ザクⅡ改(MS-06FZ ザクⅡFZ型、ザクⅡ最終生産型、ザク改、ザクFZ型)とは、OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場するモビルスーツ。
バーニィことバーナード・ワイズマン伍長の乗機として知られる。
概要
ZAKUⅡFZ ザクⅡ改(ザクⅡFZ型) |
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型番 | MS-06FZ |
頭頂高 | 17.5m |
重量 | 56.2t(本体) / 74.5t(全備) |
出力 | 976KW |
推力 | 79,500kg |
搭乗者 | バーナード・ワイズマン アルフレッド・イズルハ 他 |
装甲 | チタン・セラミック複合材 |
武装 |
「統合整備計画」以降に開発された最終生産型のザクⅡ。一年戦争で最も生産されたF型をベースとしている。
主な変更点はスラスターの増強と第2期生産型コックピットへの刷新となっているものの、統合整備計画を完全に反映した事により、機体の基本構造も最新鋭の技術への改修が行われ、最早別の機体と呼べるほど大幅な変更が行われている(新規生産説と全面改修説がある)。その性能はベース機のF型やそのマイナーチェンジを大きく上回り、スラスター増強の結果、スペック上の総推力は「MS-14A 量産型ゲルググ」すら凌駕するにまで至った(RX-78-2 ガンダムよりも高い)。
しかも操作性はF型準拠の為、複雑な操縦を搭乗者に強いる事もなく、学徒兵・新兵にも扱い易い配慮がなされていた。
だがプロペラントの採用は見送られており、増強された推力に対して推進材消費が悪化し、作戦行動時間はベース機の半分にまで低下。また統合整備計画に準じた最新鋭の規格を搭載しているとはいえ、ジェネレーター自体は従来のザクⅡ同様の物を搭載しているため、ビーム兵器はドライブ不可能であった。
一年戦争も佳境に入った10月16日、ザクⅡ改の生産を開始。生産拠点はグラナダで、12月13日の時点で既に作戦行動が出来るだけの数が量産されていた。キシリア少将の命によって、ザクⅡ改はサイド6コロニーの威力偵察に投入。多くのジムコマンドを撃破してその高い性能を示した。本格的な量産に入る前に一年戦争が終戦を迎えた為、その生産数は極僅かに留まったという。ゆえにグラナダ方面軍以外の部隊には配備されなかった。
頭部を特殊な意匠のメット状装甲でカバーしたフリッツヘルムタイプ(B型)と呼ばれるFZ型も作中で確認されている。これは旧ドイツ軍のシュタールヘルムを模した物で、フリッツとはアメリカにおけるドイツ軍の別称を指す。フリッツヘルムタイプは『0080』劇中には登場しないが、漫画『ギレン暗殺計画』やアニメ『機動戦士ガンダムUC』でも登場する。
本機は初めて「ガンダムタイプと引き分けたザク」として広く知られている。
この他互角以上に持ちこんだザクとしては
・ゲラート・シュマイザーの「旧ザク」 VSガンダム6号機
・ダリル・ローレンツの「サイコ・ザク」 VSフルアーマーガンダム(サンダーボルト)
・ジョニー・ライデンの「フルバレットザク」 VSフルアーマーガンダム
…などが挙がる。
それらの先達として『0080』にて強敵ガンダムと引き分けたザクこそが、このFZ型である。
配備されたFZ型の内、サイクロプス隊所属のバーナード・ワイズマン伍長(バーニィ)の乗機が有名である。しかし厳密には彼がサイクロプスへ編入される前の乗機であり、作中ではそれをバーニィが修復して最後の出撃の愛機として使用する。
設定の変更
元々ザクⅡF型の「デザインだけ」をリファインしたものという位置づけで、後に他のガンダムとの整合性を図るべく統合整備計画が設定され、この機体もザクⅡの新型という設定に変更された、という経緯を辿っている。
ポケ戦に登場するジオン側MSは全て統合整備計画を反映した全面改修機(もしくは新規設計機)である。如何に性能が高くとも、FZ型が誇るスラスター推力すら普通に上回っている機種が殆どである。
統合整備計画
統合整備計画とは、マ・クベが立案したモビルスーツの規格をパーツ設計レベルで統合する開発計画の事で、部品の共有化、MS生産ライン簡略、操縦系統の統一を目的としている。
これにより、他企業の機種・兵装との互換性を確保出来た為、ジオンの兵器開発にとって重要な計画となった。
統合整備計画を織り込んで開発されたモビルスーツは第2期生産型、もしくは後期生産型とも呼ばれる。これらの特徴としは、第2期生産型コックピットへの統一(操縦方法の共通化)が図られた事と、機構・内部フレームの変更などが挙がる。 また機体自体のリファインも行われ、第2期生産型のスペックは統合整備計画以前の原型機から向上し、ほぼ別物と呼べるくらいになった機体まである。
各資料を見る限り未だに統合整備計画の全容を把握出来ているわけではないようだが…。
ポケットの中の戦争
- 第1話「戦場までは何マイル?」
