スターフォックス2(Star Fox 2)は、発売が予定されていた未発売の任天堂のスーパーファミコン用ゲームソフト。
スターフォックスシリーズの第2作目となる予定だったが、惜しくもお蔵入りした幻のゲームとなっている。
概要
本作(以下、"2")は、スーパーファミコンソフト「スターフォックス」(以下、"初代")の続編として開発。だが発売せず、NINTENDO64で発売された「スターフォックス64」(以下、"64")がシリーズ続編となった。
ご存知の通り64は初代をさらに補ったリメイク作品として位置づけられている。なぜなら作品自体が2のプロジェクトから継承されたもので、SFCでは実現できなかったことを、本作で追加された要素と、NINTENDO64で実現できた要素を加えたものが「スターフォックス64」なのである。
発売断念の経緯
"初代"にも採用されたカセットに処理機能を持たせる"スーパーFXチップ"を改良しメモリを倍増させた"スーパーFXチップ2"という新規チップを開発、採用することを前提として開発が開始。
1995年内には完成し96年の発売すら計画されたが、新規チップによるコストのソフトの価格が跳ね上がってしまう問題があり、チップの開発を含め開発が1年以上遅れたためプレイステーションという3D描写を想定したハードが現れたことで他のメーカーからも初代エースコンバットなどの3Dポリゴンのゲームが発売される時代となり、任天堂自身も半年後にNINTENDO64の発売を控えていることにより、かなり高価な上に表現力も低いこのゲームを売り上げるのが難しいと判断された為、デバッグすら終わって完成していたにもかかわらず発売を中止。
本体により高度な3D描写能力を持つNINTENDO64に向けて"64"を開発し直すことになる。このため2は製品としての完成という状況から一転、開発中止となっている。
22年越しのまさか
それから正式にユーザーの手に本作が渡るようになるのはそれから22年後のニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン収録が最初である。
ウォーカーが復活した『スターフォックスゼロ』の発売から1年後、『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』に本作が収録されることが発表された。海外版である『SNES Classic Edition』にも英語版が収録されている。
電源を入れてすぐに遊べるわけではなく『スターフォックス』の最初のステージをクリアすることでプレイできるようになる。
公式のトピックによると完成までたどり着いた状態でお蔵入りしていたようで、パッケージデザインも新規におこしたものになっている。
"スーパーFXチップ"を用いているソフトは全てバーチャルコンソール配信がなく、チップを使用したソフトは処理面で問題があるとされ 、今作もまた配信されることはないとされていた。
しかし、単独のハードであるミニスーファミだからこそ今までVC化できなかった"初代"や"スーパーマリオ ヨッシーアイランド"、そして本作"スターフォックス2"の収録が叶ったのであった。
この収録以前では、流出ROMがファンの間で歴史的資料とされていた(後述を参照)。
主なゲームシステム
一言で表すならリアルタイムストラテジー要素のある3Dシューティングといったゲームシステムを持つ。
コーネリア系が描かれたマップ画面でアーウィンを動かし、惑星コーネリアを目指して飛来する敵や占拠された惑星などと接触して3Dシューティングパートで敵を倒してコーネリアを守りつつアンドルフ軍を壊滅させるのが目的となる。
シューティングパートで戦っている間も時間が経過し、他のアンドルフ軍はコーネリアに向けて侵攻しており倒す順番も考えなくてはならない。
シューティングパートでは前作がどんどん前へ進むタイプだったのに対し、本作はほぼ全ての場面で"64"で初登場することとなった360°飛び回ることのできるオールレンジモードでの戦闘が採用されている。
プレイヤーはあらかじめ操作キャラを2人選びマップ画面ならいつでも切り替えることができる。戦闘で負ったダメージはマップに戻っても回復しないため、交代してダメージをカバーしたり母艦に戻って回復させる必要が出てくる。
