ゴーストライター単語

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ゴーストライター
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ゴーストライター(英:ghostwriter)とは、かの代役として何らかの執筆を受け持つ人物のこと。日本語で「幽霊作家」

概要

表向きに「作者」とされる人物が「何らかの理由」でその執筆を行う事が出来ない場合に、代わりとして執筆を担当する者を言う。

その「何らかの理由」としては、「表向き作者とされる人物に、そもそも著作を行うだけのが最初からない」という場合もあれば、「多忙」や「健康上の理由」など「本来ならば表向きの作者にも、その著作を行う自体は備わっている」という場合もある。

分野は多岐にわたる。成功した経営者等の名前で出されるビジネス本や、芸能人が出すタレント本に特に多いとされる(1980年代アイドル松本代が、自分の本の宣伝において「私もまだ読んでいないんですけど」と口を滑らせたことは有名)。小説や学術論文などにおいても例がある。

文章以外にも、建築設計や音楽作曲漫画執筆などの分野でゴーストライター的な事例は数多いとされる。

彫刻などの分野でもありそうだが、さすがにここまで来ると「write(書く)」という表現がそぐわないので「ゴーストライター」とは言えない。

また、「ゴーストライター」という言い方の場合「表向きの作者が、別人に『依頼して』作品を作らせる」という印が強いが、「名作が、その名前で出した方が売れるとの理由から、『頼まれて』別の作家の作品に名前を貸す」という例もあるとされ、この場合では依頼する側が逆転する。

ちなみに、芸術作品や商業作品だけではなく、学校などに提出するレポートの代筆をする者もいる。これは商売としてなりたっており、業者が山ほど存在する。

どこまでをゴーストライターと呼ぶのか

表向きの作者がどこまで関わるかという程度も様々で、例えば

  • 「まったくもって丸投げ
  • 「書いて欲しい内容のイメージは漠然と伝える」
  • 「書いてほしい内容の資料を渡す」
  • 「大筋の部分だけは自分で制作し、それに付けしてもらう」
  • 「あまりうまくない技量ではあるがすべて書きとおして、別の者にクオリティを高めてもらう」
  • 「すべて口述し、整えることだけを依頼する」

などなど。

後半になると、いわゆる「原案」「協」「共著」「口述筆記」などとのが曖昧になってくるので、ゴーストライターと呼ぶべきか否か微妙ラインとなる。

ただ、あくまでそういった事実表せずに、表向きの「作者」の名前のみを前面に押し出した場合、「ゴーストライター」としての性質が強まると言えるだろう。

各言語において

「ゴーストライター(ghostwriter)」とは英語であり、ghost(ゴースト)は幽霊writerライター)は作家・著述

日本語に直訳して「幽霊作家」などと表現されることもある。「幽霊作家」というネタとして使われる例も多い(多くの文幽霊が出るホテルを扱ったコメディ映画「ゴーストライターホテル」など)。

なお、「ゴースト」という幻想的な単が入っているので、各国語がちょっとカッコイイ感じになる(個人の中二病的な感想です)。

イタリア語では

scrittore ombra(スクリトーレオンブラ)」という。

scrittore(スクリトーレ)が「作家」、ombra(オンブラ)は「」なので日本語直訳すると「作家」か。ただしombraは英語のghostと同じ意味もあるので、英語からの直訳とも言える。

インドネシア語では

penulis bayangan(ペヌリス・バヤンガン)」という。強そう。

penulis(ペヌリス)が「作者」、bayangan(バヤンガン)が「」。イタリア語の場合に似ている。

ヘブライ語では

סופר צללים(ソフェル・ツラリム)」という。

סופר(ソフェル)が「作家」、צללים(ツラリム)が「の」。イタリア語の場合に似ている。

ちなみにヘブライ語は右から左に書く。

中国語では

影子作家」というイタリアインドネシアヘブライ語に似た表現もある。だが、「捉手(を持った人)」、「捉人」、「客」、「手(簡体だと枪手。を持った人)」、「替(同じく簡体だと替枪)」と言った物騒な表現もされる。

「捉人」がゴーストライター、替え玉を意味するのは、「世説新」というの時代に書かれた歴史上の人物の逸話集に載っている以下のエピソードが元とされる。

の王である曹操に外から使者が来た。だが曹操は自ら認めるブサイクで卑しいルックスだったので
「外の使者に王だっつって会ったんじゃ、威厳がないんじゃね・・・(´・ω・`) 」
と心配した。
そして、外見がよい臣に替え玉を命じ、自らの代わりに王としてその使者と面会させたのだ。(´;ω;`) ブワッ
その面会の間、曹操自身は護衛の武人としてを持って床に頭を垂れていた。

そして面会が終わるとスパイを放ち、使者に対して「王ってどうだった?」と聞かせてみた。

(使者   ) 「王は名望にたがわず高な感じだったよ。ありゃただもんじゃないよ。でも横で床に頭を垂れてた、を持ってた人(捉人)。ありゃ英雄だな!」

(曹操 ´・ω・`) 「ころす」

スパイからその報告を聞いた曹操は、すぐに追手を派遣して、この「人を見るありすぎる使者」をぶっ殺したという。

・・・見るがある使者を危険視したともとれるが、自分の容姿を恥じてわざわざ替え玉を使い変装までしたのに別にそんな必要はかったっぽいことに悲しくなって、おもわず殺っちゃったのかもしれない。

