ギリシア神話とは、小学校から図書室に入ってるなど神話の中では比較的手に取りやすい紀元前の古代ギリシアからある世界の神話の一つである。ローマ神話と一緒にして「ギリシア・ローマ神話」とも。当時の占いの重要さから、星占いに使われる「黄道十二星座」などにも大きく関わっている。
ニコニコではそれ以外にもこのタグが遣われる事があるが、ここでは説話のギリシア神話について記述する。
概要
本題に入る前に少し余談を。
例えばローマ神話には「軍神マルス」という神がいる。なんかどこかで聞いた気がする名前だが、これをギリシアに持っていくと凶暴イケメンプレイボーイの「軍神アレス」になる。
これは何故か。答えは簡単、「ローマ神話がパクッたから」。
…ちょっと詳しく言うと、かつて古代ギリシアに古代ローマが攻め入ったとき攻めた先にあまりにも壮大な神話があったため、神話を持たない古代ローマ人がギリシア神話を基盤に自分たちの神話を構築したから。
二つの神話にはそういうわけでいろいろ共通点があるので気になった方はグーグル先生にお伺いをたててみてください。
また、ここにある神話が全てではなくたくさんの説話があるので気になった方はグーグル先生にお伺いをt(ry
ギリシア神話は大きく「天地創造」「神々の時代」「英雄譚」の3つの体系に分かれる。
全部詳細に書くと読む気も書く気も失せるほどの量になるので、当記事ではさらっと解説するに留めておく。気になった方はグーグル先生n(ry
天地創造
むかしむかしあるところに、カオスという色々なものが混ざり合ってドロドロしたものがありました。
そのドロドロの中から大地(ガイア)、奈落(タルタロス)、愛(エロス)、幽冥(エレボス)、夜(ニュクス)が出てきました。
そして大地の女神・ガイアから天の神・ウラノス、海の神・ポントス、さらに山々が産まれました。
ウラノスは母体であったガイアの夫となりました。ここから既に近親相姦の予感。
夫婦は地上に降り立ち、木や花、鳥獣に加え三人の百腕巨人(ヘカトンケイル)、三人の一眼巨人(キュクロプス)、数多くの巨神(ティタン)を産みました。
ウラノス「そんなに産んで大丈夫か?(俺の身の安全的に)」
ガイア「大丈夫だ、問題ない(母体の健康状態的に)」
しかし心配性のウラノスは産んだ子供(かいぶつ)たちを全員地下の奈落に監禁。自分の子供を監禁されたガイアは当然ご立腹。ここでは紀元前8世紀の書物「神統記」を基にしているのでこれが史上初の夫婦喧嘩じゃないかとも思うが真実は闇の中。
そこでガイアは監禁されていなかった我が末息子、農耕の神・クロノスにアダマスの鎌といわれる鎌(金剛の斧や てつのかま だったとも)を渡してウラノスを殺すよう依頼しました。
ちなみにアダマスの鎌はガイアの体内でできた金属「アダマス」を原料としていて、アダマスはダイアモンドの語源にもなっている。
そして息子は父親のtntnを切り取るという形で立派に依頼を達成したのでした。
しかし大事なものを切り取られてマジギレしたウラノスに「お前も自分の息子に殺される」と呪いの予言をされてしまいました。
その後クロノスは血縁であり姉のレアと結婚しヘスティア・デメテル・ヘラ・ハデス・ポセイドンの5兄弟をもうけますが、予言にビビっていたため子供たちを次々と自分の腹の中へ飲み込んでしまいます。
悲しんだレアは最後の息子・ゼウスをクレタ島という島にかくまい、夫には産着を着せた岩をゼウスだと言って飲み込ませました。気づけよ
その後、成長したゼウスは思慮の女神・メティスから「はちみつに辛子と塩を混ぜた何か」(嘔吐剤)をもらい、それを使って兄弟を吐きださせました。
ここでクロノスはレアから産まれた順番と逆の順番で子供を吐きだしたのだが、それが理由でハデス・ポセイドン・ゼウス三兄弟の出生の順番まで逆になってしまう不思議。つまり長兄だったハデスは兄弟で一番最後に吐きだされた為に一気に末弟になってしまったわけである。
そして序盤に出たガイアおばあちゃんの助けにより奈落から怪物たちを出してやった神々御兄弟はクロノス父さんと「ティタノマキア」と呼ばれる全面戦争に突入。かの有名な「ポセイドンの三叉槍」はこの戦争に勝つためにキュクロプスたちに作ってもらったものである。ゼウスは稲妻と槍、ハデスは隠れ帽子を貰っている。
10年もの時をかけて戦い、軍配はゼウスたちに上がりました。ゼウスは父とその味方を全員奈落に幽閉、ヘカトンケイルをその番人にしましたが、父の味方であった巨人・アトラスにだけは「天をその腕で一生支えてろ」と永久就職口を紹介しましたとさ。
ちなみにティタノマキアにはクロノス率いるティタン神族から半分裏切り半分スパイのような形でプロメテウスという賢者がゼウス側に寝返っている。しかしティタンの敵討ちをしようとしたことや下界に火を伝えたことがバレ、「岩山に括りつけ生きながら肝臓をオオワシについばませる刑」に刑期3万年で処されている。
神々の時代
「オリンピック」の語源になった「オリンピア山」(実在)にはギリシアの神々が住んでいましたとさ。ここでは天に住むでもなく人のように地下か地上で暮らしているというオリンピア在住の神々「オリュンポス十二神」を紹介するに留めておくので、詳しくはグ-グル先生へ。
ゼウス
「ゼウスの雷霆(らいてい)」という雷と槍を持つ淫m最高神。神々の王。木星に対応している。名前は「天空」を意味し、天を司り気象を操る。妻は姉のヘラ。おじいちゃんに天の神・ウラノスがいるが影が薄すぎて忘れ去られている。
ゼウス主体の新しい秩序を構築したその後、ティタノマキアで味方だったガイアおばあちゃんがこれを快く思わずに放った刺客をオリュンポス神総出で捻り潰すという快挙を達成。
妻との関係はいいとは言えなく、種族は関係なく出会った女性をいろんなものに変身までして追いかけまわした後に孕ませるという行為を何十回も繰り返している。そんな夫を持った妻は「婚姻の女神」だったりするのだがまあいい。
ヘラ
クロノスとレアの末娘で、同じく末息子のゼウスの姉にして妻であり神々の女王。
名前は「貴婦人」を意味し、結婚・貞節・婚姻を司った。かつては出産も司っていたがそれは娘に譲ったらしい。
夫・ゼウスとの出会いは実にロマンチック。ある雨の日、カッコウに変身したゼウスがヘラの服の裾に潜り込み雨宿りをした。・・・あれ、見ず知らずの女性の服に潜り込むって非常に紳士な行動ですね。
結婚してからは貞節を守り夫以外の男と関係を持ったことはなかった。しかし夫が夫なのが運のつき。ゼウスの浮気性にキレたヘラはその被害者に怒りの矛先を向け、不倫相手とその子供を徹底的に迫害という逆ギレ…おや、誰か来たようだ。