一人撃墜されてももう一人でコンテニューできるが、パートナーは復活せずもう一度撃墜されるとその時点でゲームオーバーとなる。
母艦には回復機能だけでなくコーネリア軍が保持する惑星へのワープ機能も備わっている。
コーネリアのダメージが100%に至ってもゲームオーバーとなる。コーネリアには迎撃衛星もあるが攻撃頻度は低くあまり頼りにならない。しかも放っておく占拠されてしまう始末。
後にDSで発売されたスターフォックスコマンド(以下、"コマンド")とは類似する点も多い。
開発を担当したQ-GamesはSFCスターフォックスのプログラマーが設立した企業であるため、"コマンド"が"2"のリベンジ作であったという見方もできる。
ウォーカー
本作の大きな特徴として変形が挙げられる。フォックスらの戦闘機「アーウィン」にはなんと新たに主翼を足にして二足で歩行する形態「ウォーカー」が用意された。(その姿「ちょっと通りますよ」のアスキーアートを彷彿とする)
着地できる所であればいつでもSELECTボタンで変形可能となっており、ウォーカーでは飛行することができなくなるが、地上を歩いたり泳いだりすることが可能である。そう航行するのではなく泳ぐのだ、まるでカエルのように。お前海でも泳ぐのか
ウォーカーについて宮本茂氏は、ロボットに変身する描写があったらかっこいいだろうと語る。(以下の関連リンク参照)
ウォーカーモードではブラスターの威力が飛行形態より1段階強く、照準も上下はオートで動く上に弾自体にやや追尾性がつく。また地上のスイッチを踏むこともできる。
ウォーカー自体は"64"に引き継がれなかったが、代わりに地上を走行する「ランドマスター」が登場している。
開発中止から長い期間を経てWiiUソフト『スターフォックスゼロ』にてウォーカーがまさかの復活。変形の仕方やフォルムは大きく変化した。フォックスのamiiboを使用すると選択できる「アーウィンFX」では2そのままの姿を拝むこともできる。
キャラクター
本作は"初代"の続編に当たるため設定は"64"以降とは異なる。
操作キャラクター
操作キャラクターに選ぶスターフォックスのメンバーはシリーズおなじみのフォックス、ファルコ、ペッピー、スリッピーの4人に加えて新たにミュウ、フェイ二2人の女性メンバーが登場。
それぞれの性能は2人ずつ同性能となっていて計6人のメンバーから2人を選んでゲームを開始する。
- プロトタイプアーウィン
- アーマードアーウィン
- ライトアーウィン
- 搭乗者 : ミュウ、フェイ
- 初期スペシャルウェポン : スーパーシールド
- 攻撃に特化した機体でチャージに要する時間がとても短くチャージ弾を連発できる。移動速度も速いが反面シールドは6しかなく脆い。
横からは普通のアーウィンに見えるが先端が二股に分かれており、上から見るとHのような形になっている。 - スーパーシールドはある程度攻撃を防いでくれる追加シールドを展開する。瞬時に展開する。
脆いライトアーウィンを守るウェポンで、アーマードアーウィンのスペースリリーフの耐久力にはとても敵わないがシールド値の上限が低いこの機体ではスーパーシールドの方が効果的。リリーフにはない利点として瞬間的に展開ができる点がある。
スターフォックス新メンバー
- MIYU(ミュウ)
ヤマネコ(?)をモチーフにしていると思われる女性。元々はコーネリア防衛軍に所属してた様だが、本人は防衛よりも攻撃任務のほうが向いていると感じスターフォックスに参加した。
長い間ローマ字読みの「ミユ」と思われていたため、正式に名前が発表された際は驚いたファンもいた。 - FAY(フェイ)
マルチーズ(?)のような女性。母なる星を守るために立ち上がった元お嬢様。彼女もまたコーネリア防衛軍に所属していたらしい。
スターウルフ
"64"以降ほぼ全てに登場するフォックスたちのライバル、スターウルフ。実は"2"が初登場になる予定だったのだ。
"64"にも登場するウルフ、レオン、ピグマの3人と、"2"のみに登場する白コウモリのアルジーの4人で構成されている。
ウルフとピグマはおおよそ以降の性格と同じだが、レオンの性格は"64"以降の冷血キャラとは全く異なりウルフを親分と熱く慕う子分といった雰囲気。この時のレオンの性格が後に豹変とすら言われた"コマンド"に引き継がれている。アルジーの性格は更に小物っぽくした感じ。
