ステルス(stealth)とは、対象から発見されることを避けること、及びそのための技術を指す言葉である。忍び入る・こっそり盗むを意味する「steal」が語源。
類義語に低被発見性・低視認性(low observability)、超低被発見性(very low observability)などがある。
探知・識別を困難にすることで、敵による発見・攻撃を困難にし、生残性を高める狙いがある。
概要
レーダー電波の反射を抑え、敵に発見されるのをさけて隠密に作戦行動を行う「ステルス機」が有名だが、広義には探知・識別を避けるために熱、音、振動、自らの電子機器からの電波の放射など、あらゆる特徴的な兆候(シグネチャ)を低減させる事をいう。
可視光波長で人間の視覚をかく乱させるためのステルス技術、特にに自らの姿を背景に溶け込ませて透明に錯覚させる技術を「光学迷彩」「ステルス迷彩」と呼ぶが、あくまで研究中の技術であり、ゲーム・アニメ・漫画などフィクションの影響が強い。
(光学迷彩とステルス迷彩は同義語ではあるが、「光学迷彩=光学的に隠れる為の迷彩」「ステルス迷彩=ステルス化を図る為の迷彩」であり、「光学=ステルス」ではない。)
存在感が薄いキャラ、他人から認識され難いキャラなどに対してもこの言葉が使用される事がある。(例 : ステルスモモ、赤座あかり)
対レーダー・ステルス技術
ステルス機
主に電波透過素材・電波吸収素材の適用と、機体の構造そのものによって電波を散乱させる技術に分けられる。前者は日本のF-2などにも用いられているが、より高度なステルスには機体構造そのもののステルス化が求められる。機体の形状そのものを、レーダー電波を発信源に素直に反射させないような形にすることで、レーダーによる探知を避けるのである。本格的なステルス機のレーダー反射面積(RCS:レーダー・クロス・セクション)は鳥よりも小さいとされる。また、自分が発信するレーダー電波を最小化し、敵による逆探知を避けるのも重要になる。
ただしステルス性能の高い機体形状は、総じて操縦安定性が犠牲になる場合が多い。
その為、機体形状をステルス化する場合はコンピュータを用いた姿勢制御(フライ・バイ・ワイヤ)が不可欠である。
アメリカはこの分野で突出しており、F-117攻撃機、B-2爆撃機、F-22戦闘機など高いレベルのステルス機を開発してきている。現在開発中のF-35JSFもステルスを念頭に設計されている。
ロシアもソ連時代からステルス機の研究開発に注力してきたが、連邦崩壊に伴う混乱・予算不足などのため今のところ実用的なステルス機を開発できていない。現在スホーイが開発中のPAK-FAは本格的なステルス機となるらしい。
中国なども次世代戦闘機にステルス技術を投入すると言われているが、現状ではうわさのレベルにとどまっている。一方日本でも、技術実証機に過ぎないが、本格的なステルス航空機「心神」を開発中である。
地上・海上兵器のステルス化
航空機のみならず、地上/海上兵器でもステルス技術の適用が始まっている。近年の駆逐艦やフリゲートといった水上戦闘艦は、艦橋等の構造物をのっぺりとした斜めの平面で構成することでRCSの低減を図っている。航空機とは違い、至近距離でないと発見するのが困難というタイプのものではなく、RCSの低減によって被探知距離を短くしたり、自身の大きさを小さく見せかけたりするのが目的である。
地上兵器では、ミリ波レーダーなどの登場が比較的最近であることもあって電波ステルス対策は研究段階に留まっているが、将来的には戦車などの外形がステルス化される可能性もある。
対ステルス技術
探知するレーダーの側も、ステルス対策を研究中である。発信と受信を離して行うレーダー(バイスタティックレーダー)などはステルス機の探知に有効であるとされる。あるいはモノパルス方式のレーダーも有効であるとも言われる。
とはいえ、いくらステルス機といえども視認されてしまえば普通の航空機なので、場合によっては撃墜されることもある。F-117はユーゴ空爆の任務中に撃墜されている。この場合、メートル波にしたレーダーで察知されたという(一般的にミリ>センチ>メートルとレーダー波長がより細かくなり、F-117はメートル波のような波長の長いレーダー波の反射を考慮しなかったという面もある)。
また後述するようにステルスといってもレーダー波対策ばかりを考えればよいのではなく、外的シグネチャについても考慮しなければならないし、逆に探知をレーダー波だけに絞る理由はどこにもない。ロシアが対ステルス対策なのか、赤外線探知技術や音源追跡などを考えているのはその理由の一つかもしれない。
…しかしまあ、ステルスは研究開発・生産・整備維持と恐ろしく金を食うので、結局ステルス最大の敵は「予算」かもしれない。
その他のステルス技術
ステルスと言うと、基本的にはレーダー波からのステルス技術ばかりがとりあげられるが、上述したように音響・赤外線などのステルス対策も求められる。音響の場合、ヘリコプターの対策としてテイルローターを斜めにしたり、ローターの間隔を不均等にして発生するローター音を下げたりする方法がある。赤外線の場合は赤外線シーカーの探知を避けるためにエンジン排気を海水や空気で冷却するなどがある。
ステルス機
- A-12 アベンジャーⅡ(開発予算打ち切りでデビューせず。)
- B-2 スピリット
- F-117 ナイトホーク
- F-22 ラプター
- YF-23 ブラック・ウィドウⅡ(ATF計画におけるYF-22の競作。F-22が採用されたため計画破棄)
- F-35 JSF(別名:ライトニングⅡ)
- F-15SE サイレントイーグル(F-15Eをベースに部分的にステルス技術を付与した改良機。開発中)
- ATD-X 心神(技術実証機。開発中)
- PAK FA(開発中、試作機が初飛行済み。スホーイの設計名称は"T-50")
- J-20(開発中、試作機の地上試験が確認されている。中国語では殲撃20型)
関連項目
http://dic.nicomoba.jp/k/a/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AB%E3%82%B9


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読み:ステルス
初版作成日: 09/07/06 13:32 ◆ 最終更新日: 12/05/22 16:40
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