概要
ペルソナ3から登場する異形の者達。
その正体は人間の精神の一面が具現化したものであり、同じく精神の一面であるペルソナとその存在は全くの同質。要はコントロールできるか否かの違いしか無い。
登場はペルソナ3からであるが、1では業魔や暴走ペルソナ、2でも主要人物の姿を象ったシャドウが出現し、自己の心と向き合うというのはシリーズに共通する要素となっている。
以下、この記事ではペルソナ4とその派生作品での、主人公の身近な人のシャドウについて解説する。
ペルソナ4におけるシャドウ
テレビの中に入れられた人の心境がダンジョンとなって現れ、その最深部にはテレビに入れられた人と、その影(シャドウ)がいる。
影はその人の、抑圧していた感情である。
影はその人に語りかける。
その内容は対象者の感情を大幅に誇張して攻め立てる為、シャドウの語る内容がその人の本心という訳ではない。
しかし、全くの嘘という訳でもなく、もともとは認めたくない抑圧した感情であるが故にその人はこう叫んでしまう。
「お前なんか…俺じゃない!!!」
「あんたなんか…あたしじゃない!!!」
「あんたなんか…私じゃない!!!」
「てめぇみてぇなのが、俺なもんかよ!!!」
「あんたなんて…私じゃない!!!」
「お前は…お前は僕じゃない!!!」
否定された影はシャドウとなり、暴走する。
しかし、影を受け容れることで、シャドウはペルソナへ昇華する。
自分自身と向き合える強い心が、“力”へと変わる…
!注意!
この記事はPersona4 the ANIMATIONを元に作っているため、アニメ各話のネタバレを含んでいます
陽介の影
影が示すのは[破壊願望]
「悲しいなぁ…かわいそうだなぁ…けど、何もかもウザイと思っているのは、自分の方だって…なぁ?”俺”?」
影曰く
小西先輩が死んで、そのなぞを探ろうとここに来た。というのはただの口実。
本当は、ど田舎暮らしにうんざりしてて、ただこの場所(テレビの中の世界)にわくわくしてただけ。
退屈な田舎暮らしを「ウザイ」と思い、それを破壊しようとする「破壊願望」がシャドウとなって現れる。
陽介はひたすら自分の影を否定し続け、シャドウの声に対して耳をふさいでしまう。
しかし、悠に殴られたことによって、結果的に自分を見つめなおした。
悠「あ、間違えた…」
ほんとは、わかってたんだけど、みっともねーし、認めたくなかった。
みんなとうまくやろうと必死で、一人でかっこつけて…俺だって、こんな俺、うぜぇって思うぜ…
けど…先輩への気持ちは、本物だった…!
あれも俺の一部って事か。全部ひっくるめて、俺だって事だな………。
お前は俺で、俺は、お前だ。
下半身が巨大な迷彩柄カエルの形、上半身が長いスカーフをたなびかせた(初代仮面ライダーのように)格好をしている。格好つけているという部分が上半身を、周りに振り回されているが周りに溶け込みたいという部分がカエルを、踏み潰すことが破壊を表している。
千枝の影
影が示すのは[嫉妬]
「今までどおり見ないフリで押さえつけるんだ…?あんたがあたしを。」
一時は千枝はシャドウに自分の押さえつけた本音「嫉妬」「妬み」を見せ付けられ、シャドウに取り込まれかける。
陽介「本音?結構じゃねぇか!」
悠「それでも、友達なんだろ?」
陽介と悠のその一言。それが自分を見つめなおすきっかけとなった。
そして、影と対峙したことで雪子との絆は強まった。
雪子…そうだったよね…!
雪子…!あたしたち、友達だよね?
あんたは、あたしの中にいた、あたし。
ずっと見ないフリをしてきた、どうしようもないあたし…。
でも、あたしはあたしなんだよね?
あんたは…あたし…!
