ゴリラ・警視庁捜査第8班とは、石原プロモーションが制作し、テレビ朝日系列で1989年~1990年の日曜日の夜8時に放送されていた刑事ドラマの一つである。全46回で、初回と最終回のみ2時間スペシャルとなる。
概要
1980年代に大ヒットした『西部警察』の続編として制作。1987年に石原裕次郎が死去後、初めて制作された刑事ドラマである。その証拠にドラマのOPには制作・渡哲也と表記される。
舞台は警視庁が極秘で設立した部署「8班」で、凶悪化し通常の警察権力では対処できなくなった犯罪に対処するために作られた。警視庁の幹部と警察署の署長クラスにしか存在を知らされていない。班長の渡哲也演じる倉本省を含め、人数も計6名の少数精鋭の部署で警視庁捜査一課に属するが、仕事の依頼は刑事部長から届く。また、班員は殺しのライセンス(通称:グリーンカード)を持つ。
車両も三菱自動車の全面協力を受け、特装車両には当時三菱自動車のスポーツカー・スタリオン(セルビアブラック)がガルウイングをするように改造されたのも目玉であり、班員の舘ひろし演ずる伊達健の専用車として番組に華を添えた、後に限定でこのガルウイング・スタリオンが5台販売された(但し強度が低くなり、追突されるだけで全損になる)。なお班員の神田正輝演じる風間有悟の専用車が、デボネアVのスポーティーグレードのAMG(サラエボホワイト)、渡哲也演じる班長の倉本省の専用車はギャランVR-4(グレースシルバー。WRC(世界ラリー選手権)参戦を目的としたトップグレード車で、後にランサーエボリューションに引き継がれる4G63ターボエンジンと4WDシステムを搭載)である。
このようにバブル期に制作された作品なので制作費は潤沢だったが、番組開始時から視聴率の低迷に加え、ストーリーが前期はアクション志向に対して、後期が人情物になるなど迷走を続けた。また、車両が三菱自動車製だったのも『西部警察』ファン=日産自動車ファンからもそっぽを向かれたのも響いた。当時中学生だった筆者も「うわ!!ショボ!!何で三菱なんだよ!!」と憤慨。これはスタント車両に使用された三菱製の乗用車・三代目&四代目のギャランの車体が小ぶりだったために、スタントをしても迫力が出ないという欠点があった。また、強面のヤクザが乗る乗用車も小型車のミラージュセダン(なんと!色はピンク!!)に乗っているということもチープさが画面から漂っていた。
銃器についても、舘の使うスマイソンおよびチーフスペシャルは特注のメッキ仕様、オートマチックの扱いに定評のある神田の使うガバカスタムおよびベレッタM92SBは排莢させており(再初期のM59オールシルバーは発砲は電気発火のみ)、谷川・中村の使うローマン4インチもモデルガンのメカを生かしたものであったが、渡のガバは電気発火(内部にロータリースイッチと電池を仕込み、銃身に仕掛けた電気発火の火薬の束を順番に点火して発火させるもの。トラブルは起こりにくいが、発火時に何も動かないためリアルではない)であり、またそれ以外に主役たちが長物を使う場合は、MGCの金属M16の電気発火やMGCイングラムM11のサプレッサーに電気発火を仕込んだものなど、基本的に一昔前のものであったため、マニアの評価もあまり芳しくなかった。なぜか一度だけ排莢するM3グリスガンが出てきたこともあるが、他の電気発火たちの安っぽさを消すほどの存在感は出せなかった。
これは西武警察の頃から銃器の担当をしていた戸井田工業が今回も銃器を担当したためであるが、1980年代中頃から台頭していた銃器の特殊効果チームであるビックショットが、プロップガンにリアルな発火作動をさせることに成功しており、すでにこれに慣れていたマニアの需要は派手さよりもリアルさに移行している時期であったため、新作で前時代の電気発火銃を使われるというのは受け入れられるものではなかった(ビックショット以前にもトビー門口氏など劇用銃にカスタムを施したり排莢をさせる人はいるにはいたが、その時代はまだ小道具担当が銃器も扱うのが一般的であったため、現場での主流は扱いの容易い電気発火であった。また、ビックショットのプロップガンにも電気発火式はあったが、同時に排莢するメカを組み込んだり、火薬を従来のピンク色の火のものではなく、実銃の発火の色に近い白っぽいオレンジのものを特注したり、フルオートの回転速度を早くして変に間が空かないようにしてあったりと、画面に安っぽさを出さないための色々な趣向が凝らしてあった)。
銃器について執筆をしているのは車についての執筆をした方とは別人であるが、当方も当時中学生であり、1話の冒頭で漁船の渡を襲撃する男たちが三ツ又のMGC金属M16電着を使っているのを見て「え?まさかこれからもその過去の遺物を使うの?」と嫌な予感がしたものである。1話では以降のアクションシーンはフィリピンでの実銃を使ったロケであったため問題なかったが、2話目以降その予感は当たってしまい、敵が発砲するものはどんなにアップのシーンでもすべからく電着銃であり、そのうちモデルガンベースの電着銃どころか、「SWオート風電着」と呼ばれた、特にS&Wオートに似ているわけでもない架空の形をしたプラ製電着銃の創世記のものまで出てきてしまい、最初は盛り上がっていたマニア仲間達も意気消沈し、そのうち話題にも出なくなってしまった。
ただし、劇中の音楽は舘ひろしを中心に井上大輔等のミュージシャンが数人が携わっていたので、音楽のレベルは高い。
なお、2004年に放送された『西部警察・スペシャル』では、当時三菱自動車から寄贈された、ミラージュセダンやギャランの白黒パトカーがこの時に爆破&横転されて破壊されている。
関連動画
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外部リンク
『西部警察』ファン=日産自動車ファンのモヤモヤを少しでも解消させるリンク先!?
Chakuwiki・歴史のif検討委員会のテレビ番組史より→もし『ゴリラ・警視庁捜査第8班』の車両が三菱自動車以外だったら
関連項目
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