ウィリアム・”ビル”・キルゴア中佐(Lt. Col. William "Bill" Kilgore)とは、フランシス・フォード・コッポラ監督の映画「地獄の黙示録」に登場するサーファー兼軍人。
演じたのはロバート・デュヴァル。劇中の登場シーンは15分ほどだが、強烈な印象を残すキャラクターである。
概要
アメリカ陸軍第1騎兵師団(空中機動)所属、第9航空騎兵連隊麾下第1大隊長。テンガロンハットが特徴。
密命を帯びたウィラード大尉らが哨戒艇で目的地に向かう途中で合流、協力する事となる。
当初はウィラードを気にもかけていなかったが、同道するランスが有名なサーファーである事に気づくや波乗りに誘うなど、破天荒なところを見せる。
哨戒艇の侵入ポイントはベトコンの本拠地だった為に却下しようとするが、部下から「あそこはいい波が来ます」と聞くや、「何故それを早く言わん!」と、麾下のヘリコプター部隊を率いて強襲。
敵への心理効果を踏まえ、ワーグナーの『ワルキューレの騎行』を大音量で鳴らしながら編隊を組んで飛ぶシーンは屈指の名シーンである。
ヘリに撃ち込まれた照明弾を慌てず手で拾ってポイするなど、大変に肝が据わっている。
村を容赦なく焼き払い、機銃掃射でベトコンをなぎ倒す一方で、死にかけの敵にも敬意を払う、怪我をした民間人をヘリに乗せて救助するという両極端な一面を見せる。名言の宝庫であり、見るものに強烈な印象を残す事となった。
少し忘れっぽいところもあるが、部下からの信頼も強く、大変優秀な指揮官である。
作中の彼の台詞である
"I love the smell of napalm in the morning."「朝のナパームの匂いは格別だ。」
はハリウッド映画100年史上の12位の名台詞として名高い。AFI's 100 Years... 100 Movie Quotes
名語録
- 朝のナパームの匂いは格別だ。昔12時間ブッ続けで丘を爆撃してな、その跡を散歩したが死体一つ転がっていなかった。そこら中にガソリンの匂いがした……勝利の匂いだ。
- ベトコンはサーフィンをせん!
- ニュージャージー生まれにサーフィンが分かるか!
- はらわたが出るまで戦うやつには、俺の水をやる!
- 石器時代に戻せ!
余談
キルゴア中佐を演じたロバート・デュヴァルは同年のアカデミー賞助演男優賞にノミネートされるが、惜しくも受賞は逃した。前年の『ゴッドファーザー』の顧問弁護士にして相談役(コンシリエーレ)トム・ヘイゲン役でも同じくノミネートに終わっており、1983年の『テンダー・マーシー』で主演男優賞を受賞している。
なおエンディングクレジットではマーロン・ブランドに続いて2番目にキャスティングされている。ウィラード涙拭けよ。
2009年のゲーム『ベヨネッタ』に、グレネードランチャー「キルゴア中佐」が登場。両手両足に装備でき、重く強力な一撃を放つ。更に特定の組み合わせによる強烈な連射、通称「百烈中佐」は、ゲームバランスが崩壊するレベルの威力を誇る。
なおゲーム内のフレーバーテキストによると「ベトナム戦争で狂気に走って殺戮の限りを尽くし、地獄へ落ちて悪魔になった男の魂を宿している」とのこと。
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関連項目
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