『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ園児』とは、
1993年7月30日にバンダイから発売された『クレヨンしんちゃん』のスーパーファミコン用アクションゲームである。
翌1994年3月11日にはマーバ(バンダイとマテルの合弁会社)からメガドライブ版も発売された。
概要
ゲームの主人公は、もちろんクレヨンしんちゃんの主人公の野原しんのすけである。
しんのすけを操ってステージをクリアしていくわけだが、何故かしんのすけの友達の風間くん、ボーちゃん、ネネちゃん、マサオくんなどが襲ってきたり、ステージの間にあるミニゲームが異常な難易度を見せたり、ステージのボスを倒す方法が完全に運だったりと難易度は結構高い。
とくにクレヨンしんちゃんを視聴する年齢とこのゲームをクリアできるようになる年齢がつりあっていないため、幼い頃クリアできず、何年か後にひさしぶりにプレイしてクリアできたという事例が散見される。
国民的アニメで、なおかつ当時の中古ゲームショップで安価で見かける事が多かったため、その難易度を当時肌で感じたユーザーは多いことだろう。
ゲーム化されたのがアニメ初期の時期のため、現在はカスカベ防衛隊として描かれることが多い友達もこの当時はそこまで友情が深まっておらず、特に風間くんは嫌味なキャラクターが残っている。と言っても本作のように明確に攻撃されるほど嫌われているわけではない。原作の掲載誌が青年向け雑誌の漫画アクションのためブラックネタも多い。
さすがにいつもの面々だけでは敵キャラとして少なすぎるため、初期の原作によく登場していたいじめっ子二人組も敵キャラとして登場する。なお結構な頻度で敵キャラが登場するが、画面中に同じキャラクターが2人以上出現しないように設定されている(モブのお化けやメケメケ団員は複数出てくる)。
当時としては非常にクリアなボイスが収録されており、ソフトの売りに一つになっていた。オープニングのしんのすけとみさえのやりとりはまさにアニメのワンシーンである。しんのすけの声はかなりのバリエーションが収録されており、事ある毎に喋る。
ストーリー
全4ステージとなっており、1ステージにつき5エリアで全20エリアの構成。
各面ではステージクリア条件となるカードを入手する必要がある。エリアによっては家やお店で会話してフラグを立てないとカードが出現しない。
各ステージの最後にミニゲーム対決が待っており、勝利しなければ先へと進めない。エリア3をクリアすると道中ミニゲームが挟まれるが、こちらは失敗しても次に進める上クリアしてもボーナスはない。
各ステージは四季をモチーフにしており、ステージ2の夏は肝試し、ステージ4の冬は雪合戦が題材になっている。ただステージ3の秋はしんのすけが見ている夢の話になっている。
ステージ2以降は各エリアを特定の条件を満たしてクリアすることでカードや残機の獲得チャンスとなるスロットゲームに挑戦できる。結構な目押し技術が要求されるためアイテム獲得は厳しい。
ステージⅠ
ある日しんのすけがシロの散歩を終えて家に帰ってくると、しんのすけが、シロと持っていた道具のほとんどを忘れていたことに気づく。
そして街中をいやいやながらも探しに出かける。
道中ミニゲーム:じゃんけんおいかけっこ
いわゆるグリコゲーム。プレイヤーはしんのすけ側となり、みさえに追いつかれる前に家に逃げ込めば勝ち。
ステージ最後のミニゲーム:カードさがしゲーム
制限時間内にひろしが指定する頭文字の言葉のカードをすべて取るゲーム。
一部クレヨンしんちゃん内で使われる固有ワードが存在する。
難易度は当時(1993年頃)のアニメを見ていればそんなに難しくはない、逆に見ていないと最初の詰みポイントに。制限時間も意外と厳しく取られている。
例:しんのすけがうつ伏せで寝ているカード→したいごっこ
例:しんのすけが変なポーズをしているカード→男の約束(男同士のお約束)
例:園長先生→組長
例:ロボットの玩具→カンタムロボ(絵はただのロボット玩具、当時はまだデザインが確定していなかった)
ステージⅡ
しんのすけが町内の肝試し大会に参加することになった。
ルールは墓地でお札を手に入れてそれをお堂に持っていけばクリアできる。
このステージは謎解き要素がいくつかあり、特にエリア2では出口が特殊な方法で出現するため、このゲームの詰みポイントとなっている。マップ間の繋がりをきちんと理解していないとクリアが難しいエリアもある。
道中ミニゲーム:水泳大会ゲーム
幼稚園の水泳大会でいつもの4人が競走する(ネネちゃんはスターター)。コース移動は自由にできるが高速連打が要求され、トラップや加速アイテムが結構な頻度で設置されているため優勝するのは困難。初見ではまず他の3人に置いて行かれ、大きく遅れた最下位でゴールすることになる。
ステージ最後のミニゲーム:旗上げゲーム
モニター内にいるアクション仮面の指示通りに赤と白の旗を上げ下げするゲーム。
旗上げ大会の決勝戦という設定。
対戦相手であるよしなが先生から2本先取するとクリア。この手のゲームによくある通り、時間が経つにつれスピードがアップしていく。たまにアクション仮面が指示を言い間違えて仕切り直すことがあるが、この場合スピードは最高速になる。なお指示に関係ない旗を操作しても判定には影響しない。
