ザメルとは、OVA『機動戦士ガンダム0083』に登場する機動兵器である。
概要
ジオン公国軍が試作した砲撃戦用重モビルスーツ。一年戦争末期にキャリフォルニアベースのMS工廠で3機が生産されたが、実戦投入されたかどうかは不明。そのうちの1機がジオン軍残党の手に渡り、宇宙世紀0083年に勃発したデラーズ紛争で使用された。パイロットはボブ中尉。形式番号はYMS-16M。末尾のMはザメルの別名である「メルザ・ウン・カノーネ」のことである。初期デザインの名称とか言っちゃアカンのです。
中・長距離での砲撃支援を想定した重モビルスーツで、その装備の影響からかモビルスーツとは思えないほど大型の機体となっている。下表の様に全備重量は121.5トンにも及び、その外観からも鈍重な移動砲台との印象を受ける。しかし脚部と後部スカートに内蔵されたホバー走行用の熱核ジェットエンジンによって非常に高い移動能力を誇っている。走行速度は220km/hとドム系統MSに匹敵する速度となっており、腰部には高速移動を安定させるための大型安定翼も装備されている。ただしドムと同様に旋回性能が高いとは言えないが・・・。
ザメル | ザクⅡ | ドム・トローペン | ガンダム試作1号機 | ジム・カスタム | |
全高 | 27.0m | 17.5m | 18.5m | 18.0m | 18.0m |
本体重量 | 75.0 | 49.9t | 44.8t | 39.7t | 42.0t |
全備重量 | 121.5t | 70.3t | 79.0t | 65.0t | 57.6t |
ジェネレーター出力 | 1,080kW | 986kW | 1,199kW | 1,790kW | 1,420kW |
主スラスター推力 | 10,300kg×6 | 20,500kg×2 3,100kg×4 |
20,500kg×2 3,100kg×2 |
42,000kg×2 12,000kg×2 |
30,000kg×2 1,870kg×2 |
複座式を採用している特殊なMSであり前方は操縦者、後方は砲撃手が搭乗する仕様になっている。操縦系統の切り替えで1人でも運用可能となっているが操縦と共に長距離での砲撃という高度な知識や技術を必要とする操作を1人で行うことが求められるため、基本的には別々に受け持つようになっている。
ちなみに劇中においてアルビオンを最初に観測した時は操縦席にガトー少佐、砲撃席にボブ中尉が搭乗している。
ザメルの主武装は右肩に装備されている680mmカノン砲で、その破壊力はトリントン基地の司令部を一撃で喪失させるほどの威力を持つ。これはYMT-05 ヒルドルブの30サンチ(cm)砲を遥かに上回る口径であり、その射程もヒルドルブの32㎞に対して50kmの長射程を誇っている。実際の使用弾種は不明だが噴進弾(いわゆるロケット)とする資料もある。ちなみに戦艦大和の主砲は46サンチ(cm)で射程は約42㎞である。
この巨大なカノン砲は通常は折り畳まれ、砲身の歪みを避けるためにも後部スカートに固定されている。
脚部も射撃時に生じる衝撃を緩和する大型で複雑な3重関節の採用、射撃反動に耐えるための接地面積の大きな脚、移動力を確保するための大容量熱核ジェットホバーの内蔵といった理由から大型になっている。また脚部の破損は砲撃に重大な障害を与える為、大型のフロントスカートも採用されている。
脚部熱核ジェットホバーは2重エアインテークを持っているが、劇中の機体はザメルと同じキャリフォルニア基地MS工廠で製造されたドム・トルーペンと同形式の防塵フィルターを装備している。(防塵フィルター無し状態の資料も存在する)
また高速移動や射撃を考慮した物か、頭部にはモノアイ以外にもメインセンサー、モニターカメラ2機、航法アンテナ、レーザーカメラ等のセンサーを備えている。
巨大なカノン砲の影響はそれ以外にも後部スカートにも表れている。本体に匹敵する巨大な後部スカートは上下の2ユニットにより構成されており、上部は680mmカノン砲用弾倉と8連装多弾倉ミサイルランチャー用弾倉が格納、下部は移動力を確保するための熱核ジェットホバーになっている。大型脚部も大型後部スカートも680mmカノン砲を運用しつつ移動力を確保するのに欠かせない要素となっているのである。