ポセイドン
紺黒の髪とたっぷりの髭をたくわえた神様ナンバー2。海王星に対応している。ゼウスと王座を争った際、もう少しで勝てたという。現在の役職「海の神」はどうやらくじ引きで決まったらしい。
武器・トライデントで海と大地を操る。キレると大嵐を炸裂させる。
妻は海神・ネレウスの娘、アンピトリテ。彼女との間に生まれた子供が人魚・トリトンと巨人・アルビオン。トリトンはホラ貝を吹き鳴らして海の荒れを沈め、アルビオンはイギリスの所在地、ブリテン島を発見した。
後述する姉、穀物の神・デメテルとの間に神馬・アリオンを産んでいる。
何故馬なのかって?そりゃぁ…馬に変身した者同士が交配したらそうなるでしょ。(馬に変身してポセイドンから逃げてた彼女を馬に変身して追いかけたという逸話つき)
もともと馬はデメテルの気を引くためにポセイドンがキリンやらラクダやらを作り出した結果なので、彼は「馬の神」とも呼ばれている。
ハデス
冥府の王。「富める者」という意味の「プルートン」とも呼ばれ、直接名前を言うことを避けるためにこちらで呼ぶことも多い。
悪くない性格で、ティタノマキアでもゼウス側の一番槍として姿を消せる帽子(兜)で敵大将・クロノスに近付き武器を奪い取るという快挙を達成したにも拘らず、その後の役職くじびきで「冥府」を引いてしまったため地獄に追いやられ神々に蔑まれるという逆VIP待遇を受けた。妻さえも忌み嫌うというこの徹底ぶり。
まあ、ゼウスとデメテル(後述)の娘・ペルセポネに一目ぼれして嫌がる彼女を直々に拉致して無理矢理妻に迎えたんだからしょうがないか。因みにお義父さん(?)のゼウスはこの誘拐劇を事前に承認済。
しかしお義母さんのデメテルには寝耳に水の話で、冥府に娘をやる事を怒った彼女は「豊穣の女神」の役職をストライキ。みるみるうちに枯れ果てた大地を見てゼウスもハデスに「返してあげてよ」と相談。ハデスもそれを承認…
しなかった。
ペルセポネに「地上に帰れるって」とぬか喜びをさせ、冥界の食べ物、ザクロを食べさせる。日本神話のイザナギ・イザナミのように「冥界の食べ物を食べたら地上には帰れない」というのが世界の秩序のようで、ペルセポネもかくして冥府ファミリーの一員になってしまった。しかし「一生帰れない」イザナミと違い彼女の場合「1年の3分の1」だけで済んだ様子。
ゼウスたちもこうなってはペルセポネをハデスの妻と認めざるを得なくなったが、当のペルセポネには不本意極まりない出来事で彼女は夫を恨んでいた。
しかしその夫がメンテという妖精と不倫した際はペルセポネはメンテを踏みつけご存じハーブの「ミント」に姿を変えてしまった。
アテナ
ゼウスと知恵の神・メティスの子。戦の知略・知恵・工芸・学芸の女神。フクロウがペット。
メティスの子は親より強くなるとの予言に従い、ゼウスはメティスが孕んだと知った途端、飲み込む。解決方法を考える脳に乏しい
しかし母体を飲み込んでもその胎児はすくすく成長。そんなある日頭痛に悩むゼウスに後述する神・ヘパイストスが一言。
「頭カチ割ったら治るんじゃね?」
神なんだからここは頭痛薬でも何でもこさえればいいのに、あまりに乱暴というか明らかにアウトな助言に従い(!!)ゼウスはヘパイストスに頭を割ってもらった。すると、鎧兜をデフォルト装備した女神が雄叫びを上げながら飛び出してきたのである。
さすが一番いい装備で産まれた戦いの神というだけあって、後述の軍神・アレスと喧嘩した際には一発K.O.し、ギガントマキアの際には自称・最強神のエンケラドスに圧勝。しかも負け逃げするエンケラドスに現イタリアのシチリア島をぶん投げ押しつぶすというおまけつき。同僚の神々ともいろいろ喧嘩をしている。
彼女の装備は鎧兜はもちろん、盾も一級品だった。アテナはゼウスから貰った「アイギス」という盾(胸当て・肩当てとも)を装備し、英雄ペルセウスから「助けてもらったお礼です」と頂いたメドゥーサの首をその盾にくっつけて「石化能力」を完備させている。ちなみにアテナはメドゥーサを金髪美女から蛇女にした張本人。
ヘパイストスにストーキングされたりケフィアの様な何かをくっつけられたりするほどモテた。ただ、アテナはそこまで好きじゃなかった様子。
アポロン
ゼウスとレトの息子でアルテミスの双子の兄(もしくは弟)。太陽神で芸術・光明・予言の神。シスコンでイケメン。ゼウスにもらった竪琴と男性を即死させる銀(黄金とも)の弓矢を持って太陽という名の黄金の馬車で空を駆け巡る。彼のいる矢はどこまでも届き、疫病を蔓延させる事ができる。結構迷惑な気がするがいいか。
ゼウスの妾の子だったため胎児の段階で女王・ヘラに迫害されるが、レトの姉妹でゼウスに白鳥に姿を変えられたアステリアの上で産まれた。その後感謝のしるしとしてその出生の地、デロスをギリシャの中心に据えた。
カラスが黒いのはアポロンの恋人の死の原因を作ってしまったため「永久に喪に服してろ」と黒く塗られたからとか。
彼が頭に月桂樹を被っているのは、月桂樹にされてまで彼の求愛を拒んだダプネという妖精を偲んでだという。また、ヒヤシンスはアポロンが愛した少年・ヒュアキントスを偲ぶアポロンの涙から生まれたという。
アルテミス
アポロンの双子の妹(もしくは姉)。月の女神で狩猟・弓術・清浄の女神。ヘパイストス特製の女性を即死させる黄金(銀とも)の弓矢を持ち、星が降り注ぐように矢を放つ。
前項で述べた「レトの出産」があまりにも難産だったため、見かねた虹の女神・イリスがヘラの娘で出産の女神・エイレイテュイアをこっそり連れてきてその場を乗り切った…
という話もあるが、本当はアルテミスが兄より先に産まれ、産まれて早々助産婦を務めたなんて話もあるのでアルテミスは出産の女神とも言う。
だが自身はゼウスに永遠の処女を誓い、それは付き人らにも恋愛禁止令を出すアイドルグループ並みの徹底ぶり。ちなみに破ると破門されたり殺されたりする。
基本は優しいが有事になると恐ろしく冷徹になる。一例として、母・レトを暴行しようとした巨人を兄と倒したり、水浴びの現場を偶然見られた狩人をシカに変え、その狩人の猟犬に八つ裂きにさせたりしている。怒らせると怖い。
そんな彼女は有名な狩人のオリオンといい雰囲気になるが、シスコンの兄貴の作戦で自ら彼を殺してしまう。お兄ちゃん、見苦しいよ。
兄「アルテミスー、あの辺りに矢を放ってごらん」("あの辺り"にはオリオンを括りつけておいたんだよ!)