かしこエピソードだとすると、を持っていたのは替え玉になった臣ではなくて曹操であるから、「捉手」は雇われたゴーストライターではなく、ゴーストライターを「雇う側」になりそうなものである。

憶測になるが、「客」や「手」という類義があるところから推しはかるに、おそらく「用心棒を雇う」という行為から連想して、「を持った人」が「雇う側」から「雇われた側」へと、いつの間にかすり替わったのではないだろうか。

ちなみに念のために言っておくと、世説新は別に歴史書ではなく「志人小説」というジャンルであり、言ってみれば「歴史おもしろエピソード小説」のようなものなので、この話の信憑性は薄い。

ドイツ語では

Phantomschreiber(ファントームシュラバー)」という。何かの必殺技っぽい。

Phantomファントーム)が「」、Schreiber(シュラバー)が「作家」なので日本語直訳すると「作家」か。ただしPhantom英語のghostと同じ意味もあるので、やっぱり、英語からの直訳とも言える。

フィンランド語では

「haamukirjailija(ハアムキリヤイリヤ)」という。

haam(ハアム)が「幽霊」、kirjailija(キリヤイリヤ)が「作家」なのでやはりghost writerの直訳である。ところでキリヤイリヤってなんだか感がいいと思わないか?

ロシア語やフランス語では

作家」という意味の言葉になるようなのだが、どちらも「い」の部分が「黒人」も意味する言葉、しかも「やや差別ニュアンスを含む」と非難される事もある言葉のようだ。

もしかするとあまりよくない言葉なのかもしれないので、ここに載せるのは控えておく。

発覚にまつわる問題

ゴーストライターは日陰の存在であり、代作の事実明らかになると様々な問題が生じてくる。

例えば、「その人物が制作したからこそ購入する人が居る」と言う性質の商品だった場合には、一種の商品偽装問題にもなってしまう。

近年の例では、「全聾の作曲」という触れ込みで長年多数の曲を発表してきた佐村河内守氏について、別の作曲新垣隆氏が2014年に「ど全ての曲は私が作った」と表した例がある。その表の際に、新垣氏が佐村河内氏の「全聾」の部分にも疑問を呈したこともあって、CD回収やコンサート中止などを含む大問題へと発展した。

その一方で、ゴーストライターの存在意義に一定の理解を示す意見も少なくはない。例えば作家でない各界の著名人が本を出版する場合、本人が全て書き上げるとしても本の執筆に慣れていないため読みにくくて拙い文章にしかならないことが大いに考えられる。これを「読者が読める本に仕上げるための補助者」として、ゴーストライターは必要不可欠だということである。印税の取り分もある程度ゴーストライターに配慮されており、決して銭面で損をしているという訳でもないが、それでも世間にをつくのは好ましくないからという理由から「著名人名前で出版する本はその著名人とゴーストライターの共著にすべきである」というも挙がっている。

「暴かれてはならない秘密」という側面からドラマ性を見出してか、ゴーストライターの発覚を扱った創作作品も多い。例えば手塚治虫漫画ブラックジャック」に、漫画家のゴーストライターを扱った「ペンをすてろ!」という回がある。

「ゴーストライター」というタイトルの作品の例

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51 ななしのよっしん
2019/10/03(木) 12:49:41 ID: zdqDTU8bwl
作者本人がゴーストになっちゃったものは仕方なかろう……
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52 ななしのよっしん
2020/05/21(木) 20:26:24 ID: 3MY6g1gfKH
ジャンプ盗作称)漫画たちにすっかり人気
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53 ななしのよっしん
2020/05/28(木) 23:01:25 ID: 0XU/0OR/5V
正直クソマンガでもあれはキッツいレベルだと思うゾ…
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54 ななしのよっしん
2020/07/04(土) 02:00:23 ID: KMeM1Km3Vv
>>47
鳥山あたりは捻くれてるから本当にそういうこと言いそうなのが
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55 ななしのよっしん
2020/07/31(金) 12:55:10 ID: zMBu5QtOEe
将棋羽生善治関係の本が多いが、全部名義貸してるだけ
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56 ななしのよっしん
2021/04/08(木) 18:33:53 ID: Lc7Z7dTia2
唐突に出る有名人名義の本はみんな書いてるのは別の人だと思っていいのかな
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57 ななしのよっしん
2021/04/08(木) 18:36:59 ID: lP8rQQAXLp
唐突じゃなくてもそうだと思っていいぞ
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58 ななしのよっしん
2021/04/08(木) 18:55:20 ID: QxQMyi4pv/
めちゃくちゃ校正入りまくって本人の文章が欠片しかない、みたいなのはすげえ多そう
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59 ななしのよっしん
2023/03/17(金) 14:07:34 ID: LG9Avzt2zD
フリーランスサイト行けばわかるけど、ゴーストライターって割とみんなやってるんよね
著作権を譲渡してくれる方で1万円から〜とか、山ほどいるから言うほど気にすることでもないんよな
作品として高評価されるなら両方共にwin-winなんだから
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60 ななしのよっしん
2023/11/11(土) 23:05:44 ID: OZLurUhRKP
テレビで有名になった人で本出した人はほとんどこれでしょうね。
それを専門に生きてきて、文を書く練習してない人が本を一冊書くなんて「絶対」に理。
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