デストロイアとは、「ゴジラVSデストロイア」に登場した怪獣である。命名は伊集院研作博士(演:辰巳琢郎)。別名完全生命体。
概要
ゴジラ史上最強の敵と銘打たれ、平成ゴジラシリーズ最終作の敵怪獣として登場したラスボス怪獣。かつてゴジラを葬った「オキシジェン・デストロイヤー」の化身とも言うべき怪獣であり、微小生命体から120mを超える巨大な大怪獣までさまざまな姿に変貌し、ゴジラを苦しめた。
もともとは無酸素状態の先カンブリア時代に生息していた無名の生命体であり、酸素が大気に出現してからは姿を消した=絶滅したはずだったが、いくつかの個体が、東京湾海底地下の地層の中で生き延びていた。1954年のゴジラ出現に際し、芹沢博士が使用した「オキシジェン・デストロイヤー(水中の酸素をすべて破壊・分解し、水中の生物を全て溶解させる薬剤)」の効果によって東京湾一帯が無酸素状態になったことで復活していた。
1995年、東京湾横断道路の工事によってデストロイアが潜伏している地層が露出すると、酸素に触れたことでその毒性を克服。有酸素状態の下でも活動が可能になり、東京湾へ出てしまった。
熱に対する耐性が高く、人類の火器・兵器ではより強力な進化を促すだけになってしまう。またデストロイアが使う微小化された酸素「ミクロオキシゲン」はいわばチート武器といえる存在。性質は通常の酸素と同様だが、分子が小さすぎるため、生物の細胞などの物質を構成する原子と原子の隙間に入り込んで破壊・崩壊させてしまう。
人間は勿論のこと、ゴジラの細胞にも有効で、先述の熱耐性と合わさって対ゴジラ特攻の塊である。反面、体内に充填しているミクロオキシゲンは-183℃で効果を失うため、極低温に対しては非常に弱い。
幼体から飛翔体までは吉田穣氏が、完全体は岡本英郎氏がデザインしている。
微小体・クロール体
全長:3~5mm(微小体)・2mm~30cm(クロール体)
体重:0.5g(微小体)・2gから1.5kg(クロール体)
本来のデストロイアの姿は微小体と呼ばれる。地層から復活した直後はこの状態だった。本編劇中には登場しておらず、怪獣図鑑などに絵が掲載されているにとどまる。
これが変異などで巨大化したものがクロール体で、赤いカブトガニのような形をしており、水中を泳いで移動する。
オキシジェン・デストロイヤーの影響か、体内でミクロオキシゲンを生成する能力を会得してしまった。書籍ではミクロオキシゲンで溶かした相手の細胞を吸収することで自らの変異を加速することができると示唆されている。
東京湾海底トンネルの建造工事現場でシャフトや配管を溶解させて事故を起こしたほか、しながわ水族館の水槽に侵入し、熱帯魚の体を分解して白骨化させてしまった。この様子を捉えた監視カメラの映像から、姿と存在が判明した。ちなみにクロール体はCGで作られている。
幼体
全長:2~18m
体重:350kg~260t
変異を繰り返したクロール体が到達した新たな形態。
水中から地上に活動の場を移している。
蜘蛛のような下半身から、胴体と頭が生えたような体をしている。目や口、牙などが発達しているほか、ミクロオキシゲンをガスのように噴射することが可能になった。獰猛な習性で、人類に対しても積極的に襲い掛かる。
横断道路の工事現場に出現し、機材などを荒らした後、有明クリーンセンターに大挙して押し寄せ、占拠してしまった。警視庁の対ゲリラ特殊部隊と交戦。隊員をミクロオキシゲンや牙で殺害したが、火炎放射器によって撃退された。が、ここでは撤退したものの、実は負傷したのではなくむしろ熱によって変異活動が活性化していた。
集合体・飛翔体
全長:60m
身長:40m(集合体)
翼長:80m(飛翔体)
体重:15000t
集合体は、大量発生していた幼体が集まって融合することで出現した巨大な個体。外見はほぼ幼体と同じだが、下半身前部には蟹のような鋏が2つ生え、両肩からも触手が1本ずつ生えている。飛翔体は、集合体が変形した飛行可能な形態。形状的にはクロール体に近く、肩の触手と下半身の間に張られた翼膜を主翼にして、ムササビのような姿で飛ぶ。2つの形態には自在に変形可能。
幼体とは比べ物にならないほどの巨体であり、体内のミクロオキシゲン濃度も飛躍的に高まっている。
特にミクロオキシゲンを口から噴射する攻撃は、高濃度のあまり紫色の光線のような姿にまで変わった。この技は「オキシジェンデストロイヤーレイ」と呼ばれている。
また、相手に噛み付き、牙から直接ミクロオキシゲンを注入する技も使用する。
有明での火炎放射器の攻撃によって変異活動が活性化した幼体が、いっせいに融合して誕生した。