四つん這いになった女子校生を模した像の上に座り、ボンデージにムチとスマイルの書かれたマスクをしている。優越感が外見を、笑顔で本当の顔を隠していることがマスクに現れている
雪子の影
影が示すのは[逃避願望]
「老舗旅館…女将修行…そんなウザイ束縛、まっぴらなのよ!!!」
影曰く
たまたまここ(天城屋旅館)に生まれただけで、生き方を死ぬまで全部決められている。
どこか遠く、ここじゃないどこかへ、自分を連れ出して欲しい。でも、一人じゃ出で行けない…。
生き方のレールを敷かれ、逃げ出したい、でも、自分の力では叶わない。
だから、自分を連れ出してくれる『王子様』を待つ、逃避願望。
開いた鳥かごの中にいる鳥、そのシャドウの姿がそれを語っていた。
そして雪子自身も、シャドウの鳥かごに捕らわれてしまう。
雪子は自分を責め続ける。
千枝「あたしだって、雪子の思うようなあたしじゃない…最低なとこだって、いっぱいある。それでも…あたしは雪子のそばにいたい!大切だから…友達だから…!!」
千枝の励ましが、自分を見つめなおすきっかけとなり…
私…何を怖がってたんだろう…怖がることなんてなかった…だって、私には…!!
自分の「鳥篭」を破壊した。
私も、千枝のことが見えてなかった。
自分が逃げることばっかりで…だから、あなた(シャドウ)を生んでしまった。
ごめんね…認めてあげられなくて
「逃げたい」「誰かに救ってもらいたい」
そうね…確かに私の気持ち…あなたは…私だね…。
鳥かごに入った赤い鳥の外見をしている。鳥かごは開いており、外に出ず時折閉じこもるのは勇気のなさを表している。白馬の王子様という名前のシャドウを召喚する。
完二の影
影が示すのは[拒絶を恐れること]
「”男の癖に…男の癖に…男の癖に…”!!じゃあ男らしいってなんなんだよ!女は怖いよなぁ…?」
シャドウの部分だけ見ると、彼の”やりたいこと”はあっちの路線にいくことかと思うかもしれないが。そうではない。
彼の趣味は、裁縫で、可愛いものを作るのが好きだったが、それが自分の性別とのギャップでからかわれたことがコンプレックスとなっている。
いつしか彼は、不良の道を歩き出していたが、それは恐らく[拒絶されること]を恐れて、いつしか自分から嫌われようとしてしまった結果なのかもしれない。
しかし、悠の様に、彼の趣味を受け入れてくれる人もいたことを知った完二は自分を見つめなおす。
やめろっつってんだろ!!
ったく、情けねーぜ。こんなんが俺ん中にいるかと思うとよ!
男だ女だってんじゃねぇ、拒絶されんのが怖くてビビッてよ、自分から嫌われようとしてるチキン野郎だ!
だからとっくに知ってんだよ。
てめぇは俺で、俺はてめぇだよ。クソッタレが!
半身ずつが黒と白のマッチョな体で、胸から頭にかけてが無く、代わりにバラに包まれた影が乗り込むような形をしている。手に持っているものは「♂」の形をし、バラは男性の同性愛の比喩と内面は繊細ということ、体色は表と裏を表している。
りせの影
影が示すのは[本当の自分]
「ざっけんじゃないわよ!!じゃあ"本当のあんた"って?どれよ?どれが本当のあんたよっ!!」
影曰く
べったべたのキャラ作りして、作り笑顔なんてまっぴら。
人気急上昇中のジュニアアイドルして、カメラやファンの前で「アイドル・りせちー」として作られたキャラクターを演じ続けてきたりせ。その「りせちー」で居続けることに次第に疲れてしまい、芸能活動を休業して八十稲羽の祖母の家に引っ越してきた。
作られた「りせちー」ではなく、[本当の自分]を見て欲しい。一個人、久慈川りせとして接して欲しい。
しかし八十稲羽に来たときには[本当の自分]がいったい何なのか、既に自分でもわからなくなっていた。
影と対峙した時にその事実を明確に突きつけられたりせは、自分が思い描いていた[本当の自分]なんてものはどこにもなく、今の自分も、演じてきた「りせちー」も、全て間違う事無き[本当の自分自身]なのだと悟った。
あたし…どの顔が「本当の自分」か、必死に考えてた…。
けど…そんなの探したって、見つからないよね…。
本当の自分なんて、どこにもない。
あなたも、「りせちー」も全部…あたしなんだよね…?