強力な遠距離装備を持つ反面、近距離戦闘は苦手とされている。装備としては左肩に8連装多弾倉ミサイルランチャー、頭部には20mmバルカン砲、劇中では装備していないがオプションとしてビームサーベルが装備可能で近接戦闘も可能とされている。しかしドム系統MSと同様に旋回能力の面では劣るため、近距離戦闘や白兵戦には向かない。敵機に接近されると巨体を活かした体当たりか、バルカン砲などで対抗するしかなくなる。実際、劇中のザメルは密着状態のビームサーベルで撃破されている。
オプション装備のビームサーベルについては詳細が不明だが、劇中のザメルが3本指マニピュレーターなのに対して5本指マニピュレーターで描かれている資料も存在する。この事から試作機の中には5本指マニピュレーターでビームサーベルを装備した機体が存在したのかも知れない。
一年戦争時代の機体ではあるが、キャリフォルニア基地MS工廠で3機が生産されたと言われており、その内の1機がデラーズ紛争で使用されたこと以外は不明である。その1機についてもどの様な経緯を辿りデラーズ紛争で用いられる事になったかは不明である。
同じYMの形式番号を持つ、YMT-05ヒルドルブの後継機ではないかという声も散見されるが不明である。
劇中の活躍
0083.10.09 ガトー少佐がアフリカに降下し、地上のジオン軍残党と合流する。ユーコン級潜水艦U-801によりオーストラリア東海岸に上陸する。
0083.10.13 15:00 オーストラリア東海岸でザメルの砲撃席に搭乗したボブ中尉がアルビオンを観測。操縦席のガトー少佐がU-801と通信して「星の屑」作戦が開始される。
ザメルとドム・トローペン2機がガトー少佐と共にいるが所属は不明。アフリカのジオン軍残党でガトー少佐と共にU-801でオーストラリアに来たのか、それともオーストラリアのジオン軍残党だったのか、その複合かは一切不明である。
0083.10.13 20:50 ガトー少佐によりガンダム試作2号機が強奪される。
0083.10.13 21:10 ボブ中尉のザメルがU-801のミサイル攻撃と連携して砲撃を開始。U-801の弾着を確認して修正を指示すると共に、劇中で確認出来る限りでは2回の砲撃を実施している。その内の1発は司令部を直撃してトリントン基地司令のマーネリ准将を戦死させる戦果を挙げている。
ザメルはガンダム試作2号機とドム・トローペンと共にトリントン基地戦域を離脱するとコムサイⅡとの降下地点に向かう。移動中にザメルのボブ中尉は追手のMSらしき反応を観測する。
0083.10.13 23:40 3機のMSがコムサイⅡの降下地点に集合する。
0083.10.14 00:40 コムサイⅡが到着する。ガンダム試作2号機はコムサイⅡへ収容され、ザメルとドム・トルーペンの2機は追撃隊への警戒から迎撃にあたる。アダムスキー少尉のドム・トローペンは側面からコムサイⅡを狙うパワード・ジムとザクⅡの迎撃にあたりアレン中尉のパワード・ジムを撃破。ボム中尉のザメルは正面に回り込もうとしたガンダム試作1号機とジム改に攻撃をすると吹き飛ばされた1号機ではなく、ジム改を指揮官機と見極めて大質量による体当たりを行う。しかし高い機動性を誇るガンダム試作1号機がコムサイⅡの前に立ちはだかり、これを撃破してしまう。離脱に失敗したガンダム試作2号機は他の2機と共に、トリントン基地西方350㎞地点に浮上したU-801に向けて移動を開始する。
0083.10.14 05:30~05:50 ガトー少佐がカレント大尉のMS小隊(4機)が交戦して20分で潰滅する。
0083.10.14 06:10~06:13 U-801の回収地点近辺で追撃隊と交戦。ザメルはガンダム試作1号機に8連装多弾頭ミサイルで攻撃を行ったのち、ガトー少佐に離脱を促す。更に追撃してきたガンダム試作1号機に踏台にされながらも20mmバルカン砲と8連装多弾頭ミサイルによる迎撃を行うも、その隙に接近したバニング大尉のジム改に殴られて交戦状態に入ってしまう。
その後の戦闘経過は不明だが、近接状態から殴られていたはずのザメルはバニング大尉のジム改を右肩にバルカンによる損傷とメインカメラへの損傷を与えて上で巨大な岩に押し付ける様な状態で中破にしている。さらにはバニング大尉にも負傷をさせている。しかし自らは背部に抜ける形でビームサーベルを突き立てられ撃破されていた。
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