スーパーロボット大戦Scramble Commanderとは、RTS形式のスパロボである。
概要
公式を含めた通称を「スクコマ」。続編のスーパーロボット大戦Scramble Commander the 2ndは「スクコマ2」。無論のこと、双方とも発売元はバンプレストである。
デフォルメ+2D表示+ターン制という既存のスパロボとは大幅に異なり、リアル等身のロボットが3Dマップ内を舞台に同時進行で戦いを繰り広げる。
所謂リアルタイムストラテジー形式で進行し、プレイヤーは通常、マップ全体を見渡して指示を出していく。
スパロボお約束のブリーフィングの場面画像が3Dのため、場所によってはロボットの格納庫、各作品で有名な建造物をポリゴンで見ながら話が進んでいく事になる。ただし、開発上の制約か予算かは定かではないが、無人である。
スクコマ1では盛り込まれていなかった精神コマンド、気力といったシステムは、スクコマ2から導入された。操作面に関してもスクコマ2から向上している。
初代スクランブルコマンダー
最初の作品は「スーパーロボット大戦Scramble Commander」。公式の通称はスクコマ。発売はバンプレスト、開発は株式会社ベック。
とりあえずも何も、重く走るロボの姿に胸が熱くなる人にはお勧めしたい所。
PS「新スパロボ」以来のリアル路線作品である。尚、このリアルサイズというのは、C3 2003での発表において「完全再現すると巨大ロボと敵小型サイズのロボで攻撃判定が上手く行かない、どうしようか」などといった事があったらしく、ある程度の調整が行われている。
2ndや他スパロボにはない本作独特の仕様が多い。戦闘は地上戦のみで、ウイングガンダムゼロやゲッター1といった空を飛ぶロボットも地上で戦う(地面を歩くウイングゼロが見られるのは本作くらいだろう。2ndでは地上でも浮遊するように改善されている)。操作するユニットとは別に、別働隊として何体か出撃させる必要がある。機体のダメージが次ステージに一部持ちこされる。機体改造やHPの完全回復をする機体は、そのステージでは出撃できない。必殺技を使用する際に、機体を数秒間無防備にしなければいけない(一部除く)。エヴァはアンビリカルケーブルを装着できず、常に予備電源で稼動、など。
パイロットの能力はαやα外伝にあった格闘・射撃ポイント同様、使い込むことによって上昇する。また、一定の値を超えることで新しい技や必殺技が解禁される。ただし仕様の関係上、一部の機体に偏りやすく、自分の好きなキャラを成長させるのが難しい。
全体的にシビアな難易度になっており、育成ゲームとしての面も薄め。好きな機体を使い続けるのが難しい仕様や、ややすればもっさりした機体の動き、少ないステージ数もあってか、評価はあまり高くない。
オリジナル主人公や主人公専用機は存在せず、バンプレストオリジナルは敵のみ。実質の主人公は司令官である葛城ミサトが担っている。また、各参戦作品の代表(主人公)ロボットとパイロットの登場に絞られている。
尚、ソーディアンの設定はOG外伝にも形を替えて登場する事となる。
ストーリー
地球連邦軍とジオン公国軍の戦争「一年戦争」が地球連邦の勝利で終結するも、地上と宇宙では人類同士の確執が続く世界。地球連邦はジオン残党の掃討と治安維持を目的にティターンズを結成、スペースノイドの弾圧が開始。同じくして、ティターンズとスペースノイドの台頭に危惧を抱いたロームフェラ財団は、私兵部隊であるティターンズと同じく、私兵集団の「OZ」を結成、地球連邦軍の支配に乗り出す。
このような事態を憂慮した地球連邦軍の有志が反地球連邦組織エゥーゴとカラバを結成、日増しに緊張が高まり再び人類同士の大規模戦争かと思われた矢先、現地球人類以外の知性体による侵攻が始まる。
人類はこの事態に、牽制しあいつつも対抗を開始、戦局が膠着状態に陥る中、謎の構造体が出現する。
不規則に出没するそれは巨大な剣の姿をしている事から地球連邦によりソーディアンと名付けられ、各勢力はその出現により翻弄される事となる。
そして、各勢力から抽出された戦力により特務部隊SEATH(鞘の意。シース)が結成され、敵対する知性体への対抗並びソーディアンの調査を開始した…。
参戦作品
本作は新規参戦作品はない。
- マジンガーZ
- グレートマジンガー
- 機動戦士ガンダム
- 機動戦士ガンダム 第08MS小隊
- 機動戦士Ζガンダム(劇場版)
- 機動戦士ガンダムΖΖ
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
- 新機動戦記ガンダムW
- 新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
- ゲッターロボゲッターロボG
- 超電磁ロボ コン・バトラーV
- 超獣機神ダンクーガ
