トヨタ・カローラフィールダー(Corolla Fielder)とは、トヨタ自動車の販売するステーションワゴンである。ここでは前身となるワゴンも併せて紹介する。この車に付与される固有記号はカローラと同じ「E」である。
概要
2019年にカローラ・ツーリングが登場するまではカローラシリーズでも随一の人気を誇り、ステーションワゴンが割合に下火な昨今でもコンスタントに売上を上げていた。新規の開発に当たってはまず、フィールダーを先に完成させた後にそれをベースにセダンを作り上げるのが特徴である。
輸出はフィールダーとして初代のみヨーロッパなどで見られたが、2代目以降は基本的に国内専用車となっている。但し、ニュージーランド向けにはどういうわけか現在も導入されている。現地のカローラはセダンは国内用の物とは異なり、また国内ではカローラスポーツを名乗るハッチバックがある中でワゴンは一回りコンパクトとなっていた。これはカローラツーリングとなった現在でも踏襲されている。
前史
そもそもカローラは初代よりワゴンモデルはあったのだが、国内ではバンのみのラインナップであった。まだステーションワゴンの存在が浸透していない時代であり、ワゴンモデルが登場したのは登場から少々時代が下り、4代目の1982年であった。それもモデル途中のデビューであった。
この後で初代・二代目・三代目と紹介するのはあくまでワゴンモデルとしてであり、通常のカローラの初代ではない事に注意されたい。
初代(E70系)・1982年~1987年
このモデルはセダンで言うところの6代目であり、1982年に登場した。セダンモデルは1979年に登場しており、モデルライフとしては後期にあたる。セダンは翌年にモデルチェンジをしているが、バン&ワゴンは継続生産で1987年まで製造されていた。その為、セダンモデルで言う所の7代目であるE80系は存在しない。
駆動方式はFRであり、ハチロクと共にカローラ最後のFRモデルであった。好き者は敢えてこれでドリフトする者もいた。
2代目(E90系)・1987年~1991年
1987年にモデルチェンジ。1代抜かして、ここに至って駆動方式はFFとなった。まだまだワゴンモデルが認知されているとは言い難く、どちらかと言えば4ナンバーにありがちな毎年車検の煩わしさを避ける層向けであったところもある。なおカローラセダンなどに搭載されていたスポーツエンジンの4A-GE型は搭載されていない。
日本とアメリカではカローラワゴンが導入されていたが、ヨーロッパやオーストラリアではスプリンターの車体をカローラとして販売していた為、スプリンターカリブを指してカローラワゴンと言う。さらにカリブは北米ではカローラとして販売されて、「COROLLA All‐Trac」としてクロスオーバーワゴンとして販売された(なお北米向けカリブは初代はコンポーネンツを大部分で共有するターセルのワゴンモデルとして販売されていた)
3代目(E100系)・1991年~2002年
1991年にモデルチェンジをしたカローラワゴンはレガシィから始まったステーションワゴンブームに乗って、ツーリングワゴンを名乗る事となった。バブル期の設計だけあり、仕上げや質感に定評があった。後年、セダンなどはモデルチェンジを行ったわけだがバブル崩壊後のコストダウンの中で、設計が古いカローラワゴンを誉める際は「さすがバブル期の仕上げだけあり、質感は高いものはある」が常套句であった。
引き続き、輸出もされており特に北米向けはいかりや長介バンパーが特徴的であったが、アメリカにおけるステーションワゴン人気の低迷により途中でカタログ落ちをしている。
1995年のマイナーチェンジでホットモデルのBZツーリングが追加。このモデルは4A-GEが搭載され、走りに重きを置いたモデルとなっている。
1997年には大掛かりなイメージ変更を伴うマイナーチェンジがあり、その当時にCMキャラクターであった篠原ともえが「カロゴン」と言ってた為、愛称はカロゴンとなった。この際、BZツーリングの6速MT化が行われ、さらに安全装備の拡充もあったが、設計年度の所為かGOAを名乗る事が出来なかった。
(フィールダーとしての)初代・2000年~2006年(E120系)
2000年にカローラのモデルチェンジと同時に登場した。このモデルチェンジでカローラは大きくイメージが変化、通称としてNCV(New Century Value)を名乗る事となった。イメージキャラクターには木村拓哉を採用し、以降は現モデルに至るまで継続して出演してる。
