コビトジャコウネズミとは、動物の一種である。
概要
トガリネズミ科の動物。英名は「Etruscan shrew」、学名は「Suncus etruscus」。英名を直訳すると、「イタリア・エトルリアのトガリネズミ」となる。
頭胴長は3.5~5cm、尾長は2~3cm、体重は1.5~2.5gと、世界最小のほ乳類の一つとして知られている(ほかはキティブタバナコウモリ、トウキョウトガリネズミなど)。体毛は黒色や灰褐色で短い。自身の体の小ささに比べ、大きく突起した耳が特徴的。他のネズミ同様、「キーキー」「チーチー」と鳴く。
生息域は、地中海周辺のヨーロッパ南部~アフリカ北部・アラビア半島まで。その体の小ささから熱や水分が失われやすいため、適度に暖かくかつ湿った場所に巣をつくる。また少しでも暖かく棲めるよう、コビトジャコウネズミは巣を他の個体と共有して過ごす。
エサは昆虫や無脊椎動物。その小ささから侮りがちだが、自身より一回り大きいものまでなら捕食できる。岩場の隙間やミミズのトンネルに侵入して、毒性の唾液で相手を仕留める。ただ素早い呼吸、心拍数1,300回/分という基礎代謝の高さから、1日に最低でも自重の2倍ものエサを摂取しなければならない。そうした過酷さを軽減すべく、コビトジャコウネズミはしばしば休眠を行う。休眠中は心拍数や体温が低下するので、エネルギー消費が抑えられる。
和名の「ジャコウ(麝香)」の名前のとおり、独特な匂いを発するジャコウ腺をもつ。そうした匂いからか、味覚の発達したほ乳類はまず彼らを捕食しない(まずいから)。捕食するのは味覚が比較的発達していない鳥類やヘビなどである。
IUCNのレッドリストでは「低危険種(LC)」に選定されており、絶滅の危険性はほぼないとされている。ただ寿命が2ヶ月と非常に短いため、日本の動物園ではほぼ展示されない。
関連項目
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