ソケットレンチとは、ボルトやナットの大きさに合わせた「ソケット」とそれを回す「ハンドル」を組み合わせて使う工具である。
概要
ソケットレンチは同じ大きさの差込角とドライブ角を持ったソケットとハンドルを組み合わせることで、一つのハンドルで複数のサイズ、一つのソケットで多くの種類のハンドルを扱うことができる。ソケットとハンドルが一体式になっているようなものはボックスレンチと呼ばれる。また、ザグリ穴のような狭い場所に六角ボルトやE型ボルトのような外周をつかんで回す必要があるネジの頭が入っているようなケースの場合は分解組立にソケットレンチないし、ボックスレンチが必須となる。
ソケットレンチは必要な工具を減らすことに役立つが、工具沼が一段と深くなる場所でもあり、これに足を取られて逆に工具収集にはまり込む人々が後を絶たない。
ソケットレンチの規格
ソケットとハンドルの接続部は差込角、ドライブ角と呼ばれ、通常は四角形で使用する大きさによっていくつかサイズがある。これが大きいものほど強度があり大きなトルクがかけられるが、その分工具は大きく重たくなる。小さいものほどコンパクトで軽量な工具になるため、使用するねじの大きさによって使い分けられている。売られているソケットセットなどを見ればその差込角でカバーしているだいたいのサイズが分かるが、その上限下限付近はアンダートルク・オーバートルクに注意が必要なので中間域によく使うサイズが来る規格を使い、下限付近でオーバートルクに注意が必要な作業が続くならば小さい差込角の工具へ、上限付近で大きなトルクが必要な作業をするならば大きな差込角の工具にすることが望ましい。
手動工具用ソケットはメッキ仕上げされており、ドライブ角のボールが差込穴内のディンプルに引っかかて保持される形になっている。ディンプルがないソケットもまれにあり、それらはボールを押すバネのテンションと反対側の面の摩擦で保持する。古いソケットだとディンプルではなく貫通穴になっているものもある。差込角の大きささえ同じならば、どのメーカーのどのソケットでも基本的には使えるはずなのだが、ボールやディンプルの大きさや位置、形状、差込穴の面取りなどはメーカーによって千差万別で、ときどき相性の問題が出てガタが大きくなることがある。
インパクトレンチに使われるソケットは、インパクトを使った際の衝撃でメッキがはがれるのを嫌い、黒染め処理などで仕上げられていて、差込角にピンを通してOリングで保持するようになっている。インパクトレンチで使う際に高速回転で外れること、鉄骨組立のような高所作業でソケットを落っことすことを防ぐための構造であるが、ボールロックの手動工具でもピンは差し込めないが問題なく共用することはできる。
1/4インチ角(6.35mm角)
最小サイズの規格になり、狭い場所での使用や携帯工具セットなどに使われる。
3/8インチ角(9.5mm角)
一般で使われるサイズをちょうどよくカバーしているため、手動工具用としては日本では一番メジャーなサイズ。対応工具も多い。
1/2インチ角(12.7mm角)
一般的なホームセンターなどで扱われる最大サイズ。自動車のホイール等の足回りや、大型車、農機、建築、土木、工業用などで広く使われる。インパクトレンチの差込角は、基本このサイズ以上からとなる。
3/4インチ角(19.0mm角)
1インチ角(25.4mm角)
このサイズになると、もう手では緩まない締めきれないものに使う。倍力レンチやインパクトレンチで使うことがメインとなる。大型車のホイール脱着用インパクトなどもこのサイズを使う。
ソケットの種類
六角ソケット
基本中の基本、六角ボルト、ナットを回すためのソケット。六角穴と十二角穴があり、十二角穴のほうが差し込める角度が増えるが、六角頭の角で回すことになるのでなめやすい。まれに二重六角頭というボルトも存在していて、そちらは十二角穴でしか回すことができない。ソケットの穴の深さによってスタンダード・セミディープ・ディープ・ロングディープ(エクストラディープ)などがあり、世の中にある様々な六角ボルトに合わせてミリ・インチ(通常米インチを指す)・BSW(英インチ)など様々なサイズのソケットがある。
ヘキサゴンビットソケット
