デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン(De Zeven Provinciën)とは、オランダ語で『七州連合』という意味でオランダの別名もしくは美称(≒かっこいい言い方)。日本で言えば『瑞穂』もしくは『秋津島』みたいなもの。オランダではよく軍艦にこの名前がつけられており、現代までに7隻の艦にこの名前が名づけられている。本項目ではその中でも最新のものであるデ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートについて述べる。
デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートの概要
オランダ海軍の現時点における最新鋭のミサイルフリゲートであり、後述するグダグダの果てにオランダが独自に建造した。その対空能力はイージス艦に匹敵する。
NFR-90の立案と崩壊
1988年、NATO8カ国(米・加・仏・蘭・独・伊・英・西)は共同で60年代建造のフリゲート艦を代替する艦を開発することを決めた。これがNFR-90……“Nato Fligate Replacement for 90's"、意訳すると『90年代NATO代替フリゲート』計画である。
アメリカ:「アーレイ・バーク級大量生産のめどついたから降りるわ」
フランス:「このシステムだとうちのエグゾゼミサイル積めないから降りるわ」
イギリス:「フォークランド戦争の戦訓から考えると、このシステムでは能力低いから降りるわ」
イタリア・スペイン:「金ないから降りるわ」
ドイツ・オランダ:「まてやコラ」
てな感じでわずか2年後に見事空中分解を起こしてしまった。
TFCの立案とまたも崩壊
とはいえ代替艦をさっさと建造しないと時代遅れになる。そこでNFR-90の参加国は二手に分かれ、独自に共同開発を行うことになった。
ホライゾン計画のほうは毎度のごとくイギリスが抜け残った2国で共同開発を行うこととなり、これが『フォルパン級駆逐艦』(仏)『アンドレア・ドーリア級駆逐艦』(伊)として結実。なお、イギリスは船の設計段階での共同開発は降りたが防空システムの共同開発では残ることになり、これが後にデアリング級として結実する。
そして、TFC計画はというと……。
スペイン:「共同開発はいいけど開発費で湯水のように金が出て行くなぁ。うち貧乏なのに」
アメリカ:「いまならイージスシステム、お安くしますよ?」
スペイン:「乗った!」
オランダ・ドイツ:「尻かせや」
てな感じでスペインはイージス艦に乗り換えTFCを離脱(これが後のアルバロ・デ・バサン級フリゲート)。残った2国で開発・建造したのがドイツのザクセン級フリゲート、そしてこのデ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートである。
性能諸元
全長 | 144.24m |
全幅 | 18.82m |
排水量 | 4,400t(基準)/6,200t(満載) |
乗員 | 204名 |
武装 | |
レーダー | |
ソナー | |
速力 | 最大30kt |
主機 | |
搭載機 | |
同型艦 |
解説
- 動力はCODOG。低速時や巡航時はディーゼルエンジン、戦闘時はガスタービンを使い分ける。最大速度30ノット。
- 主砲はオート・メララ127mm砲。ちなみにこの砲は新造品ではなくカナダ海軍のイロクォイ級駆逐艦の改装で出たお下がりだったが将来的に新造砲に換装予定。[1]
- Mk.41VLSを40セル搭載。中身はSM2とESSM。
- 対艦ミサイルはハープーン8発。ミサイルは基本アメリカ製。
- 対潜水艦防御はMk.32短魚雷発射管と艦載ヘリ。ヨーロッパの艦としては重装備な方[2]。
- 近接戦闘用にゴールキーパーCIWS+エリコン20㎜機関砲を搭載
- 対空システムとしてNAAWSを搭載。次で解説。
NAAWS
NFR-90が崩壊した(主に開発費とどの国のミサイルを積むかが原因)元凶であり遺産でもある対空システム。
オランダのタレス・ネーデルランド社が開発したシステムでレーダーと戦術情報処理装置(要するにコンピュータとプログラム)がセットになったシステム。イージスシステムに似た構成から「ミニ・イージス」と呼ばれることもあるらしい。しかし対潜水艦戦のためのソナーとの統合は行われてない模様。まーヨーロッパじゃ潜水艦の脅威はあんまりないし。
中核は長距離捜索レーダー『SMART-L』と多機能レーダー『APAR』。この二つの組み合わせにより32個の目標に対する攻撃と200の対空目標、150の水上目標を識別できると主張している。
NAAWSは結構つぶしが利くシステムらしく、デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級のほかにドイツのザクセン級とデンマークのアイヴァー・ヒュイトフェルト級フリゲートにも搭載されているが戦術情報装置は3艦すべて違うものが搭載されている。
以下NAAWSの余談。
- SMART-Lだけのバラ売りもされており、独島級揚陸艦が積んでいることで有名。
- プログラムまでばら売りされている。あきづき型護衛艦やひゅうが型護衛艦に搭載されているFCS-3のESSM誘導プログラムはNAAWS、正確にはAPARの電波照射アルゴリズムが移植されている。
関連動画
関連商品
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関連コミュニティ
関連項目
脚注
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