頭がアンテナで、虹色の体色をした全裸の女性の形をしている。「本当の自分を見て欲しい」が全裸の女性を、「本当の自分がわからない」が虹色で表されている。
クマの影
影が示すのは[真実を求めることの無意味さ]
「真実は常に…霧に隠されている…何かを掴んでも、それが真実だと確かめる術は決して…無い…!」
アルカナ:月(何者かによる干渉によって別のアルカナになっているようだ。)
影曰く
正体すらわからない物をどうやって見つける? 真実など探すからつらい目に会う。
りせの影との会話の中での「本当の自分なんてどこにもない」という言葉に反応して具現化したクマの影。
「気がついたらテレビの中の世界にいて、それ以来ずっとここに住んでる」と言うクマは、主人公(鳴上悠)や陽介たちと初めて出会った日から、「自分が何者なのか」をずっと自問し続けており、未だにその答えを見つけられずにいた。
そんな中に現れたクマの影は、クマに、そして自称特別捜査隊の全員に、答えを、真実を追い求めることの無意味さを説き、クマの正体についても明かそうとする。しかしクマはその言葉を遮り、今、真実がわからなくても自分は現にここにいて、自分が何者なのか、真実は何なのかは今はわからなくてもいずれ必ず自分で見つけ出すと影に言い放つ。
そのクマの覚悟は自称特別捜査隊のメンバーにも伝わり、後に自分探しの手伝いの申し出を悠や陽介たちから受けたクマは思わず感涙し、仲間たちとの絆を再確認することが出来た。
クマの影に関しては、アニメでは悠が影に対して違和感を感じていたり、りせがヒミコで解析した時に「なにかいる」と言っているなど謎が多い。はたして真実は・・・
クマは…自分が何者か、わからないクマ…「答えなんてないのかも」なんて気もしたクマ…
だけどクマは今ここにいるクマ!ここで生きてるクマよ!!
りせ「あたしも、一緒だよ。一緒に答え、探そう。」
悠「クマは、一人じゃない。」
陽介「まっ、しゃーねー。俺らも付き合ってやるよ。答え探し!」
見た目はクマそのものだが、目周辺の部分が割れており、そこから明らかに違う者の目を覗かせている。
美津雄の影
影が示すのは[無(あるいは虚無)]
自称特別捜査隊の面々のシャドウとは違い、無気力な声をしたシャドウである。
案の定、美津雄は自分のシャドウを認めず、暴走させてしまう………
シャドウが暴走した直後、突然場面が切り替わる。
事件が終わり、集まることもなくなった「自称特別捜査隊」
一人になり、自分の部屋でたたずむ悠に、シャドウが襲いかかる。
応戦しようとペルソナを呼び出すも、手元にあるのは、アルカナが描かれていない真っ白なカード
懐かしい声に導かれるように、悠は一筋の光に手を伸ばす。
そこは、テレビの中の世界、事件はまだ、終わっていない
陽介「大丈夫か?」
悠「ありがとう………陽介………!!」
千枝「鳴上君!!」
完二「先輩!!」
クマ「センセイおかえり!!」
雪子「よかった無事で!!」
りせ「先輩!大丈夫だった!?」
悠「ああ…やるぞ!!」
悠は、シャドウに取り込まれ、悪夢を見ていた。
そして、助け出された悠を迎えてくれたのは「自称特別捜査隊」の面々だった。
仲間との絆を再確認し、迷いを振り払った悠は、シャドウを打ち倒す。
直斗の影
影が示すのは[成長願望と変身願望]
「世の中の二枚舌には、お前はなすすべもない…一人ぼっちの子供だ。」
影曰く
僕は今すぐ「大人の男」になりたい。
僕のことをちゃんと認めて欲しい。
僕は、いていい意味が欲しい。
探偵王子と呼ばれている彼は、探偵として協力を求められているも
「子供」であるがために、用が済めば「子供は帰れ」と、掌を返されていた。
その出来事から、彼は「社会に対する無力感」を抱え、成長願望を抱くようになった。
そして、自分は「女」であることにもコンプレックスを抱いていた。
女であることは自分の思う”カッコいい探偵”に合わない。
だから「カッコいい大人の男になりたい」という変身願望も抱いていた。
苦戦しつつも、シャドウを倒すことはできたが、シャドウに全てを吐き出された直斗はもう誰も自分に必要されないだろうと思っていた。
これ以上軽視される理由が増えたら、もう誰にも必要とされない…。
完二「んなのは思い込みだ!」
雪子「本当はわかってるんでしょ?本当に求めてるのは、大人になることでも男になることでもないって。」
悠「自分と向き合ってみろ。」
僕は…知らないフリをして、君という子供を閉じ込めてきた。
君はいつだって、僕の中にいた。
僕は君で…君は僕だ。
僕が望むべきは…いや、望んでいるのは
大人の男になることじゃない。
ありのままの君を、受け入れること…!
