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エヴァリスト・ガロア(1811-1832)とは、19世紀を代表するフランスの数学者である。10代後半で代数方程式の可解性を証明するために、集合論と方程式を絡めた群論の基礎を生み出し、現在の代数学を作り出した。
詳細は、Wikipedia「エヴァリスト・ガロア」
を参照してほしい。
概要
ガロアは、前述の通り天才的な数学者であった。彼はニールス・アーベルによる「五次以上の代数方程式には解の公式が存在しない」（アーベル・ルティーニの定理）の証明を簡略化し、その証明に用いた代数学の一分野である体論や群論、環論は今日の数学のみならず、物理学、情報学へと更なる発展を遂げ、我々の生活には無くてはならない存在とまでなっている。
しかし、彼の人生自体は天才の栄光を一身に受けた輝かしいものではなかった。執筆論文の数度にわたる紛失、共和主義と王政主義の対立の時代、父親の死、大学入試の失敗による挫折、など度重なる不運に見舞われ、最後は決闘による敗北でわずか20歳で死亡してしまった。
彼の家族は、詩を嗜む父ニコラと法学・古典に教養が深かった母アデライト、そして姉と弟に囲まれ、家族構成としては至極普通であった。しかし、1829年(ガロア18歳)のとき、王政復古の機運が高まり、教会の勢力はリベラルから保守主義へと傾き、父ニコラの文体を真似た卑猥な詩を作る、リベラルな思想を持っていたニコラを排除する動きを見せた。結果、彼は精神的に病み、パリのアパルトマンで自殺した。ガロアは、敬愛する父を失い、彼の心を大きく傷つけた。
彼はルイ・ル・グラン(入学は12歳)を卒業後、フランスでトップ校である理工科学校への進学を希望していたが、入学試験で二度失敗している。二回目の口頭試験では、試験官が対数に関する愚問をしつこく出し、更にガロアの答えに満足しなかったために、ガロアは怒り試験官に対して黒板消しを投げつけたことが伝説に残っている。「同じ学校への試験は二回までしか認めない」とあったために、彼は格下の大学である大学・準備学校(後の高等師範学校)に入学した（しかし、学校や校長に対する不満を公然と発言するなどによって放校処分を受けている）。
最初の論文はコーシーによって紛失、再び書いた論文はフーリエの急死によって未提出、ポアソンの手によって学会に提出された「ガロア理論」と後に呼ばれる論文「方程式の冪根による可解条件について」（1831）は「説明不十分で理解できないから、もっとわかりやすく書き直して欲しい」というポアソンの返事と共にガロアに返却された（要は却下された）。
彼が共和主義に傾倒していった理由は、リベラルな父の影響、挫折によって王政体制に対する不満の噴出、ルイ・ル・グランでの生活が影響したなど様々な要因が考えられる。なかでも共和主義者のオーギュスト・シュヴァリエと出会い、彼の影響を受けたことが大きいと考えられ、ルイ・ル・グラン在学時はフランス七月革命に参加しようとしたが学校側の対処によって校門にバリケードが張り巡らされ失敗した。その後も、激しい共和主義活動によって逮捕や処分を受けた。
逮捕されてから出所まであと1ヶ月のとき、コレラの流行に伴い療養所に仮出所したガロアは恋をした。しかし、そこで失恋を経験し、結果愛国者2人との決闘に挑まなくてはならなくなった。決闘に望む前に、「つまらない色女」に引っかかって2人の愛国者に決闘を申し込まれたために、別れを告げる旨の共和主義者への2通の手紙、およびポアソンから返却された論文の添削やシュヴァリエへの数学的な発想（ガロア理論の「原始的方程式」への応用や楕円関数に関するモジュラー方程式の考察、リーマン面理論の超越関数理論への応用と推察されている）を断片的に書いた手紙を、「時間がない」と走り書きしつつ大急ぎでしたためている。決闘を行った結果、ガロアは負傷、農夫に発見され病院に運ばれたものの、腹膜炎によって死亡した。
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