ソニックアドベンチャー(SONIC ADVENTURE)とは、セガのハイスピード3Dアクションゲームのシリーズ総称、およびその第1作目のタイトルである。
概要
ソニックシリーズ初の3D作品でありソニック達にCVが当てられた最初の作品でもある。
そのこともあってか、システムが完成されたものとは言い切れず、カメラワークの悪さ、後述するバグも多くあった(バージョンアップに伴いバグは少なくなった)。有名な(?)棒読みテイルスはこの作品が初出。しかしそのシステムも次回作には改善され、3Dソニックの基礎が完成されている。
また「アドベンチャーフィールドを行動してアクションステージに行く」という、ソニックシリーズでも珍しめのシステムを採用。フィールドにはパワーアップアイテムやコレクションアイテムであるエンブレムが落ちている。若干の謎解き要素もある。
DX以降にはアドベンチャーフィールドでミッションを発見し、フィールドまたはアクションステージでクリア条件を満たして全ミッションをクリアしていく「ミッション」モードというアドベンチャーフィールドシステムならではのモードも搭載されている。
数回に渡るバージョンアップ版が発売・移植されており、現在プレイするならGCかWiiを持っているなら後述のDXを、PS3かXbox360を持っていてネット接続環境があるなら双方のダウンロード販売版がオススメ。
続編であるソニックアドベンチャー2(以後SA2と表記)とは続編とありながらストーリー上の接点はあまりないが、ソニックアドベンチャー上のストーリーでの出来事が少なからずSA2に影響している部分がある。
バージョンによる違い
- 『ソニックアドベンチャー』(以下、無印)
- 発売日:1998年12月23日
- 対応機種:ドリームキャスト
- ソニックアドベンチャーシリーズ第一作目にあたる作品。
- 『ソニックアドベンチャー・インターナショナル』(以下、IN)
- 発売日:1999年10月14日
- 対応機種:ドリームキャスト
- 他国語設定やランキング機能、インターフェースの改善、新規SEなどの追加要素が加わった無印の調整版。公式に言及はされていないが、判定の変更により無印で可能だったショートカットが再現できないなどの違いがあり、単なる無印のバージョンアップではない。
- 『ソニックアドベンチャーDX』(以下、DX)
- 発売日:2003年6月19日(GC)
- 発売日:2003年12月18日(PC)
- 発売日:2004年11月18日(GC お買い得版)
- 対応機種:ゲームキューブ、Windows
- 「IN」のGC移植版。「アドベンチャー2」の移植版「ソニックアドベンチャー2バトル」の好評を受け制作されたという経緯がある。後にWindows搭載PC向けにも発売。
- 「ミッション」モードが搭載されたほか、「プチゲームコレクション」と呼ばれるゲームギアタイトルの収録、および使用可能キャラクター「メタルソニック」などの追加要素が加わった。
移植に伴う部分的ながらも秒間60フレームへの対応、原作の続編である「ソニックアドベンチャー2」に存在する一部システムの逆移植など、移植時期が後発であることを活かした強化面がある一方で、ネットワーク環境の必要となるランキング機能は削除された。
なお、ゲームキューブ版は高解像度にこそ対応していないもののドルビープロロジックⅡやプログレッシブ出力、ビジュアルメモリの代替としてゲームボーイアドバンスとの連動をサポートしており、環境次第ではハードによる恩恵を大きく受けることができる。
また、IN移植の際と同じく判定の変更によりINで生き残っていたショートカットが不可能になっているなどのバグ改善が施されている。 - 『SONIC ADVENTURE(DX)Director's cut』
- 配信日:2010年9月29日
- 対応機種: プレイステーション3(PlayStation Network専売)、Xbox360(Xbox LIVE アーケード専売)
- DCタイトル復活プロジェクト第一弾として発表されたDXの移植版。
基本的にはPC版「DX」に準じた内容となっているが、ミッションモードとメタルソニックは標準ではなく、追加コンテンツである「DXパック」を別途購入しなければ開放することができない。
移植に伴うランキング機能の復活、秒間60フレームへの安定化(一部デモなどは除く)など強化面がある一方で、容量の関係からかプチゲームコレクションは削除された。
また、深く言及はしないが「DX」まで生き残っていた一部の不具合が修正されている。ただ、それでも依然…?