ちなみにウルフは目元に傷こそあれ眼帯はしておらず、両眼が見えるのは"2"のみ。
その他システム
グラフィック面は、メモリが強化されたことによってより細かな造形が可能となりステージ背景には初代よりもテクスチャーを多用することができるようになった。
それにより、アーウィンのポリゴンが多少細かくなったり、ラスボスであるアンドルフの造形が"64"のものに近くなっている。
キャラクターは初代同様、例の変な鳴き声でしゃべりつつテキストメッセージが表示される。"初代"ではメッセージはカタカナオンリーだったが、2ではひらがなと漢字の一部も表示。
操作中、自機を下部に持って行くと、メッセージウィンドウが上位に表示される配慮もある。だが、操作しながらでメッセージが読みづらく、"64"がフルボイスになったのも合点がいく。
アーウィンには追尾機能こそないがチャージショットが実装されるなど、"64"にあった機能が既に用意されている。ダメージ音のダウン寸前の効果音も"64"に近い。
隠し要素
各難易度で、ステージ内のほぼすべてのペパーメダルを集めると「シークレットコロニー」という隠しエリアに行けるようになる。中はオブジェが展示されているアイテム補充場となっている。ちなみに何度も入れるので、アイテムの無限回収も可能。ちなみにノーマル~エキスパートまでのメダルをすべて集めると・・・
「ホーミングブラスター」
このコロニー内にのみある特殊アイテム。取得するとチャージブラスターにホーミング機能が追加され、ターゲットを攻撃する時、照準をターゲットマーカーに合わせるとロックオンが可能となる。これがあるとないとで難易度が段違いに変わるので、エキスパート難易度に挑む場合は、先にメダルを集めることに専念するといい。(メダルは取った時点でセーブされるので、アンドルフ要塞のメダルは2枚・・・パートナーコンティニューを使えば一度に2枚取れてしまう。)
エキスパートにのみ、クリア時の総合評価にA以上の☆が設定されている。☆ランクレコードを出すと、その時に選んだキャラにのみ、初期装備に「ツインブラスター」が追加される。もちろん他の難易度にも反映される。ただし、☆ランクを取るには先述のホーミングブラスターがほぼ必須と言えよう・・・ちなみに全6キャラで☆を取ると・・・
流出ROM版について
インターネットが広く普及し始め、ゲームエミュレータ上で動作する開発中の「ROMイメージ」がインターネット上に流出。そのゲーム内容が明らかとなる。
先述の22年越しのミニスーファミ収録以前は、ファンからはこの流出ROMを歴史的資料としていた。
そのゲームプレイ映像や、ゲームBGMが YouTube や ニコニコ動画 にもあがっている。
画像は開発中のものです
後のミニスーファミに収録された完成版と比べると未完成部分や異なる点も見受けられるが、戦闘システムやグラフィックの多くが同一であることが確認できる。エミュレータ上の動作ではフレームレートが実機よりも多く作動されてしまうようだ。完成した ROMの流出は確認されていなかった。
流出ROMにはいくつか種類があり、日本語版と英語版両方の ROMが存在し、それぞれ完成度や効果音、BGMなどの多少違いがあるようだ。また、他にも完成度が低いものやデバッグ用のものまであるようだ。
製品版との分かりやすい違いとしてタイトル画面やリザルト画面が異なっており、未完成なのかコーネリアの耐久力が減らない状態になっている。
ROM版にはチャージ弾のロックオンホーミング機能があり、攻撃力がかなり高く設定されているので敵をあっさり倒すことができる。
"64"に存在する対戦バトルモードが存在していた(2人対戦ではあるが)。また遊べる状態でない初期段階のバージョンのものにはスタッフのお遊びで落書き(「オバケのQ太郎」やポンキッキーズの「オムレツアイコン」と思われる)なんかも存在する。
またその頃の追加メンバーは、ミュウとフェイでなく、アンドルフ似のSARUとフォックス似のLADYであった。
注意事項
なお、これらの流出ROMの内容は第三者が変更を加えた可能性もなくはないので、開発途中の物として正しいという保証はできないので要注意である。
関連動画
流出ROM版
ミニスーファミ収録版関連
関連リンク
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