妹「はい、お兄ちゃん、こう?」
アフロディーテ
海にこぼれたウラノスの血の泡から産まれた愛と美の女神。金星に対応している。トロイア戦争の発端でもある。オリンポス12神で唯一ゼウスの血をひいていない。ローマでは「ウェヌス」、英語では「ヴィーナス」。みんな大好き「ヴィーナスの誕生」で貝から出てる張本人である。
天地創造の際に切り取られたウラノスのtntnを海に捨てたところ、泡を吹いて誕生した。その時に彼女の色香に魅せられた西風が彼女をギリシャに運んだという。
色気命なので特に武勇伝はない。あげるとしたら夫のヘパイストスに軍神・アレスとのベッドシーンを目撃され、キレた夫にベッドのまま二人一緒に吊るされ人目に晒されたくらい。
属性としては浮気相手をたくさんもつようなビttうわなにをするやめ
アレス
ゼウスとヘラの息子。戦争の暴悪を司る。火星に対応している。ガタイがよくイケメンだが頭はよろしくない。
アテナと戦った際ひたすらゴリ押し戦法で負けた。神に負けるのはまだいいほうで、人間とのタイマンですら負けるというこの弱さ。
こいつが最高神とその正室の子である。
だが、ローマ神話に組み込まれると「軍神マルス」としてローマ軍人に崇められた。
デメテル
クロノスとレアの次女。豊穣と大地の女神。優しい。
キレると世界を飢饉にするため、食べ物が欲しければ絶対に怒らせてはならない。
なのにある日テッサリアというところの王様が彼女の聖地の森の木を屋敷の材木にするために根こそぎ伐採して持って行ってしまった。
最初はやんわり諭したデメテルに話を聞かない王様。この問題は「お前は話を聞かないからな」では済まなかった。
彼女は王様を「何をどれだけ食べても満腹にならない常時飢餓状態の体」にしてしまった。王様はあらゆる食料を喰いつくし、財産すべてを食料に変えても満たされることはなく、最終的に自身を食べるというセルフカニバリズムで死んでしまった。
しかし怖い女神さまは食べ物の為に売り飛ばされて奴隷にされた王様の娘を助け、恩恵を施したという。やっぱり優しかった。
ヘパイストス
ゼウスとヘラの息子。火山・鍛冶の神。
…ただゼウスの血は引いてないらしい。夫の浮気性にキレたヘラが自力で孕み、出産までやってのけたという。どんな体してるんだ。
生まれつき足が不自由で、それが理由で一回母親に海に捨てられた事がある。だがテティスという妖精に拾われた彼は鍛冶能力を鍛えて成人し、その母親に「座った瞬間鎖が巻きついて動けなくなる椅子」を贈る。まんまと罠にかかった母親にヘパイストスは自分の認知と引き換えにこの罠を解くという交渉をし、神々に迎えられた。
前述のプロメテウスというクロノス方の賢者を岩に括りつけた鎖も彼のお手製。
ヘルメス
ゼウスとマイアの息子。伝令・商業・泥棒・旅人の神。水星に対応している。ゼウスの妾の子で唯一ヘラに迫害されなかった。
何故迫害されなかったかというと、生まれてすぐに前述の神・アレスと入れ替わりその母乳を飲んで育ったから。さすがのヘラも母乳を飲ませた子供を正体を知った後も迫害する気にはなれなかったよう。
また彼は盗みのプロで、産まれたその日から異母兄アポロンの飼い牛を盗んで食ったという。しかもそれでキレたアポロンを亀の甲羅で作った竪琴で鎮めている。
世渡りの才能を認められた彼はつばの広い帽子と翼の生えたサンダル、先っぽで2匹の蛇が絡み合う杖を持って「神々の伝令役」として今日も空を飛びまわる。使者を冥府まで導く案内役も兼務。
ヘスティア
クロノスとレアの長女。家庭の守護神でかまどの女神でよく神々の仲裁役になる。神々の中で唯一良識のある女神。良識がありすぎてアクの強いオリュンポスファミリーの陰に隠れてしまう不憫な子。
そんなわけで彼女には派手な逸話はない。あげるとしたらゼウスの子、後述するディオニュソスに「十二神」という高い地位を与えたいが席が空いてなくて困っているゼウスに
「私が十二神の座を降りましょう」
と、自主退職しているくらいか。彼女は何よりも炉のそばで火の番をすることが好きだったという。
彼女は求婚をすべて拒否し、永遠の処女を貫いているが子供たちの成長を見守るのが好きで、「孤児の庇護者」としても知られている。
ディオニュソス
ゼウスと人間・セメレの息子でドS。豊穣と葡萄酒と狂乱の神。「酒の神・バッカス」とも。
もともと人間の女・セメレの胎児だったが、例によってヘラに迫害され殺されている。セメレの死後、ゼウスは彼女の腹から胎児のディオニュソスを取り出して何故か自分の太ももに埋め込んで臨月まで育てている。
そして産まれた子供なので名前は「二度生まれしもの」を意味し、人間でありながら不死である。
ヘラの迫害から逃れながらブドウの栽培法と葡萄酒の作り方を身に付けた彼は、民衆にそれを広めた。しかし彼の広めかたは非常に騒乱を伴ったためペンテウスという王がこれを禁止した。
するとその禁止令について暴徒化した民衆によって王は殺されてしまった。その暴徒の中には王の実母の姿もあったとか。
テュルソスというブドウとキヅタの2種類のツタに絡まれ先端に松ぼっくりのついた杖を持っている。この杖にキヅタが絡まる理由は、ディオニュソスの母・セメレが殺される際、ヘラがゼウスを騙して雷をセメレに直撃させようとしたところキヅタが雷を胎児のディオニュソスに当てないよう遮ったからだとか。
ちなみにディオニュソスの周りには「マイナス」という基地外女性信者がとりまいていて、彼女たちもテュルソスを持っている。彼女たちが絵画に起こされる際はだいたいイナバウアーをさせられている。
英雄譚