ストーリー
ステーションスクエアを走るソニックの前に謎の生命体「カオス」が現れる。
その生命体はカオスエメラルドを吸収することで進化し街を滅ぼすという伝説の怪物だった。
その存在を発見したエッグマンはカオスを手懐け、進化させてステーションスクエアを破壊させ、例のごとくエッグマンランドを建設する計画を企む。
その企みを阻止するため、ソニックはテイルスとともにエッグマンを追って動き出す。
その裏でこの一件に巻き込まれたことでナックルズ、エミー、ビック、そしてガンマはそれぞれの思惑で動き出す。
それぞれの冒険の結末とは。そしてカオスとはいったいなんなのか。
カオスエメラルドが全て揃うときその真実が明かされる。
キャラクター
操作キャラクター
ソニック・ザ・ヘッジホッグ(CV:金丸淳一)
ステージタイプ:スピードアクション(ゴールに辿り着く)
カオスに遭遇することでこの一件を追うことになるおなじみの音速ハリネズミ。
それまでのシリーズ同様にテイルスとともにステージを駆け巡る。
今作より現在の作品ではおなじみとなったホーミングアタックや、リングの道を走るライトダッシュが初登場。
ただしライトダッシュの仕様が「SA2」以降と異なり、スピン溜めをしきった状態でリングの近くで開放するという仕組みだった。
今ではおなじみとなったスーパーソニックステージも今作でも健在。初期状態で出ている6人のエピソードを全てクリアすると出現しプレイできる。
マイルス "テイルス" パウアー(CV:林一樹)
ステージタイプ:ハイスピード競争(相手より先にゴールに辿り着く)
ソニックを追いかけているメカニック子狐。今作ではそのメカニックの部分を大きく光らせ、既存のトルネード号をカオスエメラルド動力にしたトルネード2に改造したりしてソニックをサポートする。
前半ではやはりソニックに助けられてばかりだが、次第に一人で何とかしなきゃいけないと思い始め行動する。
ソニックのアクションステージと基本は一緒だが、普通に走っては負けてしまうので用意されたショートカットを駆使する必要がある。アクションも基本は同じだが、スピンダッシュやホーミングアタックは出来ない代わり、空中飛行が可能。ただし長時間飛ぶと疲れて墜落してしまう。
余談だが、今作でのテイルスの行動は続編の「SA2」のストーリーにて影響してくることとなる。
ナックルズ・ザ・エキドゥナ(CV:林延年【現:神奈延年】)
ステージタイプ:宝探し(3つのエメラルドのかけらを集める)
エンジェルアイランドに一人マスターエメラルドを守護するソニックの良きライバル。
ストーリーの時系列としては最も早く始まる。
マスターエメラルドからカオスが湧き出た事によりエメラルドが半分粉砕され、地上にばら撒かれてしまったのをきっかけに、マスターエメラルドのかけらを回収するため旅立つ。
今ではすっかりコミカル成分がついてしまった彼だが、エッグマンの口車に乗るなどこの作品から既にその片鱗を見せてしまっている。
パンチ攻撃や滑空、更には穴掘りなどパワフルなアクションが特徴。それらを駆使しステージではかけらを探して回るのが目的。「SA2」にも宝探しステージがあるが、「2」との相違点としてこの作品ではレーダーが複数のかけらに反応する仕様であったり壁は掘れないという違いがある。
エミー・ローズ(CV:川田妙子)
ステージタイプ:脱出(追ってから逃げつつゴールを目指す)
ソニックを溺愛し追っかけている、今ではすっかりお馴染みの女の子だが、実は初登場の「ソニックCD」以来2回目の登場であり、操作キャラになるのは初。以降の作品にはほとんど登場している。
退屈な毎日に飽き飽きしていたところにお守りのようなものを持った小鳥と遭遇。エッグマンから逃げてきたことを知ると、追手のロボットから守るため共に行動することに。
ステージでは追手のロボット「ZERO」から逃げつつ(捕まったらミスとなる)ゴールを目指すのだが、この作品での彼女は他のキャラに比べると遅く、追手から逃げるのに苦労する。その代わり強力なハンマー攻撃を扱えるので敵を蹴散らしつつ進んでいこう。追手ロボットもボスステージ以外では倒せはしないが攻撃することで足止めすることが可能。
ビッグ・ザ・キャット(CV:八代駿)
ステージタイプ:魚釣り(カエルくんを釣り上げる)
この作品が初登場となった、ゆっくりした口調で話す大きな体を持った猫。親友のカエルくんとはいつも一緒。