自衛隊の火器による攻撃を浴びても怯むどころか活性化し、飛翔体への変化も体得し、東京港湾部で暴れまわった。しかし、東京に上陸したゴジラジュニアに戦いを挑まれ、ミクロオキシゲンによる攻撃で追い詰めるも、牙からミクロオキシゲンを注入している最中に放射能熱線を浴びせられて強引に引き剥がされ敗走。
飛翔体になって逃げようとしたが、熱線を再び当てられ、品川の火力発電所に墜落・炎上した。
完全体
全長:230m
身長:120m
翼長:210m
体重:80000t
火力発電所の爆発によって変異がさらに進んだ姿。
ゴジラをも上回る巨躯を手に入れ、人間に近い二足歩行の、絵に描かれる悪魔のような姿になった。
虫のような顔つきから、上顎と下顎が分かれている爬虫類のような顔つきに変わっているほか、頭部には黄色い角が生え、非常に長い尻尾や背中には巨大な翼なども発達した。
飛行能力は飛翔体の比ではなく、ゴジラをも圧倒した。噴射するミクロオキシゲンの濃度は極限にまで高まり、オキシジェン・デストロイヤーと同等の威力を持っている。集合体と同じく、オキシジェンデストロイヤーレイを口から吐くほか、ミクロオキシゲンを頭部の角から放出して相手の体を切断する「ヴァリアブル・スライサー」という技も使う。尻尾を相手に巻きつけて地面を引きずり回したり、エネルギーを吸収することも可能。胸部が弱点。
スーツはスペースゴジラを改造したもの。過酷な撮影の中で破損する事が多かったため、何度も修復させられたとか。
中間体
ゴジラの熱線を胸部に浴びて爆散したと思われたデストロイアの新たな姿。書籍では「デストロイア分離戦法」という技名として記載されている。
前述の『集合体』の何匹もの小さな個体に分裂し、集団でゴジラに襲い掛かる。
集まることで、再び完全体へと復活が可能。
品川の火力発電所に出現し、羽田で邂逅を果たしたゴジラとゴジラジュニアを襲撃する。
空中から叩き落してジュニアを殺害し、続いて挑んだゴジラに対しても優勢に戦いを進めた。
しかし、暴走を起こしているゴジラにはオキシジェンデストロイヤーレイが通用せず、逆に熱線を喰らって爆散する。
この際、前述のとおり中間体に分裂してゴジラに群がって襲い掛かるも、やはり歯が立たず再融合。
肉弾戦を挑んだが、メルトダウンを始めたゴジラの体から発せられる熱と放射能には耐え切れず、逃走しようとした。
しかしここで、人類によって極低温レーザーと冷凍ミサイルの集中砲火を浴びせられ、墜落死した。
実は…
完全体はデストロイアの究極の姿ではない。この姿ですら進化の途上に過ぎず、ここから更に変異・自己進化の余地を残していることが示唆されている。もしデストロイアがもう一段階変異していたならば、ゴジラや自衛隊をもってしても倒せなかったかもしれない…
ゲーム作品では
ゴジラ列島震撼
ゴジラ列島震撼ではラスボスを務め、ステージ9と最終面で対峙する。若干ストーリーにアレンジが加えられており、ステージ9では集合体2体が広島市に出現。ゴジラジュニアやGフォースと交戦している。飛行時は飛翔体に変身し、非常に攻撃力が高い。このためゴジラジュニアが倒されないように援護しないと敗北率が高くなる。その後、東京有楽町方面に向かい、完全体となる。そこでバーニングゴジラと戦闘になる。ラスボスだけあって全能力が高く、攻撃力は全怪獣中唯一200超えという超火力。体力も一番多い。
列島震撼の発売日は1995年12月22日、ゴジラvsデストロイアの公開日は同年12月9日。つまり映画公開中にゲームデビューしている。また発売日の関係で、ゲーム中に流れるムービーは映画の流用ではなくオリジナル画像にすげ替えられている。
ちなみに本作ではオキシジェン・デストロイアーと誤植されている。
余談
「オキシジェン・デストロイヤー」に由来するのだから、怪獣名も「デストロイヤー(Destroyer)」でよさそうなものだが、怪獣としての正式名称は「デストロイア」となっている。ファンには「権利関係か何かで揉めたのでは?」と勘ぐられることもあるが、別に根拠のある話でもない。
英語での正式名称は「Destoroyah」。我々日本人にとっては大差なくとも向こうの人には違和感バリバリのようで、「デ ス ト ロ イ ア ッ ー !!!」と区切って呼ばざるを得ない綴りになっていたりする。
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関連項目
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