シフゾウとは、ゾウの仲間……ではない。
ウシ目シカ科の動物である。漢字では四不像と書く。間違えてはならないのが、象ではなく像という点である。
曖昧さ回避
- 上記をモデルとした霊獣。麒麟の頭、竜の体、豸の尻尾をしているが、麒麟でも竜でも豸でもないという。
- 「封神演義」に登場する霊獣。ムーミンに似ていたり、ムーミンを意識したような設定があるのは藤崎竜版のオリジナル設定なので念のため。
- 中国語の俗語で「わけのわからないもの」という意味。
概要
名前の由来は、その姿が4体の動物の部位を合体させたような姿をしていたことから来ており、名前は彼と同じようにいろんな動物の特徴を併せ持つ中国の伝説の生き物、四不像(読みはスープーシャン)に由来する。
一般的にはウマの頭、シカの角、ロバの胴体、ウシの足(蹄)を持つ珍獣と言われる。ただし動物の選定には諸説ある。で、結局コイツはなんの仲間なのかと言うと、シカである。
普通に見たらちょっと胴のしっかりしたシカであるが、こんな成りでも自然絶滅種である。19世紀の中頃、この動物は清王朝にあった皇族専用の御猟場である南苑に連れて来られていた。そこで門番達はシフゾウの食肉やら、皮やら、角やらを売って小遣いを稼いでいたらしい。
ある時、フランスの生物学者がこのシフゾウのことを聞きつけてやってきた。しかし南苑とは聖域である、一般人が近づこうものなら厳罰が下されるほどの場所だった。そこで生物学者は賄賂を渡すことで、このシフゾウがいる南苑へ足を踏み入れることに成功する。
シフゾウは当時、そういった小遣い稼ぎや食肉目当てでしか扱われていなかったが、興味を持った学者は「肉はいいから皮と骨をくれ」、と言って祖国にこの動物の一部を持ちだした。
やがてこの動物のことが広まると、海外からこの珍しい生き物を取り寄せようという動きが強まり、こっそり国外への輸出が始まった。こうしてシフゾウは、ただ人の欲望に飲まれることなく、一部の個体が飼育下で生き永らえた。
しかしこういった経緯から、学者がそのことを聞きつけた時点で、野生のシフゾウは一匹残らず絶滅していた。
そのため、自然界で生きていた頃のシフゾウがどこでどういう暮らしをしていたのかまるで記録が残っておらず、自然下における生態はほとんど謎に包まれている。
上述の経緯で、興味本位に輸出された一部の個体群が、現在生きているシフゾウである。ちなみにこの動物が認識された中国では、洪水や義和団事件など数々の騒乱があり、そのゴタゴタの中で絶滅してしまっている。
日本でも動物園で少数飼育されており、名前と実際の姿のギャップに来場者をちょっぴり驚かせている。ただし野生絶滅種なので、実は結構存続が危ぶまれる動物である。
泳ぎが得意であり、食べ物は水生植物などを好む。蹄がウシのように大きいのは沼地などぬかるんだところで足を取られないようにするためと考えられ、すると自然における生息地は主に水辺に近かったのではないかと推測されている。
歩く時、脚関節の軟骨から音がする。これは群れで移動する際に音を目印とするためだったと思われる。
その大きな角は2kg程度あり、なかなか重い。シカは年に1回角が生え変わることで知られるが、シフゾウは年に2回も生え変わる。
もし動物園にいったら、このどこの動物園にでも居そうだけど、よく見るとへんてこりんで面白く、そして貴重なシフゾウの姿を、じっくり観察してみてはいかがだろうか。ちなみに日本では3つの動物園でしかお目にかかれない。
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