- U.C.0079 12月1日。中立コロニー「リボー」に住む、戦争にヒロイズムを抱く少年アルフレッド・イズルハ(アル)はその日、ジオンの新兵バーナード・ワイズマンと出会う。コロニー内の戦闘で被弾したザクⅡFZ型が制御不可能なまま森林公園に落ちたのだ。戦争にあこがれるアルは初めて戦闘の空気を間近で感じた。もはや動かないザク。だがそこから一人のジオン兵がコックピットから出て、アルに銃口を向ける…。
- 第2話「茶色の瞳に映るもの」
- バーニィは、破損したザクを出て津々興味深そうなアルに毒気を抜かれ、コミュニケーションをとる事にした。その最中、ふとアルの持っていたビデオカメラをふざけ半分に取り上げて、撮影されていた画像データを確認するバーニィだったが、その中に不審に感じたデータ(コンテナ)があることを見逃さなかった。バーニィはアルが興味を示した自分の階級章と引き換えに、そのデータの入ったメモリーディスクを譲って貰う事にした。この時のバーニィには知る由もないが、彼の目に映ったデータには、当時ジオン軍が血眼になって探し回っていた“ある重要機密”が隠されていたのだった。
- その後友軍のザクに救助されデータを持ち帰ったバーニィは、特殊工作部隊(特務隊)「サイクロプス」に配備され、その重要機密…すなわちアムロ・レイ用に調整されたNT対応MS「ガンダムNT-1(アレックス)」の破壊に身を投じる事となる。(この時、破損したザクはコロニーに放置されたままであったが、物語の最後に再び使われる)。
- コロニーに再度潜入した後、バーニィはアルと再び出会う事となる。隊長であるシュタイナーはアルたっての「仲間に入れて」との希望を他言無用を条件に聞き入れ、アルから情報を聞き出した。
- アルに関してはバーニィに目付け役を命じる。それは子守りに他ならなかった。しかしアルとバーニィは、共に“任務”をこなしていくうちに、次第に“友情”が芽生え始めたのも事実である。
- しかしそんな平和でアルにとっては冒険心に満ちた時間も、そう長くは続かなかった。
- 第5話「嘘だと言ってよ、バーニィ」
- バーニィにとって多くの仲間が死ぬ事となった。
潜入工作で彼の不用意な失敗のせいでもあるが、やはりガンダムNT-1の“脅威”も確かだった。もはやサイクロプス隊正規メンバーは新人である彼のみとなる。 - その彼にとって追い打ちをかけるように、コロニー・サイド6は核によるガンダムの爆破が予定されていた。彼はこのコロニーに住むアルに友情を感じていた。そこで、彼はアルに脱出を薦める。すかさずアルは「ならバーニィが倒せばいい」と言う。しかし、アルにとってヒーローそのものだったバーニィの口から出た言葉は「俺はな、モビルスーツなんて一機も落とした事はないんだ」という、アルには信じ難い言葉だった。
- 突き放すようにアルと離別したバーニィ。不意に彼の耳にある言葉が入ってくる。「嘘を付きとおす根性が無い」…それは今の彼にとっては耳が痛い言葉だった。
- その頃、アルはクリスマスに父が帰ってくると知る。しかし24日に核ミサイルがコロニーを焼くという作戦を既に知っていたアルは1人言葉を反芻していた。だが脱出を踏みとどまったバーニィがアルに連絡し二人は和解。コロニーを救う為二人は再び行動を開始する。
- 第6話「ポケットの中の戦争」
- 彼等はガンダムに再び破壊すべく、放置されていたザクⅡFZ型の修理に取りかかった(修理にはジム・コマンドのパーツも使用された)。そして遂に彼等自身の力でザクの稼働に成功する。期限間近、クリスマス前日の事であった。
- だが皮肉なことに、核ミサイル発射作戦は彼等の預かり知らぬところで既に阻止されていた。作戦決行当日にそれを空港で父親から聞いたアルは、既にガンダム撃破の為に出撃していたバーニィを追った。
- バーニィは既にザクで出撃しており、森林公園にガンダムNT-1を誘いだしていた。そこで仕掛けた“罠(イベント用の大型風船を使用したダミーバルーン、発煙筒を使用した煙幕)”を駆使し、コクピット直撃の致命傷を負いながらもガンダム相手に善戦する。互いに激しい近接戦にもつれ込むものの、損傷した両機には余力・余裕など無く、遂に戦いは真っ向からの剣戟となる。
- アレックスはビームサーベルを、FZ型はヒートホークを構える。
- 「もう戦わなくていいんだ!」
- その一部始終を追いながら、何度もザクに向かって叫び続けるアル。しかしアルの言葉はバーニィに届かず、FZ型のヒートホークがガンダムNT-1のヘッド(センサー)を薙ぎ払い、そしてガンダムNT-1のビームサーベルがFZ型のコックピットを貫通する。
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プラモデルは当時発売された旧キットやHGUCが発売中(B-Clubからは1/100ザク用の改造パーツも発売されている)。ただしHGUCは四肢の細さや胴体の形状などから造形には賛否両論あり、比較的出渕氏のデザインしたずんぐりした設定画に近い体型の旧キットの人気も根強く、こちらを選択するモデラーも多い。
関連項目
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