やはり英雄の話も枚挙に暇がなさすぎるので、ここでは神々以外の有名どころをサクッと紹介させていただくに留める。
ペルセウス
英雄としての彼はギリシア神話の中でもかなり古参なほう。ゴルゴン三姉妹の末娘・メドゥーサを退治した張本人で、ゼウスと人間女性の子。つまり半神半人。人里育ち。
神々のお気に入りで、アテナ姐さんから黄金の盾、ヘルメス兄さんからはよく切れる刀身の曲がった黄金の刀(ハルペー、の方が分かりやすい?)とワシより速く飛行可能なサンダルを、妖精からはとうめいマント姿を消せる帽子とゴルゴンの頭を入れる袋・キビシスを頂いている。
ちなみにワシの飛行速度は100km/hを超えている。普通の人間が生身でヘルメスのサンダルを履けば大惨事は間違いないだろう。さすが半神半人。
メドゥーサを退治した帰りに岩に括りつけられた海の怪物への人柱、アンドロメダ姫を救助してめとったのも有名。
ちなみに神々の元へ帰ったペルセウスは、世界を支える巨人・アトラスにちょっと冷たくされたからといって石化作用のあるゴルゴンの首を使ってアトラスを石に変えている。ツンデレの心得はなかったようだ。
メドゥーサ
前述のペルセウスに斬首刑に処されたあげくあちらこちらに生首が連れまわされた不憫な子。ペルセウスに殺される時点でポセイドンの子を身ごもっていた。
海神・ポセイドンの求愛をアテナの神殿で拒んだところ、アテナ姐さんの逆鱗に触れて一瞬のうちに三姉妹もろとも怪物に変えられて、ステンノとエウリュアレという上の2人の姉は不老不死なのに一人だけ不老不死じゃないうえ赤銅色の肌と毒蛇の頭を持たされた元・美人であり不憫な子。身長2m。
メドゥーサの生首はその後、アテナに献上されて彼女の盾、アイギスにくっつけられたとも、ペルセウスが帰りに魔力を恐れて海にポイ捨てした結果、今でも海中を彷徨いながら海の宝石と呼ばれるサンゴを大量生産しているともいわれる。後者なら環境保護の名目で世界の海洋学者が一丸となってこの生首を探索する必要があろう。
ペガサス
空翔ける天馬。勇者の名前ではなくあの白くて羽根の生えたゼウスの雷を運ぶ体長2~3mの馬である。ペルセウスが身重のメドゥーサの首を取った際に切り口から滴った血が大地に染み込み、黄金の剣を持つクリューサーオールと双子で誕生した。
ベレロポンという英雄とともにキメラ退治をした。その後調子に乗ったベレロポンを神々がこらしめる際、鼻に神々の放ったアブの針を喰らうというとばっちりを受けている。アブからの攻撃にビビったペガサスは痛すぎて飛び上がり、そのまま星座になった。素晴らしい跳躍力である。
キメラ
ファンタジー界で有名な合成獣の元ネタはギリシア神話だった。
魔神・テュポンとエキドナの間に生まれたライオン・雄ヤギ・蛇の頭を持った怪物で、半端ない腕力と炎を吐く能力を有している。だいたい体長3~5m。
胴体が雄ヤギだったり蛇の頭が竜だったりするがだいたい色んな生き物がミックスされてればキメラになる。英雄・ベレロポンに退治されレッドデータブックに載る前に絶滅済。しかし生物学なんかでは「由来の違う複数の物質からできたもの」なんて意味で名前がつかわれる。
ベレロポン
キメラ退治をした英雄。退治に行く道中にペガサスを捕まえ、その背中に乗ってキメラを倒した。その際キメラの口の中に鉛玉を投げ込み、キメラ自身の吐く炎で鉛を溶かして毒素を回すという化学的な戦術をとっている。
退治に成功した後「よっしゃこれで神々のお気に入りだぜ!」と調子をこいて天界に上がろうとしたためにゼウスに制裁を喰らう。どんな制裁を喰らったかは前述のペガサスの欄を参照のこと。ペガサスが飛び上がった時に思いっきり落馬、地上に叩きつけられた。
ヘラクレス
言わずと知れたギリシア神話の英雄で豪快な正直者。美術界ではよく全裸にライオンの毛皮を被ってこん棒や弓矢を携えている姿が目撃される。怪力で軍神・アレスに圧勝したり「天地創造」で出たアトラスの代わりに世界を支えたこともあった。
アルゴスの王女・アルクメネとゼウスの子。つまり半神半人。名前は「ヘラの栄光」を意味しているが、彼もまた例にもれずヘラに迫害されまくっている。ヘラは「乳吸わしたってー」とゼウスに言われ、母乳をヘラクレスに飲ませたがその吸引力は世界でただ一つというか尋常じゃなかった。あまりにも痛くてヘラクレスを突き飛ばした際に飛び散った母乳が天の川なのだという。常識だが天の川は英語で書くとMilky wayである。
そもそも彼が半神半人に産まれたのはガイアが遣わせた刺客の「神には倒せぬ」巨人・ギガンテス駆除のためだった。わざわざ王女の夫に化けたゼウスが王女を騙して身ごもらせたのはそういうわけのようだ。
そしてヘラクレスは何事もなくギガンテスを駆除し、その後テーベ王クレオンの娘・メガラをめとって幸せに暮らしました。めでたしめでたし。
とは行かず。
ヘラはヘラクレスが家庭を持って幸せの絶頂にいる時に精神を狂わせて彼自身の手で妻子を惨殺させている。当たり前だが正気に返った彼は絶望してしまった。
そこで太陽神・アポロンが「12の功業を成し遂げたら許してやってもよくない?」と提案。ミュケナイ王に弟子入りならぬ奴隷入りし、その後12年(10年で10の功業とも)かけて功業という名の怪物ハント(中には「30年間掃除されてない部屋の掃除」とかもあったらしいが)を1年に1つペースで消化し無事終了、晴れてヘラクレスは自らの罪から解放されたのであった。
その後2番目の妻をめとり、幸せに暮らしました。でめたしでめたし。
とは行かず。
