カール・ロベルト・シュタインメッツ(Karl Robert Steinmetz)は「銀河英雄伝説」の登場人物。
CVは石丸博也(石黒監督版OVA)、青山穣(Die Neue These)。
銀河帝国軍人、ラインハルト・フォン・ローエングラム麾下の提督。艦隊旗艦はフォンケル。
星を砕く者・黎明篇~風雲篇
時系列上の初登場は外伝「星を砕く者」。 ラインハルトが大将に昇進して旗艦ブリュンヒルトが下賜されると、その初代艦長となる。この時の階級は大佐。 艦長の選任はラインハルトが指名したもので、以前にも面識があるようであるが詳細は不明。 第四次ティアマト会戦では、戦闘中にブリュンヒルトの運用に口を出したラインハルトに直言し、職責の分別を説いて叱咤する。 ラインハルトは恥じ入り、シュタインメッツの言葉を是として襟度を示した。
やがて昇進して将官となり、提督の称号をおびると辺境星区へ転属する。艦長はロイシュナーが後任となった。辺境防備で武勲を立てたが、門閥貴族ならざる身では中将どまりであった。 リップシュタット戦役後に辺境の支配権を差し出してラインハルトの元帥府に入府し、念願の大将となる(石黒監督版OVAでは戦役中に帰順し、辺境派遣のキルヒアイスの別働部隊と合流している)。
”神々の黄昏”作戦では、第四陣となる。 ランテマリオ会戦にも参加(OVAでの登場は一シーンのみ)。
帝国軍がウルヴァシーに集結し、ヤン艦隊の蠢動が始まると、その動きを捉えるべく出陣。 ライガール、トリプラ両星系間の戦いでヤン艦隊と遭遇し戦闘を行うも、ブラック・ホールを利用した挟撃策に嵌められてしまう。 艦隊の半数をブラック・ホールで失い、三割を砲撃で失うものの、残った二割はブラック・ホールの双曲線軌道の推進力を利用したスイング・バイによって撤退する事に成功した。
バーミリオン星域会戦に際しては、他の提督達と共に同盟領の補給基地の攻略と、周辺航路の制圧にあたった。「バーラトの和約」が締結されると、同盟から割譲されたガンダルヴァ星系の駐留司令官に任ぜられる。 これは同盟領における駐留軍司令官を意味し、高等弁務官と同等の重職となっている。
飛翔~乱離編
ハイネセンの混乱では高等弁務官レンネンカンプが情報を規制した為、行動を起す事が出来なかった。 レンネンカンプ拉致の後は代理人として事態の収容と情報収集に奔走する。
マル・アデッタ会戦には参加せず、ガンダルヴァ星系にて同盟政府の牽制と監視、基地整備の任にあたった。 後にイゼルローンを追われたコルネリアス・ルッツと合流。会戦後はハイネセンへの露払いを務め、ラインハルトを迎えた。 同地ではフリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト上級大将とともに市街地の警備にあたり、暗殺された旧同盟最後の最高評議会議長ジョアン・レベロの葬儀委員長を務める。
「冬バラ園の勅令」後の組織人事では、ガンダルヴァ星系の駐留司令官を外れ大本営幕僚総監に内定する。回廊の戦いでは、メルカッツの作戦により、マリノ分艦隊がブリュンヒルトへの突撃をはかろうとしたのを察知してこれを防ぐも、 救援に来たヤン本隊とメルカッツ分艦隊の連携により艦隊は瓦解、旗艦フォンケルをも撃沈されて戦死を遂げた。艦隊司令部はマルクグラーフ少将を残して全滅。残った艦隊は統率を取ることができず、味方の指揮系統にも混乱を及ぼして帝国軍の苦戦の一因となる。
死後はラインハルトにより元帥に叙され、ジークフリード・キルヒアイス武勲章を授与された。後に建設された「三元帥の城」の名は、キルヒアイス、ファーレンハイト、シュタインメッツの三名を記念したもの。 残存した艦隊は、軍務省によって再編成されたがその後の消息は不明。
能力
用兵巧者であり一流の指揮官。有能で勇敢な軍人。 主に辺境警備での軍務で功績を立てた名将だが、中央に上ってからは武運に恵まれず、ヤン、メルカッツといった上位の用兵家を相手取り敗北を喫した。
大本営幕僚総監に任ぜられた事から(就任前に戦死)、艦隊司令官としてだけでなく、幕僚としての能力にも富む。 これを反映してか、ゲームでは高い運営・情報能力を備えた特殊なタイプの提督と設定されている場合がある。ただし、ラインハルトは当初、総監の座をヒルダに用意したものの、彼女が一兵も指揮したことがない身、と辞退した為にまわってきた人事であり、ラインハルトは純軍事的には参謀が不要ともとれる。シュタインメッツの参謀能力がロイエンタールに次ぐものだったのか、単に新領土総督府設立にともなってシュタインメッツが無役になるので名目上の人事だったのかは 解釈が分かれる。
統 率 | 運 営 | 情 報 | 機 動 | 攻 撃 | 防 御 | 陸 戦 | 空 戦 |
71 | 90 | 95 | 66 | 80 | 82 | 45 | 65 |
人物
上官に対しても直言する剛直な人為で、忠誠心と卑屈さとの区別を厳然とわきまえていた。 ハイネセンの動乱の際には、単独でハイネセンに乗り込もうとして事態収拾をはかり、危惧した部下に何かあった時は、自分ごとハイネセンを吹き飛ばし、 積年の混乱を一掃しろと指示したこともある。
当時の帝国軍提督の典型として軍律に厳しく、軍人が民間人に対しての圧力を加えるのを好まなかった。 部下達からも士心を得ていたようで、戦死後は復讐心をいだく者もおり、それを抑えるべくミッターマイヤーが出向している。 その死をうけて、ロイエンタール、メックリンガーも衝撃を受けた事から、同僚間でも重んじられられていた事が伺える。
原作小説では、容姿や年齢が不詳。石黒監督版アニメでは黒髪に顎鬚をたくわえた武人らしい、他の提督と同世代の風貌となっている。Die Neue Theseでは金髪と顎鬚の謹直な雰囲気を漂わせた軍人である。
部下として、クルーゼンシュテルン(副司令官)、ナイセバッハ、ボーレン(ともに参謀長)、リッチェル(ガンダルヴァ星系駐留基地総書記)がいる。
独身であったが、五年来の内縁関係にあったグレーチェン・フォン・エアフルトという女性がいた。断末の間際にも彼女の名を呼んでいる。 シュタインメッツの多くもない遺産は、遺言により彼女に贈与されることとなった。なぜ結婚しなかったのは、全宇宙が統一されるまでは家庭は持たないと考えていたからである。
自身を破ったヤンの顔を見る機会があり、線の細い青年学徒らしき風貌に、「おれはあいつに負けたのか」と憮然としたものの、その認識こそが敗因としてヤンに対する拘りを捨てた。どうしてシュタインメッツを高等弁務官にしなかった?
関連項目
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