ケッテンクラート(Kettenkrad)とは、ドイツが第二次世界大戦時に開発、運用していた半装軌車である。
概要
ドイツのNSU社が、ドイツ空軍の空挺部隊である降下猟兵用に、グライダーで空輸した後に無反動砲を牽引する目的で作った車両。
前がバイクで後ろが履帯(キャタピラ)の乗り物、というより履帯式の小車両にバイクの前部とシートを操縦部として取り付けたもので、小車両部には2名用の座席が後ろ向きに付けられている。
普通のバイクや車と比較して悪路走破性が高く、また手回しが楽で使い勝手に優れていたため、陸軍や武装SSでも使用された。空軍では飛行機の牽引用としても使用されていた。
名称について
ドイツ語でケッテン(Ketten)は「鎖、履帯」(複数形)、クラート(Krad)は「自動二輪車」を指す軍隊用語クラフトラート(Kraftrad)の省略形で、すなわち「履帯付きのバイク」である。一般には単にクラートと呼ばれていた。
制式名称はクライネス・ケッテンクラフトラート(Kleines Kettenkraftrad)で「小型装軌式バイク」の意味。
ちなみに軍の制式番号はSd.Kfz.2。製造元のNSUの型式はTyp HK 101。
前輪について
ケッテンクラートで印象的なのは、大きな履帯に比べて頼りなさげにみえる前輪である。
前輪はハンドルと直結しているため一見すると方向舵の役割を果たしているように見えるが、実際にはこれだけで十分車体を曲がらせられるだけのパワーはなく、基本的には左右の履帯の速度差による旋回がメインとなる。むしろ前輪を外してしまっても、履帯だけで普通に走れるし曲がれる。(ちなみに戦車やショベルカーと異なり左右の逆回転はできないため超信地旋回は不能)
では何のために前輪があるのかというと、このタイヤが付いていることによって路面上での荷重が分散され、走行抵抗を軽減することでスピードと燃費が改善するため。オンロードでは前輪の有無により15-20km程度最高速度に差が出るそうである。
一方、不整地ではタイヤがむしろ邪魔になるため、スピードを出せない悪路ではタイヤを外して走行することが推奨されていた。
性能
生産国 | ドイツ |
乗員 | 1~3名 (用途や機種によって異なる) |
サイズ | 全長:3000mm / 幅:1000mm / 高さ:1200mm |
重量 | 1,560kg |
エンジン (排気量) |
水冷直列4気筒 3ベアリング OHV (1488cc) |
速度 | 最高:時速70km / 実質:時速50km (騒音がひどいため) |
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関連項目
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