ヘラクレスの敵が妻を騙して彼に「毒をぬった下着」を着せたのだった。ヘラクレスは焼けただれ、自らを山の頂上で火葬にふして死んだ。
その後神々の元に召された彼、はヘラと和解して3番目の妻(ヘラの娘)をめとって今度こそ幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
ちなみにあの有名な「スパルタ軍団」を率いてペルシャに攻め入っているレオニダス王という人物は、ヘラクレスの血を引くという二つの王家の片われ、アギス家の主である。
ケンタウロス
馬の首から上が人間になったアレである。森に住み、弓矢をよく持っているのが目撃される。酒好きの乱暴者で気に入った女性をよく拉致する変態紳士。
しかし世の中には例外がいて、ケンタウロスの賢者・ケイロンはヘラクレスの師匠だった。薬草の知識にたけ、ゼウスから不死身の能力を貰っていたケイロンだったが、ヘラクレスとケンタウロスの間に抗争が起こった際ヘラクレスの放った毒矢が命中してしまう。
毒があまりに苦しいので自ら死を選んだケイロンはその後ゼウスによっていて座にされている。
アキレウス
「アキレス」とも。英雄・ペレウスと海の女神・テティスの息子で前述のケンタウロスの賢者・ケイロンが養父となって育てた半神半人の不死身な英雄。着けているのは神お手製の鎧や神の結婚祝いの鎧、つまり一番いい装備ばかりつけている。気性が荒く赤みがかった金髪で足が速いイケメン。いわゆる「キレる若者」である。ケイロンから父親経由で「アキレウスの槍」という重すぎて彼にしか使えない巨大な槍を頂いている。
ちなみにこの槍の柄は北欧神話の神・オーディンの槍「グングニル」と同じトネリコという木でできている。トネリコは現・アイルランドにいたケルト人に「宇宙の秩序の象徴」とされ、北欧神話ではすべての中心、世界樹・ユグドラシルがこれであるとされる。
話はギリシアに戻って、アキレウスはその槍を使ってたくさんの功績をあげている。この槍で受けた傷は錆、または鉄粉をアキレウスの槍から削って塗らない限り治らないから功績をあげられるのは当ぜんっちゃあ当然であるのだが。
そんな彼にも弱点がある。かつて母・テティスが我が子が不死身になるようにと魔法の川まで出向き、かかとの辺りを持って逆さづりの状態で川の水にさらした。なんという児童虐待
魔法の水につけたおかげでアキレウスは不死身になったが唯一テティスが持っていた部分だけ水はつかなかった。
アキレウスがギリシャ側の兵としてあの「トロイア戦争」に参加した際、ギリシャ側総指揮官と喧嘩したり最強の英雄として戦果をあげたりしたが、百発百中狩猟の神・アポロンの祝福を受けたトロイア兵にかかとのあたりを射抜かれてあっさり死んでしまった。
その射抜かれた部分は今日「アキレス腱」と呼ばれ、切れやすく準備体操でよく伸ばさなくてはいけない個所の一つになっている。
オルフェウス
オルペウスとも。アポロンとカリオペという女性の子。アポロン父さんから貰った竪琴をいじくってたら竪琴の名手になってた。その音色は人間だけでなく動物まで酔わせるほど。その音色で海の怪物・セイレーンを打ち負かしたりしている。
オルフェウスは大きくなって、エウリュディケという美人な妖精と結婚している。しかしエウリュディケは散歩中にアリスタイオスという見ず知らずの男に一目惚れされ、追いかけまわされた後に逃げる途中で毒蛇に噛まれるという不慮の事故で死んでしまった。
愛した人を失ったオルフェウスは黄泉の国へ向かい、立ち向かってくる奴らを竪琴で大人しくさせて冥界の王・ハデスに会う。オルフェウスが「妻を返してくれませんかね」というとハデスは「かわいそうだね、だが断る」と一蹴。
しかしその后のペルセポネが「返してあげてよー」とオルフェウスに加担。
妻に言われちゃしょうがない、ハデスは「返してあげるけど地上に出るまで後ろ向いちゃダメだからね!!」とオッケーをくれた。
しかし地上に出る一歩手前で本当に後ろについてきているか心配になったオルフェウスが後ろを振り返ってしまい、結局エウリュディケは帰ってこれなかった。
似たような話がとある極東の島国にもあるが気にしない。
以降オルフェウスは女を避け、妖精の女たちに誘惑された際には持てるスルースキルを最大限発揮して過ごしていた。
そんなある日、ディオニュソスのワインパーティーで酔った妖精たちがオルフェウスを指して「アイツねー、あたしのことバカにすんのよー!!!!」と発狂。
オルフェウスは手足をもがれ、頭と竪琴は川に捨てられ、最終的に妖精の女神様たちがバラバラ死体を丁寧に集めてリベトラなる場所で埋葬された。その後ゼウスによって竪琴は回収され、星の中に置かれた。
死んだオルフェウスは黄泉の国の入国審査に受かり、愛するエウリュディケとまた結ばれた。よかったね!!
クリュティエ
水の妖精。アポロンに愛されたが彼の愛人を破滅させたことから見捨てられてしまう。
見捨てられたクリュティエは泣きながら冷たい地面に座ったままずっとアポロンの象徴である太陽とその軌跡を見つめ続けていたが、結局クリュティエは9日間耐えた後死んでしまった。
ひまわりが太陽の方向を向くのは、クリュティエの死後にその地に根を張りひまわりに生まれ変わったからだという。
セイレーン
鳥の姿をしているという合法ロリ。恐ろしすぎるので魔女ともいう。イタリアはシチリア島に住み、美しい歌声で船を難破させる程度の能力を持つ。
地中海には船乗りがロウソクのロウで耳をふさいでその場をしのいだ話や船乗りがセイレーンより美しい歌で打ち勝ったという話もある。ロウソクのロウで耳をふさぐなんてよい子のみんなは真似しないでね!