- 新世紀エヴァンゲリオンTHE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に
- 勇者ライディーン
- バンプレストオリジナル
スクランブルコマンダー2
ストーリー上の繋がりはない続編。公式呼称ではスクコマ2。システム面は大幅な改善が進んだ上でスパロボテイストが多く追加されている。前作では主役ロボットのみであったが、今回は操作ユニット数の増加に伴い、準主役、脇役のユニットも登場し、また一度のミッションでも戦場が2つ3つと別れ、それぞれにユニットを出撃させて戦いに挑む。
前作の評価の低さや、RTSというジャンルが敷居の高さを感じさせてしまった事、同時期に人気が出たアナザーセンチュリーズエピソードと比較される事もあり、実際の売上自体も芳しくなかった。当時はACE3の発売時期と被り、その人気の影に隠れてしまった。
しかし、前作より操作体系は大幅に改善、引き続きリアルサイズロボットが入り乱れて戦う主軸テイストでは最大8体まで操作ユニットが出撃できるようになったこと、操作面を含めシステムの改善が大幅に進んだこと、そして何よりクロスオーバーストーリーの完成度の高さから、埋もれた名作として評価するプレイヤーが多い。
ゲームスピードの高速化、空中・宇宙戦の追加、画面に出るユニットの増加によって戦闘はとても派手になっている。一方で、そういったゲーム性の変更にAIが対応できていない節が各所に見られる。格闘は「格闘1→格闘2・・・」と連続で技を出していくようになっているのだが、AIは連続で出さない。一方、射撃は同じ武器を連射するため、格闘よりリスクの少ない射撃の方が与えるダメージが大きくなってしまっている。また、3次元の動きが可能になったことで、機体が建物に引っかかってマニュアル操作しないと動けないといったことも。処理落ちも目に見えて多くなった。
ゲームバランスに関しては、リアル系とスーパー系の差別化が推し進められている。リアル系はスーパー系の半分程度のHPしかなく、一部を除いて火力不足に陥りやすい。スーパー系はHPが高く、通常技と必殺技のどちらも優秀なものが多い。強力な通常攻撃を持つウィングゼロやバルキリーを除けば、総じてスーパー系が優遇されているといえる。必殺技はチャージ時間と回数制限が無くなった(他のスパロボ同様、気力による制限に変更された)ことで使い勝手が一気に上昇した。今作では「変形」が可能になり、中でも飛行形態はその移動速度を駆使して高い回避率を誇る。特に敵のアッシマーが初登場するステージでは通常攻撃が当たらず、ひたすら時間の止まる必殺技を出して戦うというRTSとしては異様な戦法を強いられてしまう。精神コマンドは各キャラの差別化を促進する一方、相手の必殺技を防止する脱力がほぼ必須であったり、敵軍が使う一定時間無敵になるコマンドのせいでテンポが悪くなるといった問題が発生した。
問題点も多いが、機体の大きさが設定通りになった(厳密には違うらしい)ことによる前作以上に巨大ロボと小型ロボが同時に戦う際のサイズ差は必見。また、戦闘での空(特に夕日)や雲の描写が美しい。ブリーフィング、デブリーフィングでは3Dで描写された基地や室内、ハンガーなどの様子といった細かい点まで3D化されているのも浪漫派には嬉しい所。混んでても無人の食堂って言うな。また、指揮官視点での戦闘指示だけでなく機体を直接操作しての戦闘も可能である(ただし、方向の微調整やおまけ程度である)。
ストーリー
舞台は、現代人類以外の脅威へ対抗するために生まれた一騎当千の力を持つスーパーロボット達、通称「特機」に対し、人類同士の戦いへの介入を制限する法律「特機法」が制定された世界。未だ人類同士の争いは絶えず、また人類以外の異邦人達からの脅威も未だ拭えていない。
外宇宙から落ちてきたマクロスの修復と解析、人類以外の外宇宙を含めた数々の異邦人がもたらす脅威に対抗するための特機達が所属する組織「Anti Alien Assembly(対異邦人議会)」ことA3。その領域である南アタリア島の領空に未確認の機体が現れた事から物語は始まる。
参戦作品
赤字は新規参戦作品。
- 超獣機神ダンクーガ
- 機動戦士Ζガンダム
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
- 新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
- 機動戦士ガンダムSEED DESTINY
- 聖戦士ダンバイン
- マジンガーZ
- グレートマジンガー
- ゲッターロボG
- 超電磁ロボ コン・バトラーV
- 勇者ライディーン
- マクロス ゼロ
- 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか
- ラーゼフォン
- 神魂合体ゴーダンナー!!