六角穴付きボルトや六角穴付止めネジなどを回すためのビット。六角レンチの代わりに使えるようになる。実際問題、太い六角穴付ボルトを規定トルクまで締めるにはレンチにそれなりの長さが必要になり、六角棒レンチでは難しくなるため、このビットソケットが活用されることが多い。斜めに差し込んだ状態でも回せるボールポイントタイプ(ただし強度が落ちる)、奥まったところでも使えるロングタイプなどがある。
トルクスビットソケット
近年、六角穴付ボルトの代わりに使われることの多くなったT型トルクスねじを回すためのビットソケット。六角穴付ボルト同様に、大きなサイズは棒レンチでは歯が立たないことも多いので活用されている。サイズはT25のようにTの後に数字が続く表記である。数字が大きくなるほどサイズも大きくなる。
E型トルクスソケット
六角ボルトの代わりとなる、E型トルクスねじを回すためのソケット。T型同様にEの後に数字が続く表記となる。
プラスビットソケット・マイナスビットソケット
プラスねじやマイナスねじを回すためのビットソケット。これらは回す力を入れやすいハンドルを使ってもそもそも性質上カムアウトしてしまうため、狭いスペースでラチェットハンドルを、早回しにT型ハンドルをといったように便利さを求めて利用するケースが多いだろう。。
トリプルスクエアソケット(三重四角ビットソケット)
トルクス同様に輸入車などに使われることが多くなった、三重四角穴付ボルト用のビットソケット。
ユニバーサルソケット
首振り機構が付いたソケット強度は半分程度に落ちるが、真っすぐアクセスできないところのねじを回すことができる。
スプラインソケット
12本の溝が切られたソケット、ミリ・インチ・トルクス・四角・十二角など様々なものに対応できるとして売られているが。いずれにせよ頭の角をつかむことになるため、トルクが必要なねじではなめる危険を伴う。
ハンドルおよびオプション品の種類
ラチェットハンドル
一方向だけに回るラチェット機構の付いたハンドル。スペースが狭くや振り幅が限定されるときも素早く作業できる。ただし、ラチェット機構があるため強度に難があり、固いボルトの緩めや本締めなどは後述するスピンナーハンドルやT型ハンドル、メガネレンチなどが推奨されるが、本締めぐらいなら可能と謳う製品も多い。世の中とんでもない使い方する人も多く、これを蹴飛ばしたり、パイプ延長して緩め作業に普通に使ったりしてる(寿命はえらい縮んでいるだろうが)ケースも目にするので、本締め程度ですぐ壊れる製品のほうが珍しいくらいだろう。
スピンナーハンドル
先端のドライブ角部が首振りできるようになっている真っすぐなハンドル。ラチェットハンドルでは強度的に厳しい固く締まったネジの緩めに使ったり、首振りをうまく使って早回しなどするのに使う。
T型ハンドル
T型のハンドルの先端にドライブ角が付いていて、両手で持って力をかけることができ、片手で軸を持てば早回しもしやすいハンドル。
L型ハンドル
スライドヘッドハンドル(T型スライドハンドル)
ドライブ角の付いたヘッドをハンドルが貫通していて、ヘッドをハンドルの任意の位置にスライドさせることができるハンドル。後述のエクステンションバーと組み合わせることで、T型ハンドルやL型ハンドルのように使うことができる。
ドライバーハンドル
ドライバー型のハンドル。力はかけられないが、奥まった場所の早回しや調整に向いている。
スピーダーハンドル
ハンドルの途中がコの字型に曲がっているハンドル、コの字の部分をハンドドリルを回すように回して早回しができる。日本ではあまり使われないハンドルだが、F1などではメカニックが使っていることがある。
クロスバー
スピンナーハンドルなどの後端にある穴に挿してT型ハンドル代わりに使うための棒。
エクステンションバー
後ろに差込角、前にドライブ角が付いた棒。ハンドルとソケットの間に使い、障害物があって届かないときに延長するために使ったり、スライドヘッドハンドルと組み合わせて使ったりする。用途に合わせて多くの長さがある。
ユニバーサルジョイント
ソケットとハンドルの間に入れることでユニバーサルソケットのように使える。
変換アダプター
差込角を変換するアダプタ。オーバートルク・アンダートルクに注意が必要。
クイックスピンナー
ラチェットハンドルとソケットの間に入れることで、ラチェットが効かず共回りしてしまう場面で手でソケットを回しやすくするアダプタ。
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