ジャミラとは、人間である。
イデ「ジャミラてめぇ!
人間らしい心はもうなくなっちまったのかよーっ!」
概要
棲星怪獣:ジャミラ | |
登場作品 | ウルトラマン |
サブタイトル | 第23話 「故郷は地球」 |
身長 | 50メートル |
体重 | 1万トン |
出身地 | 地球 |
ウルトラマンにおけるジャミラ
ウルトラマンの第23話「故郷は地球」にて登場。
有人衛星実験の失敗により、水の無い惑星に不時着した元地球人の宇宙飛行士。劣悪な環境の中で救助を待つが、国際批判を恐れた母国によって事故を隠蔽され、見捨てられてしまう。
体は次第に変質して怪獣となり、自分を見捨てた母国をはじめとする地球人に復讐をする為、宇宙船を修理・改造して地球に帰って来た。
全身が白く、乾燥した粘土質の皮膚に覆われている。炎に耐性を持ち自らも100万度の火炎を吐くことができるが、水にはめっぽう弱い体質になっている。また、首が無くなっており、頭と肩が一体化している。
国際平和会議に出席する世界各国の代表の乗った飛行機や船舶を、見えない宇宙船を用いて一般人を巻き込みながら爆破し、会議の妨害を図った。
会議の開催を目前に控え東京に飛来したが、科学特捜隊のスペクトルα線・β線・γ線によって宇宙船を可視化されると逃亡。撃墜されて地上に出現した後も積極的に戦おうとはせず、森の中に姿を消した。
一夜が明け、ジャミラは国際平和会議場へ進撃を開始。進路上の村を焼き払い、住民を危機に陥れた。無関係な人間を巻き込んだことに憤ったイデの絶叫に一瞬我に返り立ち尽くすが、復讐心が上回ったのか、各国の国旗を踏み潰しながらなおも会議場へ迫った。
しかし水に弱い体質が仇となり、科特隊の高射砲による人工降雨弾、さらにウルトラマンのウルトラ水流を受ける。大量の水を浴びたジャミラは泥にまみれ、のた打ち回りながら国旗を倒し続けて、やがて息絶えた。
ジャミラの死後、国際平和会議場の前に「人類の夢と科学の発展のために死んだ戦士の魂、ここに眠る」と書かれた墓が建てられた。ジャミラは地球の土に帰ることができたものの、科学特捜隊の心は晴れる事は無かった。イデ隊員は振り返る者のいない墓標を見つめながら、
「犠牲者はいつもこうだ・・・文句だけは美しいけれど・・・」
とやりきれない心情を露にするのだった。
容赦なく水を浴びせられ、悲痛なうめき声をあげながらもがき苦しんで倒れるという描写は、当時の視聴者の記憶に深く刻み込まれた印象的な(あるいはトラウマ)シーンと名高い。その時ばかりはウルトラマンの方が悪役に見えるとまで言われる程である。(この点においては、殆どの作品で「ウルトラマンは本当に正義なのか?怪獣は本当に悪なのか?」を追求してきた実相寺昭雄監督の意向が大きい。また、氏はスペシウム光線を嫌っており、これまた担当した殆どの回で怪獣へのトドメにスペシウム光線を使用していない。)
スーパーファミコン等の格闘ゲームのウルトラマンでも、倒した時のエフェクトが他の怪獣は爆発する物が殆どだが、唯一ジャミラだけうめき声をあげながら倒れ、クリア時のデモも他の怪獣と異なりジャミラだけ墓のシーンになっている。
アーケード版の同ゲームでは更にとどめがスペシウム光線ではなく、ウルトラ水流になっている。尚、このゲームにおけるジャミラのテーマ曲もイメージに合ったレクイエムを連想させる曲調となっており、名曲との声が多い。
漫画作品「ウルトラマン THE FIRST」では大きく設定が変わっており、怪獣墓場を調査していた宇宙飛行士ジャミラが、バルタン星人操るブルトンによって怪獣へと変貌した姿であるとする、後述するウルトラマンパワード版に近い設定となっている。地球には完全に人間としての意識を保ったまま飛来しており、同胞である地球人からの攻撃にも無抵抗を貫き、現れたウルトラマンには地球を狙う謎の黒い影の存在と危険性を示唆した。しかし、そうした事情を知らないイデ隊員のマルス133を受けて……。原作と同じぐらいの悲劇的末路を辿ったジャミラだが、これを受けてウルトラマンがジャミラの無念を継いで宇宙に旅立つことになるなどその死は決して無駄にならなかった(ただし、ウルトラマンが宇宙に上がることも含めてバルタン星人の罠だったのだが)。同胞である地球人を殺してしまったことになるイデ隊員はすっかりやさぐれてしまい、その後更にとんでもないことをしてしまうのだが……。
首が無い外見から、シャツの首の部分を頭に被り、子供の頃ジャミラごっことして遊んだ人は数知れない(余談だが昔のモノマネ番組の定番はジャミラとスケートの黒岩だった)。
犠牲者?為政者?偽善者?