男性を誘惑するのに失敗すると恥ずかしさのあまり死んでしまうとか。
ちなみに緊急車両の上部などに生息し甲高い音で警告を発する「サイレン」の語源である。
ラミア
ギリシャは中央ギリシャ地方の主都で、同地方フティオティダ県の県都…の語源になったポセイドンの孫娘。口笛の名手。体長150~300cm。
リビアの女王で美人だったラミアは、ゼウスにひっかかり見初められて子供を授かった。そしてヘラに八つ当たりを喰らう。ここまでがテンプレ。
ラミアは下半身を蛇にされ、ゼウスとラミアの子供を喰らいつくす呪いとその悲しみから眠れなくなる呪いと話せなくなる呪いをかけられた。
アンタが悪いんだろうにそれを哀れに思ったゼウスは、最高神なんだから治してやるくらいのことはできないのだろうか。何とラミアが眠れるようにと目玉をくりぬいた。
しかし自分の子供だけでは飽き足らなくなったラミアは人の子まで襲うようになってしまったのであった。ギリシアママは言うことを聞かない子に「ラミアが来るよ!!」と脅してたらしい。日本には「鬼子母神」として似た話が伝わっている。
グリフォン
百獣の王・ライオンの腹から頭までを鳥類の王・ワシに置き換えて羽を生やした感じの生き物。紋章学では「知識」の象徴になっている。
雑食で鎧を着た兵士を美味しくいただいたりする。なぜか巣作りを財宝の近くにするのでグリフォンの近くに財宝があるのは間違いない訳だが、どんな装備だろうが見つかったらもれなく美味しくいただかれるので注意。
ミノタウロス
「ミノスの牛」という意味の名前のついた2~3mは身長のある頭が牛のマッチョ野郎。凶暴で大好物は人肉。クレタ島のミノス王の妻、パシパエの子。つまり王子なわけだが王の血はひいていない。
王様がポセイドンとの「ちょっと牛を貸してもらう約束」を破った(違う牛をポセイドンに返した)ためにとばっちりで「牛に惚れる呪い」をかけられたパシパエと雄牛が獣姦した結晶が彼である。
王妃の子のためミノス王はミノタウロスを殺せず、迷宮・ラビュリントスに閉じ込めておいた。何故かアテナからたくさんの少年少女(食用)をいただいていたため、ご飯代は気にならなかったよう。アテナはその食料になる子供たちの中に自分の息子・テセウスを紛れ込ませてミノタウロスを退治している。
いろいろ「怖い怪物」のように見えるがそもそも事の発端は約束を破った誰かさんである。
ケルベロス
さくらちゃんの隣にいる黄色くて関西弁のあのコ…のように可愛らしい生物ではない。犬の頭が3つ、尻尾は大蛇、首からは無数の蛇が顔を覗かせるあまり夜中に会いたくない感じの生物である。3つの頭は順番に寝るため、警備会社と契約せずとも24時間警備可能なのでぜひ一家に一匹。
冥界の番犬で、冥界と地上界の行き来を完全シャットダウンしている…
が、音楽を聴くとすべての頭がスリープモードになるので、竪琴使いのオルフェウスの侵入を許してしまったことがある。
また、12の功業遂行中のヘラクレスに地上に引きずり出されたこともある。その際あまりの乱暴な扱いに苦しんで出したよだれがトリカブトという草になったという。
アラクネ
アジアに住んでいたという彼女は、はた織りの名人だった。周囲の人間がそれを見て「ねぇ、それって技術の女神、アテナ様に習ったの?」と聞くとクールにこう返した。
「別に?」
しかも「アテナ様と競っても勝てるしw」なんて発言をしたのがアテナの怒りに触れ、技術の神直々にスパイダーマックモに変えられてしまった。口は災いのもとである。
ハーピー
「掠奪者」や「ひったくりする奴」という意味の名前を持つ体長2~5mの女性鳥人である。人の頭に鳥の身体だったり上半身人間で下半身と腕が鳥だったりするが、人間部分はだいたい美人で固定されている。名前の形態変化が不規則で、複数形だと「ハルピュアイ」になる。
ゼウスに仕えたり英雄の乗る名馬の母親になったり、ギリシア神話にはよく登場する。しかし活躍できるハーピーはほんの一握りで、大半のハーピーは一言で言うと「風呂に入らないヤンキー」である。
羽の生えた美しい女性なんだからそばに置きたいと思うゼウスのような方もいるかもしれないがこいつらは常時奇声を発するし、とにかく臭い。排泄物をまき散らす個体もいるのでとにかく臭い。排泄物を散らかさない奴ももれなく体臭が臭い。
ハーピーはデフォルトで空腹らしく、食べ物を見つけると何処だろうと我先にと争奪戦を繰り広げる。しかも素行不良。
そんな彼女たちは外見だけならとても美人である。
アマゾネス
主にアマゾンなどの密林に住む女系部族で、非常に獰猛な性格である…
というのが世間一般の「アマゾネス」に対するイメージであろうが、その元ネタはギリシア神話にある。モデルは女性に権力があったスキタイ族という部族の女戦士と言われている。アマゾネスの名前の由来は"A mazones" つまり「欠けている乳房」。弓を引くために邪魔なおっぱいを自ら切り取っていたからだというがそんな事実は現在見つかっていない。
現トルコ北部やロシア南部に住む。狩猟の女神・アルテミスを信奉し、男嫌い。男はみな奴隷扱いで、産まれたわが子が男だった場合は逃がすか殺すか奴隷にするかであったという。ちなみに年に1回近くの部族の男性と交流して子を生す。
様々な種類の武装をし好戦的な性格の彼女たちは、ギリシア神話でよく英雄に殺されている。これは男尊女卑の古代ギリシアでスキタイ族のように女性に権力を持たせることは男性にとって許しがたいことであったからだという。
