ゼーゴックとは、OVA『機動戦士ガンダムMS IGLOO 黙示録0079』の第1話「ジャブロー上空に海原を見た」に登場するジオン公国軍の機動兵器である。分類はモビルダイバーで、形式番号はMSM-07Di。パイロットはヴェルナー・ホルバイン少尉が務める。
概要
「あぁ、使い捨てですか…」
オデッサの戦いに敗れて以降、ジオン公国軍は地球での戦況が悪化の一途を辿り、本国サイド3のある宇宙へ退却しつつあった。対する地球連邦軍は敗走するジオン軍を追撃すべく、ビンソン計画で大量に建造したサラミスやマゼランをジャブローから打ち上げ、宇宙戦力の拡充を図っていた。技術本部はこの打ち上げを妨害・阻止するための兵器を求めて開発に着手する。
ジオン軍の地上撤退に伴って使用する機会を失ったズゴックの上半身を制御ユニットに流用し、大量兵器コンテナ(LWC=Logistics Weapon Container)に接続する事で機動力を持たせた新対地攻撃兵器「ゼーゴック」を完成させた。このゼーゴックは衛星軌道上より大気圏内に突入し、地上・海上の敵に対して奇襲攻撃を仕掛ける事を意図した機体である。
ズゴックの上半身を再利用してはいるものの、頭部ロケットランチャーは発射口が残るのみで機能は無く、両腕のクローバイスビーム砲も右腕はセンサーに換装されたため、機能する武装は左腕のクローバイスビーム砲のみである。全体の構造もズゴックの上半身とLWCをくっつけただけの、言わば急造品であった。使用機体にズゴックが選ばれたのは水陸両用MSだけに気密性やジェネレーター出力等が高く、他の水陸両用MSにはない水中・大気中でも稼働可能なハイブリットエンジンを搭載していたからである。
なお、ゼーゴックは作戦終了後パイロットと戦闘データのみが地上軍のガウ攻撃空母に回収され、ゼーゴックそのものは地上にそのまま廃棄される。いわゆる「使い捨て」である。
劇中での活躍
作中では計四回出撃している。
一回目~三回目の評価試験
一年戦争も末期に入った12月上旬、第604技術試験隊の母艦ムスペルヘイムによって一回目の評価試験が行われた。右舷格納甲板から射出され、軌道上から降下するゼーゴックとホルバイン少尉であったが、その直後にビーム砲がムスペルヘイムを穿つ。警戒のサラミス級に感付かれ、襲撃を受けたのである。既に降下が始まっているホルバイン少尉には何も出来ず、彼の眼前でムスペルヘイムは爆散してしまうのだった。
その後の評価試験はムスペルヘイムのルデル艦長と親しかったプロホノウ艦長によって第603技術試験隊に引き継がれ、0079年12月3日にヨーツンヘイムへホルバイン少尉が着任。ゼーゴックに塗装されている「笑うノコギリザメ」のマークは、第二次世界大戦中に大戦果を挙げたドイツ海軍のU-96に付けられていたマークと同一である。着任の挨拶時にモニク・キャディラック特務大尉が「戦果ゼロの分際で!」と発言している事から、一回目での戦果は無かったようである。
司令部から「モグラが顔を出す(ジャブローから敵艦隊が打ち上げられる)」との暗号電文を受け、二回目の評価試験を開始。武装は四発の大型ミサイルを内包したマルチミサイルバス。軌道上から投下されたゼーゴックは高度4000mで打ち上げられてきたサラミスと会敵。ホルバイン少尉の独断でギリギリまで接近してから大型ミサイルを発射。放たれた四発の大型ミサイルはサラミスを捉えていた上に、サラミスからは撒かれたチャフは効果は無かった。サラミスを撃墜できると思った瞬間、信管の不具合で爆発せず、そのままサラミスの横をすり抜けてしまう。その隙に逃げられてしまい、二回目の突入も戦果ゼロの失敗に終わる。