前記のイデ隊員の最後のセリフは、脚本には書かれておらず現場で追加された為、「犠牲者」ではなく「為政者」「偽善者」と言ってると言う説を唱えられていた。
現在では、NHKなどでの字幕放送時の字幕で「犠牲者」となっている事や、ジャミラ回の脚本を担当した佐々木守が2003年に著した「戦後ヒーローの肖像」にて、
と記載されている事から、公式には「犠牲者」である。
棲星怪獣:パワードジャミラ | |
登場作品 | ウルトラマンパワード |
サブタイトル | 第6話 「宇宙からの帰還」 |
身長 | 1.8~60メートル |
体重 | 80キロ~1万8000トン |
出身地 | 地球 |
ウルトラマンパワードにおけるジャミラ
ウルトラマンパワードにも同名の怪獣(人物)が登場し体型こそ近いが設定、容姿は大幅に異なる。上記のジャミラと区別するためパワードジャミラと呼ばれることが多い。
空軍のジャミラ・ミラー少佐が木星探査中に謎の青い光に接触し、怪獣化してしまった姿。当初は人間の人格と良心を保っていたが、徐々に浸食されて制御不能になりつつあった。地球へ来たのも、心まで怪獣になる前に一人娘のカレンと再会するためであった。
しかし彼もまた地球人に裏切られ、自分の力の軍事利用をもくろむ保安局にカレンを人質にとられてしまう。怒りから完全に怪獣となったジャミラは保安局員を殺害しパワードと戦うが、カレンの必死の呼びかけによって自我を取り戻す。最後はパワードに自分を殺すよう懇願し、メガ・スペシウム光線を受けて死亡した。初代ジャミラと比べれば幾分か救いのある末路だったかもしれない。
小ネタ
- ウルトラマンとの戦いのシーンで、ジャミラの目の電球が途中から消えているカットがある。これは撮影中の偶発的な事故だったが、よりジャミラの表情に悲しみを持たせられると考えた実相寺監督は、あえて撮影を中止しなかった。
- ジャミラの断末魔には、赤ん坊の声を加工したものが使用されている。
- ラストのイデがつぶやくシーンのジャミラの声は、脚本には書かれていない。現場で実相寺昭雄監督が考えたものと言われている。
- 墓標によれば、ジャミラは1960年生まれの1993年没。いつ彼が怪獣化したのかは分からないが、わずか33年でこの世を去ったことになる。
- ウルトラマンメビウスの時代には、過去の怪獣・宇宙人を集めたアーカイブドキュメントが存在する。だが科学特捜隊の「ドキュメントSSSP」からはジャミラの記述はほとんど抹消されており、「ドキュメント・フォビドゥン」と呼ばれる限られた人間しか見ることのできないようにされている。
- 劇中でジャミラの正体に気づいたパリ本部の科学特捜隊員アラン・ビロッツはのちにジャーナリストとなり、「故郷は地球」という書籍を出版して真相を告発しようとした。しかし某国の妨害によりアランは無実の罪を着せられて逮捕され、本は絶版となってしまった。
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