カール・ポランニー / ポラーニ・カーロイ(1886~1964)とは、ハンガリーの経済学者、人類学者で、経済人類学の泰斗ともいうべき人物である。
ポランニーの生涯
ウィーンでユダヤ人家庭の次男に生まれ、ブタペストに移った。ハンガリー王立大学の法律・政治学部に入学したが放校処分となり、ハンガリー王立フェレンツ・ヨージェフ大学に転籍されて法学の博士号を取得した。
その後政治情勢の変化によってイギリスに亡命して資本主義を経験し、アメリカのベニントン大学に滞在して『大転換』を著す。その後は妻が共産主義運動にかかわっていたためカナダに移り、そこからコロンビア大学に通勤する生活を送った。
晩年は『人間の経済』や『自由と技術』などの著作を構想していたが、未完のままカナダで死去した。そのため彼の代表作はほとんどが没後に出版されたものである。
ポランニーの思想
ポランニーの代表作である1966年の『経済と文明』などの中で、市場や商業、貨幣などはすべての社会に普遍的なものなのではなく、それぞれが独立した起源をもち、独立した役割を果たしていることを論証しようとした人物である。つまり貨幣や交換は、人間の原初的な本能を起源とし、経済的機能はその結果であるとするのだ。
当初はこれまでの経済史の研究の問題点を明らかにし、革新することを目指していた。しかし古代のアテネ、17世紀のペルシア、18~19世紀のダホメ王国などの研究を通して、市場、貨幣などは共同体の内部から自然に生み出されたものではなく、外部との交易の必要性が貨幣を生み出し、対外商業の発展に伴って国内の商業も次第に整備され、市場はそれより遅れた時期に独立の要因として成立することを論証する。
そこでポランニーは共同体を成立させている3つの要因として、義務としての贈与関係である「互酬」、政治的、宗教的な権力に対する貢納と逆に権力側からの払い戻しの連環である「再分配」、そして資本主義的な市場における価格を媒介とした取引である「市場交換」、を指摘するのだ。
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