英雄に殺される一例としては、ヘラクレスが12の功業のひとつとして軍神・アレスの腰帯を貰いに来た際歓迎したのに誤解から殺されたアマゾネスの女王・ヒッポリュテや、トロイア戦争の際トロイア側で戦いアキレスとの一騎打ちで亡くなった、軍神・アレスの血縁でアマゾネス(彼女たちはトロイア戦争でトロイア側についていた)の指揮官・ペンテシレイアなどがいる。
アタランテ
生後すぐに山に捨てられた彼女はアルテミスにもらった熊の乳で育つ。大きくなったアタランテはアルテミスを信奉し、彼女に倣って一生処女を守る狩人として暮らすようになる。
アタランテは美人で特に足が速く、たくさんの求婚者に「私と徒競走で勝ったら結婚してやんよ!!」と言った。しかし誰も勝てない。結局アフロディーテの祝福を受けた男が現れるまで負けなかったようだ。しかもその負け方は「男がアフロディーテから貰ったリンゴを落とし、それを拾ってやったら負けた」というものだった。
ちなみに男を差し置いてイノシシに槍を突き刺したり自分を犯そうとした男を2人も射殺したりアキレスの父親とレスリング勝負で勝ったりしている。
黄道十二星座について
星占いなどによく登場する星座はまとめて「黄道十二星座」と呼ばれ、88ある星座のうち惑星の通り道「黄道」にある12の星座である。それらにもギリシア神話に逸話が残っている。
牡羊座
テッサリア国王・アタマスはバツイチで、前妻・雲の妖精ネフェレとの間にはプリクソスとヘレーの兄妹、次の妻・イーノとの間にはレアルコスとメリケルテスのふたりを儲けていた。
イーノは自分の子可愛さに前妻の子が憎らしくなり、どうやったら自分の手を汚さずに奴らを始末できるかと一計を案じた。
それは農民に炒った麦の種(つまりもう芽は出ない)を植えさせ、国を大凶作に陥れて王に「これを解決するにはプリクソスとヘレーをゼウス様への人柱にするしかありませんわ」と大嘘を告げるものだった。
実際その嘘を告げるまではうまくいったものの、王は子供を人柱にすることはなかったのでイーノはこれを農民に告げ暴動を起こさせた。
ちょうど同じころゼウスに前妻・ネフェレが子供たちをお助け下さいと毎日祈っているのを発見、哀れに思ったゼウスはヘルメスに「黄金の毛の羊をプリクソスたちにやってコルキスってとこまで乗せてってやりなさい」と言った。黄金の羊は兄妹を乗せ、妹・ヘレーを海(ヘレスポントス。現在はトルコのマルマラ海。ヨーロッパとアジアの間の海)に落として溺死させる程度の猛スピードでコルキスに飛んで行った。
兄はとりあえず命を落とさずにコルキスについた。そこでコルキス王に王女を嫁にもらったりしていい思いをさせてもらったので、プリクソスはお礼に黄金の羊から毛を刈り取り、肉をゼウスへ、毛をコルキス王へ捧げた。喜んだコルキス王は軍神・アレスを祀る森の奥の樫の木に毛をひっかけて不眠不休の火竜・セコヴィアにこれを守らせた。
結局その毛はゼウスに回収されて牡羊座にされている。「貸したものは返せ」ということか。
牡牛座
ある日ゼウスはフェニキア王の娘・エウロペに目を付けた。
いくつになってもお盛んな最高神がどのようにエウロペを口説いたかというと、「愛らしい純白の牛になってあの子を油断させた瞬間背中に乗せてお持ち帰りする」という犯罪臭漂う作戦だった。この作戦のキー、「純白の牛」が牡牛座になっている。
最高神はその作戦をつつがなく遂行、エウロペを海の沖まで猛スピードでかっさらっていった。流石に疑問を感じたエウロペが「牛さん、どこへ行くの」と聞くとゼウスは「私は牛じゃなくて神様だよ!連れて帰って嫁にしちゃうけどいいよね!」と言い、クレタ島に連れて行って挙式。三人の子供を儲けましたとさ。
ゼウスはクレタ島に行く際ヨーロッパ本土に上陸しているらしく、「ヨーロッパ」の名はエウロペからつけられたという。また木星の衛星「エウロパ」も名前の由来は同じである。エウロパは視力がよければ肉眼で見えるとか。
双子座
あるところにディオスクロイという双子のユニットがあった。兄さんはカストル。弟はポリュデケウス。ディオスクロイとは「ゼウスの息子」という意味であり、その通り二人は案の定白鳥なんかに化けたゼウスとスパルタ国女王・レダの間に生まれた。父さんが白鳥なんかに変身しているから二人は卵から生まれてしまった。ところでこの卵は母さんである人間のレダが産んでいるわけだが。
大きくなってカストルは馬の調教師兼戦士、ポリュデケウスはボクサーになった。二人は非常に仲が良かった。しかし一つ問題があった。ディオスクロイのうち兄・カストルにはゼウスの血が流れていなかった。これには二人は異父兄弟だからとかゼウスの血は一人にしか受け継がれないからだとか言われている。
そしてディオスクロイが双子の敵と戦った際、不死身の能力を受け継がなかったカストルはあっけなく射殺されてしまった。戦いの後、ポリュデケウスの「兄と一緒がいい」という懇願がゼウスに通じ、彼らは二人まとめて双子座として天へあげられた。この時ポリュデケウスは兄と一緒になるためだけに神になる権利を捨てている。
ちなみにディオスクロイは船と戦いの神と言われ、セントエルモの火なんかも彼らに関係しているといわれる。
蟹座
ヘラクレスと戦ったヒドラという化け物の友達に化けガニがいた。類は友を呼ぶようだ。
ヒドラはヘラクレスがあまりにも強いので負けそうになっていた。それを物陰からこっそり覗くのは気の弱い化けガニ。
しかし友人のピンチなんだ、ヘラクレスとかいう奴の足を僕がちぎってやるんだもんね! 待っててヒドラ!