1500cc・1800cc(2種類)・2200cc(ディーゼル)があり、各々MTとATが用意された。グレードは1500ccベースグレードのX、Xの装備拡充版のX・Gエディション、1800ccエンジン搭載歳のベースグレードS、スポーツグレードのZエアロツアラーがあった。
ホットグレードたるZエアロツアラーには2ZZ-GE型エンジンが搭載されたが、1800ccから出力は実に190psをたたき出し、リッター100ps越えを誇った。なお、このエンジンはショートストローク・高回転型・高圧縮比という絵に描いたスポーツエンジンである為、レギュラー厳禁のハイオク専用であった。通常は緊急時であればレギュラーガソリンでも対応できるハイオク指定エンジンがほとんどであり、それだけデリケートに出来ている。
2004年にマイナーチェンジが行われて、顔つきなどが直線的になると言った変化があった。この際、ディーゼルエンジンが廃止となった。
2006年にモデルチェンジされるまで、基本に関わる大きな変化の無い車であった。
2代目・2006年~2012年(E140系)
2006年にモデルチェンジが行われた。割合に曲線を基調としていたデザインは一気に直線的となり、また大型化され、ワンランク上の車に迫ろうサイズとなっていた。このモデルでは1500ccはXとG(先代で言う所のX・Gエディション相当)と1800ccのSが設定された。
この代でホットモデルのZエアロツアラーが廃止となったが、エアロツアラーシリーズはGとSに継承される事となった。それまで全グレードに設定されていたMTは1500ccのみとなった。また、ATは無段変速機(CVT)となり、変速ショックがなくなった。
このモデルでは荷台からのレバー操作一つでリアシートを折りたためる機構が装備されており、意外に手間のかかるリアシートの収納の煩わしさを解消した。
その後、TRD扱いながらターボチャージャーを装備したホットモデルのGTが登場した。同じモデルはセダンにも登場している。
3代目・2012年~(E160系)
2012年にモデルチェンジが行われる。大きくなりすぎたボディサイズをダウンサイジングさせ、また完全に設計を国外仕様と分けた影響で主要コンポーネンツはヴィッツと共通の物になった。その結果、大きさは初代フィールダーよりもコンパクトになった。4WDはこれまでのスタンバイ式のVフレックスフルタイム4WDから、最適なトルク配分を行えるアクティブトルクコントロールを採用した。なお、4WDはリアのマフラーの消音部分が横になっていたり、後部が腰高になっている等の特徴がある。
引き続きラインナップには1.8のS、1.5のGとX、それぞれにエアロパーツを装着したエアロツアラー(X除く)が設定される。途中、インテリアを中心に白と黒をオシャレに配置したW×Bも特別仕様車として追加され、後述するマイナーチェンジ後に正規グレードとなった。
2013年に予てより噂のあったハイブリッドモデルが追加となった。5ナンバーサイズのハイブリッドカーとしては既にアクアが存在しており、セダンモデルのアクシオと合わせて、5ナンバーサイズのハイブリッド拡充を図った。ハイブリッドモデルにはガソリン車に無いものとして、後部部分のボディ強化がある。主に機器類が後方に搭載される理由からであるが、これにより静寂性と安定性が増している。
2015年にマイナーチェンジ。キーンルックを採用した顔つきとなり、よりシャープになった。また、リアのテールランプも変化した。特別仕様だったW×Bはカタログモデルとなった。1500ccの2WD・CVTモデルには新開発のエンジンを搭載し、性能がアップした。また、安全装備も拡充されたり、塗装の追加等があり商品力があがった。
2019年、カローラツーリングが登場したことで大幅にラインナップが整理されることになった。しかし、荷台の容量はカローラツーリングよりもずっと大きい事やプロボックスから5ナンバー仕様車がカタログ落ちした事で毎年車検を避ける層が移行したこと、5ナンバーサイズを堅持していることによりその手の層からの需要が根強い事から継続生産となり、今もってコンスタントに売り上げのある車種となっている。
なお現在、数あるライバル車の中でクラス唯一のMT採用車である。
関連動画
HP
関連項目
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