判定はシビアで、よしなが先生も大人げなく純粋に強い。初見クリアは絶望的である。
ステージⅢ
ある日、しんのすけが目を覚ますとアクション仮面がメケメケ団に捕らわれていることを知る。
しんのすけはアクション仮面を助けるためにメケメケ団基地に単身乗り込むが・・・。
実際はしんのすけが見ている夢。「しんのすけがアクション仮面を助ける」という要素は後述の劇場版を意識しているのだろうか。
このステージのエリア5で出現するチンパン総統モンキッキはワープを何度も繰り返すため、意図的に倒すことがほぼ不可能でありこのゲームの詰みポイントになっている。
道中ミニゲーム:給食運びゲーム
給食当番の風間くん、マサオくんと一緒に給食室から給食を教室まで運ぶゲーム。前の風間くん、後ろのマサオくんに挟まれた状態でぶつかったりバランスを崩して転ぶことなく教室までたどり着けばクリア。風間くんは規則的に動く反面マサオくんが前後不規則にふらつくため、風間くんと距離を開けているとマサオくんに追突されてしまう。原作でもこの話は登場するが、転んで床にぶちまけた給食をそのまま鍋に回収して何食わぬ顔で皆に食べさせるという完全にアウトなエピソードである。
ステージ最後のミニゲーム:しんけいすいじゃくゲーム
用意されたカードをめくってペアをすべて探し出すゲーム、対戦相手は風間くん。
おてつきが許される回数は最初に選ぶカードで1~3回に変化する。
カード配置は決まった6種類の中から選び出され、
その配置も規則性があるので数枚当てればあとは勘で通せたりする、
お手つき回数のシビアさを除けば実に子供向けっぽい仕様になっている。
ただ鬼畜なのは、むしろここにたどり着く前のアクションパートで、
この神経衰弱勝負で残機をすべて失うと、直前のステージのボスであるモンキッキと再度戦うハメになる。
ステージⅣ
幼稚園で雪合戦をすることになった。
町中に散りばめられた先生のカードを集めることがクリア条件。このステージ特有のアクションとして、足元で雪玉を作り、投げつける操作が追加されている。まあそんなことやっている間に敵に襲われるのだが…。
最後のステージながらも難易度は割と低い。
道中ミニゲーム:しんちゃんを探せゲーム
相手はまつざか先生。最初にターゲットのしんちゃんを決め、その後モザイクのかかったフィールドからターゲットを探し出すゲーム。それぞれ色やポーズが大きく異なるため、難易度はそれほど高くない。
ステージ最後のミニゲーム:スライドパズルゲーム
エンディング前最後の関門。
15パズル、制限時間5分以内に絵を完成させることが出来ればクリア、対戦相手は組長園長先生。
難易度自体はそう難しくはない…はず、5分という制限時間がシビアかどうかはプレイヤーによる。
15パズルのやり方を知っていればさほど苦戦はしないゲームだが、当時のターゲットである幼稚園~小学生は15パズルの解き方を知らないことが多く、手当たり次第にパネルをスライドさせて時間切れを迎えることが多かった。
残り時間が少なくなるとBGMがテンポアップしていき、園長先生が真顔で「もうあきらめるかい?」と言うなど煽ってくるためプレイヤーの焦りを誘う。
高難易度ゲームではあるが…
上記で述べたように子供向けのゲームなのだが、細かい箇所で難易度が跳ね上がるゲームなために最後まで遊べたプレイヤーは少ないとされる。モンキッキに阻まれて雪合戦ステージを知らないまま積んでしまった子どもも少なくないのではなかろうか。
しかしながら、街の雰囲気やドットによる表現や会話イベントなどは原作の雰囲気を再現しており、しんのすけ自体も近年の規制によって消えた当時のワルガキっぷりをいかんなく発揮している(今以上に話を聞かない、責任転嫁に後ろめたさがない、下ネタトークなど)。更に初期の原作で出てくるネタが豊富(給食運びのミニゲームや隣のおばちゃんの「歩くワイドショー」など)なのでクレヨンしんちゃんが好きなら是非ともプレイして欲しいゲームでもある。
移植・続編について
本作の後に発売されたメガドライブ版はミニゲームの差し替えなどがあったものの、ミニゲームのクリアが必須でなくなった上ゲームバランスも調整され難易度が大幅に低下。パスワードやセーブ機能は相変わらず搭載されていないが、時間さえかければクリア自体は容易になった。
2014年にNintendo3DSで発売された「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ カスカベ映画スターズ!」には初回封入特典として、本作の無料ダウンロードコードが付属していた。基本は本作そのままで、難易度緩和のため「かんたんモード」が追加されている…が、初期残機が9になっただけでゲーム本編には全く手が付けられていない。
本ソフト発売の前週にクレヨンしんちゃん初の劇場版「アクション仮面VSハイグレ魔王」が公開されている。本作の続編となる「クレヨンしんちゃん 大魔王の逆襲」はこの劇場版の続編という扱いになっているが、データ容量が本作の1/3にまで削られた影響か、内容やキャラゲー要素が非常に薄く、ファンからはクソゲー扱いされてしまった。
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