プチッ
勇気を出して飛び出した化けガニはヘラクレスに何のダメージも与えないまま殺された。
死因:カニに気付かなかったヘラクレスの踏みつぶしによる圧死。
しかしこの勇気を認めたヘラクレス嫌いのヘラ。その勇気を称えてカニとヒドラをまとめて蟹座にしてやりましたとさ。このカニはピンチのヒドラにヘラが送ったとも言われている。
獅子座
ヘラクレスの12の功業の中の一番最初の任務に「ネメアの谷という所でライオンの形をした何かの退治」というものがあった。これが獅子座になったわけだが、ライオンといっても双頭の犬を父に、蛇魔神を母に持つというからどこにネコ科の要素があるのかというかどうしてこうなった
そのライオンは分厚い皮の下に刃物をシャットアウトできる甲羅を持っていた。刺殺が不可能と判断したヘラクレスはこん棒でライオンを殴って脳震とうを起こさせた後3日3晩首を締めあげてライオンを殺し、さらにその皮を剥いで鎧にするという動物愛護団体にお叱りを受けそうな事をやってのけた。
ちなみに依頼主のアルゴス王は褒美をやるどころかヘラクレスのあまりの豪勇ぶりにビビって「ヘラクレス市中立ち入り禁止令」を出している。
乙女座
乙女座のモデルはハデスの妻で大地の女神・デメテルの娘、ペルセポネといわれている。ペルセポネは植物の女神で、前述の理由で彼女が冥府で引きこもりになっている4ヶ月間は地上で植物が芽吹かない「冬」になるといわれている。
また乙女座のモデルとされている人物はもう一人いるが、それは天秤座で解説する。
天秤座
この世界にはかつて「金の時代」「銀の時代」「銅の時代」といわれる時代があった。
金の時代は1年中春であった。現代であれば花粉症が大変そうだが、1年中そこらへんに果実や農作物が実り川には酒や乳が流れているうえ貧富の差も争いも全くないという政府のいらない理想郷だったため、プラマイゼロ、むしろプラスでいかがだろうか。
そんな世界だったので金の時代では神々と人間が同じ世界で生活をしていた。その中でもゼウスの娘のアストレアは、人間の良き友人として人々に正義を説いてやることに熱心だった。
やがて世界が銀の時代に移り変わると、世界に四季ができた。つまり年がら年中春というわけにはいかなくなったのである。
すると人間は食いつなぐ為に農耕を始める。すると作物の出来具合なんかで貧富の差が徐々に広がり、ついに裕福な人が貧乏な奴らを貶すようになっていった。
神々はこの時点で「あ、もうダメだこいつら」と人間を見捨てて自分の巣に帰って行くわけだが、唯一アストレアだけは諦めずに正義を説くのをやめなかった。
しかし努力実らず世界は「銅の時代」に突入、人々は持てる技術を駆使して船や兵器を作り戦争をおっぱじめた。人間が嘘をついたり殺人をしたりし始めたのもここである。そしてそれが高じてついに血縁同士の財産争いなどの昼ドラ的泥沼戦争が後を絶たなくなった。
堕落した人間に絶望したアストレアは耐えられなくなり、自分の持つ白い羽で空に帰り乙女座になった。このとき彼女が持っていた天秤が天秤座になったという。
蠍座
オリオンが何故死んだか。兄にハメられたアルテミスが自ら撃ったというのは前述のとおりだが、サソリに刺されて死んだとも言う。
自分があまりに強いので調子をこいていたオリオン。それがイラついているヘラに見つかったのである。キレたヘラはサソリに「アイツを指して毒殺しろ!!」とサソリを地上に送った。
調子をこいていたオリオンは目の前に現れたサソリに ふみつける こうげき!!
しかしオリオンのこうげきははずれた!
オリオンの右足を華麗に交わしたサソリはヘラとの打ち合わせ通り左足を刺した。オリオンもサソリの猛毒には弱いようであっさり死んでしまった。
その後ヘラがサソリを、アルテミスが愛するオリオンをそれぞれ星座にしたわけだが、オリオンは今でもサソリがトラウマらしく決して同じ空に上がろうとしない。
射手座
前述のケイロン師匠が射手座になっている。
ケイロン師匠は実は天地創造の際に出てきたクロノスの子供である。勇者養成学校の講師みたいなものをしていた。アスクレピオスという医術の神の師匠もケイロンである。
山羊座
パーンというヤギの髭を生やしたダンシング☆カミサマがいた。
ある日オリュンポスの神々はパーティーを開き、その余興としてパーンを呼んだ。
パーティー当日、終わりにさしかかろうというところで今回の宴からハブられた巨人・テュポンが乱入、パーティーがめちゃくちゃになるどころか神々にも危険が迫っていた。
「仕方ない、各々得意な動物に変身して逃げろ!」という号令とともに神々は逃げ、パーンはヤギになって逃げた。
逃げる道中川があったので、魚になろうとしたパーン。しかし酒の飲みすぎでうまく変身できず、上半身がヤギ、下半身が魚という人魚の亜種のような姿になってしまった。
これがゼウスのツボに入り、必死の抵抗むなしくパーンは記念と言わんばかりに山羊座にされてしまった。
水瓶座
トロイ・イーダス山の羊飼い、ガニメデスは非常に美少年で皆からは「身体が金色に光っているぞ!!」といわれるくらいの容姿を持っていた。これはほめ言葉である。
そのガニメデスは例によってゼウスの目にとまる。羊の番中にいきなり黒雲と雷が空に広がったかと思うと、ガニメデスは黒ワシに拉致されてしまった。当たり前だがそれを目撃した父さんと母さんは相当嘆き悲しんだという。
ある日涙にくれる夫婦に蛇の絡まった杖を持った訪問者がやってくる。
彼によると
「ガニメデスはゼウス様に気に入られたからあっちに連れてかれちゃったんですよー。んで、最近神々の酒のお酌担当だったヘーベって娘がヘラクレスって奴の嫁に行ってしまってですね。ガニメデス君を後任にしたいんですよ。大丈夫、あっちにいれば歳はとらないですし。」
とのこと。訪問者はゼウスからのプレゼントとして立派な神馬を置いてガニメデスが連れ去られた方向へ帰ってしまった。杖で訪問者が伝令の神・ヘルメスだと悟ったお父さんはほっとして喜びの涙を流した。この涙が水瓶座の中身だと。
魚座
アフロディーテとエロスが散歩していると、いつかどこかでパーティーをめちゃめちゃにしてくれたテュポンがいきなり二人を襲ってきた。
アフロディーテたちは急いでそこら辺の川に飛び込み、とっさに魚に変身して逃げ延びた。
アテナがこれを記念して二人の尾をはぐれないようにリボンで結んで星座にしたという。
ちなみに飛び込んだ川はユーフラテス川である。
その他明日使えない豆知識
- オリュンポス12神が12人じゃないのはギリシア神話がもともとギリシア国内各地の神話の寄せ集め物語であるため。
- 英語のヒーロー(hero)の語源はギリシャ語のヘロス(heros)。ヘロスの意味は「半神半人」である。
- ミノタウロスが閉じ込められていた「ラビュリントス」の語源は両刃の斧、ラブリュス。クレタ島の信仰対象になっていた。
- この記事でゼウスと関係を持っている者の中で「妖精」と記述されているのは、他のHPや文献では「ニンフ」とされていることが多い。ニンフはギリシア神話によく出てくる下級女神。
関連動画
説話以外のギリシャ神話
関連項目
http://dic.nicomoba.jp/k/a/%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%82%A2%E7%A5%9E%E8%A9%B1


ページ番号: 4569461
リビジョン番号: 1508572
読み:ギリシアシンワ
初版作成日: 11/02/18 17:03 ◆ 最終更新日: 12/04/23 00:42
編集内容についての説明/コメント: 天地創造の項4行目の妻を夫に変更
記事編集 / 編集履歴を閲覧 / Twitterで紹介





JASRAC許諾番号: 9011622001Y31015
ヘッダー:固定
ヘッダー:追従