性メゾソプラノが男装をして歌うことになる。
映画「カストラート」
1994年、フランスの作品。18世紀に実在したカストラート カルロ・ブロスキ(通称ファリネリ)を主人公とし、去勢されたカストラートの苦悩、才能に差がある兄弟の確執、高音に頼りすぎた音楽からの脱却などを描く。
現存しないカストラートを再現するために声が非常に近い歌手を男女で選び出し、男女の歌声をコンピュータで合成した。それにより男性の声で女性の高音部まで発声するカストラートの歌声を再現している。
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参考文献・関連商品
カストラートについて
映画「カストラート」
関連項目
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