三回目の評価試験ではエンニジアリングオフィサーとしてヒデト・ワシヤ中尉が同乗。パイロット席も増設されて複座となる。その際に武装も28連装ミサイルランチャー「R-1(アールアイン)」に換装され、再度ジャブロー上空に降下する。上昇中の3隻のサラミスを発見し攻撃を仕掛けようとした瞬間、打ち上げ施設からのミサイル攻撃を受ける。ホルバインの神懸かり的な操縦で全弾回避するも高度を失い、サラミスにも逃げられてしまう。作戦は失敗に終わったが評価試験のためR-1は全て撃ち尽くしている。
四回目の評価試験
ゼーゴックは投下後、高度二万で反転し打ち上がって来る連邦軍艦艇と交差した後に下からクーベルメを撃つという作戦内容を実行する。また、この内容にあわせてモビルアーマー用のものを急遽転用した拡散ビーム砲クーベルメを搭載していた。だが、出撃直前に数回のゼーゴックの攻撃で肝を冷やした連邦軍が2隻のサラミスを配置し、ヨーツンヘイムは攻撃を受ける。この時点で3機ものズゴックを無駄にしていること、さらには地球周辺宙域の制宙権を失いつつあったことから、作戦の成否に関わらず今回で評価試験を終了する事になっていた。そのため作戦を中止する事も考えられたが、ホルバイン少尉の声もあり敵の攻撃下、ゼーゴックは軌道上より投下される。
降下中にジャブローより打ち上がってくるサラミス4隻、マゼラン1隻を確認し、ゼーゴックは高度二万で反転する。しかし、上昇中の戦艦群と交差し、狙いを付けるも照準が定まらず撃てずにいた。地表まで50秒を切った後、ようやく照準が定まり、クーベルメを発射し、サラミス4隻とマゼラン1隻の撃墜に成功。最初にして最高の戦果を挙げた。兵器としての寿命を終えたクーベルメを投棄し、回収に来ていたガウ攻撃空母とコンタクトをとった。だが迎撃に上がった連邦軍のコアブースターⅡ・インターセプトタイプ2機の襲撃を受け、瞬く間にガウが撃墜される。更にインターセプトは背後からゼーゴックに銃撃を加える。ズゴックの構造上、背後は死角、しかも対空攻撃を持っていなかったゼーゴックにはなす術が無く、多数の銃弾を受ける。その際、唯一の武装だった左腕のメガ粒子砲をもぎ取られ、ホルバインも同じ左腕に銃弾を受けて流血していた。かろうじて海上に脱出するも、ゼーゴックもホルバインも満身創痍の状態であり、やがて着水したゼーゴックは大爆発を起こした。
元々が急造・転用の兵器としての問題点を抱えていた他、ゼーゴックを制御し得る高度な技量を持ったパイロットを既に払底していたこともあり、公国軍はこれ以降の試験を打ち切った。
ギレンの野望では
ゼーゴックは「ギレンの野望 アクシズの脅威」から他のIGLOO機体とともに参戦する。しかしこのゼーゴック、実はとんでもない鬼畜性能を持つ。喩えるなら、空飛ぶビグ・ザムがゲルググ並みのコストで生産できるといった具合。特別エリアの制圧も易々。ゼーゴックが量産された暁には連邦軍などあっという間だ!原作無視の異常性能っぷりは初心者救済とも取れる半面、上級者には封印を考えさせられる。ちなみにWikiではジオンを救う超兵器とまで書かれている。
アサルトサヴァイブでは
PSPソフト、「ガンダムアサルトサヴァイヴ」でもなぜかゼーゴックは鬼畜性能を持つ。一年戦争時の即席兵器のはずなのにIフィールド持ちだろうが、PS装甲持ちだろうが、分身したF91だろうが容赦なく蒸発させる。お値段もそれほど高くなく入手しやすいうえ、ランクCなのでランク補正も受けなかったりする。EXTRAミッションで困ったときはとりあえず持ちだしてみるのもいいだろう。
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関連項目
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