カリウム(ドイツ語 Kalium、英語 Potassium)とは、
1. 細胞内に存在し細胞内液と外液との浸透圧の調整を行なう元素である。ナトリウムと対を成す。本稿で記述。
概要
- 原子番号は、19、元素記号は、“K”、分類は、アルカリ金属、ミネラル。
- 中世ラテン語の「植物灰(Kalium)」、英語の「植物の灰(pot ash)」に由来する。
- 発見:1807年、水酸化カリウム(KOH)の電気分解によって単離された。
- 利用例:非常用酸素発生剤、光電子素子、写真の製版(KBr)、花火(クロム酸カリウム、過塩素酸カリウム)など
- 天然のカリウムのうち0.014%は放射性を持つカリウム40(半減期14.5億年)で、生物内の放射性同位体の中で最も存在割合が大きい。試しにカリウム含有量の多いバナナに放射線検出器を当ててみよう。カリウム40により、人体は62Bq/kg、バナナは109Bq/kg、ホウレンソウは229Bq/kgの放射能がある。カリウム40が壊変することによってアルゴンが生成する。
- 塩化カリウムは血液中に大量に投与されると細胞のイオンチャンネルを阻害し、心臓を止めて死に至らしめる。そのためアメリカでは死刑執行に使用される(苦痛を伴うため、麻酔剤と筋弛緩剤を併用する)。
- 腎臓の機能が落ちるとカリウムの排泄が困難になり、高カリウム血症で心臓が停止する危険が生じる。高度に腎機能が落ちた人はカリウムの吸収を抑える薬やカリウム制限食が必要となる。
- 輸液でカリウムを投与する際は40mEq(※Eq=mol数×電荷。カリウムはK+=1価なのでmol数と同じ)/L以下に希釈し、一時間投与量が20mEq、一日投与量が100mEqを超えないよう投与する。
- 意識不明の急患に輸液を行うときは高カリウム血症で倒れた可能性などが否定出来ないので、カリウムを含まない輸液から投与を開始する。
- シアン化カリウムはフィクションにおける殺人事件においてしばしば用いられる典型的な毒物、いわゆる青酸カリである。
性質
単体のカリウムは融点63℃、沸点759℃、密度0.86(水=1)、モース硬度0.4の銀白色の金属である。これらの物性は熱湯で融け、水に浮き、粘土のように柔らかいという事であり、このような金属元素としては他にナトリウムがある。ナトリウムと同様に空気や水と激しく反応するが、反応性はナトリウムよりも高い。(→関連動画) ちなみにナトリウムとカリウムの合金はNaKと呼ばれ、両者の比率によっては氷点下でも液体となる。
関連項目
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