この 長く苦しい戦争に何かの意味があるとするなら、
平和の尊さを 心の底から知ったことであろう。
R・S・トーマス
ゾイドバトルストーリーとは、タカラトミー(旧トミー)より発売されている玩具シリーズ『ゾイド』の箱に記載されているあらすじ及びそれを元にしたジオラマ小説である。略称はバトスト。
長い歴史を持つゾイドシリーズにおいて、いわゆる本筋にあたる作品群である。(しかし一度もアニメ化されたことがない)
概要
ゾイドの前身となった「メカボニカ」シリーズは、これといった背景設定の無い科学教材的な組み立て玩具であった。1983年に「ゾイド」として再スタートする際、トミーは商品展開を盛り上げるための工夫としてゾイドに簡単なストーリーと世界観を組み込んだ。これがゾイドバトルストーリーの前身である。
あくまでも商品の背景、ユーザーの想像を膨らませる刺激剤という位置づけの代物ではあるが、「帝国ゾイド」のリリースを機にその世界観は一気に広がり、ゾイド世界の成り立ちや戦争の経緯を描いた書籍「HISTORY OF ZOIDS」「戦闘機械獣のすべて」にてミリタリーな雰囲気が漂うフォーマットが完全に確立。やがて雑誌での連載も始まり、ゾイドは物語としても次第に盛り上がりを見せていくことになる。
シリーズは大きく分けて旧と新の2つ。その他いくつか外伝的な話がある。
やけに打ち切りが多いように見えるかもしれないが、そもそもこのような玩具主導でのストーリー展開で円満終了する事は滅多にないので仕方がない。
旧シリーズ(1983年~1990年)
地球からはるか遠く、六万光年の彼方。ここゾイド星の中央大陸では、すでに五十年の長きににわたって戦いが繰り広げられていた。戦火を交えるのは、ヘリック共和国とゼネバス帝国の二大強国。彼らは『ゾイド』と呼ばれる重金属の体をもつ巨大な生命体を戦闘用の兵器に改造し、いつ終わるともない戦いを続けていた。
主に以下の3つの媒体で展開されていた。
面倒なことに、これら箱裏版、連載版、単行本版はそれぞれ互いの整合性をほとんど考慮せずに製作されたため、大筋は共通しているものの細かい部分が噛み合わないパラレル状態になっている。結果としてそれは後のゾイドファンを大いに混乱させることになった。
新シリーズ以降の公式では、最も知名度の高い単行本版が本筋として扱われている模様。
箱裏掲載ストーリー
ゾイドのキットの箱裏には共和国と帝国の戦争の経過を記した簡単なあらすじが載っており、基本的にこれに沿って商品展開が行われるのが通例。シリーズ当初は「ゾイド・ストーリー」という表題だったが、後に小学館に倣って「ゾイド・バトルストーリー」に改められた。
キットの箱にはストーリーの他にもゾイドのスペックや武装、ジオラマ写真などが載っているので、箱を見るだけでゾイドがどんな風に活躍するのかなんとな~く想像できるようになっている。
箱裏ストーリーだけでは情報量が足りないと判断されたためか、これを補完するものとして「ゾイドグラフィックス」という小冊子が店頭で配布されていた。(が、あまり出回らなかったのか知名度は低い)
学年誌連載版「ゾイドバトルストーリー」
ゾイドのメディア展開として、小学館の学年誌「小学一年生」「小学二年生」「小学三年生」にて箱裏掲載ストーリーに沿ったジオラマ記事が並行連載されていた。
掲載誌のターゲットが小学生低学年であるためか、ぶっ飛んだ改造ゾイドや超展開が頻出する、良くも悪くもフリーダムなストーリーが特徴。連載は商品展開が終了するまで続いたため、単行本に収録されなかった分を含め数多くのエピソードが存在する。
単行本「ゾイドバトルストーリー」
連載分を改訂、再構成して刊行されたムック本。普通は単にバトストといえばこれを指す場合が多い。全4+1巻。
文章は全面書き下ろしであり、連載版とはうってかわって真っ当な戦記物になっている。
