スバル・トラヴィックとは、富士重工業が2001年から2004年まで販売していたミニバンである。
概要
基本的にはオペル・ザフィーラのOEMモデル。当時のスバルのラインナップにはミニバンが欠けており、これを補完する目的で販売することになった。ザフィーラがベースとして選ばれたのは、当時のスバルはGMのグループに属しており、同じくGMグループにオペルがあったため。トラヴィックを生産したのはGMタイランドの工場である。日本と近く、またタイが日本と同じ右ハンドル国であることもあったのだろう。
OEMであるが単にスバルのバッジを付けただけではなく、足回りはザフィーラのそれをベースにスバルが独自にチューニングを施した。言ってみればザフィーラのスバルスペシャルである。
後述するように、日本で販売されていたザフィーラにはあらゆる面で優れており、既にザフィーラを買ってしまったユーザーは複雑な気分に陥った。
歴史
ザフィーラとの比較
ここが本題となる。トラヴィックはザフィーラよりあらゆる面で優れていたと書いた。一体どう言うことなのか、具体的に見ていこう。
スバル・トラヴィック | オペル・ザフィーラ | |||||
生産国 | タイ | ドイツ | ||||
輸入元 | 日本GM (現ゼネラルモーターズ・ジャパン) |
← | ||||
販売 | スバル系列 | ヤナセ | ||||
エンジン | 2.2L / 147ps / 20.7kgm | 1.8L / 115ps / 17.3kg | ||||
変速機 | 4AT | ← | ||||
懸架装置 | 前:マクファーソンストラット / 後:トーションビーム (スバルチューンドサス) |
形式は同じで、デフォのチューン | ||||
グレード | ベーシック | 標準装備 | 199万円 | CDX | サイドエアバッグ アクティブヘッドレスト 15インチアルミ |
288万3000円 |
Sパッケージ | 16インチアルミ | 224万円 | ||||
Lパッケージ | 16インチアルミ サイドエアバッグ ルーフレール アクティブヘッドレスト |
234万円 | ||||
SLパッケージ | 16インチアルミ スポーツシート プレミアムオーディオ |
246万円 |
トラヴィックはザフィーラと比べると、エンジンにパワーがあり、しかも最上級グレードは装備が充実しながら40~50万円も安かったのである。同時期の国産ミニバンの価格を見ると、例えば日産・セレナは199万~270万円であり、トラヴィックはこれと同程度。そう考えるとザフィーラが如何に割高かというもの。
純粋に車両だけを見るのなら、ザフィーラは優れた車であった。ドイツ車らしい安定感のある足回りを持ち、安全装備も同時期の日本車と比べれば充実していた。もしトラヴィックがなければ「やはりドイツ車は違う」で終わっただろう。ところがスバルが気合を入れた装備と価格にした為に、「輸入車はボッタくり説」「ヤ○セはボッタくり説」をあたかも裏付けてしまうような雰囲気になってしまった。
この頃、自動車雑誌の「Car and Driver日本版」で、ザフィーラのオーナーズクラブが紹介されていた。ザフィーラオーナーは複雑な心境を持ちつつも、同じ車を愛する仲間としてトラヴィックオーナーを受け入れたという。泣けてきた。
その後・・・
当然ではあるが、トラヴィックの方がザフィーラより売れてしまった。そりゃ、基本同じ車で安くて装備が良いなら、普通はそっち買うわな。
GMは2006年、日本からオペルブランドを全面撤退させたのだが、理由のひとつはこの事件があったという噂もある。真偽の程は不明だが、GMは自分で日本のオペルを潰したようなものと言えるだろう、お買い得だったけど。
関連商品
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関連項目
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