ダイズ(大豆)とは、マメ目マメ科の植物の一種、またはその植物から取れる種子。無限の可能性を秘めている。
概要
【分類】マメ目マメ科ダイズ属
【学名】Glycine max
(学名の由来)Glycine→甘い/max→最大の
ダイズは植物の中では唯一、肉に匹敵するだけのタンパク質を含むことから、「畑の牛肉」ともよばれる。油脂分も多く含まれるが、健康によいとされる不飽和脂肪酸が主である。
東アジアでは独特の大豆食文化圏が形成されている。日本では日本料理やその調味料の原材料として中心的役割を果たしており、五穀の一つ(豆)として古来から珍重されてきた。
品種
種皮の色は品種によって様々で、黒いものを特に黒豆という。黒豆は煮豆にして食べられ、正月のおせち料理に欠かせない。丹波産のものが最も有名。
未熟な大豆を枝ごと収穫し茹でたものを枝豆という。塩茹でにした枝豆はビールのつまみの定番。東北地方では枝豆そのもの、または茹でた枝豆を潰してあん状にしたものを「ずんだ」といい、ずんだ餅は宮城県と山形県の名物である。山形県鶴岡市の「だだちゃ豆」という品種は枝豆用として優れている。枝豆の品種としては黒埼(新潟県新潟市)の茶豆も有名。
近年は、盛んに遺伝子組み換え(GM)ダイズが作出され、日本にも輸入されているが、日本では2008年現在、研究用以外の栽培は行われていない。
生産
中国では5000年以上前から栽培されているといい、古代から近年に至るまで世界一の生産量を誇っていたが、現在は生産量4位である。
生産量・輸出量最大はアメリカ合衆国で、生産量はブラジル・アルゼンチンがそれに続く。特に近年、ブラジルとアルゼンチンの生産量の伸びが著しい。
日本は最大の輸入国である。日本における生産地は栃木・茨城以北が主で、生産量最大は北海道である。
これまでダイズがほとんど栽培されてこなかったアフリカやインドで、宗教上の理由で牛肉や豚肉が食べられない人のための安価なタンパク源として注目されている。
調理
ダイズを生で食べず加工することが多い理由はいくつかあり、消化があまり良くないこと、除去困難な独特の臭みを持つこと、渋みのような不快な味成分を含んでいることなどが挙げられる。
欧米人はその上、ダイズの色と味も好まないので、彼らはほとんどダイズを家畜の食物としか認識してこなかった。一方、東アジアでは、ダイズにまつわるこのような問題を特殊な加工または発酵という方法で解決してきた。
ここからは、ダイズの無限の可能性 ―― そのごく一部を紹介しよう。
(発芽させてみる)
「もやし(大豆もやし)」…ダイズを暗所で発芽させたもの。しかし、現在もやしの主流はダイズではなく緑豆である。
(潰して固めてみる)
「豆しとぎ」…南部地方(岩手・青森)の名物お菓子で、餅に青豆を混ぜ、潰して固めたものである。
(煎ってみる)
「煎り豆」…節分でまく。歳の数だけ食べる。豆が邪気を払うと信じられたので。
(挽いてみる)
「きなこ(黄粉)」…煎り豆の皮を剥き、挽いた粉のこと。餅や葛餅にからめて食べたり、和菓子の原料とする。
「大豆粉」…欧米における数少ないダイズの利用法の一つ。製パンや製菓(ドーナツなど)に用いる。
(搾ってみる)
「豆乳」…健康食品として近年注目されている。搾った残渣(カスともいう)を「おから」という。豆乳を温め、ラムスデン現象によって液面に形成された膜を「ゆば(湯葉・湯波)」という。ゆばは日光の名物。豆乳ににがりを入れて、塩析で蛋白質を固めると「豆腐」になる。
(<豆腐>を揚げてみる)
「油揚げ」…薄切りにした豆腐を二度揚げしたもの。味噌汁・稲荷ずし・きつねうどん・炊き込みご飯などに使われる。
「厚揚げ」…薄切りにしない豆腐を揚げたもの。おでんの具に使われる。また、中国や台湾の「臭豆腐」は豆腐を発酵液に漬け込んでから揚げた厚揚げである。
(<豆腐>を焼いてみる)
「焼き豆腐」…そのまま食べるほか、炒め物や煮物にも用いる。
(<豆腐>を凍らせてみる)
「凍み豆腐」…「高野豆腐」または「凍り豆腐」とも。保存食。
(<豆腐>をすって固めてみる)
「がんもどき」…「がんも」とも。各種の野菜を混ぜ合わせて成型したもの。おでんの具になる。
(発酵させてみる)
「納豆」…蒸したダイズを納豆菌で発酵させた食品。
「醤油」「味噌」…蒸したダイズをコウジカビで発酵させた食品。どちらも日本料理においては最重要の調味料である。
「テンペ」…インドネシアの食品。クモノスカビが発酵に関わっている。納豆よりクセがなく、近年注目されている。
「豆腐よう」「腐乳」…それぞれ沖縄、中国の伝統料理。独特のまろやかな味と臭気がある。
その他の利用
世界的に最も生産・消費されている油脂である大豆油の原料である。生産されたうちの大部分がこの用途に使われる。業務用印刷に用いられる大豆インキの原料にもなる。家畜の飼料としても重要である。
加工され、「人造肉」の材料にもなる。1945年にダイズ由来の人造繊維が開発され、合成繊維の登場により間もなく市場からは姿を消したが、ダイズから繊維をつくるこの技術は人造肉に応用された。某ヌードルの「謎肉」も、ダイズミートをベースにした加工品である。
その他・豆知識
- 戦争中はコーヒー豆が手に入りにくかったので、ダイズをその代用として「大豆コーヒー」を作ったという。近年、大豆コーヒーはカフェインを含まないコーヒーとして密かに注目されている。
- 近年は、ダイズに含まれる「イソフラボン」が注目を浴びている。イソフラボンは体内で女性ホルモンに似たはたらきをし、乳房の発達が不十分な方に対しても効果があるといわれている。
ニコニコ動画におけるダイズ
ダイズやその他の豆を扱った動画には\(豆)/タグがつけられることがある。
ハロー大豆の歌
アニメ「かんなぎ」の劇中歌。ニコニコ動画では、放送当日から多数のMADがつくられた。詳しくは当該項目を参照。
2008年12月現在、\(豆)/タグのほとんどはこれに関連する動画につけられている。また、関連項目として「東方大豆歌」と「daizuべき馬鹿」を挙げておく。
ダイズの名を持つ人物
実在の人物
- だいず…「歌ってみた」の歌い手。男性。
- 大豆イソフラボン…「演奏してみた」の演奏者。使用楽器はグランドピアノ。女性。
- MAX大豆…ニコニコ動画で活動している絵師。作品「SAIで食べ物を描いてみる」シリーズは「ウソみたいだろ・・・絵なんだぜ、それ」と称される。ユーザ記事→■
- 大豆(UTAU)…UTAUPの一人。デフォ子の歌わせ方とかわいらしい曲調に定評がある。
関連動画
関連項目
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