- バンプレストオリジナル
バンプレストオリジナル
鋼鉄神ジーグの菊池晃がキャラクターデザインを担当。
主人公サイド
ケイジ・タチバナ CV:泰勇気
19歳のA3所属戦闘機パイロット。顔芸もこなす顔アイコンは怖いが、外見とは裏腹に非常に礼儀正しく優秀なパイロット。元は戦闘機乗りだったが、最初のミッションで鹵獲した謎の特機「羽々斬」に乗り込む事となり、A3所属の新たな「特機」乗りとして戦いを繰り広げる事となる。
幼い頃、家族を戦争の中で失う。その後入った士官学校時代の撃墜記録(41機)から、顔の傷に引っ掛けて「スカーフェイス・キッド」(傷自体は家族を失ったときに付いたもののため、本人はこの別称を快く思っていない)と呼ばれており、同士官学校を知る特機乗りやパイロットの間でも有名らしい。
尚、確かに評価も高く優秀なパイロットではあるが、本来の資質は常人のそれであり、名だたる特機パイロットや名を馳せたエース達と肩を並べて戦えるのも、シミュレータなど数多くの反復訓練を初めとする凄まじいまでの膨大な努力によって積み重ねられたものである。
また前述の通り、誰にも礼儀正しく、また性格も控えめなのだが、誰かの為、何かの為、命を守るための戦いが多いA3においては、自らの状態も顧みず「戦争を止める」為に頑固なまでに戦いに赴こうとする傾向があり、乗機の羽々斬が持つ危険性を知りつつも無理を圧して出撃し、身体に負担をかけてしまう。そして…。
バレンティナ・レアニカ CV:高森奈緒
19歳のA3所属オペレーター。士官学校を飛び級で卒業し、直後に戦術司令部に任命されたエリート。任務や軍規重視の冷たい印象が序盤は目立つが、責任感の強さから出るものであり、打ち解けた以降はパイロット達からの信頼も厚いものとなっていく。所謂「軍デレ」?
尚、飛び級で卒業するまでの少しの間、同期のエースだったケイジに対し好意を抱いていた。スカーフェイス・キッドのニックネームは実は彼女がケイジに憧れてつけたものである。後に再会したケイジに対しては上官と部下の関係を重視して接していたが、A3において行動を共にするにつれ、また他パイロットの女性陣に接した事で素直な気持ちを表に出すようになって行く。しかし…。
オリジナル機体
羽々斬
南アタリア島に不時着した謎の特機で、近接戦闘に特化している。戦闘機パイロットであったケイジが、襲撃に対する緊急事態から防衛の為この機体に乗り込んだ事により、彼と周囲の運命が大きく動き出す事となる。
名は日本神話における須佐之男命が、酒酔いで寝込んだ八岐の大蛇を切り刻んだ際に用いた剣「天羽々斬剣」の「羽々斬」から。黄色と黒を基調とした、シャープな線が特徴的な特機。
かつて行われた次世代量産型特機のトライアル機体、ネメシスシリーズと同じ動力源「セレスチアルリアクター」を搭載している。この動力源は感情をエネルギー源として高い性能を発揮するも、コストとそれ以上に、適合しない場合はパイロットを死に追いやる危険性から採用されなかったという、曰く付きの代物。飛行ユニットが破損して不時着した際には所属不詳のパイロットが搭乗していたが、適合できなかったのか発見時には既に死亡していた。幸か不幸かケイジは適合し、直接戦力の制限が多いA3において貴重な戦力となる為、この機体の専属となる。だがそれは、トライアルの際に危惧された致命的な危険性を背負うことに他ならなかった。
敵サイド
シュウイチロウ・ユキムラ CV:西村朋紘
連邦軍の元軍医でネメシスシリーズの製作者。後述のセイジュウロウ・ソガの息子だが、死んだ母親の姓である「ユキムラ」を名乗っている。フォントによりどうしても「コキムラ」に見えるのは気にするな。見るからに悪人面。ただ、その言動や行動は、子供の頃に父によるセレスチアル・リアクターの実験により引き起こされたらしい。
当初は連合サイドの裏で暗躍、後に自らセレスチアル・リアクター搭載機であるネメシスシリーズを駆り、 同シリーズの試作機であった羽々斬に乗るケイジとA3を幾度と無く窮地に追い込んでいく。最終決戦では、スパロボ史上最大にして最悪の破壊を行うこととなる。
セイジュウロウ・ソガ
元は海底調査を行っていた科学者。海底遺跡から感情をエネルギーに変えるオーパーツ「オリジン・ユニット」を発見。その魅力に取り付かれ、不完全ながら「セレスチアル・リアクター」を開発した。
擬態獣への対抗戦力としての特機量産トライアルにセレスチアル・リアクター搭載機体を出すも、適合者以外には生命維持に重大な危険を引き起こす拒否反応が出るという欠陥から採用されなかった。
これを怨んだ彼は表舞台から姿を消し、A3を目の敵にする連邦(内部のロゴスやティターンズ)をスポンサーにセレスチアル・リアクターの開発を進め、息子であるシュウイチロウと共に復讐の機会を狙い続ける。
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関連項目
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