ある日突然何者かに襲われたのをきっかけに、カエルくんに尻尾がつき、そのままビックが見つけたお守り(どう見てもカオスエメラルドなのだが)を飲み込み逃亡してしまったのをきっかけに旅立つ。
力持ちであり、大きな岩を持ち上げることが出来る。その代わり速度、ジャンプ力は最低。浮き輪を見つけることで泳ぐことも出来る。持っているルアーで攻撃したり文字通り釣りをすることもできる。
ステージでは他の疾走するキャラとは違い、ステージ上のどこかに居るカエルくんを見つけて釣り上げるのが目的。
だがソニックシリーズの疾走感が売りのゲーム性とは違った方向性を持ったステージなので一部からは不満の声もあり、続編では似たようなステージは本編上では無くなってしまった。
ちなみに本編登場はこの作品と「ソニックヒーローズ」のみで、他の作品ではちょい役程度の出演しかない。
E-102“γ”(CV:中田譲治)
ステージタイプ:シューティングアクション(最深部のボス撃破)
通称・ガンマ。エッグマンに製造されたロボットシリーズE-100系統の2号機。
期待はおざなりにされつつもエッグマンの命令を忠実に聞き任務をこなすのだが、選抜隊の強制リタイアを目の当たりにしたことや、エミーとの出会いなどによりその意義に疑問を感じ、仲間のロボットを救うため行動を起こす。
ステージでは敵をレーザーでロックオンして光弾を発射して敵を倒しつつ最深部へ向かいボスを倒すのが目的。
唯一制限時間があり、ラストステージでは敵をまとめて蹴散らしつつ急いで最深部へ向かわないと間に合わない難関。
制限時間は敵を倒すことで回復、まとめて倒すとコンボで回復量が増える。
このキャラクターの操作システムは後に続編のSA2でテイルス/エッグマンステージに継承されている。
他のキャラのストーリーと一線を画し、重いストーリーが展開されるのが特徴。
特にこのエピソードをやる前かやった後かでエミー編ラストの解釈が異なってくる。
エミー編をやってからこのエピソードをプレイするとその心に来る重みが違うので是非この順でやってもらいたい。
他キャラクター
Dr.エッグマン(CV:大塚周夫)
例によって例のごとく今回もエッグマンランドを建設し世界征服を企む天才科学者。
カオスの伝説を聞きつけた彼はこの生命体を手懐けてカオスエメラルドを与えて強化し街を破壊せんと企む。
巨大戦艦エッグキャリア、ジャングルの奥地に建設した基地ファイナルエッグを構え各地を飛び回る。
カオス(CVなし)
伝説の液状生命体。昔、国を1つ滅ぼしたとされる。
カオスエメラルドを吸収することで進化、骨格が形成され、怪物へと変貌していく。
実はチャオの突然変異体。本来は性格は温厚なのだが…。
ティカル(CV:麻生かほ里)
ソニック達が過去に飛ばされた時に遭遇するナックルズによく似た姿の少女。
今回の一件に深く関わる事情を持っている。
チャオ
今作で初登場した可愛らしい姿をした謎の生命体。古来より存在し長く親しまれてきたが、現在は各地に点在するチャオガーデンなど限られた場所でしか見られなくなった。
この作品と続編のSA2、この作品のリメイクであるDXではこのチャオを育成することが出来る。
詳細の情報は別途個別記事(関連項目より)を参照していただくこととする。
システムは次回作の「SA2」で完成され、リメイク版の「DX」にて「SA2」のシステムを逆輸入したシステムに変化した。
おまけ的要素(と言えるのかと思えるくらいの作り込みなのだが)として追加されたチャオだが、今作では前述のカオスが突然変異体であるなどストーリーにも関わってくる存在でもある。
派生
今作での要素は後の作品でも登場している。
登場キャラであるビック、ティカル、カオスは「SA2」の移植版「SA2バトル」の2P対戦モードの操作キャラとしてゲスト出演。
またソニック生誕20周年記念として制作された「ソニックジェネレーションズ」ではこのゲームのステージ、「Speed Highway」とボスであるパーフェクトカオス戦が白の時空に、「Emerald Coast」が青の冒険にアレンジされて収録されている。
本作のメインテーマ曲である「Open your Heart」は前述の「ソニックジェネレーションズ」にもアレンジ収録されているほか、ソニックがゲスト出演した「大乱闘スマッシュブラザーズX」にもオリジナルのループ版が収録されている。
関連動画
関連項目
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