当時のゾイド少年達を熱狂させた本作であるが、残念ながら暗黒大陸編の途中で刊行が打ち切られてしまい、その続きは単行本化されないままとなってしまった。
新シリーズ(1999年~2004年)
月の1つに彗星が衝突し、破片が隕石として地表に落下した「惑星大異変」。これによってヘリック共和国とガイロス帝国の戦争は決着のつかないまま終結した。
ZAC2099年。ガイロス帝国は「大陸間戦争」でヘリック共和国との決着を付けるべく、西方大陸へ奇襲部隊を送り込んだ。「トライアングルダラス」は強電磁海域と化して渡ることができないため、帝国軍は西方大陸へ迂回する作戦に出たのだ。これを察知した共和国軍も西方大陸へ進軍。西方大陸の西側は帝国軍、東側は共和国軍の勢力圏となった。西方大陸を舞台に新たな戦いが始まった。
ゾイドの復活に伴い、旧シリーズの最後から43年後を舞台にした新たなバトルストーリーが開始された。箱裏に記されたあらすじ、雑誌での連載→単行本化など概ね旧シリーズのフォーマットを受け継いでいるが、旧でパラレル状態になっていたのを反省してか媒体ごとのストーリーにほとんど違いはない。
コロコロ連載版「ゾイドバトルストーリー」
新シリーズではコロコロコミック誌上にてゾイドバトルストーリーのジオラマ記事が連載されていた。
学年誌版と比較するとコロコロ版は色々とまともであり、文章量も多くぶっ飛んだ要素は少ない。
連載はアニメ終了後も続けられたが、2002年にゾイドブロックスの登場と入れ替わる形で終了。これ以後コロコロでバトストが取り上げられることはほとんど無くなってしまった。代わりにこの時期を境に電撃ホビーマガジンに設定解説記事が掲載される割合が増えた気がする。
ゾイド公式ファンブック
小学館から刊行された平成ゾイドのムック本。全4巻。コロコロコミックで連載されたバトルストーリーが収録されている。
旧バトストでは単行本化の際にストーリーそのものが書き換わることも珍しくなかったが、公式ファンブックでは基本的には連載版に準じた内容となっている(一部例外あり)。
こちらもゾイドブロックス登場後は刊行がストップしていたが、下記のファンブックEXが完結する直前に最終巻が発売。大陸間戦争編が終了して一区切り付いた所で打ち切られている。
ゾイドオフィシャルファンブックEX
ゴジュラスギガ以降のゼンマイ、電動ゾイドにはそのゾイドを主役にしたバトストの短編と詳細スペックが記された小冊子「ゾイドオフィシャルファンブックEX」が付属していた。物語は上記のコロコロ版と公式ファンブックの最後から続く形になっており、実質的な続編である。2004年に最終回となるジェットファルコンが発売され、これをもってバトストはひとまず完結となった。
三匹の虎伝説(2004年)
バトスト完結からアニメ再開までの繋ぎとして開始されたシリーズ。戦争から120年後の東方大陸を舞台に、伝説の古代虎ゾイドを巡ってライバル企業同士の(物理的な)戦いが始まる。
これまでのシリーズ及びゾイドフューザーズと世界観を共有しており、両者の橋渡し的な側面も持っている。
ゾイドリバースセンチュリー(2008年~2009年)
小学館ではなく電撃ホビーマガジンと共同して企画されたシリーズ。舞台は旧シリーズのラスト「惑星大異変」直後まで遡り、旧シリーズと新シリーズの間の空白の期間が描かれる。当時発売されていた「月刊ゾイドグラフィックス」に掲載されていた他、公式サイトでストーリーを全て閲覧することができた。
玩具展開の終了に伴いストーリーも1年で打ち切られた。物語上では一応の区切りが付いているものの、多くの伏線らしきものが投げっぱなしのまま終ってしまった。
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