本人そっくりのシルエットをしたロボット(キカイダーのような)の外見をしている。
悠の影
影が示すのは[孤独を恐れること]
「みんながいない明日が不安だった…仲間を失って、ひとりきりで前に進むのが怖かった…もう独りにはなりたくない…独りは…たくさんだ…!!」
アルカナ:(恐らく)愚者
Persona4 the ANIMATIONのもう一つの最終話、「No one is alone」にて現れた、番長こと、鳴上悠の影。
マーガレット「こんなことになってしまい、誠に残念です…さようなら。」
マーガレットは戦意を失った悠に襲いかかる。
しかし、今まで築いてきたコミュから得た、それぞれのアルカナのペルソナたちが悠を守るかのように次々と現れる。
それぞれのアルカナが描かれたカードから、仲間たちの声が聞こえてくる。
その声が、悠を励ます。
戦意を取り戻しつつある悠の背後に現れたのは、彼自身のシャドウだった…。
マーガレットとの戦いの中、悠は改めて、自分自身の”弱さ”と向き合う。
「ずっと皆といたかった…たとえそれが霧の中の偽物でも構わない…誰ともつながりのない人生になんて…もう…戻りたくない…みんなといっしょなら…それでいい…!」
悠「ああ…『真実なんていらない、たとえ幻でも…ただ皆がいればいい…』そう思った…お前は…俺だな…。」
シャドウラビリス(あるいは「アステリオス」)
TheULTIMATEアーケード版及び、PS3、XBOX360版アーケードモードにおけるラスボス。
格ゲー補正ゲームシステム上「ペルソナ:アステリオス」となっているが
厳密にはペルソナではなくシャドウの一部である。
(執筆者募集中)
完二の言葉
視聴者、及び原作プレイヤー、また、自称特別捜査隊の人たちは
「影を否定すると暴走する」ため、否定ワードを言うのを止めようとする。
しかし、直斗の影を前にした時、完二は…
向き合わなきゃダメっすよ。
俺たちも、そうやってきたじゃないっすか…!
ちゃんと吐き出しゃいいんだ!
じゃねえとあいつ…苦しいまんまだろ!!
俺たちは…アイツ(影)をぶっ倒して、ケツを持ってやりゃあいいんだ!!
また、彼はP4Uにおいて、シャドウラビリス(ラビリスの影)に対しても…。
アニメ版におけるシャドウとの戦いの描写にもあるように、自分の影をと向き合うことができるのは。
仲間の支えもあったからかもしれない。
「本当の自分と向き合うってどういうことですか?」
「Persona4 the Golden ANIMATION」の第三話「I have amnesia, it is so bad?」にて
マーガレットからの提案もあり、マリーが陽介たちに投げかけた質問である。
(陽介の言動から察するに、その際に使っていたビデオカメラはジュネスの展示品らしい…。)
陽介「『本当の自分』か…で、なんかまたこっ恥ずかしい感じになりそうだけどさ…こいつら(自称特別捜査隊)と仲良くなる前は、田舎暮らしが退屈で、ウザくて、周りに気使って、空回りしてさ。でも、それも自分だって認めなきゃいつまでたっても変われないだろ?ここ(稲羽市)はいいとこだし、周りの奴らも最高だって気づけないまま、腐ってたと思う…。」
千枝「大好きな友達なのにさ…自分の心の中、実は結構ドロドロしてて…けど、そういうとこが自分にあるってわかってるとさ、逆に自分の気持に自信がもてる気がするんだよね…。」
雪子「『敷かれたレールの上を歩いているからダメなんだ』って思ってたの…でもね、一番ダメなのは『そのレールを歩くかどうか、自分で決めてないことなんだ』って、今は思う…。」
完二「”男のくせに”っとかいわれても、これが俺だからなぁ…俺はこれからもてめえを曲げるつもりはねぇ。おめぇも今度作るか?あみぐるみ。」
りせ「地味で暗い自分が嫌いでアイドルになったのに、今度は『アイドルじゃない本当の自分を見てほしい』…だって。結局ずっと逃げてたんだと思う。でも、どんな私だって、『本当の私』なんだよね…?」
クマ「クマはね…『本当の自分』がわからないんだ…。マリちゃんもわからないクマ?(静かに頷くマリー)そっか…怖いよね…不安になるよね…。でも、きっと大丈夫クマ…。だって、センセイやみんなが一緒だから。クマもマリちゃんも一人じゃないクマ…だから、きっといつか見つかるクマ…。」
関連項目
- Persona4
- Persona4 the GORLDEN
- Persona4 the ANIMATION
- Persona4 the ULTIMATE In MAYONAKA ARENA
- マヨナカテレビ
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