ダゴンとは、古代パレスチナにおいて信仰されていた神と、それを基にした悪魔。
または、ラヴクラフトの小説及び、クトゥルー神話を題材とした作品に登場する邪神である。
概要
ダゴンは本来、古代パレスチナ人が信仰していた豊穣神である。
その名前は魚を意味するダグ及び、偶像を意味するアオンによって構成されている。
(穀物を意味するダーガーンであるという説も存在する)
古代パレスチナ人は魚の多産性を豊作と結び付けた為、ダゴンを半魚の農耕神として信仰したとされている。
旧約聖書では異教徒が信仰する神=悪魔として扱われ、英雄サムソンによるダゴンの神殿破壊が描かれる。
また、ダゴン神像の前に、(ユダヤ教の)神の箱を置くと、ダゴン神像の頭部と両手が破壊され、
魚の形をした残骸だけが残っていたという説話も存在する。
ミルトンの『失楽園』では旧約聖書の記述を基にし、海の怪物として紹介されている。
キリスト教圏に組み込まれた地域において、以前信仰されていた地方神が悪魔とされる事は珍しくないが、
ギリシア神話の神々などとは異なり、後世の文学作品においても、ダゴンは半魚の悪魔として扱われることが多い。
(同様の例に、セム人の豊穣神バールを悪魔としたベルゼブブなどが存在する)
クトゥルフ神話でのダゴンについて
クトゥルフ神話ではクトゥルフに仕える下位の邪神として登場。主に「インスマウスを覆う影」でその存在が語られる。
ダゴンは、自身と人間の混血である半魚人「深きものども」や、その子孫であるインスマウス住人に崇拝されている。
彼等は「ダゴン秘密教団」と呼ばれる組織を作り上げ、クトゥルフ復活の為に暗躍しているとされる。
また、ラヴクラフトの初期作品である「ダゴン」においてもダゴンの存在が語られている。
語り部となる男性は、海上を漂流するうちに泥で覆われた大地に流れ着き、そこに奇妙な遺跡を発見した。
遺跡には未知の海中都市と、海中を闊歩する『忌々しいほど人間の姿に似た』怪物を描いた壁画があったのだが、
直後、彼はその怪物が海中からその巨体を現し、咆哮する様を目撃してしまう。
男は怪物の姿から古代パレスチナ人の信仰する神ダゴンや、その失楽園における記述を連想するものの、
その正体を知る術はなく、宇宙的恐怖によって半ば意識を喪失しながらも、泥の大地から遁走する。
男はアメリカに生還するも、呪われた記憶を振り払う事は出来ず、モルヒネに傾倒した挙句に破滅してしまう。
物語は、自殺しようとした男が最期に何かを目撃し、「窓に!窓に!」と書き殴って終わる。
彼の前に本当に何かが現われたのか、それとも発狂した彼の幻覚であったのかなど、一切は謎のままである。
その他作品でのダゴン
- フレッド・チャペルの小説『暗黒神ダゴン』では、ペリシテ人の信仰したダゴンがストーリーの象徴として描かれる。劇中ではクトゥルフ神話に関する用語が頻繁に登場し、ラストには超自然的な存在が仄めかされるシーンが存在するが、ペリシテ人の信仰したダゴンと、クトゥルフ神話におけるダゴンの関係性については何も説明される事はない。
- デジモンアドベンチャー02ではダゴモンというデジモンが登場する。
このデジモンは見た目がクトゥルフに似ており、また彼の正体を知ったものは死んでしまうという伝承を持つ。
ダゴモンが登場する13話「ダゴモンの呼び声」はタイトルからも推測できるとおり、クトゥルフ神話を意識したもので、
タイトルバックにデジモン文字で「フングルイ・ムグルウナフ・クトゥルフ・ルルイエ・ウガフナグル・フタグン」と書かれていたり、作中ではデジモン文字で「インスマウス」とかかれていたり、「深きものども」はハンギョモンの姿だったりと随所にクトゥルフテイストをちりばめられたストーリーとなっている。脚本家はクトゥルフ大好き小中千昭。 - THEビッグオーには、海の神とされるメガデウス(巨大ロボット)、ダゴンが登場する。
ダゴン自体はただの水中用戦闘ロボットであるが、このエピソードは舞台がインスマウスを思わせる漁村であったり、
迷信深い現地人がダイバーを半魚人として恐れている等、露骨にクトゥルフ神話を意識したものとなっている。
本作のシリーズ構成を担当したのは例の如く小中千昭。 - 魔法戦隊マジレンジャーでは敵幹部として冥府神ダゴンが登場する。声優は大塚明夫。
魚の頭部をもった冥府十神のリーダー的存在であり、策士としても戦士としても優れた力を持つ。 - ウルトラQ及びウルトラマンには、半魚人型の怪獣、海底原人ラゴンが登場する。
- ウルトラマン80にはダロンというクトゥルフそっくりな蛸の怪獣が登場する。
- 小説「銀河英雄伝説」では銀河帝国と自由惑星同盟が初めて会戦を行った星域、ダゴン星域が登場する。
- テレビ朝日系列にて放映されていたアニメに「いきなりダゴン!」という作品が存在する。
…が、前述の古代パレスチナの神及びクトゥルフ神話とは無関係。 - 「The Elder Scrollsシリーズ」には、デイドラ神メエルーンズ・デイゴンが登場する。
パレスチナ神話、クトゥルフ神話ともに無関係だが、破壊を好み、世界を滅亡させる邪神として設定されており、
第四作「オブリビオン」においては、メインクエストのラスボスとしてプレイヤー達の前に立ちはだかる。
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読み:ダゴン
初版作成日: 11/03/08 16:28 ◆ 最終更新日: 12/03/21 23:25
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